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82話.腐れ貴族に粛清を!! ~その1~

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 私は、ギルド長と共にサドタの街の教会に入った。
 教会の神父が、ギルド長に気づき話しかけてきた。

「こんにちは、レクターさん」と言ってから、神父は私に会釈をしてきた。

「あぁ、ライアン神父。久しぶりだな」

「それで、隣の男性を私に紹介していただけませんか? レクターさん」

「あぁ――
 この人が、お前さんが紹介してくれって頼んでた。二階堂ハジメさんだよ」

「おぉ――
 あなたが[神の使い]で有名な二階堂ハジメ様ですね」

「どうも!! 紹介されました。
 二階堂ハジメです。 ライアン神父、よろしくお願いします。
 それと……様付けは辞めて頂けるとありがたいです」

「それでは、ハジメ君で……」

「それでいいですよ」

「それで、レクターさんとハジメ君は当教会にどのようなご用件ですかな?」

「それなんじゃが……
 にーちゃんの提案で、ギルドが運営する新店舗を立ち上げることになってな。
 それで、その店舗の雑用をココの子供達に依頼出来ないかと相談にきたんだよ」

「仕事内容は、どのようなものですか?」と、ライアン神父が質問してきた。

 ライアン神父の問いに、私はすぐさまに返答を行った。

「あぁ、それはですね。
 私は、セカンタの町で同系列の飲食店を開いてます。
 子供達にやってもらうのは、同様の業務で食器洗いと店舗の掃除ですね」

「店舗の手伝いは何人くらいの人手が必要なんですか?」

「セカンタのお店の規模で3~4人ほど手伝いに来ていますね。
 それで一日50ゴールドを、教会へ寄付しています。
 当然、勤務している子供達に昼飯等を無償で渡したりと利点はあります」

「この街は規模も大きいので倍の人数で、一日100ゴールドの寄付で対応させて頂くのはいかがでしょうか?」

「それで結構です。
 勤務先の子供達の服装が粗末だと店舗のイメージの悪化につながるので、で新しい服を子供達に買い与えてください」

 ……と言って、500ゴールドを神父に渡した。

「こんなに?」

「必要経費です。
 子供達に、服を買い与えてください。飲食店はイメージが第1ですから」

「慈悲深い、[神の使い]ハジメ様に感謝を……」
 また様扱いになってる。まぁ良いや……

「なぁ、にーちゃん。[神の使い]って、なんだ?」

「教会からは、そういう事になってるらしいですよ?
 この前みたいな事すると、天罰が起きるかもしれませんよ」と、私は冗談を言った。

「そ、そうなのか……」

「冗談ですよ。
 何度か、女神ノルン様の啓示を受けた事があるだけです」

「それが、すごいことなんですけどね」と、ライアン神父は言った。

「今後は、店舗のお仕事が始まったらギルドが教会に寄付の支払いにきますので、その時にしっかりと代金を請求してあげてください。
 未払いは必ず阻止させますんで……」

「なぁ、にーちゃん。
 ギルドより教会への贔屓が強くないか?」

「そりゃ、そうでしょ。
 エミリーとシェリーは教会の子ですよ」

「エミリーというのは、[セカンタの町]のシスターでしたよね?」と、ライアン神父が聞いてきた。

「今は私と結婚して、私と一緒に暮らしています」

「それは素晴らしい……」

「仕事の話はコレで終わるんですけど……
 貴族のリストア様は、ここでもなんですかね」 

……と、多少誤魔化すようにして、ライアン神父に問いを入れた。

「あっ……」と、神父は口ごもった。
「あの方の趣味の話ですよね」と、神父から狙い通りの返答が返ってきた。

「まぁ、そうですね」

「リストア様には当教会へ多額の寄付を頂いております。
 毎年リストア様へ養子として向かい入れて貰ってます」

「ふざけんなよ!!」と、第一声から神父に対して怒鳴りつけるように言葉を発した。

「養子になった彼女達がどういう事になってるのか、神父は知ってるんでしょ?」

「なぁ、にーちゃん。どういう事だ?」

「すいません。立地の問題と――この教会が建てられた経緯を察して下さい」と、ライアン神父に言われた。

 神父の発言に反論する気も失せて、私は手で目を覆うしかすることができなかった。

「レクターさん。
 この教会は孤児院から若い女をリストア様の慰みモノとして、献上してるって話だよ」

「ふざけるな!! 聖職者がなんという蛮行!!」

 私から説明を聞いたレクターは、激昂しライアンに殴りかかろうとした。
 それを私は制止して、レクターに言った。

「待って!! レクターさん。
 これは、ライアン神父だけの問題じゃないよ。
 この街全体の問題さ――なんで貴族のやりたい放題にさせてるんだよ?」

「「それは……」」二人とも口ごもる。

「金さえあれば、リストア様の件は拒否できるんだよね? ライアン神父」

「はい、教会も孤児院の運営費等はいつもカツカツで……
 街からは資金援助を絞られてまして、リストア様への養子縁組を受けるしかなかったのです」

「うわっ……。
 貴族と街長まちおさグルかよ!! やっぱり、この街は腐ってやがる」

 続けて、私はライアン神父に問うた。

「ライアン神父。この教会を健全に運営するのに、いくらのお金が必要だ? 言ってくれ」

「えっ、それは?」

「ギルド長。デスワームの素材の売り上げをまだ貰ってないよな。
 全額、この教会に寄付するから高額で売る努力してくれ。
 この前の、ギルド長の失態はソレで許してやるよ!!」

「うぐっ!! あの件はやはり根にもっていたのか」

「商人をタダで働させるとか――貴族とか死ねよと思ったね。
 あの場で、ドラゴンの餌にしてやれば良かったと本気で後悔したね」

「にーちゃんには、貴族の権威もヘッタクレもないのぉ」

「権威何それ? 自分の街をぶっ壊すようなクズなんか、とっとと更迭してしまえよ」

「にーちゃんの貴族嫌いは凄まじいな」

「そんなクズに、人の嫁を奪われそうになってたと考えるだけで、今からでもそこの城に魔法をぶち込んでやりたいよ。
 魔法の4~5発撃てば、あんな城は吹き飛ばせるだろ」

「わかった、わかった。ワシが悪かった……
 今後、貴族関連の仕事は持ってこないので許してくれ」

「金にならない仕事もいらないぞ」と、ハッキリと言ってやった。

「ハジメ君。本当にありがとうございます」

「ありがとうの言葉じゃなく、絶対に養子の件を拒否してください。
 それで、既に養子になった子いるんですか?」

「あっ……
 先月、リストア様が気に入られた子がいまして……」

「クソッ!! あの腐れ貴族を問答無用にブチ殺せる方法ないか?
 現状、面識もないしな……商人らしく、奴から少女を引き離す方法はないか?」と呟いた。

「にーちゃん、物騒な事をいうのぉ」

 思いつかない……
 今は頭に血が上ってて考えがまとまらない。

「考えても続けても仕方ないさ。
 とりあえず、次の場所に移ろう……ここにいても、にーちゃんが魔法を打ち込みかねないだけだ」

「あぁ、そうしてくれ」

 神父達との会話を終わらせ教会を出ていった。
 道案内をするレクターについていく。

「あー、むしゃくしゃする。
 一発くらい魔法を打ち込んでやろうか!!」

「やめてくれ!! 色々と被害が大きくなる」

 ……
 …………

 しばらく歩いていたら――大きな空き地の前でレクターが立ち止まった。

「建設予定地はココじゃ」

 空き地は結構広いし、裏てには川もあった。
 浄化槽を作れば排水問題もなんとかなりそうだ。
【マップ】にチェックを入れて、この場所を【転送魔法】の位置を設定した。

「ここの空き地は、好きに使っていいんだろう?」

「あぁ、好きに使ってくれ」

 土地は広いし地下室はいらないな。
 少し暗くなりかけてるが、3号店の閉店まで時間あるし整地だけしておくか……

[ライト]の魔法を使い念のため周りを明るくしておく。

「今から整地する」と、レクターに対して宣言を行った。

「はぁ?」 と、突拍子もない私の発言にレクターは驚いていた。

 空き地に対して、[アースウォール]の魔法を使い、徹底的に整地と基礎工事を行った。
 作業自体は2時間程で済んだので、3号店の閉店には間に合うだろう……

「それじゃ、この土地の地盤改良は済んだので、ギルドで人員集めて建物建ててくれ。
 出来れば一階建で頼む、あと屋上を平らに作ってくれよ。また、様子を見に来ます」

「お、おう……なんちゅう奴だ」と、ギルド長は呆れていた。

「それじゃ、私はセカンタの町に帰ります」

 ……と言って、【転送魔法】で三号店に移動した。
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