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ようこそファルメール家へ~ルカside~

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「ふおぉぉ……。」

外観も立派だったが、中もとてつもなく豪華だ。
これが貴族の家!これがファルメール公爵家!

長い廊下を歩き通された部屋もとても広くてソファーもふっかふかで出された紅茶もめちゃくちゃ美味い。

「ふふ、ルー兄さんが楽しそうで良かった。あとで庭を見に行こうか。とても綺麗なんだ。」

「本当か!?見たい!」

庭もめちゃくちゃ広そうだな。貴族の家って畑もあったりするのか?

ーーコンコン

「はい。」

「やあ、フロウ、ルカ君。待たせて悪かったね。」

「おかえりなさい、フロウ。そしてようこそおいでくださいました、ルカさん。」

「にいさまー!!」

ノックの後、部屋に入ってきたのは美男美女と可愛い男の子だった。
この人達が今のロウの両親と弟か。
眩しい……。



「父上、母上、ただいま戻りました。お元気そうで何よりです。ウィル、勉強は頑張っていますか?」

弟はウィルって言うのか。

顔は父親にそっくりだな。ふわふわのブラウンの髪に母親の譲りのヘーゼルの瞳……将来モテまくるだろうな。間違いなく。

「はい!がんばってます!」

ロウに抱きつきながら甘える姿はまさに天使。ロウにもあんな時期があったなぁ。

「ふふ、いい子ですね。」

ロウが頭を撫でると嬉しそうな笑顔をロウに向け一層強くロウに抱きつき……なぜか俺はキッと睨まれた。え、俺何かしました?

「フロウ、早速だが私たちにルカ君を紹介してくれないか?ウィル、こちらに来なさい。」

「はい、ちちうえ。」

ウィル君は父親の声に素直に反応しロウから離れると両親の元に戻って行った。
戻る直前にまた俺を睨み付けて。だから俺が何をしたって言うんだ。人見知りか?人見知りなのか?

「父上、母上、改めてご紹介します。兄のルカです。」

「は、はじめまして、ルカです。おおお邪魔してます!」

改めて見ても凄い美形だ。ロウもセットで美形一家だ。やばいやばい落ち着け俺!はずかしい。何話していいかわからん、緊張する!

「はは、そんなに緊張しないでくれ。今日は来てくれてありがとう。私はギルベルト=ファルメール。そして妻のシンシアと息子のウィリアムだ。改めて宜しくルカ君。何か困ったことがあれば遠慮なく言ってくれ。」

「はい、ありがとうございます!」

ロウ、すごい良い家に養子に入ったなぁ…。人柄の良さが全身から溢れ出てるよこの二人。

ウィル君は相変わらず俺を睨み付けてきてるけど。
なんかやっぱり俺嫌われてる?

「ウィル、どうしました?すごい顔してますよ?」

「なんでもありませんっ」

そうだよな、ロウも気になるよな。

なんでかな、俺何したんだろ。
でもこの感じなんか見覚えあるんだよなぁ…………あ。もしかして。

「……ヤキモチか。」

「え?」

やべ、声に出してしまった。
俺の言葉に反応してロウが俺の方を見た。

「あのな、ウィル君は俺に対してヤキモチを妬いたんだと思う。フロウがとられたと思って。」

「!!」


大正解だったらしく、ウィル君は俺の言葉に顔を真っ赤にして隣に座るシンシアさんに抱きついた。

どっかで見たことあるなと思ったら、昔のロウだ。わざと俺の気を惹くような事して相手を牽制することが多々あった。相手は『本当にお兄ちゃん大好きなんだね』と、笑って許してくれていたが……ふむ、なるほどな。
小さいうちはどこの家も一緒なんだな。

「すまないルカ君!ウィル、そんな態度をとったらルカ君に失礼だろう?」

「うっ…だってぇ、ぼくのにいさまがぁ…」

わぁーどうしよう泣き出してしまった。
ロウの時はこんな事なかったからどうしていいかわからん!!

ロウを取られたくなくて必死なんだろうな。
可哀想にめちゃくちゃ泣いてる……。
元を正せば俺のせいなんだけど……。

うーん、困った。両親もロウも困ってる。








…………えーーい、もうヤケだ。

「ウィル君!俺も君の兄さんだよ!」








「……。」
シーーン。



わぁ、こいついきなり何言ってんだって顔で見ないでくれ……。俺だってそう思うわ!
でももう止まれんのだ!


「ウィル君の兄さんはロウ、ロウの兄さんは俺!って事は俺はウィル君の兄さんでもある!ヤキモチを妬く必要はない!俺は君の兄さんだからな!!」







……言い切った。勢いでソファーから立ち上がり、ビシッと言い切った。


チラッとロウの方を見る。




おいやめろ、ロウ、そんな可哀想なものを見るような目で見ないでくれ……。

うう……肝心のウィル君の反応は……






「……ルカ……にいさま……?」

「!?」

奇跡が起きた。

泣き止んだウィル君は目を真ん丸にして俺を見ている。睨んでいない。キラキラしている。


そして次の瞬間、




「ルカにいさまっ!」









「ぐふっ!」

俺にタックル改め勢いの良いハグをしてきてくれた。

頭が鳩尾に……これ子供の威力じゃない……。

「ごめんなさい、ルカにいさま。」

ああああ、天使に癒される。もう、痛くない……もう、痛くない!!わざとだったとしてもいい!!

「大丈夫……だよ。」



良かった。骨は無事の様だ。





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