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4章 森の家~春から秋
48 秋の到来と一周年
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ランカから採った塩で作った石鹸も、普通の塩で作ったのと同じように成功した。
小皿で乾燥させて固まるのを待ったが、三日後乾燥してひび割れしてしまった。やはり乾燥対策が必要だったらしい。
でも石鹸の型も作る予定は今のところないし、固形だったらいいので気にせず割って使っている。ひび割れるくらいの方が、一週間もすればきれいに固まって使うことが出来たからだ。
使い心地としてはランカの塩の方が泡が肌触りがなめらかな気がしたので、身体を洗う時にはランカの塩の石鹸、手を洗ったりするのは普通の塩の石鹸と使い分けている。
石鹸が完成したお陰で夏の一番暑い時期を清潔に保ちながら乗り切り、お陰で汗もができずに夏を乗り越えることが出来た。
因みに収納に入れた処、私の認識からか『石鹸(塩)』『石鹸(ランカ)』と表示された。これは石鹸という物を私がこの世界で認識させたのかどうか、考え込んでしまった。
それでも同じようなスキルを持つ人が他にいるのかも知らない私では確認することは出来ないので、とりあえずいつかポーションを作れたらいいな、それにはやはり調合についてもっと知らなければ、とそう思った。
夏の一番暑い時期が過ぎ、少しずつ涼しくなって来ると、秋に備えて冬の保存食を作る準備が始まった。
畑のネロも親芋だけを残して収穫し、森に自生しているネロや他の芋も今年は早めに採取に取り掛かっている。去年の今頃ウィトと出会い、そうして秋になって崖から落ちて今の岩場を見つけた。
もう一年が経った、と思うと早いようなあっという間だったような不思議な感じだった。
でも私が今、ウィトやラウルにリサちゃん、それにプーアと一緒に過ごせていることだけで感謝したい気持ちだった。ずっと一人で今も森を彷徨っていたら、と思うとぞっとする。
「ラウル、リサちゃんは秋生まれだって言っていたけど、どの時期なの?」
「ああ、リサはもっと寒くなった頃だよ。そうか、リサも六歳になるのか……」
午前中に全員で森に出掛けたが、午後もこの岩山の周囲で芋探しをしようとラウルと二人だったこともあり、採取の手を休めてラウルに切り出した。
「冬になったらラウルも九歳だし、春には私も十歳よ。十歳になったらランディア帝国では見習いとして働き出したりするの。一人で森を彷徨っていた時には、十歳になったら街へ行こうかとも思っていたけど、今から考えれば子供が街の門を一人で潜って見習いを受け入れてくれる店を探す、なんて無理だったね。ねえリンゼ王国では八歳で洗礼はないって聞いたけど、何か子供がするべき儀式とかはないの?」
冬にラウルたちの詳しい事情を聞いてから、折につけてリンゼ王国のことを聞いたりしていたが、スキルについてはいまいちまだ踏み込んで聞いたことはなかった。
ただこのままでは何か区切りの儀式があったりしたら、それを受けないことになってしまうラウルやリサちゃんのことは気にしていたので、この機会に一歩踏み込むことにしたのだ。
「……そう、だね。国の儀式かどうかは知らないけど、肉食系の森に集落を造って住む集落では、戦闘系のスキルを持ち、それを狩りで力を証明する儀式があったかな。それに認められないと、一人前として扱われずに追放されることもあったよ」
そう告げながらこちらを見ないで遠くを見るラウルの瞳には久しく見なかった陰りがあり、その儀式がラウルのお父さんが種族違いのお母さんと結婚することを部族に認めさせたことと繋がっているのだろうと推測をつけた。
それでも今回ばかりは引く訳にはいかず、もう一歩踏み込もうと口を開く。
「そう。ねえ、それは何歳の時なの?それとも成人までにいつでも受ければいい儀式だったりする?」
リンゼ王国でも公式には十六歳が成人だと聞いていたので、それまでだったらまだまだ時間があるから大丈夫かな、と思って聞いてみると。
「……街ではこの儀式があるのかも知らないし。別に国を挙げての儀式って訳じゃないよ」
「ねえ、ラウル。別に私は無理にラウルとリサちゃんにリンゼ王国に戻って欲しいと言いたい訳ではないの。別にずっとこの家で暮らしてもいいけど、それでも一生このまま、ってことはさすがに無理だと思う。リサちゃんだって、外を知らないのはさすがにかわいそうだわ。ランディア帝国は問題外だし、リンゼ王国も嫌なら他の国でもいいけど、いつかはここを出て行く時が来ると思う。その時に胸を張れるように、何か儀式があるなら終わらせておくべきだと思ったの」
じっとラウルの目を見つめて言うと、最初はうろうろと視線を彷徨わせたがそれでも私が引かないと知ると、しぶしぶと口を開いた。
「……黒狼族の集落では十歳で儀式をやってた。その儀式で認められないと、成人しても結婚を許されないんだ」
「十歳で儀式をするのなら、成人までは狩猟の見習いか何かになって修行をするのかな?……そして成人の時にも恐らく何か儀式があった。違う?」
成人が十六歳なのに十歳で儀式があるのなら、ましてそれが集落での婚姻とも関係があるのなら何か理由があるのでは、と踏んでそう予測して告げると、明らかに動揺したように挙動不審になったラウルがいた。
「……十歳の儀式は、一人で定められた魔物を狩れるかの確認なんだ。それに認められると集落の見習い狩猟隊員になって狩りに同行して、成人の歳に集落の年に一度の力試しに参加して、その順位で結婚を認められるんだ。だから、部族を出た僕とリサには関係がない儀式だよ」
なるほど。部族の順位はそれで決められていたんだ。成人した時に高順位だったラウルのお父さんはどうやってか知り合った他部族のお母さんと結婚を認めさせた、という訳だったのね。確かにそれだけ聞くと部族から追放されたラウルとリサちゃんには関係のないとも思うけど、でも、獣人としての決め事として恐らくそれだけじゃあない筈だよね。
リンゼ王国は力こそ全て、という国だ、とラウルが言っていたのだから、部族内のことだけではすまないのではないか。
「……確かに街では違うのかもしれないけど、ここに来る前にラウルとリサちゃんが居た集落ではどうだったの?孤児や様々な部族の子供だけでなく、大人も少しは居たのでしょう?」
その儀式に受からなかった、または毛色が薄いなどの些細な違いでも部族からの追放はありえるのでは?と思って聞いてみると。
「フウ……。ノアにはかなわないな。確かにあの集落でも儀式はあったよ。黒狼族のように十歳で合格しなければ不適切とされる、という訳ではなかったけど。確かに成人までにある一定の魔物を狩れるだけの実力がない男は、あの集落でも肩身の狭い思いをしているようだった。でもそれだって、獣人と結婚を考えなければ、別に誰もが通過しなければならない儀式という訳ではないと思うよ」
やっぱりそうよね。確かにリンゼ王国に住んで、結婚を考えなければ儀式の合否は関係ないかもしれないけど、それでもラウルは恐らく黒狼族の儀式でも既に合格できるだけの実力はあるのだ。スキルについてはあまり口にしたがらないけど、やはりリンゼ王国の街で確認して貰った方がいいに違いない。
「……ねえ、ラウル。ラウルとリサちゃんはリンゼ王国にも、同じ獣人にももしかしたらいい感情がないのかもしれないけど、でも、将来の為に受かる儀式だけは受けておいた方が自分の為になると思うの。それにほら。私も一度は調合について詳しいことを知りたいし、道具なんかも買えるなら欲しいし。お金はお父さんとお母さんの遺産があるから、ねえ、ラウル。来年になったら一度、リンゼ王国に行ってみない?ウィトもいるし、国境の山を私達だけでも超えることは出来るんじゃない?」
そう、ある意味いい機会なのだ。私がウィトやラウルを連れてザッカスの街やテムの町へ行くことは難しいだろうが、ローブで顔を隠せば私がウィトやラウル達についてリンゼ王国の街へ入ることは恐らく可能だろうから。
「リサちゃんも土魔法のスキルがあるのかも確認したいだろうしね。……ねえ、ラウル。別に無理ならこの家に戻ってくればいいんだし。何もリンゼ王国の集落で暮らして、って言っている訳じゃないの。私も街へ出てみたいから、一度行ってみたいだけなの」
山を越えて集落の人と接した方がいいのかどうかは、ラウルが決めてかまわない。でも、一度街へ行ってみたいのだ。
「……街のことは僕も知らないから、一度、一度だけ集落の人に聞いてみる。それでもいい?」
「うん。人族の私が集落へ行くのが無理ならウィトと一緒に森で待っているから。皆で一度行ってみよう?」
「分かった。山越えは、ウィトと相談してから決めるね。リンゼ王国の国境なら、こちらからでも入国は出来ると思うし」
まあ国境については私には全く分からないから、ラウルに任せた方がいいだろう。
「分かったわ。そこはラウルとウィトにお願いするね。ふふふ。でもその前に、リセちゃんのお祝いを盛大にしなきゃね。さあ、ラウル。リセちゃんが好きな野草もたくさん採らないとね!またたくさんお祝いの料理を作るわ!」
とりあえず今はこの話は終わり、と笑ってみせると、仕方ないな、という顔をしながらラウルは頷いた。
ラウルが十歳になるのは来年の冬。なら、ここからリンゼ王国に行って色々調べたりする時間を考えると来年の春から初夏にはここを出た方がいいだろう。
それまでに、ここで出来るだけの傷薬などを作っておこう。そう気合を入れて、リサちゃんのお祝いに何を作ろうか、と考えつつせっせと採取に精を出したのだった。
ーーーーーーーー
という感じで次章から話が動き出します。もうちょっとだけのんびりペースにお付き合い下さい。
明日から更新が不定期になりそうです。二日に一度は更新したいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。(書けたら更新になるので時間も遅くなると思います)
小皿で乾燥させて固まるのを待ったが、三日後乾燥してひび割れしてしまった。やはり乾燥対策が必要だったらしい。
でも石鹸の型も作る予定は今のところないし、固形だったらいいので気にせず割って使っている。ひび割れるくらいの方が、一週間もすればきれいに固まって使うことが出来たからだ。
使い心地としてはランカの塩の方が泡が肌触りがなめらかな気がしたので、身体を洗う時にはランカの塩の石鹸、手を洗ったりするのは普通の塩の石鹸と使い分けている。
石鹸が完成したお陰で夏の一番暑い時期を清潔に保ちながら乗り切り、お陰で汗もができずに夏を乗り越えることが出来た。
因みに収納に入れた処、私の認識からか『石鹸(塩)』『石鹸(ランカ)』と表示された。これは石鹸という物を私がこの世界で認識させたのかどうか、考え込んでしまった。
それでも同じようなスキルを持つ人が他にいるのかも知らない私では確認することは出来ないので、とりあえずいつかポーションを作れたらいいな、それにはやはり調合についてもっと知らなければ、とそう思った。
夏の一番暑い時期が過ぎ、少しずつ涼しくなって来ると、秋に備えて冬の保存食を作る準備が始まった。
畑のネロも親芋だけを残して収穫し、森に自生しているネロや他の芋も今年は早めに採取に取り掛かっている。去年の今頃ウィトと出会い、そうして秋になって崖から落ちて今の岩場を見つけた。
もう一年が経った、と思うと早いようなあっという間だったような不思議な感じだった。
でも私が今、ウィトやラウルにリサちゃん、それにプーアと一緒に過ごせていることだけで感謝したい気持ちだった。ずっと一人で今も森を彷徨っていたら、と思うとぞっとする。
「ラウル、リサちゃんは秋生まれだって言っていたけど、どの時期なの?」
「ああ、リサはもっと寒くなった頃だよ。そうか、リサも六歳になるのか……」
午前中に全員で森に出掛けたが、午後もこの岩山の周囲で芋探しをしようとラウルと二人だったこともあり、採取の手を休めてラウルに切り出した。
「冬になったらラウルも九歳だし、春には私も十歳よ。十歳になったらランディア帝国では見習いとして働き出したりするの。一人で森を彷徨っていた時には、十歳になったら街へ行こうかとも思っていたけど、今から考えれば子供が街の門を一人で潜って見習いを受け入れてくれる店を探す、なんて無理だったね。ねえリンゼ王国では八歳で洗礼はないって聞いたけど、何か子供がするべき儀式とかはないの?」
冬にラウルたちの詳しい事情を聞いてから、折につけてリンゼ王国のことを聞いたりしていたが、スキルについてはいまいちまだ踏み込んで聞いたことはなかった。
ただこのままでは何か区切りの儀式があったりしたら、それを受けないことになってしまうラウルやリサちゃんのことは気にしていたので、この機会に一歩踏み込むことにしたのだ。
「……そう、だね。国の儀式かどうかは知らないけど、肉食系の森に集落を造って住む集落では、戦闘系のスキルを持ち、それを狩りで力を証明する儀式があったかな。それに認められないと、一人前として扱われずに追放されることもあったよ」
そう告げながらこちらを見ないで遠くを見るラウルの瞳には久しく見なかった陰りがあり、その儀式がラウルのお父さんが種族違いのお母さんと結婚することを部族に認めさせたことと繋がっているのだろうと推測をつけた。
それでも今回ばかりは引く訳にはいかず、もう一歩踏み込もうと口を開く。
「そう。ねえ、それは何歳の時なの?それとも成人までにいつでも受ければいい儀式だったりする?」
リンゼ王国でも公式には十六歳が成人だと聞いていたので、それまでだったらまだまだ時間があるから大丈夫かな、と思って聞いてみると。
「……街ではこの儀式があるのかも知らないし。別に国を挙げての儀式って訳じゃないよ」
「ねえ、ラウル。別に私は無理にラウルとリサちゃんにリンゼ王国に戻って欲しいと言いたい訳ではないの。別にずっとこの家で暮らしてもいいけど、それでも一生このまま、ってことはさすがに無理だと思う。リサちゃんだって、外を知らないのはさすがにかわいそうだわ。ランディア帝国は問題外だし、リンゼ王国も嫌なら他の国でもいいけど、いつかはここを出て行く時が来ると思う。その時に胸を張れるように、何か儀式があるなら終わらせておくべきだと思ったの」
じっとラウルの目を見つめて言うと、最初はうろうろと視線を彷徨わせたがそれでも私が引かないと知ると、しぶしぶと口を開いた。
「……黒狼族の集落では十歳で儀式をやってた。その儀式で認められないと、成人しても結婚を許されないんだ」
「十歳で儀式をするのなら、成人までは狩猟の見習いか何かになって修行をするのかな?……そして成人の時にも恐らく何か儀式があった。違う?」
成人が十六歳なのに十歳で儀式があるのなら、ましてそれが集落での婚姻とも関係があるのなら何か理由があるのでは、と踏んでそう予測して告げると、明らかに動揺したように挙動不審になったラウルがいた。
「……十歳の儀式は、一人で定められた魔物を狩れるかの確認なんだ。それに認められると集落の見習い狩猟隊員になって狩りに同行して、成人の歳に集落の年に一度の力試しに参加して、その順位で結婚を認められるんだ。だから、部族を出た僕とリサには関係がない儀式だよ」
なるほど。部族の順位はそれで決められていたんだ。成人した時に高順位だったラウルのお父さんはどうやってか知り合った他部族のお母さんと結婚を認めさせた、という訳だったのね。確かにそれだけ聞くと部族から追放されたラウルとリサちゃんには関係のないとも思うけど、でも、獣人としての決め事として恐らくそれだけじゃあない筈だよね。
リンゼ王国は力こそ全て、という国だ、とラウルが言っていたのだから、部族内のことだけではすまないのではないか。
「……確かに街では違うのかもしれないけど、ここに来る前にラウルとリサちゃんが居た集落ではどうだったの?孤児や様々な部族の子供だけでなく、大人も少しは居たのでしょう?」
その儀式に受からなかった、または毛色が薄いなどの些細な違いでも部族からの追放はありえるのでは?と思って聞いてみると。
「フウ……。ノアにはかなわないな。確かにあの集落でも儀式はあったよ。黒狼族のように十歳で合格しなければ不適切とされる、という訳ではなかったけど。確かに成人までにある一定の魔物を狩れるだけの実力がない男は、あの集落でも肩身の狭い思いをしているようだった。でもそれだって、獣人と結婚を考えなければ、別に誰もが通過しなければならない儀式という訳ではないと思うよ」
やっぱりそうよね。確かにリンゼ王国に住んで、結婚を考えなければ儀式の合否は関係ないかもしれないけど、それでもラウルは恐らく黒狼族の儀式でも既に合格できるだけの実力はあるのだ。スキルについてはあまり口にしたがらないけど、やはりリンゼ王国の街で確認して貰った方がいいに違いない。
「……ねえ、ラウル。ラウルとリサちゃんはリンゼ王国にも、同じ獣人にももしかしたらいい感情がないのかもしれないけど、でも、将来の為に受かる儀式だけは受けておいた方が自分の為になると思うの。それにほら。私も一度は調合について詳しいことを知りたいし、道具なんかも買えるなら欲しいし。お金はお父さんとお母さんの遺産があるから、ねえ、ラウル。来年になったら一度、リンゼ王国に行ってみない?ウィトもいるし、国境の山を私達だけでも超えることは出来るんじゃない?」
そう、ある意味いい機会なのだ。私がウィトやラウルを連れてザッカスの街やテムの町へ行くことは難しいだろうが、ローブで顔を隠せば私がウィトやラウル達についてリンゼ王国の街へ入ることは恐らく可能だろうから。
「リサちゃんも土魔法のスキルがあるのかも確認したいだろうしね。……ねえ、ラウル。別に無理ならこの家に戻ってくればいいんだし。何もリンゼ王国の集落で暮らして、って言っている訳じゃないの。私も街へ出てみたいから、一度行ってみたいだけなの」
山を越えて集落の人と接した方がいいのかどうかは、ラウルが決めてかまわない。でも、一度街へ行ってみたいのだ。
「……街のことは僕も知らないから、一度、一度だけ集落の人に聞いてみる。それでもいい?」
「うん。人族の私が集落へ行くのが無理ならウィトと一緒に森で待っているから。皆で一度行ってみよう?」
「分かった。山越えは、ウィトと相談してから決めるね。リンゼ王国の国境なら、こちらからでも入国は出来ると思うし」
まあ国境については私には全く分からないから、ラウルに任せた方がいいだろう。
「分かったわ。そこはラウルとウィトにお願いするね。ふふふ。でもその前に、リセちゃんのお祝いを盛大にしなきゃね。さあ、ラウル。リセちゃんが好きな野草もたくさん採らないとね!またたくさんお祝いの料理を作るわ!」
とりあえず今はこの話は終わり、と笑ってみせると、仕方ないな、という顔をしながらラウルは頷いた。
ラウルが十歳になるのは来年の冬。なら、ここからリンゼ王国に行って色々調べたりする時間を考えると来年の春から初夏にはここを出た方がいいだろう。
それまでに、ここで出来るだけの傷薬などを作っておこう。そう気合を入れて、リサちゃんのお祝いに何を作ろうか、と考えつつせっせと採取に精を出したのだった。
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という感じで次章から話が動き出します。もうちょっとだけのんびりペースにお付き合い下さい。
明日から更新が不定期になりそうです。二日に一度は更新したいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。(書けたら更新になるので時間も遅くなると思います)
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