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シェニー視点
仲直り
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そして馬車の扉をそっと閉めてくれた。
再びアインス様と二人きりになる。
話がしたいといったのはアインス様だというのに
しんと静まりかえる馬車内。
カバンの中の懐中時計を取り出して時間を確認すれば
もう本当に出なければいけない時間だった。
慌てて荷物を持とうとすると
アインス様も慌てるように話し始める。
「シェニー。俺はサラのことは好きじゃない。」
真っ直ぐな瞳ではっきりアインス様は私の目を見て言った。
だけど私はそれをすぐに理解することができなかった。
好きじゃない?
嘘でしょ?
だってアインス様とサラさんは
「物語の主人公なのに…。」
ぽつりと頭の中で発した言葉が
私の口から知らずのうちについてでる。
「物語?」
アインス様は訝しげな表情になって私の言った言葉を繰り返す。
突いて出た言葉を皮切りに私は今までため込んでいたものが
堰を切ったように話し出した。
「だって。ここは小説の中の世界で。だからアインス様はサラさんと。それが怖くて。
私だけ取り残されたような。嫉妬で押しつぶされそうで。だけど小説の中の世界だから。
だから。アインス様がサラさんを好きになるのは当然で。私はアインス様を傷つけたくなくて…だから。だから・・・。」
自分でも何を言っているのかわからなくなるほど
無我夢中で言葉を紡いでいく。
話し続ける私にアインス様はいきなり
私の両頬を強くつねった。
「…痛いです。」
ふっとアインス様は笑って
「痛いだろ?」
と優しい声で囁く。
こくんこくんと頷くと今度は私の手を取って
自分の左胸のほうに持っていく。
ドキッとしてしまい、慌てて手を引っ込もうとするけど
彼の大きい手にしっかりと握られて逃げることができなかった。
手の感触でわかる。
彼の心臓がトクトクと動いている。
「ちゃんと動いているだろ?シェニーは何を恐れているのか知らないけど
頬をつねったら痛いし、俺の心臓はちゃんと動いている。ここは現実だ。
夢じゃない。だからシェニー。俺はサラを好きではない。それとも俺がサラを好きなほうがいいのか?」
彼の優しい声と言葉にまた涙が溢れ出す。
そしてふるふると頭を横に振る。
「それに、俺はシェニーが留学に行くほうが傷つく。」
「…本当に私が傍にいてもアインス様は…傷つきませんの?」
「当たり前だろう。俺の面倒を見れるのはお前だけだ。
サラじゃなくてシェニーだけ。」
真剣に話すアインス様を見て彼が嘘をついているようには見えなかった。
「……頬をつねられて痛かったのは私です。」
泣きながら笑って抗議した。
そっとアインス様は私の涙を拭ってくれて
「もう留学に行くとか言うな?シェニーは俺のそばにいればいい。」
優しく頭を撫でながら言ってくれた。
私は小さくうなずいた。
「よし。それでいい。とりあえずユリーに連絡せねばな。
シェニーは落ち着くまでここにいろ。マーケルと話してくる。」
そう言ってアインス様は馬車から降りて行った。
再びアインス様と二人きりになる。
話がしたいといったのはアインス様だというのに
しんと静まりかえる馬車内。
カバンの中の懐中時計を取り出して時間を確認すれば
もう本当に出なければいけない時間だった。
慌てて荷物を持とうとすると
アインス様も慌てるように話し始める。
「シェニー。俺はサラのことは好きじゃない。」
真っ直ぐな瞳ではっきりアインス様は私の目を見て言った。
だけど私はそれをすぐに理解することができなかった。
好きじゃない?
嘘でしょ?
だってアインス様とサラさんは
「物語の主人公なのに…。」
ぽつりと頭の中で発した言葉が
私の口から知らずのうちについてでる。
「物語?」
アインス様は訝しげな表情になって私の言った言葉を繰り返す。
突いて出た言葉を皮切りに私は今までため込んでいたものが
堰を切ったように話し出した。
「だって。ここは小説の中の世界で。だからアインス様はサラさんと。それが怖くて。
私だけ取り残されたような。嫉妬で押しつぶされそうで。だけど小説の中の世界だから。
だから。アインス様がサラさんを好きになるのは当然で。私はアインス様を傷つけたくなくて…だから。だから・・・。」
自分でも何を言っているのかわからなくなるほど
無我夢中で言葉を紡いでいく。
話し続ける私にアインス様はいきなり
私の両頬を強くつねった。
「…痛いです。」
ふっとアインス様は笑って
「痛いだろ?」
と優しい声で囁く。
こくんこくんと頷くと今度は私の手を取って
自分の左胸のほうに持っていく。
ドキッとしてしまい、慌てて手を引っ込もうとするけど
彼の大きい手にしっかりと握られて逃げることができなかった。
手の感触でわかる。
彼の心臓がトクトクと動いている。
「ちゃんと動いているだろ?シェニーは何を恐れているのか知らないけど
頬をつねったら痛いし、俺の心臓はちゃんと動いている。ここは現実だ。
夢じゃない。だからシェニー。俺はサラを好きではない。それとも俺がサラを好きなほうがいいのか?」
彼の優しい声と言葉にまた涙が溢れ出す。
そしてふるふると頭を横に振る。
「それに、俺はシェニーが留学に行くほうが傷つく。」
「…本当に私が傍にいてもアインス様は…傷つきませんの?」
「当たり前だろう。俺の面倒を見れるのはお前だけだ。
サラじゃなくてシェニーだけ。」
真剣に話すアインス様を見て彼が嘘をついているようには見えなかった。
「……頬をつねられて痛かったのは私です。」
泣きながら笑って抗議した。
そっとアインス様は私の涙を拭ってくれて
「もう留学に行くとか言うな?シェニーは俺のそばにいればいい。」
優しく頭を撫でながら言ってくれた。
私は小さくうなずいた。
「よし。それでいい。とりあえずユリーに連絡せねばな。
シェニーは落ち着くまでここにいろ。マーケルと話してくる。」
そう言ってアインス様は馬車から降りて行った。
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