93 / 102
第三章 運命を変える7ヶ月間
92:続・すごい会議に参加しました
しおりを挟む
「君には殿下が影を一人付けていてね。その者が女に印を付けていたんだ。ミュラン殿たちに君を託した後、印を頼りにすぐ追ったが、追いついた時にはすでに死んでいたらしい。そして女が着ていた制服は、ロイメル公爵家の次女のものだと分かった」
ロイメル公爵家は王妃様のご実家だそうで、第二王子派の筆頭に立っているらしい。その公爵家には、去年学園を卒業したご令嬢がいるけれど、その人の制服が無くなっていたから容疑者になっていたそうだ。
魔導士団長様が最初に見せた絵に描かれてたのが、そのロイメル公爵令嬢だったみたい。
「あの、王妃様のご実家が本当に関わってるんですか?」
「その可能性が高いと考えているにすぎない。本人は制服を盗まれたと主張しているからな」
そもそも第一王子のディライン殿下は、王妃様の実子ではないそうで。殿下のお母様は、同盟関係にある隣国の王女だったけれど、殿下を産んだ後しばらくして亡くなっているそうだ。
だから今の王妃様は後妻として入られた方で、殿下と第二王子は半分しか血が繋がってない。そのため王妃様のご実家であるロイメル公爵家は、ディライン殿下は隣国の王家の血を引くから次期王に相応しくないと主張し、王妃様の実子である第二王子を推しているらしい。
ちなみに後ろ盾のない殿下の婚約者として、貴族家のトップに立つメギスロイス公爵家のご令嬢アルフィール様が選ばれたのだけれど。ロイメル公爵家とメギスロイス公爵家は、昔から張り合っている間柄だったそうだ。
だからロイメル公爵家には、殿下とアルフィール様に近い私を害するだけの動機があるらしい。
「魔導士団から魔物寄せを横流ししたのも、ロイメルに関わりのある家だったろう」
「だがその横流し先は不明なままで、ロイメルの関係先からも香は出ていない。本人も死んでいるし、他に黒幕がいる可能性もある」
魔物寄せの香は、やっぱりというか第二王子派の団員が横流しをしていたらしい。でもそれはあくまで下っ端。黒幕を捕まえるだけの証拠は掴めてないみたいだ。
その話を聞いた国王様は、痛ましげに顔を歪めた。
「どちらの予想も否定し難い。妃の監視を早く解いてやりたい所だが、無実を証明するためにも今しばらくは仕方ないな」
どうやら国王様は、王妃様は関わってないと信じているみたい。それは殿下も同意見なようで、第二王子と王妃様に監視は付けられてるけど、無実の証明と護衛という面が強いみたいだ。
王妃様は厳しい方だけれど曲がった事が大嫌いな真面目な方で、殿下と第二王子を差別したりせず平等に接しているそうで。資質の高い方が王太子になればいいと考え、王妃様ご自身は殿下の立太子に賛成の立場らしい。
話を聞いていた騎士団長様が、ため息混じりに口を開いた。
「黒幕も気にはなるが、問題はその魔物寄せだ。もし殿下が狙われているなら、学園の討伐訓練で必ず使ってくるだろう。警護の騎士を増やすように準備しているが、やっぱり中止には出来ないのか?」
「無理だ。魔物寄せが流出したなど公に出来ない。理由なく訓練を中止にすれば、王家の威信にも関わってくる。むしろ訓練時に実行犯を生きたまま捕らえることの方が大事だろう」
さすがジェイド様のお父様だ。宰相様は冷たい声で淡々と答えると、陛下に目を向けた。
「陛下。王妃様への監視は、早くても討伐訓練終了まで外せませんが、よろしいですね」
「王妃のためだ、構わん。だが魔物の対処と同時に実行犯の確保など、本当に可能なのか?」
「そこは魔導士団に頑張ってもらうしかないでしょう。そもそもの原因ですから」
「言われなくてもそのつもりだ。すでに騎士団と部隊編成の調整に入っている」
宰相様に目を向けられて、魔導士団長様は小さく舌打ちした。国王様もいるのにすごいなぁ。やっぱりラステロくんのお父様だから、自由人な所があるんだろうか。
「そうなると、ディラインから報告のあったドラゴンの話が問題だな」
魔導士団長様の話を受けて呟かれた国王様の言葉にドキリとする。ドラゴンの話って、何を殿下は話したんだろう?
不安に思いつつ話の成り行きを見守っていると、魔法管理局の局長様が声を挟んだ。
「陛下。その件ですが、まず間違いなくドラゴンの召喚を企んでる者はおります。そうでなければ、あのような魔法陣を使う輩が現れるとは思えません。……ジャック」
「はい、局長。私と息子で解析しましたが、間違いなくあの魔法陣は本物でした」
「そうか……一歩間違えれば血を抜かれていたか」
局長様に促されて父さんが報告すると、国王様は深刻な表情で小さく唸った。
血を抜かれていた? あの魔法陣って、そんな物騒なものだったの⁉︎ もしかしたら私は、あそこで冷たくなってたのかも……。
恐ろしい想像に身を震わせていると、父さんは困ったような目で私を見てきた。
「シャルラ、怖がらなくていい。あの魔法陣はお前を狙ったものじゃない。王家の血にしか反応しないものだから」
父さんの話によると、謎の魔法陣は王族とそれに近い血筋の魔力に反応して起動するものだったらしい。だからあの時、兄さんとイールトさんはラステロくんを止めていたのかと腑に落ちた。
「陛下。あれは複数の禁術を複合して組まれた魔法陣でした。王家の血を奪うために禁術を用いるのですから、あれを使ったのはドラゴンの召喚を企む本人か、もしくは何らかの関わりを持つ者だと思われます」
父さんがあの魔法陣の調査をしていたのは、あれが禁術だったからみたいだ。だから兄さんもあの時すぐにラステロくんが危ないと気付けたんだろう。長期休みの間だけとはいえ、魔法管理局で手伝いを出来るぐらい、兄さんは跡継ぎの勉強をすごく頑張っているもんね。
それからジェイド様とラステロくんが以前見つけた、ドラゴン召喚について書かれてた禁書も魔法管理局の管理下にあったようで。それが消えているという報告をジェイド様たちは当然していたから、父さんたちは異常な魔法が使われていないか常に警戒していたみたい。
そして驚いた事に、残されていた禁書によるとドラゴン召喚には王家の血が必要なんだそうだ。
「だとすればやはり、ロイメルは無関係の可能性もあるな。ドラゴン召喚に王家の血が必要なら、自分の血を使えばいいだけだ」
父さんの報告を聞いて、どこかホッとした様子の国王様に宰相様が頭を振った。
「いえ、陛下。傷をつけたくなかったという可能性もあります。わざわざ血を流したい者などいませんから」
「それはそうだが、ドラゴンなど召喚して国に何かあったらどうするというのだ」
「それは犯人しか知らないことです。私に聞かれても、何とも」
こんなにすごい事をやるのがたった一人なんて考えられないから何らかの組織が関わってるんだろうけど、第二王子派が関係している決定的な証拠には繋がらない。かといって、相手は王妃様のご実家だから強引な捜査も出来ない。
ロイメル公爵家を疑ってる宰相様と、王妃様を守りたいらしい国王様の議論は平行線だ。
(うーん……難しいな)
話を聞きながら私なりに考えてみるけど、だからって何か分かるわけでもない。そしてそう思ったのは私だけじゃなかったみたいだ。
痺れを切らしたように、騎士団長様が声を上げた。
「陛下。ドラゴンを呼ぶにしても、殿下を標的とするなら討伐訓練に当ててくると俺は思いますよ。そろそろ準備の話に移っても?」
「そうだな。シャルラ嬢には、特に頼まねばならんからな」
大きく頷いた国王様を始めとして、全員が私を見つめてくる。
えっと……これってどういうことかな? 私の役目って、先輩がどの人かを教えるだけじゃなかったみたい?
全く予想が付かないまま、その後も討伐訓練に向けてのあれこれを話して。その結果とても重大なお仕事を与えられてしまった私は、残りの長期休暇全てを準備に費やす事になるのだった。
ロイメル公爵家は王妃様のご実家だそうで、第二王子派の筆頭に立っているらしい。その公爵家には、去年学園を卒業したご令嬢がいるけれど、その人の制服が無くなっていたから容疑者になっていたそうだ。
魔導士団長様が最初に見せた絵に描かれてたのが、そのロイメル公爵令嬢だったみたい。
「あの、王妃様のご実家が本当に関わってるんですか?」
「その可能性が高いと考えているにすぎない。本人は制服を盗まれたと主張しているからな」
そもそも第一王子のディライン殿下は、王妃様の実子ではないそうで。殿下のお母様は、同盟関係にある隣国の王女だったけれど、殿下を産んだ後しばらくして亡くなっているそうだ。
だから今の王妃様は後妻として入られた方で、殿下と第二王子は半分しか血が繋がってない。そのため王妃様のご実家であるロイメル公爵家は、ディライン殿下は隣国の王家の血を引くから次期王に相応しくないと主張し、王妃様の実子である第二王子を推しているらしい。
ちなみに後ろ盾のない殿下の婚約者として、貴族家のトップに立つメギスロイス公爵家のご令嬢アルフィール様が選ばれたのだけれど。ロイメル公爵家とメギスロイス公爵家は、昔から張り合っている間柄だったそうだ。
だからロイメル公爵家には、殿下とアルフィール様に近い私を害するだけの動機があるらしい。
「魔導士団から魔物寄せを横流ししたのも、ロイメルに関わりのある家だったろう」
「だがその横流し先は不明なままで、ロイメルの関係先からも香は出ていない。本人も死んでいるし、他に黒幕がいる可能性もある」
魔物寄せの香は、やっぱりというか第二王子派の団員が横流しをしていたらしい。でもそれはあくまで下っ端。黒幕を捕まえるだけの証拠は掴めてないみたいだ。
その話を聞いた国王様は、痛ましげに顔を歪めた。
「どちらの予想も否定し難い。妃の監視を早く解いてやりたい所だが、無実を証明するためにも今しばらくは仕方ないな」
どうやら国王様は、王妃様は関わってないと信じているみたい。それは殿下も同意見なようで、第二王子と王妃様に監視は付けられてるけど、無実の証明と護衛という面が強いみたいだ。
王妃様は厳しい方だけれど曲がった事が大嫌いな真面目な方で、殿下と第二王子を差別したりせず平等に接しているそうで。資質の高い方が王太子になればいいと考え、王妃様ご自身は殿下の立太子に賛成の立場らしい。
話を聞いていた騎士団長様が、ため息混じりに口を開いた。
「黒幕も気にはなるが、問題はその魔物寄せだ。もし殿下が狙われているなら、学園の討伐訓練で必ず使ってくるだろう。警護の騎士を増やすように準備しているが、やっぱり中止には出来ないのか?」
「無理だ。魔物寄せが流出したなど公に出来ない。理由なく訓練を中止にすれば、王家の威信にも関わってくる。むしろ訓練時に実行犯を生きたまま捕らえることの方が大事だろう」
さすがジェイド様のお父様だ。宰相様は冷たい声で淡々と答えると、陛下に目を向けた。
「陛下。王妃様への監視は、早くても討伐訓練終了まで外せませんが、よろしいですね」
「王妃のためだ、構わん。だが魔物の対処と同時に実行犯の確保など、本当に可能なのか?」
「そこは魔導士団に頑張ってもらうしかないでしょう。そもそもの原因ですから」
「言われなくてもそのつもりだ。すでに騎士団と部隊編成の調整に入っている」
宰相様に目を向けられて、魔導士団長様は小さく舌打ちした。国王様もいるのにすごいなぁ。やっぱりラステロくんのお父様だから、自由人な所があるんだろうか。
「そうなると、ディラインから報告のあったドラゴンの話が問題だな」
魔導士団長様の話を受けて呟かれた国王様の言葉にドキリとする。ドラゴンの話って、何を殿下は話したんだろう?
不安に思いつつ話の成り行きを見守っていると、魔法管理局の局長様が声を挟んだ。
「陛下。その件ですが、まず間違いなくドラゴンの召喚を企んでる者はおります。そうでなければ、あのような魔法陣を使う輩が現れるとは思えません。……ジャック」
「はい、局長。私と息子で解析しましたが、間違いなくあの魔法陣は本物でした」
「そうか……一歩間違えれば血を抜かれていたか」
局長様に促されて父さんが報告すると、国王様は深刻な表情で小さく唸った。
血を抜かれていた? あの魔法陣って、そんな物騒なものだったの⁉︎ もしかしたら私は、あそこで冷たくなってたのかも……。
恐ろしい想像に身を震わせていると、父さんは困ったような目で私を見てきた。
「シャルラ、怖がらなくていい。あの魔法陣はお前を狙ったものじゃない。王家の血にしか反応しないものだから」
父さんの話によると、謎の魔法陣は王族とそれに近い血筋の魔力に反応して起動するものだったらしい。だからあの時、兄さんとイールトさんはラステロくんを止めていたのかと腑に落ちた。
「陛下。あれは複数の禁術を複合して組まれた魔法陣でした。王家の血を奪うために禁術を用いるのですから、あれを使ったのはドラゴンの召喚を企む本人か、もしくは何らかの関わりを持つ者だと思われます」
父さんがあの魔法陣の調査をしていたのは、あれが禁術だったからみたいだ。だから兄さんもあの時すぐにラステロくんが危ないと気付けたんだろう。長期休みの間だけとはいえ、魔法管理局で手伝いを出来るぐらい、兄さんは跡継ぎの勉強をすごく頑張っているもんね。
それからジェイド様とラステロくんが以前見つけた、ドラゴン召喚について書かれてた禁書も魔法管理局の管理下にあったようで。それが消えているという報告をジェイド様たちは当然していたから、父さんたちは異常な魔法が使われていないか常に警戒していたみたい。
そして驚いた事に、残されていた禁書によるとドラゴン召喚には王家の血が必要なんだそうだ。
「だとすればやはり、ロイメルは無関係の可能性もあるな。ドラゴン召喚に王家の血が必要なら、自分の血を使えばいいだけだ」
父さんの報告を聞いて、どこかホッとした様子の国王様に宰相様が頭を振った。
「いえ、陛下。傷をつけたくなかったという可能性もあります。わざわざ血を流したい者などいませんから」
「それはそうだが、ドラゴンなど召喚して国に何かあったらどうするというのだ」
「それは犯人しか知らないことです。私に聞かれても、何とも」
こんなにすごい事をやるのがたった一人なんて考えられないから何らかの組織が関わってるんだろうけど、第二王子派が関係している決定的な証拠には繋がらない。かといって、相手は王妃様のご実家だから強引な捜査も出来ない。
ロイメル公爵家を疑ってる宰相様と、王妃様を守りたいらしい国王様の議論は平行線だ。
(うーん……難しいな)
話を聞きながら私なりに考えてみるけど、だからって何か分かるわけでもない。そしてそう思ったのは私だけじゃなかったみたいだ。
痺れを切らしたように、騎士団長様が声を上げた。
「陛下。ドラゴンを呼ぶにしても、殿下を標的とするなら討伐訓練に当ててくると俺は思いますよ。そろそろ準備の話に移っても?」
「そうだな。シャルラ嬢には、特に頼まねばならんからな」
大きく頷いた国王様を始めとして、全員が私を見つめてくる。
えっと……これってどういうことかな? 私の役目って、先輩がどの人かを教えるだけじゃなかったみたい?
全く予想が付かないまま、その後も討伐訓練に向けてのあれこれを話して。その結果とても重大なお仕事を与えられてしまった私は、残りの長期休暇全てを準備に費やす事になるのだった。
0
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説
絶対零度の王子さま(アルファポリス版)
みきかなた
恋愛
「お前は友達なんかじゃねーよ。」
高校の卒業式、人生最大の勇気を振り絞り告白したのに、待っていたのは彼の冷たい一言でした。
ビビりでチキンな山城七海と、『絶対零度』とあだ名される藤原一佳(いちか)の、高校二年生から社会人まで、まったりのんびりジレジレのラブコメディです。
ムーンライトノベルズからの転載です。
【完結】辺境の白百合と帝国の黒鷲
もわゆぬ
恋愛
美しく可憐な白百合は、
強く凛々しい帝国の黒鷲に恋をする。
黒鷲を強く望んだ白百合は、運良く黒鷲と夫婦となる。
白百合(男)と黒鷲(女)の男女逆転?の恋模様。
これは、そんな二人が本当の夫婦になる迄のお話し。
※小説家になろう、ノベルアップ+様にも投稿しています。
悪役令嬢は婚約破棄したいのに王子から溺愛されています。
白雪みなと
恋愛
この世界は乙女ゲームであると気づいた悪役令嬢ポジションのクリスタル・フェアリィ。
筋書き通りにやらないとどうなるか分かったもんじゃない。それに、貴族社会で生きていける気もしない。
ということで、悪役令嬢として候補に嫌われ、国外追放されるよう頑張るのだったが……。
王子さま、なぜ私を溺愛してらっしゃるのですか?
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
婚約破棄された男爵令嬢〜盤面のラブゲーム
清水花
恋愛
チェスター王国のポーンドット男爵家に生を受けたローレライ・ポーンドット十五歳。
彼女は決して高位とは言えない身分の中でありながらも父の言いつけを守り貴族たる誇りを持って、近々サーキスタ子爵令息のアシュトレイ・サーキスタ卿と結婚する予定だった。
だが、とある公爵家にて行われた盛大な茶会の会場で彼女は突然、サーキスタ卿から婚約破棄を突きつけられてしまう。
突然の出来事に理解が出来ず慌てるローレライだったが、その婚約破棄を皮切りに更なる困難が彼女を苦しめていく。
貴族たる誇りを持って生きるとは何なのか。
人間らしく生きるとは何なのか。
今、壮絶な悪意が彼女に牙を剥く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる