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第7章
1話 オバちゃんの相棒の作戦 その1
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コロシアムが目前に見える木の陰に、リコたちはいた。
詳細に語ると――騎士の姿に変装したリコとカイル。それに、ケツァルとネーヴェの入った鳥籠を持ったリドルとガーズがいた――である。
「なぁー、ホントに大丈夫なんだろうな? アッサリお陀仏とか嫌だからな!」
リドルがコンといい音を立てて、甲冑を身に纏ったカイルの胸当てをド突く。
「あ? 大丈夫だろう……多分」
「多分って何だよ! まったく、この貸しはデカイからな!」
ブツクサ文句を言うリドルに、カイルは兜を近づけ耳元で囁く。
「分かってるさ。実はな……本当は俺たち、例のいかつい爺さんとウサ耳娘の居場所を知っているんだよ」
「なっ、何ぃーーーーっ!」
クワッと目を見開くリドル。ガーズも細い目をこじ開けカイルに詰め寄る。
「なぜそれを隠していたっ!」
カイルは「まぁ、聞けよ」とガーズの胸元をポンポンと叩く。
「爺さんたちに、誰にも言うなって口止めされてたんだよ。分かるだろう? 傀儡石を石コロに変えちゃうんだぜ。居場所が分かったら、女王に命を狙われるだろうが。なぁ、リコ」
リコはカクカクと頭に被った兜を縦に振る。
「そうなの。彼らは魔族にとって言わば唯一の希望。だからそう簡単にペラペラと喋れなかったのよ。ごめんなさい。でも……リドルさんとガーズさんには、教えるべきだと考え直したわ」
リコはここで話を一旦区切り、胸の前でカシャンと手を合わせる。
そして、エラク芝居がかったような声を出した。
「なぜなら……私は気づいてしまったから! あなたたちは、彼らと共に魔族を救うべき選ばれた人間だと!」
突然始まったリコの小芝居に「おお!」と感嘆の声を上げるリドルたち。
そこに鳥籠からケツァルとネーヴェも参戦する。
「うむ。オヌシらの面構え、なかなかのものじゃぞ!」
「ええ。助けられた魔族の女性たちは皆、貴方たちに恋心を抱いてしまうかもしれませんね」
リドルとガーズは鳥籠を持ち上げ、ケツァルたちに食いつきそうな勢いで確かめる。
「マ、マジでっ! ホントーにホント?」
「こ、恋心をっ! い、抱くのかっ!」
ケツァルとネーヴェが、生暖かい目でコクリと頷いた。
リドルはニタァーと目尻を下げる。
「いや~、参っちゃうな~。そんなモテモテライフ~」
一方ガーズは、カイルの肩に手を置き真顔で言う。
「ならば。この件が無事に済んだ暁にはウサ耳娘への紹介、切に頼んだぞ」
「げっ! ウサ耳娘限定かよ。スゲーのは爺さんだってのに……。あー分かったよ。ウサ耳娘でも猫耳娘でも何でも紹介してやるよ!」
ガーズはそれを聞き、満足げに頷いた。
リドルも目にハートを浮かべる。
「猫耳娘かぁ。カァーーーーッ! それもいい! では、皆の衆。オレたちのバラ色の人生の為……いざ、出陣!」
「おう!」
鳥籠を手に持ち、肩で風を切るようにコロシアムへと向かうリドルとガーズ。
何ともチョロい青年共である。
リコとカイルは密かにほくそ笑み、カシャカシャと音を立てて歩き出した。
詳細に語ると――騎士の姿に変装したリコとカイル。それに、ケツァルとネーヴェの入った鳥籠を持ったリドルとガーズがいた――である。
「なぁー、ホントに大丈夫なんだろうな? アッサリお陀仏とか嫌だからな!」
リドルがコンといい音を立てて、甲冑を身に纏ったカイルの胸当てをド突く。
「あ? 大丈夫だろう……多分」
「多分って何だよ! まったく、この貸しはデカイからな!」
ブツクサ文句を言うリドルに、カイルは兜を近づけ耳元で囁く。
「分かってるさ。実はな……本当は俺たち、例のいかつい爺さんとウサ耳娘の居場所を知っているんだよ」
「なっ、何ぃーーーーっ!」
クワッと目を見開くリドル。ガーズも細い目をこじ開けカイルに詰め寄る。
「なぜそれを隠していたっ!」
カイルは「まぁ、聞けよ」とガーズの胸元をポンポンと叩く。
「爺さんたちに、誰にも言うなって口止めされてたんだよ。分かるだろう? 傀儡石を石コロに変えちゃうんだぜ。居場所が分かったら、女王に命を狙われるだろうが。なぁ、リコ」
リコはカクカクと頭に被った兜を縦に振る。
「そうなの。彼らは魔族にとって言わば唯一の希望。だからそう簡単にペラペラと喋れなかったのよ。ごめんなさい。でも……リドルさんとガーズさんには、教えるべきだと考え直したわ」
リコはここで話を一旦区切り、胸の前でカシャンと手を合わせる。
そして、エラク芝居がかったような声を出した。
「なぜなら……私は気づいてしまったから! あなたたちは、彼らと共に魔族を救うべき選ばれた人間だと!」
突然始まったリコの小芝居に「おお!」と感嘆の声を上げるリドルたち。
そこに鳥籠からケツァルとネーヴェも参戦する。
「うむ。オヌシらの面構え、なかなかのものじゃぞ!」
「ええ。助けられた魔族の女性たちは皆、貴方たちに恋心を抱いてしまうかもしれませんね」
リドルとガーズは鳥籠を持ち上げ、ケツァルたちに食いつきそうな勢いで確かめる。
「マ、マジでっ! ホントーにホント?」
「こ、恋心をっ! い、抱くのかっ!」
ケツァルとネーヴェが、生暖かい目でコクリと頷いた。
リドルはニタァーと目尻を下げる。
「いや~、参っちゃうな~。そんなモテモテライフ~」
一方ガーズは、カイルの肩に手を置き真顔で言う。
「ならば。この件が無事に済んだ暁にはウサ耳娘への紹介、切に頼んだぞ」
「げっ! ウサ耳娘限定かよ。スゲーのは爺さんだってのに……。あー分かったよ。ウサ耳娘でも猫耳娘でも何でも紹介してやるよ!」
ガーズはそれを聞き、満足げに頷いた。
リドルも目にハートを浮かべる。
「猫耳娘かぁ。カァーーーーッ! それもいい! では、皆の衆。オレたちのバラ色の人生の為……いざ、出陣!」
「おう!」
鳥籠を手に持ち、肩で風を切るようにコロシアムへと向かうリドルとガーズ。
何ともチョロい青年共である。
リコとカイルは密かにほくそ笑み、カシャカシャと音を立てて歩き出した。
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