【完結】だからウサギは恋をした

第三章 うさぎ、放課後のおしごと

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　その後も一件一件、丁寧に返信していく会長の横でその作業を見守る。
　鈴城学園生徒会の仕事は、結構忙しい。
　ただ、その仕事内容については生徒会定例会で決めていることなので意義は無し！
　これは目安箱ならぬ、匿名相談メールだ。
　学校には直接言えない、友達にも相談できない。
　そんな人たちのために三年前の生徒会が考え、今も受け継がれている大事な仕事。
　放課後、生徒会長や手の空いている生徒会役員が、困っている人たちの助けになればと始めたこと。
　悩み相談の返信をしたり、自分たちでできることであれば手を貸したりしているのだ。
　時には、学校内での失くし物を探して欲しいという依頼もあったり、給食のパンが一個足りなくなる現象について調査してほしいとかだったり。
　ちなみに失くし物は、消しゴム一個で、そのクラスのゴミ袋を探して私と生徒会長で見つけ出した。
　当人にとっては、中学受験の時からずっと大事に使っていた消しゴムだったみたいで見つかったことにすごく喜んでくれたから嬉しかったり。
　パンは、その隣のクラスの子が配膳室前で一気食いをしていたのを見つけ問い詰めた。
　これはもう単純にお腹が減っていたからとのことで、金輪際二度としないということで全てを伏せることに。
　依頼者には、他のクラスのと中身の数が間違っていたようだ、と説明。
　その後パンの数が減ることはなかったのでそれ以上大きな問題にはならなかった。
　大体はメールで返信する形で終わる件ばかりだけど。
　時には、イジメ問題など大きなことに関わることもある。

「ん～？」
「どうしました？」

　覗き込んだそこにあった文字に私は、なんだか心が沈む。

『baby don't cry（泣かないで、赤ちゃん）』

　じっと文面を見つめていた会長が首をかしげていた。