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49話.ブレイクアウト!!

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 【転送魔法】を使って、エミリーとシェリーを、連れてサドタの街にやってきた。
 ギルドに着いたが人が多いので、彼女達の手と繋いでギルドの中を移動する。

 目的地である買取倉庫に着いた。
 いつもの買取スペースに、ギルド長がいた。

「どうも、レクターさん。
 肉と魔石を取りに来ました」

「おう、にーちゃん。待ってたぞ!!
 これが、そっちの取り分の魔石だ。
 肉は、この奥の冷蔵庫に入れてるから、ついて来てくれ」

「はい」と言って、レクターの後を3人でついて行く。

「ここじゃ、ここから先は冷えるから気をつけてな」

 レクターは、冷蔵庫の扉を開けた。
 おおっ、なかなか広い冷蔵庫だなと思い辺りを見回した。
 さすが、ギルドの冷蔵庫という感じだった。

「デザートブルの肉は、アレじゃ」

 奥にある大量の肉を指差しで説明された。

「かなりの量がありますねぇ」

 俺は、マジックバッグ(仮)に、アッサリと全ての肉を放り込んだ。

「手慣れたモンじゃのぉ。
 それはそうと……にーちゃんの後ろにいる二人は?」

「二人とも私の嫁さんですよ」

「ハジメさんがお世話になってます。エミリーです」

「シェリーだよー」と言ったあと、「クシュン」と彼女がくしゃみをした。

「すまんすまん、ここは寒いからな。外へ出よう」
 レクターの指示通りに全員で冷蔵庫の外へ出た。

「にーちゃん。
 若いのに二人も娶ってるのか?」

「まぁ、色々あるんですよ。事情が……」

「そうか、それなら深くは詮索しないでおくとしよう。
 それで、二人とも狩りに連れて行ってるのか?」

「二人とも、少しずつですけど手慣れてきてますよ。
 私としては冒険者になりたいとか、言い出さないでくれると嬉しい限りです」

「それはないですよ。ハジメさん」

「お兄ちゃんの手伝いするー」

「……らしいぞ、にーちゃん」

 反応に困ったので頭を掻いた。 
 そして、ギルドで作業が終わったのでギルドを離れることにした。

「そしたら、また来ますのでよろしくお願いします」

「おじちゃん、バイバイー」と、シェリーが手を振ってた。
 そして、その場を後にした。

【転送魔法】で、いつもの砂漠へ移動して、いつも通りに狩りを再開した。

【マップ】を確認するが、今日もラッキーインセクトはいなかった。
 そして、いつも通りに狩りを続けた。
 少しだけ、早めに狩りを切り上げて[セカンタの町]へ戻ってきた。

「試したいことがあるから、二人ともついてきてもらえるかい?」

「はい(いいよー)」

 二人から了承を得れたので――
 町から離れ平原を進み、前回[エクスプロージョン]の魔法を撃った跡に来た。

「ちょっとだけ、試したいことがあってさ……
 明日ぶっつけ本番でやってもいいけど、流石に試しておかないと拙いと思ってね。
 多分、大丈夫とは思うんだけど」

 爆発の起きた範囲より狭い位置の正方形線を引き、デザートブルの魔石を四つの頂点に配置する。
 使う魔法は[聖域]だ。

 [聖域]の魔法による結界が発動した。
 結界の外から、結界の中に[エクスプロージョン]の魔法を放つ!!
 高威力の爆風が[聖域]の結界で防がれている。

「よし、実験成功だ!!」

「え? ハジメさん。
 どういうことなんです?」と、エミリーが質問した。

「明日、町の中で[エクスプロージョン]を撃とうと思っててね。
 それで、[聖域]で防げるかの実験です」

「そ、そうなんですか」

「一番の懸念は、結界の中に入らないと[エクスプロージョン]の魔法が発動しない事だったんだけど。
 よくわからないけど、それは気にしなくてよかったから、これで実験は終了ですよ」
 ……と、エミリーと話しをしながら、穴が出来た地面を均し作業をしている。

「よし、工事も終わってるだろうし今日は帰ろう」

「「はーい」」

 【転送魔法】で自宅の前に着いた。
 家に帰って[クリア]の魔法を使い、眠りにつき今日も一日が終了した。

 朝だ……
 いつも通りに店に出て従業員と挨拶をして、その後は裏の畑の作物に水やりを行った。

 その後、ドワルド達を連れて解体現場に向かう。
 建築班に、中に人がいないかの確認を行わせた。
 従業員の確認の結果、建物内には誰もいないと報告を受けた。

「じゃあ、この辺りの建物を解体するから。
 みんなちょっと下がっててね」

 建物が入るように長方形に線を引いていき、角の4点と引いた線の途中にデザートブルの魔石を配置していった。
 [聖域]の魔法を使い、解体する建物がある範囲に結界が発生する。

「じゃあ、行くよー。[エクスプロージョン]」
「それじゃ、次[エクスプロージョン]」 
「更に、以下略……」

 四度の[エクスプロージョン]により、全ての建物は全壊した。
 久々にMPが大幅に減ったのを実感できた。

 俺は、息をつき汗をぬぐうポーズをとってみた。

「なんじゃ、そりゃ」

 ……と、ドワルドが言い、他の従業員は目を白黒させていた。
 そして、役目を終えた結界がピキピキと音を立てて砕け散った。

「はい、解体完了!!
 それじゃ、地盤工事と基礎工事は魔法でやっちゃうから。
 10分ほど休憩させて」と言って、俺は[栄養ドリンク]を飲んだ。

 10分が過ぎ休憩時間が終わった。

「よし、やるか」

 建築班は、[エクスプロージョン]の魔法で壊しきれていないモノを運び出していた。
 
 建築班もいるし、建物近辺の作業は後からするとして……

 [アースウォール]の魔法をを利用した地盤工事と基礎工事を始めた。
 普通に魔法を使うのではなく、魔力を多めに込め土(土壁)を強化する。

 [アースウォール][アースウォール][アースウォール]……  以下略。

 先日、購入した土地を全て、魔法による地盤工事と基礎工事を済ませた。

「完璧すぎる出来じゃ。
 何が起きてもビクともしないだろうよ」と、工事の出来を見てドワルドが褒めてきた。

「あはは、褒めても何もでねーぞ。
 ドワルドさん達もコレいっとく?」と言って、アイテムボックスから[栄養ドリンク]を、取り出して従業員に配り始める。

「ちょろいっすね。
 社長……」と、建築班スタッフが小声で言い。

「これだから、自覚がない奴はタチが悪い」と小声で、ドワルドは呟いた。

「あっ、そうだ。
 とりあえずの設計図なんだけど、ドワルドさんに渡しとくね」

「いつ作ってたんじゃ?」

「昨日の夜かな」

「ここまでは、私が手伝えるけど……
 ここからは、ドワルドさん達の仕事だから。後は任せたよ」

「おう、任せとけ!!
 この規模の建物なら後20人は人員が欲しいとこじゃの」

「3人はココのお店の人達が仕事に来るから。
 残りの必要な人数は、ドワルドさんが好きに募集かけてくれて構わないよ。
 ギルドのマルコさんに、言ってくれれば大丈夫だから。
 そしたら、建築班は引き続き作業をお願いします」と言って、俺はこの場を離れた。

 さて次は、金物屋へ行くかな。
 水を貯める用の特大の金属桶を二つと、お湯を沸かす用の特大の金属桶を依頼しないとな。

 金物屋へ移動して、金物屋で特注品の三つの金属桶を依頼をした。
 
 半年以内で商品を作ってくれと金物屋に無理を言ったので、金物屋も色々と大変だろう。
 しかし、お店のオープンも半年を目処にしてるので作ってもらわないと困る。
 金物屋も忙しいだろうが頑張ってもらうとしよう。

 後は、魔道具だよな。

 水を作るのに水の魔道具を三つ程用意して、クズ魔石(値段がつかない魔石)で、水をひたすら桶に貯める。
 水が溢れたら、お湯を作る桶と使用する分の水を貯める桶に水が動く細工のある金属桶を制作中だ。

 火をつけるの使うのは、ラッキーインセクトの魔石を使い、火の魔道具を二つ使いお湯を作る。
 途中で、熱湯と水を合わせて適温にしてから、後は重力任せで浴場までパイプでつないでいく。

 洗い場はお湯の取り込み口を作り、桶が入る程度の小型の浴槽を作る。
 小型の浴槽から溢れたお湯は排水溝に流される。
 洗い場で取り込まれない分の、お湯がパイプを伝って浴槽に行く流れだ。

 重力を利用するので、お湯と水を作るの装置は屋上に設置する必要がある。
 浴槽から溢れた分のお湯は、排水溝から浄化槽へ流され川に流す仕組みだ。

 こうなると、クズ魔石も必要になるので、ギルドに依頼をかける事にする。
 ギルドに対して、通常では買取不可の魔石を三つで1ゴールドの価格でクズ魔石を買い取ることにした。

 [ファービレジの村]のギルドには、[コーラ]の配達がある日に、クズ魔石の買取を行う。
 その間は、村のギルドにはクズ魔石を買取日まで貯めといてもらう。
 [セカンタの町]のギルドは、常時スタッフによるクズ魔石の回収を行う事にした。
 そして、月末にクズ魔石の代金を支払う形を取った。

 配管関係は、【異世界取引】で出して浴場まで、水とお湯を引くのに使うとする。
 基本的には、お客さんに見えないようにすれば良い、新施設の基本設計はこんな感じにする予定だ。

 後は、テナントと飲食スペースだよな。
 ……と、考え事が尽きない日々が続いていった。
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