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79話.選挙と出来レース
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ギルドの依頼で貴族の息子ボルグを『恐怖!! 氷の大陸ツアー』に案内してから……約1ヶ月の月日が経った。
その1ヵ月の間に注文していたモノが色々と出来上がっていた。
最初に、新しい風呂用に注文していた特注の壺を食器屋から受け取り。
次に、金物屋に注文していた。
アイスクリーム用の金属製の冷凍庫と、ドリンク用の冷蔵庫が完成していた。
そのついでに、冷蔵庫用と冷凍庫用の魔道具を魔道具屋へ受け取りに行った。
エミリー達に注意されて狩りに行く回数が半減した為、主にお店の業務を見て回っている事が多くなった。
相も変わらず――飲食店である二号店と、大浴場施設の三号店ともに売り上げは好調である。
二号店と三号店の売り上げ好調は町全体にも影響をしていた。
理由は簡単だった。
皆が身体を清潔にする為に施設を使う――それは男も女も変わらない。
この町の住民は低価格で施設が使える為、歓楽街の人間も使用が出来る。
施設内では無料で石鹸を使えるのが特に大きい利点だ。
清潔感のある女が抱けるということで、遠出して[セカンタの町]に来る男達が増えたことにより、お金が回りやすくなっていたのだ。
あとは、大きな施設ができたことにより、各テナントへの就職をする人間も増えた事も要因の一つだろう。
そんな色々な要因が重なり町全体の景気が良くなっていた。
ドリンクショップのテナントの前で、ドリンク用とアイス用の金属製冷蔵庫を組み立てていると、製造担当のレイモンドとマカロンがこちらに興味を示してきた。
「社長。それなんですか?
両方とも穴が、六つずつありますけど?」と、レイモンドが聞いてきた。
「ん、これは冷蔵庫と冷凍庫だよ」
フタを外して中に、冷凍庫の魔道具と冷蔵庫の魔道具を、別々に取り付けて、魔石を入れてスイッチを入れた。
「六つずつ穴空いてるのは?なんでですか?」と、次はマカロンが聞いてきた。
私は、専用の金属桶を計12カ所の穴に差し込んでいった。
「「おーー」」と、製造担当の両名が感嘆の声をあげた。
「これで、この場所にいても冷凍庫と冷蔵庫が扱えるわけだ」
「まだ、商品のアイスは一種、ドリンクは三種ですよね?」
「ドリンクは三種は固定で、コーヒーとフルーツジュースは単体で売れるだろう?
アイスクリームに関しては君達の工夫で種類を増やしていってくれ」
「「わかりました」」と言って、二人はお互いにどっちの商品が採用されるか、互いに火花を散らしていた。
そんな感じで二人に移動式冷蔵庫の使い方を指導していたら。
この町のギルド長と町長が私の元にやってきた。
「やぁ、ハジメ君。
このお店も好調みたいだね」と、ギルド長のマルコが言った。
「おかげさまで、良い商売させていただいてますよ」
「二人とも、今日はどのようなご用件でしょう?」
町長のミルコさんが突拍子もない事を言い始めた。
「前にも言ったと思うが、キミに町長になってもらいたい」と、言ってきた。
「えーと、確かに聞いたような気がしますけど……
冗談じゃなかったんですね。何故? 私なのでしょうか?」
「私の任期が今年で終わるので、この町の活性化に努めてくれているキミに町長を継いでもらいたいのだよ」
「町長の仕事をやるとなったら……
お店の経営ができなくなったりしませんかね?」
「それは大丈夫だ。君の下に二人の副町長という人材を立てていい。
その人材に町の仕事を任せればいいよ」
「なるほど……。
それでも町長になろうとすると、選挙みたいなモノがあるのでは?」
「あぁ、それはね。
ハジメ君は気にしなくていいんだ」と、マルコさんが言った。
「どういうことですか?」
「君が町長になると言ってくれるのなら、ギルドは君を推す事で既に決定している。
それに現町長の公認でもあるし、当然のように教会も君を推す事は確実だろう。
それにトドメは君の飲食店とこの施設だ。この町に住んでいる人間なら誰も争わないよ」
「へぇ……」
「そうなると、勝ち目がないので誰も町長選挙に出ようとしないのさ……
約1名を除いてな」
「え、 一人はいるんですか?」
「発明をして飯を食ってる変わり者でな……発明の収入で毎回選挙に出て来る人なんだ」
「その人の名前は?」
「名前はドクタージッパーという。
毎回こりずに町長選挙に出てくる変わり者だよ」
あぁ、現実にもいたなぁそういう人……
すごい人なんだけど――へんな取り上げられ方しかしないから、あの人の凄さは伝わらないんだよなぁ。
おっと、思考が脱線してしまった。
「へぇ、面白いですね。
その人に凄く興味あります」
「君も変わり者だな。
変わり者同士、話しが合うのかもしれんな?」
「心外だなぁ……私は至って常識人のつもりですけど?」
「「そう思ってるのは君だけだよ」」
「そうですか。
それはいいとして、そんな担ぎ上げ方されると私が受けないといけないんですよね」
「そうしてもらえると助かる」と、ミルコが言ってきた。
「お二人と教会からも支持をもらっているのなら――私が出ましょう。
ただし、私が当選した際は副町長は、ミルコさんとスミス神父にやらせますからね」
「ハジメ君。そこは今この場にいる私じゃないのかい?」
「流石に、兄弟で副町長は拙いでしょ。色々と……」
「まぁ、確かにそうだな」と言って、ミルコが納得していた。
「マルコさんは、ミルコさんに口利きができますし。
教会側もスミス神父が意見を出せるので、バランスがいいでしょ」
「バランスまで取るのか君は……?」
「そりゃそうでしょ!!
偏ると倒れるだけですから、最終判断を出す私が苦労するんですよ」
「私は、まだ町の為に仕事が出来るのか……」と、感慨深くミルコさんが言っていた。
「ミルコさん。
まだ隠居するような歳じゃないでしょうに、まだまだ働かせますから覚悟してくださいね!!」
「楽隠居できないみたいだな……兄さん」「あぁ」
「それで選挙活動とかは、しないといけないんですか?」
「いや、ギルド側で勝手にやっておくから別にしなくても大丈夫だよ。
まぁ仕事の合間にたまにでもいいんで、顔を出してくれるとありがたいかな」
「まぁ、それくらいなら大丈夫ですよ」
「それじゃ期間はいつから?」
「二週間後に、一週間の告知期間がある――それから、一週間後に投票と開票だ」
「1ヶ月後には、この町の町長が決まるんですね」
「あぁ、そうだ。
町長が決まると[サドタの街]から、リストア様が新町長に挨拶に来るぞ!!」
「うげっ!! その時は、二号店と三号店ともに店休日にしよう」
「あぁ、それがいいだろうね」と、マルコが言った。
「町長の仕事は、この町を住みやすくすればいいんですよね?」
「単純に言えばそうだな」と、ミルコがあっさりと答えた。
「なら、いつも通りやっていけば問題ないですね」
「それじゃ、二週間後によろしく頼むよ」とミルコが言って、二人はこの場を離れた。
ギルド長と町長との会話を一部始終を聞いていた。
隣のテナントのキャリーと、ドリンクテナントのレイモンドとマカロンであった。
「社長。町長になるんですか?」と、キャリーが聞いてきた。
「うーん、そうみたいだね……
半ばなし崩し的に」
「「この町も安泰だな(ね)」」と、レイモンドとマカロンが言った。
「まぁ、私が出来る事をするだけです。それじゃ、この件をスミス神父にも伝えて来るから。
レイモンドとマカロンは、その移動式の冷蔵庫と冷凍庫の使い方を覚えてね」
「「はい」」と、二人から返事が返ってきた。
二人が冷蔵庫と冷凍庫の扱いが出来るのを確認した後、私はこの場を離れ教会へ移動した。
教会へ入ったら、スミス神父が話かけてきた。
「さっき、ミルコがウチに来てくれて話をしていったよ。
ハジメ君が、この町の町長を引き受けてくれるんだってね」
「あー、それなんですけど……
副町長って形で、ミルコさんとスミス神父にお願いしたいんですけど、大丈夫ですか?」
「ハジメ君らしい人選だね――引き受けるよ。
この件を教会に伝えて、ここで働いてくれる神父をコチラに派遣してもらうとするよ」
「お手数かけますが、お願いします」
「まぁ、基本的に町長の業務はミルコがするんだろ?」
「はい、そのつもりですよ。
経験者ですから、ガンガン働いてもらいますとも」
「アハハハ!! 程々にして上げてくれよな……
アイツは頑張りすぎるところがあるから」
「それじゃあ。スミス神父がフォローして上げてくださいね」
「参ったね。一本取られたよ」
「ギルド長からも聞いたと思うが、教会側も全面的に君を推していく事になる」
「それなら負けられないですね」と、言ったら。
「いや、その前に敵がいない……」と、スミス神父に返された。
そうですか……
コレが、出来レースってヤツなんだなぁと実感しながら自宅へ帰った。
家に帰り――二人に今日の出来事を伝えた。
……
…………
「ハジメさんが、町長になるんですね」
「お兄ちゃん、町長って偉いの?」
「あはは、そんな偉くないさ。
今までは会社を見てたのを今度は町全体をみてくれってだけだよ。
町の仕事はミルコさんとスミス神父にほぼ丸投げだし」
「ハジメさんらしくやれば、結果はついてくると思いますよ」
「そっか……エミリーに、そう言われて安心したよ。
それで、ちょっと気が早いけど選挙が終わった翌日に[サドタの街]から、貴族のリストア様が来るらしいので、二号店と三号店は店休日にするから。
ここから外に出ないようにしてね」
「「はーい」」と、二人は返事してくれた。まぁ二人とも会いたくないだろうし妥当かな?
「内心としては、私もそんな人に会いたくないんだけどね」
「それは、仕方ないですよ……
気持ちを切り替えていきましょう。晩御飯が出来てますんでみんなで食べましょう」
「そうだね」と言って、三人でテーブルを囲んで料理を食べた。
二週間後には選挙かぁ……
まさか私が立候補する事になるとは思わなかったなぁ。
その1ヵ月の間に注文していたモノが色々と出来上がっていた。
最初に、新しい風呂用に注文していた特注の壺を食器屋から受け取り。
次に、金物屋に注文していた。
アイスクリーム用の金属製の冷凍庫と、ドリンク用の冷蔵庫が完成していた。
そのついでに、冷蔵庫用と冷凍庫用の魔道具を魔道具屋へ受け取りに行った。
エミリー達に注意されて狩りに行く回数が半減した為、主にお店の業務を見て回っている事が多くなった。
相も変わらず――飲食店である二号店と、大浴場施設の三号店ともに売り上げは好調である。
二号店と三号店の売り上げ好調は町全体にも影響をしていた。
理由は簡単だった。
皆が身体を清潔にする為に施設を使う――それは男も女も変わらない。
この町の住民は低価格で施設が使える為、歓楽街の人間も使用が出来る。
施設内では無料で石鹸を使えるのが特に大きい利点だ。
清潔感のある女が抱けるということで、遠出して[セカンタの町]に来る男達が増えたことにより、お金が回りやすくなっていたのだ。
あとは、大きな施設ができたことにより、各テナントへの就職をする人間も増えた事も要因の一つだろう。
そんな色々な要因が重なり町全体の景気が良くなっていた。
ドリンクショップのテナントの前で、ドリンク用とアイス用の金属製冷蔵庫を組み立てていると、製造担当のレイモンドとマカロンがこちらに興味を示してきた。
「社長。それなんですか?
両方とも穴が、六つずつありますけど?」と、レイモンドが聞いてきた。
「ん、これは冷蔵庫と冷凍庫だよ」
フタを外して中に、冷凍庫の魔道具と冷蔵庫の魔道具を、別々に取り付けて、魔石を入れてスイッチを入れた。
「六つずつ穴空いてるのは?なんでですか?」と、次はマカロンが聞いてきた。
私は、専用の金属桶を計12カ所の穴に差し込んでいった。
「「おーー」」と、製造担当の両名が感嘆の声をあげた。
「これで、この場所にいても冷凍庫と冷蔵庫が扱えるわけだ」
「まだ、商品のアイスは一種、ドリンクは三種ですよね?」
「ドリンクは三種は固定で、コーヒーとフルーツジュースは単体で売れるだろう?
アイスクリームに関しては君達の工夫で種類を増やしていってくれ」
「「わかりました」」と言って、二人はお互いにどっちの商品が採用されるか、互いに火花を散らしていた。
そんな感じで二人に移動式冷蔵庫の使い方を指導していたら。
この町のギルド長と町長が私の元にやってきた。
「やぁ、ハジメ君。
このお店も好調みたいだね」と、ギルド長のマルコが言った。
「おかげさまで、良い商売させていただいてますよ」
「二人とも、今日はどのようなご用件でしょう?」
町長のミルコさんが突拍子もない事を言い始めた。
「前にも言ったと思うが、キミに町長になってもらいたい」と、言ってきた。
「えーと、確かに聞いたような気がしますけど……
冗談じゃなかったんですね。何故? 私なのでしょうか?」
「私の任期が今年で終わるので、この町の活性化に努めてくれているキミに町長を継いでもらいたいのだよ」
「町長の仕事をやるとなったら……
お店の経営ができなくなったりしませんかね?」
「それは大丈夫だ。君の下に二人の副町長という人材を立てていい。
その人材に町の仕事を任せればいいよ」
「なるほど……。
それでも町長になろうとすると、選挙みたいなモノがあるのでは?」
「あぁ、それはね。
ハジメ君は気にしなくていいんだ」と、マルコさんが言った。
「どういうことですか?」
「君が町長になると言ってくれるのなら、ギルドは君を推す事で既に決定している。
それに現町長の公認でもあるし、当然のように教会も君を推す事は確実だろう。
それにトドメは君の飲食店とこの施設だ。この町に住んでいる人間なら誰も争わないよ」
「へぇ……」
「そうなると、勝ち目がないので誰も町長選挙に出ようとしないのさ……
約1名を除いてな」
「え、 一人はいるんですか?」
「発明をして飯を食ってる変わり者でな……発明の収入で毎回選挙に出て来る人なんだ」
「その人の名前は?」
「名前はドクタージッパーという。
毎回こりずに町長選挙に出てくる変わり者だよ」
あぁ、現実にもいたなぁそういう人……
すごい人なんだけど――へんな取り上げられ方しかしないから、あの人の凄さは伝わらないんだよなぁ。
おっと、思考が脱線してしまった。
「へぇ、面白いですね。
その人に凄く興味あります」
「君も変わり者だな。
変わり者同士、話しが合うのかもしれんな?」
「心外だなぁ……私は至って常識人のつもりですけど?」
「「そう思ってるのは君だけだよ」」
「そうですか。
それはいいとして、そんな担ぎ上げ方されると私が受けないといけないんですよね」
「そうしてもらえると助かる」と、ミルコが言ってきた。
「お二人と教会からも支持をもらっているのなら――私が出ましょう。
ただし、私が当選した際は副町長は、ミルコさんとスミス神父にやらせますからね」
「ハジメ君。そこは今この場にいる私じゃないのかい?」
「流石に、兄弟で副町長は拙いでしょ。色々と……」
「まぁ、確かにそうだな」と言って、ミルコが納得していた。
「マルコさんは、ミルコさんに口利きができますし。
教会側もスミス神父が意見を出せるので、バランスがいいでしょ」
「バランスまで取るのか君は……?」
「そりゃそうでしょ!!
偏ると倒れるだけですから、最終判断を出す私が苦労するんですよ」
「私は、まだ町の為に仕事が出来るのか……」と、感慨深くミルコさんが言っていた。
「ミルコさん。
まだ隠居するような歳じゃないでしょうに、まだまだ働かせますから覚悟してくださいね!!」
「楽隠居できないみたいだな……兄さん」「あぁ」
「それで選挙活動とかは、しないといけないんですか?」
「いや、ギルド側で勝手にやっておくから別にしなくても大丈夫だよ。
まぁ仕事の合間にたまにでもいいんで、顔を出してくれるとありがたいかな」
「まぁ、それくらいなら大丈夫ですよ」
「それじゃ期間はいつから?」
「二週間後に、一週間の告知期間がある――それから、一週間後に投票と開票だ」
「1ヶ月後には、この町の町長が決まるんですね」
「あぁ、そうだ。
町長が決まると[サドタの街]から、リストア様が新町長に挨拶に来るぞ!!」
「うげっ!! その時は、二号店と三号店ともに店休日にしよう」
「あぁ、それがいいだろうね」と、マルコが言った。
「町長の仕事は、この町を住みやすくすればいいんですよね?」
「単純に言えばそうだな」と、ミルコがあっさりと答えた。
「なら、いつも通りやっていけば問題ないですね」
「それじゃ、二週間後によろしく頼むよ」とミルコが言って、二人はこの場を離れた。
ギルド長と町長との会話を一部始終を聞いていた。
隣のテナントのキャリーと、ドリンクテナントのレイモンドとマカロンであった。
「社長。町長になるんですか?」と、キャリーが聞いてきた。
「うーん、そうみたいだね……
半ばなし崩し的に」
「「この町も安泰だな(ね)」」と、レイモンドとマカロンが言った。
「まぁ、私が出来る事をするだけです。それじゃ、この件をスミス神父にも伝えて来るから。
レイモンドとマカロンは、その移動式の冷蔵庫と冷凍庫の使い方を覚えてね」
「「はい」」と、二人から返事が返ってきた。
二人が冷蔵庫と冷凍庫の扱いが出来るのを確認した後、私はこの場を離れ教会へ移動した。
教会へ入ったら、スミス神父が話かけてきた。
「さっき、ミルコがウチに来てくれて話をしていったよ。
ハジメ君が、この町の町長を引き受けてくれるんだってね」
「あー、それなんですけど……
副町長って形で、ミルコさんとスミス神父にお願いしたいんですけど、大丈夫ですか?」
「ハジメ君らしい人選だね――引き受けるよ。
この件を教会に伝えて、ここで働いてくれる神父をコチラに派遣してもらうとするよ」
「お手数かけますが、お願いします」
「まぁ、基本的に町長の業務はミルコがするんだろ?」
「はい、そのつもりですよ。
経験者ですから、ガンガン働いてもらいますとも」
「アハハハ!! 程々にして上げてくれよな……
アイツは頑張りすぎるところがあるから」
「それじゃあ。スミス神父がフォローして上げてくださいね」
「参ったね。一本取られたよ」
「ギルド長からも聞いたと思うが、教会側も全面的に君を推していく事になる」
「それなら負けられないですね」と、言ったら。
「いや、その前に敵がいない……」と、スミス神父に返された。
そうですか……
コレが、出来レースってヤツなんだなぁと実感しながら自宅へ帰った。
家に帰り――二人に今日の出来事を伝えた。
……
…………
「ハジメさんが、町長になるんですね」
「お兄ちゃん、町長って偉いの?」
「あはは、そんな偉くないさ。
今までは会社を見てたのを今度は町全体をみてくれってだけだよ。
町の仕事はミルコさんとスミス神父にほぼ丸投げだし」
「ハジメさんらしくやれば、結果はついてくると思いますよ」
「そっか……エミリーに、そう言われて安心したよ。
それで、ちょっと気が早いけど選挙が終わった翌日に[サドタの街]から、貴族のリストア様が来るらしいので、二号店と三号店は店休日にするから。
ここから外に出ないようにしてね」
「「はーい」」と、二人は返事してくれた。まぁ二人とも会いたくないだろうし妥当かな?
「内心としては、私もそんな人に会いたくないんだけどね」
「それは、仕方ないですよ……
気持ちを切り替えていきましょう。晩御飯が出来てますんでみんなで食べましょう」
「そうだね」と言って、三人でテーブルを囲んで料理を食べた。
二週間後には選挙かぁ……
まさか私が立候補する事になるとは思わなかったなぁ。
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