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第二章 うさぎの初恋
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「高梨卯依、二月二日生まれの十二歳、O型です! 好きなものは、うさぎグッズ! あ、ウチ、うさぎ飼ってるんです。ホーランドロップていう垂れ耳ちゃん、知ってます? その茶色いのを飼っていて。私の名前が卯依だからって、妹分としてアイって名付けたんです、あ、母が勝手にですよ。あ、そうそう、我が家の家族構成は、サラリーマンで転勤族の父とパートの母、一人娘なんで大事に育てられました!」
「……、それ、まだ続く? あのさ、頼むからもうちょい静かに話してくれない? 迷惑!」
あ、やっと反応してくれた!
「以上になります! まだ、あるけどそれは、おいおい」
「いや、遠慮しとく」
「そんなこと言わないでください~! また明日あらためて来ます、ちゃんと立候補の届け出に!」
ペコリと頭を下げた私に。
「ちょっと待ってろ」
そう言うと、生徒会室の中にある書類入れから一枚紙を取り出して渡してくれた。
「入学早々、書記やりたいって立候補するやつ、俺以外にいたとは」
「え?」
「これが、届け出用紙。担任の判、忘れるなよ。あと、立候補しても必ず選ばれるわけじゃない。二名だけだ! 書記については、入学時の成績や内申を考慮し、最終的には先生方が決めることになっている」
「ってことは、成績順……」
「そうだ。まあ、そう肩を落とすな。他の立候補者がキミ、えっと高梨よりも入試順位が下である可能性も」
「じゃあ大丈夫です」
「は?」
「私、成績だけは良かったんで、絶対入れます! ああ、良かった! 会長や生徒会の人に顔とかで選ばれたらどうしようって思ってたんです。顔はちょっと、自信がなくて」
はあ、と大きなため息をついた目の前の会長があきらめたように笑う。
「……、それ、まだ続く? あのさ、頼むからもうちょい静かに話してくれない? 迷惑!」
あ、やっと反応してくれた!
「以上になります! まだ、あるけどそれは、おいおい」
「いや、遠慮しとく」
「そんなこと言わないでください~! また明日あらためて来ます、ちゃんと立候補の届け出に!」
ペコリと頭を下げた私に。
「ちょっと待ってろ」
そう言うと、生徒会室の中にある書類入れから一枚紙を取り出して渡してくれた。
「入学早々、書記やりたいって立候補するやつ、俺以外にいたとは」
「え?」
「これが、届け出用紙。担任の判、忘れるなよ。あと、立候補しても必ず選ばれるわけじゃない。二名だけだ! 書記については、入学時の成績や内申を考慮し、最終的には先生方が決めることになっている」
「ってことは、成績順……」
「そうだ。まあ、そう肩を落とすな。他の立候補者がキミ、えっと高梨よりも入試順位が下である可能性も」
「じゃあ大丈夫です」
「は?」
「私、成績だけは良かったんで、絶対入れます! ああ、良かった! 会長や生徒会の人に顔とかで選ばれたらどうしようって思ってたんです。顔はちょっと、自信がなくて」
はあ、と大きなため息をついた目の前の会長があきらめたように笑う。
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