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第五章 冷たい鉄の塊
第四話
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頭が冷静になってしまうと、潰れたエナの姿がどうしても真生の中に甦るのだ。冷たい鉄の塊に戻ったエナが。
何度も何度も唇で、唇を啄ばむ様なキスを繰り返し、あやす様に髪をマリアに撫でられる。
マリアは真生の眼鏡を外しながら、天使の様に穏やかで神々しい笑みを浮かべた。
年齢的には良い大人になっているというのに、子供の様にマリアに甘やかされていると真生は思う。
気恥ずかしいという気持ちはあるが、自分の頭を撫でるマリアの掌は優しい。
出来ればこのまま優しく、頭を撫でられ続けたいと真生は感じていた。
綾香と博嗣の事件は思っているより大きな騒ぎとなり、テレビを付けるとそれらしいニュースが報道されていた。
マリアが気を遣って付けた、テレビのニュースは真生の心を抉る。
マリアは真生の表情を読み取り、何時も見ているマリアの好きなアニメの録画に切り替えた。
ポンポン飛んで回るピンクと黄色の毛玉が、スクリーンの中に映し出される。
マリアは、真生が自分から言葉を放つのを待っている様だ。決して自分から無理に聞き出すような真似はしない。
そのスタンスが今、真生にはとても心地が良かった。
「…………ごめんねマリア。格好悪いところばかりを見せて」
真生はマリアの膝の上に頭を置き、腰に腕を回しながら猫の様に丸くなる。
マリアは自分に甘える真生を見下ろしながら、穏やかな笑みを浮かべた。
「私はどんな姿のご主人様でも大好きですよ………!!」
マリアの手を引き寄せ、掌にキスをする。マリアの温もりを感じながら、マリアがもしもエナの様になったらと考えた。
マリアが自分に対して殺意を向け、襲い掛かってきたら、と。
真生はゆっくりと身体を起こし、マリアの顔を覗き込む。形の良い小さな顔を両手で包み込む様に押さえ、空色の虹彩を覗き込む。
マリアを壊さなければ、自分がマリアに殺される。そのイメージを懸命に頭に思い浮かべる。
けれど自分がマリアを殺すイメージが、全く真生には沸かなかった。
マリアを壊すなんて事は出来ない。マリアの居ない人生の生き方が、全く真生には解らない。
この手で壊してしまう位なら、マリアに殺されるか、一緒に粉々になれた方がいいと思う。
自分が導き出した答えの形は『愛している』という言葉よりもずっとずっと重たい。
これでは愛しているという言葉の方が、軽いものでは無いかと真生は笑う。
さっき迄泣いていた真生が小さく微笑んだのを見て、マリアが不思議そうな表情を浮かべる。
真生はマリアの頭を引き寄せながら、甘い声色で囁いた。
「…………お陰様で大分元気になったよ、マリア」
重たい重たい愛の感情は、決して口には出さない様に、真生はマリアを引き寄せる。
安堵した表情を浮かべたマリアは、真生の胸に顔を埋めて猫の様に甘え始めた。
「…………ふふっ、良かったですご主人様…………でも、もっと沢山癒します………」
マリアは真生の頬を淡く撫でながら、舌を絡ませる深いキスを始める。
ちゅ、ぐちゅっ、と唇の粘膜と唾液が絡まる濡れた音が響き、真生の思考がマリアの身体のみに切り替わる。
真生はマリアにベッドに倒され、困ったような笑みを浮かべた。
「………癒すって、どうするつもり??」
真生がそう言いながら、マリアの唇を指先で撫でる。マリアは真生の指先を口に含んで、淫らに舌を絡ませた。
何度も何度も唇で、唇を啄ばむ様なキスを繰り返し、あやす様に髪をマリアに撫でられる。
マリアは真生の眼鏡を外しながら、天使の様に穏やかで神々しい笑みを浮かべた。
年齢的には良い大人になっているというのに、子供の様にマリアに甘やかされていると真生は思う。
気恥ずかしいという気持ちはあるが、自分の頭を撫でるマリアの掌は優しい。
出来ればこのまま優しく、頭を撫でられ続けたいと真生は感じていた。
綾香と博嗣の事件は思っているより大きな騒ぎとなり、テレビを付けるとそれらしいニュースが報道されていた。
マリアが気を遣って付けた、テレビのニュースは真生の心を抉る。
マリアは真生の表情を読み取り、何時も見ているマリアの好きなアニメの録画に切り替えた。
ポンポン飛んで回るピンクと黄色の毛玉が、スクリーンの中に映し出される。
マリアは、真生が自分から言葉を放つのを待っている様だ。決して自分から無理に聞き出すような真似はしない。
そのスタンスが今、真生にはとても心地が良かった。
「…………ごめんねマリア。格好悪いところばかりを見せて」
真生はマリアの膝の上に頭を置き、腰に腕を回しながら猫の様に丸くなる。
マリアは自分に甘える真生を見下ろしながら、穏やかな笑みを浮かべた。
「私はどんな姿のご主人様でも大好きですよ………!!」
マリアの手を引き寄せ、掌にキスをする。マリアの温もりを感じながら、マリアがもしもエナの様になったらと考えた。
マリアが自分に対して殺意を向け、襲い掛かってきたら、と。
真生はゆっくりと身体を起こし、マリアの顔を覗き込む。形の良い小さな顔を両手で包み込む様に押さえ、空色の虹彩を覗き込む。
マリアを壊さなければ、自分がマリアに殺される。そのイメージを懸命に頭に思い浮かべる。
けれど自分がマリアを殺すイメージが、全く真生には沸かなかった。
マリアを壊すなんて事は出来ない。マリアの居ない人生の生き方が、全く真生には解らない。
この手で壊してしまう位なら、マリアに殺されるか、一緒に粉々になれた方がいいと思う。
自分が導き出した答えの形は『愛している』という言葉よりもずっとずっと重たい。
これでは愛しているという言葉の方が、軽いものでは無いかと真生は笑う。
さっき迄泣いていた真生が小さく微笑んだのを見て、マリアが不思議そうな表情を浮かべる。
真生はマリアの頭を引き寄せながら、甘い声色で囁いた。
「…………お陰様で大分元気になったよ、マリア」
重たい重たい愛の感情は、決して口には出さない様に、真生はマリアを引き寄せる。
安堵した表情を浮かべたマリアは、真生の胸に顔を埋めて猫の様に甘え始めた。
「…………ふふっ、良かったですご主人様…………でも、もっと沢山癒します………」
マリアは真生の頬を淡く撫でながら、舌を絡ませる深いキスを始める。
ちゅ、ぐちゅっ、と唇の粘膜と唾液が絡まる濡れた音が響き、真生の思考がマリアの身体のみに切り替わる。
真生はマリアにベッドに倒され、困ったような笑みを浮かべた。
「………癒すって、どうするつもり??」
真生がそう言いながら、マリアの唇を指先で撫でる。マリアは真生の指先を口に含んで、淫らに舌を絡ませた。
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