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第一章 若き天才と高知能AIアンドロイド

第八話

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 『愛してる』とアンドロイドには言わない。
 そう心に決めているのに、自分がアンドロイドにしている行動は、恋人にしているのと全く変わらない。
 幾ら祝い事だったからとはいえ、アンドロイドと高級ホテルの宿泊を決めて、夜景を見ながら体を重ねるなんて、我ながらどうかしてる。
 流石の博嗣でさえこんな風に無駄な金を、アンドロイドの為に積んではいない筈だと真生は思う。
 これでいいのかと自問自答を繰り返しながら、真っ白い猫足のバスタブにお湯を張り、表彰式の時に渡された深紅の薔薇の花を砕く。
 そんな真生の隣では、マリアがご機嫌な様子で体を洗いながら、軽快に鼻歌を歌っていた。
 
 
 形の良い丁度いいサイズの胸の乳首は、薄い綺麗なピンク色。真っ白い肌はちゃんと水を弾き、とても瑞々しく見える。
 括れたウエストラインの下には、キュッとしまってプルンと揺れる小さなお尻。そしてスラリとした細くて長い手脚。
 泡塗れになったマリアは、薔薇の花弁が浮かんだバスタブを見て目を輝かせていた。
 
 
「わぁ………………!!お風呂すっごく綺麗です、ご主人様…………!!」
 
 
 マリアが喜んでいる様子を見ながら、真生は『やっぱりこれで良かった』と満足する。
 幾ら自らのプログラミングにより作り上げたAIの設定でも、無邪気に喜んでくれている仕草が見れると嬉しいものだ。
 真生は自分が自分で思っているより、ずっと単純で素直だと自覚をした。
 
 
「………………………ん、まぁ、お祝いだしね。君と俺のさ。さ、一緒に入ろう」
 
 
 バスタブに真生が入ると、マリアが慌てて体の泡をシャワーで流す。そして真生の脚の隙間に入り、向かい合ってぴたりと体をくっ付けた。
 柔らかいたわわな胸元を、真生の硬い胸に押し付ける。空色の人工虹彩の瞳で覗き込むと、照れた様に微笑んだ。
 マリアのその仕草が余りに可愛らしく、真生の心にまた劣情が湧き上がる。
 真生は慌てた様子でマリアから視線を逸す。
 真生はマリアを抱いていながらも、自分の性欲の存在に対しては、まだまだ恥ずかしさを感じていた。
 
 
「………………マリア、駄目だよ。俺また抱きたくなっちゃうから………………」
 
 
 真生はそう言いながら、マリアの肩を押さえて体を離す。するとマリアは目を輝かせてこう言った。
 
 
「えっ………!!なってください!!私ご主人様とセックスするの大好きです………!!」
 
 
 自分の作り上げたAIの唇から、露骨に『セックス』という単語が飛び出した事に、変な焦りを感じて慌てる。
 マリアと体を何度も重ねているものの、女性のこういった直接的な発言を聞くと、どうしても真生は動揺してしまう。
 真生は咳払いをして声を荒げた。
 
 
「………………マリア!!もうちょっと濁した言葉で!!駄目だよ、セックスなんて言ったら………!!!」
 
 
 真生が真っ赤な顔で指摘をすると、マリアは鈴を転がすように笑う。
 けれどマリアは真生に向かって手を伸ばし、また胸元に柔らかな胸を押し付けた。
 
 
「…………でもご主人様、最近忙しくて処理をしてなかったじゃないですか…………。
今夜位、もう一回しても良いんじゃないですか??
……………私、ご主人様に抱かれるの大好きです…………」
 
 
 マリアは誘う様に囁きながら、真生の肩に手を置いて唇を近付ける。
 いざ唇を近付けられてしまうと、我慢しようと思っていた筈の理性は無くなる。
 真生は溜息を吐く素振りをしながら、マリアの唇に唇を重ねた。
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