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*心に降る雨*
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「あきらめの悪い子なんじゃなかったっけ、ハナちゃんは」
「まだ、あきらめたわけじゃないよ」
「意味がわかんないよ」
「いいの、真宙くんにはわかんなくても」
あきらめきれない自分なら、それを変えてしまえばいい。
「ルカと梶くんにお願いして誰か紹介してもらうよ。空人くんよりもかっこよくて優しくて、春香先輩じゃなくて私だけを好きになってくれる人がいたら。あきらめるんじゃなくて、気持ちが変わればいいんだもん」
あきらめきれない恋ならば、いっそもう恋をする相手を変えてしまえばいい。
その瞬間、大きなため息をついた真宙くんを見たら怒ったような落ち込んだような顔をしていて。
「あーあ、ホンット残酷だね、ハナちゃんってば」
お祭りの夜、真宙くんは今と同じことを私に言った。
その時見えてしまった何かに私は怯えて蓋をしたんだ。
「……帰る」
今みたいに怖くなってあの時も見えないふりをした。
「空人じゃなくて、俺のこと好きになってよ」
立ち上がろうとした私の手を引き止めた真宙くんの声に耳を塞いでしまいたくなった。
私の目に指を伸ばした真宙くんは流れ落ちる寸前の涙を受け止めた。
「ハナちゃんが言ったんだよ? 空人よりもかっこよくて優しくて、ハナちゃんだけを好きなやつって。ここにいんじゃん、俺しかいねえじゃん。なのに、なんで他の男なんか紹介してもらおうとしてんの?」
違う、違うの、真宙くん。
真宙くんは大事な男友達で、だから壊れたくなかったの。
本当はもしかして、って気づいてしまってから。
知らないふりでいたの、だって壊れたら真宙くんとも友達でいられなくなるなんて。
「それに、俺と付き合ったら、空人だってもうハナちゃんのこと気にはしなくなるかもよ?」
さっきまでじんわりと落ちてきた涙がどっかに溜まっていたみたいで、一気に崩壊するように流れ落ちる。
端っこの席で良かった。
真宙くんは慌てて私の隣に座って、誰にも見られないようにギュッと肩を抱くようにして隠してくれた。
「ごめんね。俺、弱ってるハナちゃんに付け込もうとした」
ようやく私が泣き止んだ頃にはちょうど食べ放題の時間も終了、真宙くんに手を引かれて外に出たら眩しいほどの青空が広がっていた。
「ハナちゃんの好きな人が俺だったら良かったのに」
なんで笑ってそういうこと言うかな?
真宙くんの優しさが沁みてきてまた泣いてしまいそうだよ。
真宙くんのことも大事に思っているのに、空人くんを思う気持ちとはまた違っていて。
全部同じなら私も真宙くんも傷つかないでいられるのに。
申し訳ない想いがこみ上げる。
「梶には俺からちゃんと言っておくからね! 俺よりもかっこよくて優しくてハナちゃんを大事にできるヤツじゃなきゃ紹介すんなよって」
「え?! ハードル高すぎるよ。真宙くんより、かっこいい人なんかそうそういないもん」
「知ってる、ハナちゃんに優しくて大事にできるのも俺が一番だしね! だからこんぐらいのイジワルは許してよ」
べえっと舌を出してふざけた顔をした真宙くんが背中を向けた瞬間、もう二度と振り返ってくれないような錯覚の中で。
思わずそのTシャツの裾を掴んで歩みを止める。
「ズルイよ、真宙くん」
「ハナちゃん?」
その優しさは本当にズルイ。
そして私はもっとズルイ……。
「私も、ズルイかもしれない。だけど、あのね、」
私の話を黙って聞いてくれた真宙くんは、笑って最後にこう言ってくれた。
「あまり気負わないで。今までとそんなに変わりないと思うから」
ごめんなさい、とありがとうの気持ちが同時に舞い降りた。
「まだ、あきらめたわけじゃないよ」
「意味がわかんないよ」
「いいの、真宙くんにはわかんなくても」
あきらめきれない自分なら、それを変えてしまえばいい。
「ルカと梶くんにお願いして誰か紹介してもらうよ。空人くんよりもかっこよくて優しくて、春香先輩じゃなくて私だけを好きになってくれる人がいたら。あきらめるんじゃなくて、気持ちが変わればいいんだもん」
あきらめきれない恋ならば、いっそもう恋をする相手を変えてしまえばいい。
その瞬間、大きなため息をついた真宙くんを見たら怒ったような落ち込んだような顔をしていて。
「あーあ、ホンット残酷だね、ハナちゃんってば」
お祭りの夜、真宙くんは今と同じことを私に言った。
その時見えてしまった何かに私は怯えて蓋をしたんだ。
「……帰る」
今みたいに怖くなってあの時も見えないふりをした。
「空人じゃなくて、俺のこと好きになってよ」
立ち上がろうとした私の手を引き止めた真宙くんの声に耳を塞いでしまいたくなった。
私の目に指を伸ばした真宙くんは流れ落ちる寸前の涙を受け止めた。
「ハナちゃんが言ったんだよ? 空人よりもかっこよくて優しくて、ハナちゃんだけを好きなやつって。ここにいんじゃん、俺しかいねえじゃん。なのに、なんで他の男なんか紹介してもらおうとしてんの?」
違う、違うの、真宙くん。
真宙くんは大事な男友達で、だから壊れたくなかったの。
本当はもしかして、って気づいてしまってから。
知らないふりでいたの、だって壊れたら真宙くんとも友達でいられなくなるなんて。
「それに、俺と付き合ったら、空人だってもうハナちゃんのこと気にはしなくなるかもよ?」
さっきまでじんわりと落ちてきた涙がどっかに溜まっていたみたいで、一気に崩壊するように流れ落ちる。
端っこの席で良かった。
真宙くんは慌てて私の隣に座って、誰にも見られないようにギュッと肩を抱くようにして隠してくれた。
「ごめんね。俺、弱ってるハナちゃんに付け込もうとした」
ようやく私が泣き止んだ頃にはちょうど食べ放題の時間も終了、真宙くんに手を引かれて外に出たら眩しいほどの青空が広がっていた。
「ハナちゃんの好きな人が俺だったら良かったのに」
なんで笑ってそういうこと言うかな?
真宙くんの優しさが沁みてきてまた泣いてしまいそうだよ。
真宙くんのことも大事に思っているのに、空人くんを思う気持ちとはまた違っていて。
全部同じなら私も真宙くんも傷つかないでいられるのに。
申し訳ない想いがこみ上げる。
「梶には俺からちゃんと言っておくからね! 俺よりもかっこよくて優しくてハナちゃんを大事にできるヤツじゃなきゃ紹介すんなよって」
「え?! ハードル高すぎるよ。真宙くんより、かっこいい人なんかそうそういないもん」
「知ってる、ハナちゃんに優しくて大事にできるのも俺が一番だしね! だからこんぐらいのイジワルは許してよ」
べえっと舌を出してふざけた顔をした真宙くんが背中を向けた瞬間、もう二度と振り返ってくれないような錯覚の中で。
思わずそのTシャツの裾を掴んで歩みを止める。
「ズルイよ、真宙くん」
「ハナちゃん?」
その優しさは本当にズルイ。
そして私はもっとズルイ……。
「私も、ズルイかもしれない。だけど、あのね、」
私の話を黙って聞いてくれた真宙くんは、笑って最後にこう言ってくれた。
「あまり気負わないで。今までとそんなに変わりないと思うから」
ごめんなさい、とありがとうの気持ちが同時に舞い降りた。
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