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第十一章 うさぎだって怒る
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サツキちゃんと話をしてみるって言ってたっけ。もしかして、そのことで何かあったのかな?
生徒会室の前でサツキちゃんが、待っていた。
「あ、どうぞ。鍵が開いてるから入って」
私が促すと、サツキちゃんがドアを開けた。
「吉居先輩、どこに置いたんだろう?」
いつもと同じ生徒会室の中、どこにもテープらしきものがない。
もしかしたら生徒会室じゃなくて別の場所と間違っているんだろうか。
「ちょっと、吉居先輩に場所聞いてくるね。ここで、待っていてくれる……?」
もう一度体育館に戻ろうとした私の腕がサツキちゃんに掴まれた。
「あの」
「テープなんかないの、私が頼んだの。吉居先輩に」
「えっ……?」
どういうこと?
私が逃げ出してしまわないようにか、ドアに背を貼り付けたサツキちゃんが涙目で私をにらんでいる。
「話したかったの、ずっと。それなのに、ズルイよ、ウイちゃんは! すぐに逃げちゃう」
そう言ってポロポロと泣きだした。
『Unfair(ズルイ)』、あれはやっぱり。
「生徒会にメールをしていたのは、やっぱりサツキちゃんなの?」
「……、そうよ。ウイちゃんに出してた」
『baby don't cry(泣かないで、赤ちゃん)』
「どうして? 私、そんなに嫌われてた? 小学校の頃のことなのに、どうして、ずっと……?」
「だって、一人だけそんなに楽しそうでズルイんだもん。あんなに泣いてばっかりだったくせに。すっごく楽しそうに生徒会なんかしちゃってさ。泣きながら転校していったくせに、別人みたいに明るくなって戻ってきて。私は、ずっと。私一人だけ、ずっと。気にしていたのに、何もなかったような顔をして」
泣きながら叫ぶような怒りの言葉が真っすぐに私に飛んでくる。
だけど、そんなのおかしい、そんなのっておかしいよ。
生徒会室の前でサツキちゃんが、待っていた。
「あ、どうぞ。鍵が開いてるから入って」
私が促すと、サツキちゃんがドアを開けた。
「吉居先輩、どこに置いたんだろう?」
いつもと同じ生徒会室の中、どこにもテープらしきものがない。
もしかしたら生徒会室じゃなくて別の場所と間違っているんだろうか。
「ちょっと、吉居先輩に場所聞いてくるね。ここで、待っていてくれる……?」
もう一度体育館に戻ろうとした私の腕がサツキちゃんに掴まれた。
「あの」
「テープなんかないの、私が頼んだの。吉居先輩に」
「えっ……?」
どういうこと?
私が逃げ出してしまわないようにか、ドアに背を貼り付けたサツキちゃんが涙目で私をにらんでいる。
「話したかったの、ずっと。それなのに、ズルイよ、ウイちゃんは! すぐに逃げちゃう」
そう言ってポロポロと泣きだした。
『Unfair(ズルイ)』、あれはやっぱり。
「生徒会にメールをしていたのは、やっぱりサツキちゃんなの?」
「……、そうよ。ウイちゃんに出してた」
『baby don't cry(泣かないで、赤ちゃん)』
「どうして? 私、そんなに嫌われてた? 小学校の頃のことなのに、どうして、ずっと……?」
「だって、一人だけそんなに楽しそうでズルイんだもん。あんなに泣いてばっかりだったくせに。すっごく楽しそうに生徒会なんかしちゃってさ。泣きながら転校していったくせに、別人みたいに明るくなって戻ってきて。私は、ずっと。私一人だけ、ずっと。気にしていたのに、何もなかったような顔をして」
泣きながら叫ぶような怒りの言葉が真っすぐに私に飛んでくる。
だけど、そんなのおかしい、そんなのっておかしいよ。
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