79 / 155
第四章
78話
しおりを挟む
俺達はヒュペリト村の入り口で手続きを受けている。
あの狼と思われる赤い点は、俺達がヒュペリトに近づくと接近するのを止めて散っていった。
門をくぐると警備兵の詰め所へ案内され、調査をした冒険者を呼んでくると言うことなので待っていた。
俺はヴィクターに警備兵宛の荷物を出すように言われたので、詰め所前に置いておいた。
ー コンコン ー
「失礼します。お待たせしました。案内役のベンハミンです」
部屋に入ってきたのは胸板の厚いうさぎ族の男だった。
所謂細マッチョ系だな。
「マホンのギルドから来たヴィクターだ。今回はよろしく頼む」
「こちらこそよろしくお願いします。早速ですが現状の説明をします。狼の群れが頻繁にヒュペリト周辺に現れ始めたのは約1ヶ月前 。現在までに商人の馬車や山に入った住人が被害に遭っております。群れは── 」
と、ベンハミンからの説明は続く。
狼と言うだけあって、数匹で馬車を取り囲んだ後、綻びが出たところから切り崩していくらのは同じらしい。
だが、その程度なら護衛の冒険者で十分対応できるからやられることはないのだが、魔物が率いているためなのか、それとも別の理由からなのかわからないが、狼達の連携がやたらと上手い。
更に数も20数匹いるために質より量が勝ってしまっているようだ。
ヒュペリトに向かっていた行商人が護衛共々やられたことで、他の行商人達もヒュペリトを敬遠するようになり、村への物資があまり入らなくなっている。
今すぐ生活ができなくなる程ではないが、これが長引けば普段の生活に影響が出るのは確実だ。
最近では村を取り囲むようになり、その囲みが少しずつ村へ近づいている。
このままでは村内へ侵入されかねないとマホンのギルドへ応援要請を出したようだ。
狼の塒はここから徒歩で1日半程にある岩山ではないかと思われるらしい。
その辺りは大小様々な大きさの洞窟があり、住み着くには格好の場所らしい。
明日の朝ヒュペリトを出発し、塒と思われる周辺を調査し討伐するとのことだ。
「皆様の馬車は馬と一緒に警備兵の宿舎で預かってくれます。私からは以上です。何かあればいつでもお聞きください。では皆様を宿へご案内します」
案内された宿は一葉と同じ規模だった。代金を払おうとしたところへルーベンが横から俺の手を押さえた。
「ドルテナ、飯は外で食うから朝飯だけにしとけ」
「え?あ、いや俺はここで」
「いいから付き合えよ。ほら行くぞ!」
「あ、ちょっ!」
俺の肩へ腕を回して宿の外へ連れ出そうとしてので、慌てて代金をカウンターへ置いた。
外へ出るとフレディとイレネ、ヴィクター以外のメンバーが待っていた。
俺も宿の外へ出てきたのを見たルイスがエッとした顔をした。
「ドルテナもかい?」
「はぁ、ルーベンさんに捕まってこの通りです」
「あはは、そうかい。ドルテナもランクEになるんだから、まぁいい経験だろう。安心してくれ、アビーには言わないからね」
「何を言わな ── 」
「よぉし、行くぞ。まず飯屋だ」
ルーベンを先頭に皆が歩いて行く。
宿の周りは様々なお店があったが、村の規模が小さいので店の規模も小さく外から少し見てもこれといって目を引くような物はなかった。
更に歩き宿から離れた通りに来た。
この辺りは宿の周りの雰囲気と違って、妖艶な雰囲気を醸し出している。
店の外には篝火や大量の蝋燭で明るく照らされているが店内は薄暗い感じだ。
そして店の前には若い女性が露出度の高い服装で立っており、通りを歩いている俺達へ声をかけたり艶めかしい仕草で誘惑してくる。
「あの、この辺りのお店って……」
隣を歩いていたルイスに聞いた。
「綺麗な女の子がいるお店さ。あそこの店に入るようだよ」
先を歩いていたルーベンが、一軒のお店の前に立っていた女の子と話をして店内へ入っていった。
俺とルイスも他の人に続いて入った。
「いらっしゃいませぇ~♪」
店内はやや暗めで、ローテーブルにソファーといった内装だ。
席は全てボックス席となっており、1つのボックスに大体6人くらい座れそうだ。
「キャバクラかよ!」
「ん?何だって」
「あ、いや何でもないです」
店内の雰囲気がまんまキャバクラだったから思わず口から出てしまった。
案内された席は、俺達全員が座られるようにテーブルとソファーを組み替えてあるようだ。
席に座っていると嬢達がやって来た。客1人に対して女の子が1人付くシステムもキャバクラにそっくりだ。
だが食べ物は決まっているらしく、席に着くと次々と出てきた。
食事が普通にできるって事はガールズ居酒屋とかの方が近いのかも?
女の子は全員バニーちゃんだった。
皆スタイルがよく、布面積の少ない服を着ており、これでもかとボデーラインを見せつけてくれていた。
俺の横に座った女の子もバニーちゃんなのだが、他の女性に比べてかなり若かった。
一生懸命メイクなどをしていていたが、どうみても俺と年齢がかなり近い。
「は、初めまして!リアナです。よろしくお願いします!」
体を少しこちらへ向けて両手を差し出してきたリアナはとても礼儀正しいイメージで、周りの女性とはあきらかに雰囲気が違う。
レストランのウェイトレスが似合いそうな感じだ。
リアナの手を握り返しながら挨拶を返した。
「初めまして。ドルテナです。こういうお店は初めてなのでよくわからないんですが、よろしくお願いします」
「はい!あ、でも私も初めてなので……」
「ゴメンねぇ~、その娘今日から働き始めたのよ。一応私が教育してあるけど不手際があるかも知れないから大目に見てあげてね」
俺の隣に座ってルイスの相手をしていた女性が、リアナは今日が初日だと教えてくれた。
「俺もこういうお店は初めてなんで、何が不手際なのかわからないんで大丈夫です」
「ありがとうね~。リアナしっかりとやりなよ」
「はい。頑張ります!」
リアナは「よし!」となぜが気合いを入れていたが、ここはそういう店じゃないような気がするよ。
「ドルテナさん、先ずはこちらをどうぞ。はい、あ~ん」
そう言って何かの肉を炒めた物をフォークに刺して口元へ持ってきた。
どうやら食べさせてくれるサービスがあるらしいな。
俺は口を開けてリアナが差し出してくれた料理をパクリと食べた。
「ん!美味しいな」
こういう店だから料理の味は全く期待してなかったのに、その期待をいい意味で大きく裏切ってくれた。
「だろぉ?ここはな、ヒュペリトでも料理がうまいと評判なんだ」
俺が料理の味に驚いていると、ルーベンがドヤ顔で言ってきた。
「うまい飯に綺麗なねぇちゃん。最高の組み合わせだろ?」
「アハハ、確かに。美味しい料理を綺麗な女性に食べさせてもらうと更に美味しくなりますね」
「そうだろ、そうだろ。ガハハハ」
ルーベンは自分の隣に座っている女性の脇の下へ腕を回し、その先にある胸を揉みながら笑っている。
女性の方も慣れたもので嫌な顔一つせずにルーベンの口へ料理を運んでいく。
その光景をガン見していたのを、俺もああいうことをやりたいのだろうと勘違いしたリアナが、その女性と同じように俺にしなだれかかってきた。
そして俺の腕を持って自分の腰へ回し、上目遣いで見てきた。
「あ、あの……私は大丈夫なんで……触っても……いいです……よ?」
ギリギリ聞こえるくらいの小声でそう言ったリアナは、顔を真っ赤にしながら俺の手を自分の胸にあてがった。
リアナのいきなり取った行動になすがままだった俺は、自分の掌に柔らかな感触を感じて慌ててリアナを見た。
「リ、リアナさん?!」
「リアナでいいです。すみません、あまり大きくなくて」
掌から伝わる感触からエルビラ程ではないが、推定Cカップは最低でもありそうだった。
「そんなことないと思いますけど……あの、料理を食べさせてもらえますか?」
このままだと食事どころではなくなりそうだから、テーブルに乗っている料理を食べさせてもらうことにした。
その間も俺の手はリアナの胸の上に置かれていた。
掌から伝わる感触が気になって、その後の料理の味は殆どわからなかった。
その代わり、リアナ自信について教えてもらった。
年齢が15歳、あ、でもお店年齢は16歳らしい。なんでかというと、未成年だと摘発されるんだと。
姉妹は12歳の妹がいるらしい。15歳でこういう店で働くというのは何か事情があるのだろうと思っていると自分から話してくれた。
幼いときに母親を亡くしたリアナは、貧しいながらも父親と妹の3人でドライフルーツを作って生計を立て暮らしていた。
しかし、ひと月程前のある日。父親がいつも通り山へ果実を取りに出かけたまま帰ってこなかった。
暫く帰りを待っていたが父親が帰ってくることはなく、生計を立てられなくなった2人は、家にあった食料を食べ尽くしたため困っていたところ、父親の弟が姉妹を引き取ったと。
その伯父がどうやら屑だったようだ。
父親の僅かな衣類などを全て売り払ってその代金を姉妹の食費に充てると言っていたが、出される食事は固いパンが僅かだった。
後でわかったようだが、伯父はそのお金を自分の遊ぶ金にしていたらしい。
更に伯父には借金があり、その返済のために姉妹を奴隷商人へ売ろうとした。
幼い妹まで奴隷にさせられるのを何とか頼み込んで辞めてもらった代わりに、自分がこの店で働くことになった。
そしてその給料は全額を伯父へ渡すことになっていると。
伯父は、奴隷商へ売るよりリアナが稼いでくる給料の方が結果的に儲かると考えたようだ。
とんだ屑野郎だ!
その話を聞いた俺は胸糞が悪くなってしまい、それが表情に出ていたらしい。
俺の顔を見たリアナが俺の頬へ手を当ててきた。
「そんなに怖い顔をしないでください。確かにこういう店で働くことに抵抗はありました。でも初めてのお客様がドルテナさんのような優しい方でよかったです」
そう言って、リアナは俺の唇にそっと自分の唇を重ねた。
あの狼と思われる赤い点は、俺達がヒュペリトに近づくと接近するのを止めて散っていった。
門をくぐると警備兵の詰め所へ案内され、調査をした冒険者を呼んでくると言うことなので待っていた。
俺はヴィクターに警備兵宛の荷物を出すように言われたので、詰め所前に置いておいた。
ー コンコン ー
「失礼します。お待たせしました。案内役のベンハミンです」
部屋に入ってきたのは胸板の厚いうさぎ族の男だった。
所謂細マッチョ系だな。
「マホンのギルドから来たヴィクターだ。今回はよろしく頼む」
「こちらこそよろしくお願いします。早速ですが現状の説明をします。狼の群れが頻繁にヒュペリト周辺に現れ始めたのは約1ヶ月前 。現在までに商人の馬車や山に入った住人が被害に遭っております。群れは── 」
と、ベンハミンからの説明は続く。
狼と言うだけあって、数匹で馬車を取り囲んだ後、綻びが出たところから切り崩していくらのは同じらしい。
だが、その程度なら護衛の冒険者で十分対応できるからやられることはないのだが、魔物が率いているためなのか、それとも別の理由からなのかわからないが、狼達の連携がやたらと上手い。
更に数も20数匹いるために質より量が勝ってしまっているようだ。
ヒュペリトに向かっていた行商人が護衛共々やられたことで、他の行商人達もヒュペリトを敬遠するようになり、村への物資があまり入らなくなっている。
今すぐ生活ができなくなる程ではないが、これが長引けば普段の生活に影響が出るのは確実だ。
最近では村を取り囲むようになり、その囲みが少しずつ村へ近づいている。
このままでは村内へ侵入されかねないとマホンのギルドへ応援要請を出したようだ。
狼の塒はここから徒歩で1日半程にある岩山ではないかと思われるらしい。
その辺りは大小様々な大きさの洞窟があり、住み着くには格好の場所らしい。
明日の朝ヒュペリトを出発し、塒と思われる周辺を調査し討伐するとのことだ。
「皆様の馬車は馬と一緒に警備兵の宿舎で預かってくれます。私からは以上です。何かあればいつでもお聞きください。では皆様を宿へご案内します」
案内された宿は一葉と同じ規模だった。代金を払おうとしたところへルーベンが横から俺の手を押さえた。
「ドルテナ、飯は外で食うから朝飯だけにしとけ」
「え?あ、いや俺はここで」
「いいから付き合えよ。ほら行くぞ!」
「あ、ちょっ!」
俺の肩へ腕を回して宿の外へ連れ出そうとしてので、慌てて代金をカウンターへ置いた。
外へ出るとフレディとイレネ、ヴィクター以外のメンバーが待っていた。
俺も宿の外へ出てきたのを見たルイスがエッとした顔をした。
「ドルテナもかい?」
「はぁ、ルーベンさんに捕まってこの通りです」
「あはは、そうかい。ドルテナもランクEになるんだから、まぁいい経験だろう。安心してくれ、アビーには言わないからね」
「何を言わな ── 」
「よぉし、行くぞ。まず飯屋だ」
ルーベンを先頭に皆が歩いて行く。
宿の周りは様々なお店があったが、村の規模が小さいので店の規模も小さく外から少し見てもこれといって目を引くような物はなかった。
更に歩き宿から離れた通りに来た。
この辺りは宿の周りの雰囲気と違って、妖艶な雰囲気を醸し出している。
店の外には篝火や大量の蝋燭で明るく照らされているが店内は薄暗い感じだ。
そして店の前には若い女性が露出度の高い服装で立っており、通りを歩いている俺達へ声をかけたり艶めかしい仕草で誘惑してくる。
「あの、この辺りのお店って……」
隣を歩いていたルイスに聞いた。
「綺麗な女の子がいるお店さ。あそこの店に入るようだよ」
先を歩いていたルーベンが、一軒のお店の前に立っていた女の子と話をして店内へ入っていった。
俺とルイスも他の人に続いて入った。
「いらっしゃいませぇ~♪」
店内はやや暗めで、ローテーブルにソファーといった内装だ。
席は全てボックス席となっており、1つのボックスに大体6人くらい座れそうだ。
「キャバクラかよ!」
「ん?何だって」
「あ、いや何でもないです」
店内の雰囲気がまんまキャバクラだったから思わず口から出てしまった。
案内された席は、俺達全員が座られるようにテーブルとソファーを組み替えてあるようだ。
席に座っていると嬢達がやって来た。客1人に対して女の子が1人付くシステムもキャバクラにそっくりだ。
だが食べ物は決まっているらしく、席に着くと次々と出てきた。
食事が普通にできるって事はガールズ居酒屋とかの方が近いのかも?
女の子は全員バニーちゃんだった。
皆スタイルがよく、布面積の少ない服を着ており、これでもかとボデーラインを見せつけてくれていた。
俺の横に座った女の子もバニーちゃんなのだが、他の女性に比べてかなり若かった。
一生懸命メイクなどをしていていたが、どうみても俺と年齢がかなり近い。
「は、初めまして!リアナです。よろしくお願いします!」
体を少しこちらへ向けて両手を差し出してきたリアナはとても礼儀正しいイメージで、周りの女性とはあきらかに雰囲気が違う。
レストランのウェイトレスが似合いそうな感じだ。
リアナの手を握り返しながら挨拶を返した。
「初めまして。ドルテナです。こういうお店は初めてなのでよくわからないんですが、よろしくお願いします」
「はい!あ、でも私も初めてなので……」
「ゴメンねぇ~、その娘今日から働き始めたのよ。一応私が教育してあるけど不手際があるかも知れないから大目に見てあげてね」
俺の隣に座ってルイスの相手をしていた女性が、リアナは今日が初日だと教えてくれた。
「俺もこういうお店は初めてなんで、何が不手際なのかわからないんで大丈夫です」
「ありがとうね~。リアナしっかりとやりなよ」
「はい。頑張ります!」
リアナは「よし!」となぜが気合いを入れていたが、ここはそういう店じゃないような気がするよ。
「ドルテナさん、先ずはこちらをどうぞ。はい、あ~ん」
そう言って何かの肉を炒めた物をフォークに刺して口元へ持ってきた。
どうやら食べさせてくれるサービスがあるらしいな。
俺は口を開けてリアナが差し出してくれた料理をパクリと食べた。
「ん!美味しいな」
こういう店だから料理の味は全く期待してなかったのに、その期待をいい意味で大きく裏切ってくれた。
「だろぉ?ここはな、ヒュペリトでも料理がうまいと評判なんだ」
俺が料理の味に驚いていると、ルーベンがドヤ顔で言ってきた。
「うまい飯に綺麗なねぇちゃん。最高の組み合わせだろ?」
「アハハ、確かに。美味しい料理を綺麗な女性に食べさせてもらうと更に美味しくなりますね」
「そうだろ、そうだろ。ガハハハ」
ルーベンは自分の隣に座っている女性の脇の下へ腕を回し、その先にある胸を揉みながら笑っている。
女性の方も慣れたもので嫌な顔一つせずにルーベンの口へ料理を運んでいく。
その光景をガン見していたのを、俺もああいうことをやりたいのだろうと勘違いしたリアナが、その女性と同じように俺にしなだれかかってきた。
そして俺の腕を持って自分の腰へ回し、上目遣いで見てきた。
「あ、あの……私は大丈夫なんで……触っても……いいです……よ?」
ギリギリ聞こえるくらいの小声でそう言ったリアナは、顔を真っ赤にしながら俺の手を自分の胸にあてがった。
リアナのいきなり取った行動になすがままだった俺は、自分の掌に柔らかな感触を感じて慌ててリアナを見た。
「リ、リアナさん?!」
「リアナでいいです。すみません、あまり大きくなくて」
掌から伝わる感触からエルビラ程ではないが、推定Cカップは最低でもありそうだった。
「そんなことないと思いますけど……あの、料理を食べさせてもらえますか?」
このままだと食事どころではなくなりそうだから、テーブルに乗っている料理を食べさせてもらうことにした。
その間も俺の手はリアナの胸の上に置かれていた。
掌から伝わる感触が気になって、その後の料理の味は殆どわからなかった。
その代わり、リアナ自信について教えてもらった。
年齢が15歳、あ、でもお店年齢は16歳らしい。なんでかというと、未成年だと摘発されるんだと。
姉妹は12歳の妹がいるらしい。15歳でこういう店で働くというのは何か事情があるのだろうと思っていると自分から話してくれた。
幼いときに母親を亡くしたリアナは、貧しいながらも父親と妹の3人でドライフルーツを作って生計を立て暮らしていた。
しかし、ひと月程前のある日。父親がいつも通り山へ果実を取りに出かけたまま帰ってこなかった。
暫く帰りを待っていたが父親が帰ってくることはなく、生計を立てられなくなった2人は、家にあった食料を食べ尽くしたため困っていたところ、父親の弟が姉妹を引き取ったと。
その伯父がどうやら屑だったようだ。
父親の僅かな衣類などを全て売り払ってその代金を姉妹の食費に充てると言っていたが、出される食事は固いパンが僅かだった。
後でわかったようだが、伯父はそのお金を自分の遊ぶ金にしていたらしい。
更に伯父には借金があり、その返済のために姉妹を奴隷商人へ売ろうとした。
幼い妹まで奴隷にさせられるのを何とか頼み込んで辞めてもらった代わりに、自分がこの店で働くことになった。
そしてその給料は全額を伯父へ渡すことになっていると。
伯父は、奴隷商へ売るよりリアナが稼いでくる給料の方が結果的に儲かると考えたようだ。
とんだ屑野郎だ!
その話を聞いた俺は胸糞が悪くなってしまい、それが表情に出ていたらしい。
俺の顔を見たリアナが俺の頬へ手を当ててきた。
「そんなに怖い顔をしないでください。確かにこういう店で働くことに抵抗はありました。でも初めてのお客様がドルテナさんのような優しい方でよかったです」
そう言って、リアナは俺の唇にそっと自分の唇を重ねた。
1
お気に入りに追加
1,431
あなたにおすすめの小説
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】
墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。
主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。
異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……?
召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。
明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第二章シャーカ王国編
Sランクパーティから追放された俺、勇者の力に目覚めて最強になる。
石八
ファンタジー
主人公のレンは、冒険者ギルドの中で最高ランクであるSランクパーティのメンバーであった。しかしある日突然、パーティリーダーであるギリュウという男に「いきなりで悪いが、レンにはこのパーティから抜けてもらう」と告げられ、パーティを脱退させられてしまう。怒りを覚えたレンはそのギルドを脱退し、別のギルドでまた1から冒険者稼業を始める。そしてそこで最強の《勇者》というスキルが開花し、ギリュウ達を見返すため、己を鍛えるため、レンの冒険譚が始まるのであった。
クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです
こたろう文庫
ファンタジー
学校をズル休みしてオンラインゲームをプレイするクオンこと斉藤悠人は、登校していなかったのにも関わらずクラス転移させられた。
異世界に来たはずなのに、ステータス画面はさっきやっていたゲームそのもので…。
漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?
みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。
なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。
身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。
一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。
……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ?
※他サイトでも掲載しています。
※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。
チートな嫁たちに囲まれて異世界で暮らしています
もぶぞう
ファンタジー
森でナギサを拾ってくれたのはダークエルフの女性だった。
使命が有る訳でも無い男が強い嫁を増やしながら異世界で暮らす話です(予定)。
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる