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第三章 うさぎ、放課後のおしごと

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「なにかの暗号か?」
「……謎とき、ですかね」
「かもしれないな、イタズラの部類かもしれない」

 会長がメールをゴミ箱へとひょいと移動させ、私の目の前から消えたことにホッとした。
 イタズラ、なのかな?

「どうした? うさぎ」
「はい?」
「顔色がすぐれないようだが、熱でもあるのか?」

 会長の手が、私のひたいに優しく触れた瞬間、本当に一気にそこに熱が集まった気がした。

「だ、だい、大丈夫です、元気です、元気!」

 テンパって真っ赤になりながら、へらへら笑う私に、会長も気づいたみたいで、あわてて手を離す。
 その後は、別段気になるようなメールもなく、無事に放課後の生徒会活動は終了の時間となった。
 いつもは、会長にまとわりついて帰ろうとする私だったけれど、どうしても今日はそんな気分になれない。
 さっきからずっと心の中にあるザワザワしたものの正体に必死にフタをしている。
 気づかれたくない。会長や、皆には気づかれたくないの。

「会長、私今日は早く帰らなければならないので、お先に失礼します!」
「あ、ああ。また明日な。気を付けて帰れよ」
「はい、また明日」

 ペコリと頭を下げて、足早に昇降口へと向かう。
 外履きに履き替えるのも面倒になるくらい、なんだかあせっている。

『baby don't cry(泣かないで、赤ちゃん)』
――泣かないでよね、赤ちゃんみたい――

 笑い声が頭に響く。違う、きっと、違うもん!
 校門の前に誰もいないことを確認して、ホッとする。
 それから、逃げ去るように帰り道を急いだ。
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