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92話.腐れ貴族に粛清を!! ~その2~

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 城主の城のように、大きい貴族の城の前だ。
 まずは、この貴族の城に入る事が大事なのだ。
 先日のお礼に[セカンタの町]の片田舎から、町長が来た事を貴族に伝える必要がある。
 私は貴族の城の入り口を警備する門兵に話かけてみた。

「申し訳ないが――
 リストア様にお目通しをお願いできないだろうか?」

「何用だ?」

「先日、[セカンタの町]でリストア様に町長就任のお祝いをして頂きましたので、そのお礼に[セカンタの町]の町長が、やってきたとお伝え願えないだろうか?」

「お礼と言う割りには、何も持ってきていないようだが?」

「貴方が見えているものだけが価値があると考えないことだ」
 ……と言って、マジックバック(仮)から大金をを取り出してみせた。

「門兵の貴方が伝えなければ――
 主人に対して大きな損失を与えると理解していただきたい」

 ……と言って、門兵に対して軽く脅しを入れてみる。

 まぁ、こういう事をせずに貴族の息子のボルグを呼んで同伴すればいいのだが、面倒だし直接交渉で問題ないだろうと考えたからだ。

「今、リストア様にお伝えしてくる。
 しばし、待たれよ……」

「ハイ。よろしくお願いします」

 ……
 …………

 しばらく、この場で待った。
 すると、先ほどの門兵がリストアからの城への入る許可を得てきた。
 つまり、私は貴族のリストアに会えるらしい。

「さーて、三人とも行くよ!!」

「「「はい」」」

 門兵に城の中を案内され城の奥へと進んで行く。
 しばらく、城の中を歩いていると兵士が扉の前で立ち止まった。

「この奥に、リストア様がいらっしゃる。
 粗相の無いように気をつけよ」

「ハイ。ご忠告痛み入ります」

 私達4人は扉の奥へと進み貴族の元へと向かった。
 貴族の元へ進む途中――この部屋の護衛の兵士の中の2人が私の顔をみて、私に対して恐れていたようだった。
 何か、この貴族の兵を驚かすような事を、私はしただろうか?

(氷の大陸ツアーで、散々兵士達を脅しているので顔を覚えている兵士がいてもおかしくない)

 まぁ、いいや。そんな事は気にせず前へと進んだ。

 偉そうな椅子に座っているリストア様と、その横に立っている息子のボルグ。
 そしてボルグの反対側にリストアが侍らすように褐色肌の少女アリアがいた。

「わざわざ、長旅ご苦労じゃったの……。[セカンタの町]の町長よ!!
 今日は、先日のお礼にという事だが? 後ろに連れている女はなんだ?」

「私への、贈り物はその女達か? ん?
 お前達は[セカンタ]の教会の娘達ではないか!!」

「リストア様、この三名は私の嫁でして……
 このような場なので賑やかしにでもなればと思い連れてまいりました」

「そうか、3人とも町長の嫁なのか……
 なぁ、町長よ。私にこの3人を譲らぬか?」

 その言葉を聞いて、3人が身構えるのが私にも解った。

「申し訳ございません。
 リストア様の頼みでも嫁を売るなどの行為は、女神ノルンがお許しいただけないでしょう」

「私の頼みが聞けぬというのか?」

「そのお話は申し訳ありませんが聞けませんね。
 それに私は嫁を売りにこの場に来たわけではなく、リストア様にお礼を申し上げにきたのですから。
 そこは勘違いされないよう、お願いします」

「ぐぬっ」

「父上。この場では、ご自重下さい」と、貴族の息子のボルグもコチラを援護してくれるみたいだ。

「町長よ。主は土産もナシに挨拶に来たのか?」

「まさか、まさか!!
 そんなワケありませんよ。
 珍しいモノが手に入りましたので献上しようと持ってまいりました」

「ほう、何が出るのか楽しみじゃの、つまらぬものだったら許さぬぞ」

「リストア様。ラッキーインセクトというモンスターは、ご存知でしょうか?」

「知らぬ、なんじゃソレは?」

「父上。ラッキーインセクトの魔石は高価で一つで5万ゴールド以上はする、大変価値のあるものですよ」

「ソレを献上してくれるのか?」

「いいえ、リストア様に献上するのです。
 更に上質のモノを用意しております」

「ホウ、出してみよ」

 この場所なら、広さは足りてるか……?
 部屋の横幅いっぱいを使いデスワームをマジッグバック(仮)から取り出して地面に降ろした。

 ズシンと音が部屋の中に響き――リストア、ボルグ共に驚いていた。

「な、なんじゃこれは……!!」

「先程、話に出た。
 ラッキーインセクトの成長後の姿で、この街の東の砂漠に生息するデスワームというモンスターです。
 討伐する難易度は非常に高く、なんとか仕留める事ができた一匹でございます」

「こんなに、デカイだけのモノはいらないぞ!!」

「ちょっと、お待ちください。
 このモンスターの魔石は先ほど言ったラッキーインセクトの上位のモノでして価値をつけるとするなら、その倍以上するような一品でございます」

「そのような、高額なモノを私に献上するというのか?」

「はい、これが私の商人としての流儀ですので」

「わかった。その献上品を受け入れよう……
 だが、この場所じゃなく裏庭に移動させよ」

「はい、かしこまりました」
 ……と言って、デスワームをマジッグバック(仮)に再び入れた。

「兵よ、このものを裏庭へ案内せい。
 町長の奥方達はココに残るがいい」

 この腐れ貴族!! 人の嫁になにするつもりだ。
 まぁ、息子のボルグもいるし……酷い事にはならないだろうと思うが。

 私は兵士に裏庭に案内され再びデスワームを地面に置いた。
 嫁達が心配だったので、私は急いでリストアの元へ戻る。

 貴族のリストアがエミリー達を舐めるように近くで彼女達を見回していた。
 私が戻って来たことに気づき……
「もっと、時間を稼がぬか」と、リストアは小声でつぶやいていた。

 そして、そのまま椅子に座り。
「町長殿の献上品承る。
 キミは実に良い町長だな、前任は微妙な町長だったからな」
 ……と、下卑た笑みを浮かべていた。

「それで、ここまでは献上品の話でしたが……
 リストア様にご商談をさせて頂けないかなと思いまして。
 リストア様のお噂を伺っていますと、なかなか趣きの深いご趣味をされてるみたいで、私の趣味と通じる部分があるのです」

「……というと?  どういう事じゃ?」

「私も社長や町長の職務をやってはおりますが――
 従業員には少女趣味の変態や、少女を侍らす人間として、一部の者から強く糾弾される趣味を私は持っているのです」

「ホウ、話を続けよ」

「ここに15万ゴールドを用意してます。
 リストア様の使用済みのモノで構いません。
 私に全てお譲りいただけませんか? 多少、壊れていても構いませんよ」と、下卑た笑いをリストアに返した。

「町長よ、お主も歪んでおるな……」

「15万ゴールドあれば、新しいがリストア様なら大量に手に入るでしょう」

 自分で言ってて吐き気がする……
 しかし、表情が変わってないあたり、[ポーカフェイス]のスキルが効いてるのだろう。

「特に、そこのアリアという少女を特に汚したい。
 その褐色の肌を白濁の液体で染めたいのです」

 アリアは、私に裏切られたと思い俯いてしまった。

「それなら、交換条件をせぬか?
 使用済みの少女を主に譲るので、その3人を私に譲らぬか?」

「それは出来かねますよ、この3人は私の嫁。
 新しく少女を調達出来るリストア様が調達できない唯一品ですので、金や交換条件では動かせませんね」

「そうか……」

「それで、どうでしょう……?
 リストア様の財政を圧迫させず、少女を処分できるいい機会ではありませんか?」

 正直、こんな商談をしている所を見られたくない。
 後ろを向いて3人の姿を見るのが怖い幻滅されそうだ。

「わかった。譲ろうではないか壊れかけのモノも引き取ってくれるのだな?」

「モチロンでございます」

「善人と思いきや……
 とんでもない人間だったな。町長よ」

「あははは!!  善行だけで商売等、なり得ませぬよ」

 ……と言って、15万ゴールドを用意して貴族に直接手渡した。

「これだけ、あればいくらでも買い取れそうじゃの」

 ボルグも私の行動にドン引きしている。

「ボルグよ。このモノ達を例の部屋に案内せい」

「かしこまりました」
 ……と言って、ボルグは私達4人を少女達のいる部屋へ案内した。

 部屋に入る前にボルグに問われた。

「貴公は、あの豚と同類だったのか?」

「失礼な事を言うな!! 少女達を買い取る為の演技だよ。
 あの貴族と同じ土俵に立っただけだ!!」

 演技ではあるのだが、エミリー達の方に振り向くのが怖い。
 ボルグが部屋を開けた。
 部屋とは名ばかりの牢屋じゃないか!!

 部屋の中にいる少女達は――皆、目が死んでいた。
 アリアを初めて見た時が、こんな目をしてたような気がする。

「ボルグさん。彼女達をこの町のギルドに今日中に運んでくれ、私の名前を使っていいから。
 それと、扉を順に開けてくれ彼女達の治療をする」

 部屋の扉が開けられ、私が部屋の中に入ると少女は私の姿を見て怯えていた。

「こな……いで……」

 私が彼女を少しずつ追い詰めるように部屋の端に追いつめた形になった。

「大丈夫。何もしないから、もう安心していいんだよ」

「嘘!! そう言って部屋から、連れ出して酷いことするんでしょ」
 少女は私の言葉を信じてくれない……

「ほら、私は何も持ってないだろう。
 私は君の治療がしたいだけなんだ――すぐ終わるから信じてくれ」

 彼女は追いつめられて観念したのか、緊張を解いてくれた。

 [ヒール][ヒーリング][クリア]と立て続け魔法かけて、彼女の治療を行った。

「嘘、凄い……!! 痛くない」

「もう大丈夫だからね」と言って、私は彼女の頭を撫でてあげた。

「今まで大変だったね。ゆっくりとお休み」

 そして、[スリープ]の魔法ををかけて彼女を眠らせた。
 同じように、全ての少女を眠らせて移動しやすいように準備をしておいた。

「そしたら、ボルグさん。彼
 女達のギルドへの連れて行ってくれ。任せたよ」

「あぁ、任されたよ」

「ハジメさんは、やっぱり優しい人ですね」と、エミリーが話しかけてきた。

 3人とも黙ってたから、愛想つかされたのかと心配したよ。
 エミリーが話かけてくれたおかげで、ようやく私は後ろを振り向くことができた。

「お兄さんを、信じてますよ」
「お兄ちゃん、辛そうにするのやめてね」

 私は三人に心配させたみたいだ。

「三人とも心配させてごめんね。
 ここからが商談のラストスパートだ」と言って、再び貴族の待つ部屋へ戻るのだった。
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