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第16話.リベンジ

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ちゅんちゅん。
小鳥のさえずりが聞こえる、朝だな。

起きるかと考えてる矢先に、いつもの騒がしい声の主が俺の部屋に現れた。

「起きてる? 二日続けてとか、珍しいわね」

前回は、お金の問題で早起きする必要があったが、今回は日をまたぐダンジョン攻略の緊張の為、早く起きてしまった。

まぁ、緊張していることがユキにばれたら面倒なので、いつものように軽口で話を流した。

「俺は、失敗に学ぶ男だからな。
そう何度も同じ失敗はしないよ」

「あー、はいはい。
アンタ顔に出やすいから、緊張してんのバレバレよ」

「ぐぬぬ……」

そんな感じで朝イチから、ユキに一本取られた状態でスタートした。

「今回は、ダンジョン内で寝泊まりすることになるから。
キャンプ用具(寝具関連)、と食料等を調達していくわよ」と、大まかな注意事項を教えてくれた。

宿屋を後にして、街でアイテムを買いそろえた。

・キャンプ用具(寝具関連)800ゴールド
・食料(保存食や、調理可能食材)400ゴールド
・回復アイテム(MP回復薬4個)400ゴールド

初の試みの為、通常の予想よりも多めに食料や道具は準備した。
キャンプ道具を持ち歩く必要があるなら大変だが、全てアイテムボックスに入れてしまえたので、非常に便利だった。

デスゲームではないといえ、死ぬのは勘弁したいところである。
後、俺はデスペナルティが他のプレイヤーの2倍という枷を持ってるし。
俺が足手まといになれば、ユキも組んでくれなくなるだろう。

所持金はほぼ使い切ったが、ダンジョンに入ればお金は無価値であるから。
そういう意味でも用意は多めにしておいて、損はないはずだ。

お互いに、準備は終わったみたいだ。

ユキがダンジョン探索についての説明をしていった。

「二日以上たってるから11階のボスが復活しているハズ。
なので、それを倒すのが第一目標ね、前回のリベンジをします。
ボスを倒せばその部屋は、安全地帯に一日の間なるから、そこでキャンプを行う」


「あぁ、それで問題ないよ」と、俺は答えた。

「第二目標は、20階にある。
[脱出の書]の獲得を目的に進むわ。
今回は20階にある[脱出の書]を使って地上に戻る」

「戻った後はどうするんだい?」

「何度か、それを繰り返してMAPの完成とレベリングを行うわ」と、計画を話してくれた。

「その計画で問題ない。
文句のつけよう無いと思う、流石ユキだな」と、計画立案のユキを褒めた。

「まぁ、攻略本があるからこそなんだけどね。
流石に、攻略本に階段の位置までは書いてなかったし、マッピングは不可避だからね」

攻略本扱いするので、一応ユキにツッコミだけはいれておく。
「一応、ソレ説明書だからな……」「ここまで、詳しく書いてるんだから攻略本でいいわよ」

いつも通りダンジョンの前で入る手続きをして、ダンジョンへ入る。

前回の10階までは、何の問題も起きなかった。
マッピングがすでに終わっているのと、装備も新調しているので、前回より簡単に10階まで踏破することができた。

前回のリベンジだ、11階への階段へ進む。
大苦戦の原因、ウォーキングアーマーは復活していた。

前回は力不足の為(知識不足)、壁役ができなかったが、今回は壁役ができるはず。

「今回は、耐えてみせるから。
先手行かせてくれ!!」

前回の装備不足による、不甲斐なさを払拭するためユキに頼んだ。


「いいんじゃないの?
私、遠距離から攻撃してもいい?」と、ユキが聞いてきた。

「ヘイト取れる位は仕事してやるさ」

忍者で遠距離攻撃か、手裏剣でも投げるのかな?

よし、ユキの装備について、多少の疑問は残ったが戦闘開始だ!!
ウォーキングアーマーに向かいダッシュして、ヘイトを取るため、一気に距離を詰める。

相手が俺に気づいてからは、鋼鉄の盾を前面に押し出す形で距離を詰める。

まずは、俺が敵の攻撃を耐えれるかどうかだ?
一撃は盾で完全に受けきる、話はそれからだ。

ウォーキングアーマーの剣が、俺に向かって振り下ろされる。

剣と盾がぶつかり合い、ガゴッと……盾が鈍い音をさせ、振り下ろされた剣を防ぎきった。

バックラーとは違い、盾の幅が広い分防御すると決めていれば。
相手の攻撃に当てやすい、いや合わせやすいのだ。

これなら、俺が仕事がやれる!!

防御していてもHPが削られるが、こちらにはヒールがある。
このペースならいくらでも仕事ができるハズ!!

ユキにはスイッチではなく、左手で盾を構えつつ。
利き手で攻撃しろと、後方からの攻撃許可の指示を出す。

合図を出した瞬間、モンスターの背後から弓矢による攻撃が始まった。

それか、今回のユキの秘密兵器は、スライムキングの討伐の時に暇そうにしてたものな。
攻撃を受けたことにより、ターゲットが変わりそうになった所に俺が、

「お前は、コッチを見てろ!!」 と言って、鋼鉄の剣をウォーキングアーマーに振り下ろした。

前回の銅の剣で殴った時とは、違う金属音が響き鋼鉄の剣はモンスターの体のめり込む。

攻撃、防御ともに仕事ができてる。これならいける!! と、自信を持ったところでユキが提案してきた。

「ねぇ、前線変わってくんない? アンタも悔しかっただろうけど。
私、コイツに殺されてんのよね」

「解った!! 次の攻撃を返したらスイッチだ!!」

モンスターが横薙ぎで攻撃をしかけてくるが、こちとら防御がメインのお仕事だ。
盾をお前の前に構えるだけだ!!

剣と盾がぶつかり合い、金属がぶつかり合う鈍い音をさせながら耐えきった。
そのあと、構えた盾を使い思いっきりモンスターを後ろに押し出した。

「スイッチ!!」

後ろに飛ばされる、モンスターに張り付くように、ユキが攻撃を次々と加えていく。
スイッチからの攻撃の速さは本当にすさまじいな。

だけど、今回は、最初からこれで決めるつもりだったよ!!

魔力全開の[LV10:サンダーボルト]だ!!

魔法詠唱をはじめ。

……。
…………!!

「行けっ!!」


魔法が放たれ、ウォーキングアーマーの頭上に落ちた。

ドガァッ!! 前回とは、威力が違う雷(イカズチ)が落ちた。
モンスターが消えてゆく。

ログが流れた。

ボスモンスター討伐


[次のボスモンスター復活は、1日後となります。]

ウォーキングアーマーを討伐した。

1000の経験値 1200ゴールドを手に入れた。



ファウストのレベルが16になった。

・スピードアップ

・盾防御強化 (パッシブ)

・バッシュ(打撃スキル)


3つのスキルを覚えた。


ちなみに、ユキはレベル14になったみたいだ。
前回減らされたデスペナ分は取り戻せたという事だな。

こうして、俺達二人は前回のリベンジを無事果たすことに成功した……。
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