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32話.営業2か月目開始

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 子供達が帰ったあと――
 私は今月分の支払いをするために、ギルドへ向かった。

 そして、いつものようにギルドの応接室の椅子に座っていた。
 今日の出来事をに説明したら……

「それで、私達に対しての入金と、報告が一番最後になったと?」と、ギルド長のマルコが不機嫌そうに言ってきた。

「ギルドの営業時間内なので、いいんですけどね」
 ……と、報告順が後だった事について、ギルド長の発言には不満が含まれていた。

「ちょっと、待ってくださいよ。
 マルコさん。なんで、そんなに不満そうなんですか?」

「えっ、おわかりになりませんか?
 建物を貸し出しては居ますが、一応はギルドの土地なんですから、施設を作る前に報告してもらわないと」

 ああ、確かにそうだった。
 けど、改築はしていいって言ってなかったけ?

「えっと、マルコさん。 
 改築していいと言われませんでしたっけ?」

「地下室は営業施設の扱いで問題ないですけど、お風呂は個人の目的の為ですよね?」

「あっ、はい。
 その件ですが、従業員に解放しようと思ってまして、お店の施設とも言えませんか?」

「この町のドコに、風呂付きの勤務先があると思ってます?」

 で、デスヨネー……

「取り壊し、ですかね?」

「いいえ。後程、施設を確認させてもらいます。
 今回はそれで大丈夫です」と、ギルド長から今回の件の許しを得た。

 来月と再来月の二ヶ月分の従業員の給料と、家賃をマルコさんに支払った。
 ひとまずはギルドでの用事は済んだ。その後に、彼がお店まで来て冷蔵庫とお風呂を確認していった。

 施設の完成に、浮かれすぎて報告の順番を間違えたなぁ。
 まぁ、反省はしておこうと考えながら自室のベッドに座った。
 色々な支払いは済んだが、かなりのお金が残っていた。

 俺、自身は電気を作れないけど――
 電気を作って貯めれる道具が日本にあるのは知っている。

 [太陽光発電]だ、正式にはソーラーパネルだが――
 充電器と変電設備パワコンやケーブル等の付属品も用意したいので、【異世界取引】のLV14の箇所に[太陽光発電]をスキルに登録した。

 本来なら、電気設備の運用には資格が必要だが――
 要は扱えるようになっていればいいのである。
 ここは異世界だし、電気関係の資格って取れないし。
 賢さが上がってたおかげで資格の知識や実技を覚えるのはだったし、二ヶ月の間に勉強した知識で実用レベルになっているだろう。

「ふはははは!!」

 自分以外、誰もいない部屋で高笑いをしてしまった。
 女神も異世界で電気を作るとは想像してないだろう!!

 蛍光灯があれば、灯りの魔道具の微妙な薄暗さとおさらばできる。
 更に電気があれば、パソコンも使うことができる。コレがあれば趣味を広げる事が可能だ。

 お金に余裕があるとはいえ、パソコンまで買ってしまうと使いすぎな気がするので――
 今月は、太陽光発電関連を一式と、二階の部屋に使うための蛍光灯を手に入れる事にした。

 LV15[電気部品]をスイッチ関連の為に取得。
 LV16[蛍光灯]を二階の天井につける為に取得。
 LV17[パソコン]来月の為に取得。
 LV18[ケーブル]今後、色々なケーブルが必要になるので登録しておいた。

 電気ケーブルや、LANケーブルとか等の為に汎用が効きそうな[ケーブル]を選んだ。

 現在のレベル上限まで、スキル枠を使ってしまった。
 取ってしまった以上、後戻りは出来ない。
 趣味の赴くままに、突き進むのみよ!!

 い、いかんテンションが上がりすぎて、この状態は何かにぶつけるしかない!!

 【転送魔法】でサドタの街にいける。
 そういえば――あの街には、ビッグフロッグを卸していないな。ニヤリ……

「ヒャッハー」と、言わんがばかりのテンションの高さで、[セカンタの町]の近辺で真夜中のビッグフロッグ狩りに励む人物がいたらしい。
(誰だろうね、そんな危ない奴は逮捕しなきゃ)

 その後、俺の【アイテムボックス】に100匹程ビッグフロッグが入っていて、レベルも18から19に上がっていたのは何故だろう?

 電気が使えることで[パソコン]が、使えるようになった訳で……
 そうなると、[インターネット]もやりたくなるよね。
 テンション上がって、【異世界取引】のスキルに[インターネット]を、登録しようとしたら拒否された。

 『月額料金のお支払いが必要な場合は責任者にご連絡下さい』
 ……と、一文が表示されスキル登録を拒否された。

 逆を言えば、責任者に話を通せばいけるのか?
 この場合の責任者って誰だろ……? 女神様か?

 【異世界取引】の登録失敗した事によりテンションが上がり続けることは、なくなったので落ち着けるようになった。

 夜も遅いし帰って寝るとしよう、今からでも3~4時間は寝れるだろ。
 そして、自宅へ帰りそのまま眠りについた。

 ……
 …………

 朝だ……
 今日も一日頑張ろう。
 えっと、今日からは建築班のコッペ君が飲食部門に移ってきたんだったよな。
 彼には、最初は皿洗いからしてもらって、商品作成をゆくゆくは覚えてもらいたいな。
 
 このお店の最終目標は、俺がカウンターに立たずともお店が回るようにしたい。

 とりあえず、始業時間に飲食メンバーと建築メンバーが揃った。

「今日から、二ヶ月目の営業になります。
 今月も、頑張っていきましょう」と、俺は当たり障りなく挨拶をした。

「建築メンバーは、ドワルドさんの指示で動いて下さい。
 主に裏口のドアの作成、従業員用の二階のキッチン作成をお願いします。
 その他の雑用なんかもありますので、それもお願いします」

「はーい」と、野太い声の連中が返事を返してくれた。

「ドワルドさん、ちょっといいかい?」

「なんじゃ?」

「今月は無理だと思うけど、いずれ商品の製造業務を追加する予定です。
 主にハンバーガー用のパン(バンズ)なんだけど、ウチで作ろうと思うんだよね。
 その際にパンを焼く用の石窯が欲しいんだけど、石窯の作製をお願いできるかい?」

「本当に次から次に仕事を持ってくるのぉ。店長」

「えっ、何言ってるの?  
 まだまだ序の口だよ……」

「店長、嘘じゃろ……」と言って、ドワルドは少しひきつった表情を見せた。

「いや、今月中にやれとは言わないから大丈夫。
 今は、私が厨房業務とカウンター業務してるけど、最終的にはスタッフだけでお店を回せるようにしたいんだよね」

「店長の速度で他の奴が作るのは無理じゃろ」

「一人当たりの速度は落ちても、カウンターの人数を増やして捌ける速度を上げてしまえば、今と変わらない業務ができるんだよね。
 それで、何ヶ月後かにお店をリニューアルする必要が出てくるはず。
 予定では半年後……いや、五ヶ月後かな?」

「なるほど、仕事がなくなることはなさそうだな」

「そうだね。
 本当に期待してるよ建築メンバーの皆には……」

「期待には答えるさ。
 うまい酒もあるしな」と言って、ドワルドは仕事に戻った。

 コッペに向かって、手でコッチに来てと合図した。
 彼が駆け足で寄ってくる、やる気があふれているようだ。

「どうしました、店長!!」

「とりあえず、飲食メンバーとして初仕事だから最初は皿洗いからだけど。
 ゆくゆくは、食品製造とかもやってもらうからね。
 個人的には、店長を君にやって貰いたいと思ってるから、頑張ってくれよ」

「僕が、店長!? 
 ハイ!! 頑張ります」

「うん、いい返事だ。
 今月は、子供達に混ざって皿洗いだ。良いね?」

「はい、わかりました」

 今後のやっていく課題は……

 ・ハンバーガーのバンズ作成(小麦粉)
 ・バーガーを作るさいの調味料(胡椒)
 ・バーガーに挟む野菜
 ・パティ(お肉)
 ・ケチャップ
 ・ピクルス

 小麦粉はこの世界で仕入れる方が大変なんで、【異世界取引】に頼ろう。
 パンを膨らませるイースト菌も【異世界取引】に頼ろう。
 胡椒はコッチの世界では高級品らしいが、[調味料]で出るだろうし、【異世界取引】で大丈夫。
 葉野菜はコッチの世界でも見かけたから、それを仕入れる予定だ。
 パティ用の肉はミンチでいいだろうから【異世界取引】かなぁ?
 ケチャップも、[調味料]扱いで手に入るんじゃないか?(不明)
 ピクルスは酢があれば作れるから代用品を作れるだろう。

 現在の19レベルから、最低でも4レベルは上げる必要が出て来たわけだ。
 来週は、お店を一週間程お休みして[サドタの街]を拠点にしてレベル上げしようか?
 うーん、この町のギルド長が確実に怒鳴り込んでくるなぁ。
 あの人、休みの日でもコーラを売ってくれと言ってくるからなぁ。

 そうなると、夜中にオーク狩りが妥当かなぁ?
 ……と、今後の狩りの予定を考えていた。
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