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エピローグ
相変わらずのこじらせ男子!
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「ああ、すまなかった。結婚式の打ち合わせをしていたのだ」
「け、結婚式?」
ルビオの予想外の回答に、素っ頓狂な声を上げてしまうアリサ。
「ま、まだ気が早いですよ」
「そうか? めでたいことは早い方が良いだろう」
言葉では否定したが、すぐに頭の中では純白のドレスを着て、ルビオと鐘の下でキスをする姿を妄想してしまうアリサ。
遠く無い未来に、自分も結婚式を開くことになるのだろうと、アリサは嬉しい想像をしていた。
(異世界に転生した婚活アドバイザーの私、アリサは、ガーネット王国の王子、ルビオと婚約し、みんなに祝福された。
素敵な結婚式を挙げて、幸せになると思っていた。
……この時までは)
そしてルビオは表情を変えず、すらすらと呪文のように言葉を放った。
「ガーネット王国王子である私の結婚だ。
盛大にしようと思ってな。
まず、前夜祭、当日、後夜祭と三日間、王国中で開催する。
アリサのドレスは特注のシルク生地に、ダイヤモンドを散りばめた世界で一つのものだ。
ウエディングケーキは天井に届くほど高いものをパティシエに作らせよう。
諸外国の王族たちも呼び、王国付きの音楽隊に三日三晩演奏をしてもらおう」
美味しい料理に舌鼓を打っていたみんなが、突如始まったルビオの演説に目を丸くして振り返った。
「ちょ、ちょっと待ってください」
アリサが静止するも、ルビオの口は止まらない」
「そうだ、新郎新婦登場は飛行魔法を使い空から降りてくるというのはどうだろう。
宮廷魔術師たちに頼んで、後ろに炎魔法で派手に花火も上げてもらおう」
現代でもゴンドラから降りてくる演出などはあるが、いくらなんでも派手すぎる。
「な、何考えてるんですか! 恥ずかしいし、そんなの絶対嫌です!」
ルビオの言葉に呆気に取られている一同の空気を感じ、アリサは首を振りながら拒否する。
「なぜだ。そなたは次期王妃だぞ。
国民全員で祝うに決まってるだろう」
しかし、なにがおかしいのかわからない、という顔で見つめてくるルビオ。
せっかく祝福されて上機嫌だったのに。
アリサは休日だが、婚活アドバイザーの説得スイッチを入れた。
「結婚式というのは、見栄を張って派手にすればいいというものではありません。
近しい人だけを呼んで、二人の一生の思い出になるようにするのです」
懇々と説明するが、しかしやはり、その程度の言葉はこの男には響かない。
「このぐらいやった方が、一生の思い出になるだろう?」
説得しても意味のないルビオに、アリサが頭を抱える。
(だめだ、相変わらずこの人は、固定観念が凝り固まった根っからの王子様!
こんな派手な結婚式なんて恥ずかしいし、絶対嫌よ!)
アリサは拳を固く握りしめ、再び宣言する。
「もう、相変わらずこじらせ男子なんですから……!
わかりました、私はウェディングプランナーの勉強もしていましたので、今度は良い結婚式をプロデュースします!!」
アリサが叫び声が響く。
店にいるみんなが、笑ったり呆れたり驚いたりとさまざまな反応をした。
「それはいいですね、私も全く結婚式など何から準備すればいいかわかりませんし」
「きっとまた、良いアドバイスがもらえそうだ」
こじらせ男子仲間である、クレイとケビンは、顔を見合わせて自分たちの結婚式の相談もしようか、と笑い合っている。
アリサのアドバイスなら間違いはないと、素敵なパートナーを見つけられた二人は思うのだろう。
「ふむ。アリサ、こんなに愛しているのになぜわかってくれないのだ?」
ルビオは最後まで、意味がわからない、といった様子だ。
「それとこれとは話が違います!」
やっと見つけた、一緒に楽しく過ごせるパートナー。
その相変わらずのこじらせっぷりを、愛おしくも思う自分もなかなか重症だ、とアリサは思った。
(こうして、異世界で私とこじらせハイスペ王子たちとの付き合いは、まだまだ続きそうだった)
「け、結婚式?」
ルビオの予想外の回答に、素っ頓狂な声を上げてしまうアリサ。
「ま、まだ気が早いですよ」
「そうか? めでたいことは早い方が良いだろう」
言葉では否定したが、すぐに頭の中では純白のドレスを着て、ルビオと鐘の下でキスをする姿を妄想してしまうアリサ。
遠く無い未来に、自分も結婚式を開くことになるのだろうと、アリサは嬉しい想像をしていた。
(異世界に転生した婚活アドバイザーの私、アリサは、ガーネット王国の王子、ルビオと婚約し、みんなに祝福された。
素敵な結婚式を挙げて、幸せになると思っていた。
……この時までは)
そしてルビオは表情を変えず、すらすらと呪文のように言葉を放った。
「ガーネット王国王子である私の結婚だ。
盛大にしようと思ってな。
まず、前夜祭、当日、後夜祭と三日間、王国中で開催する。
アリサのドレスは特注のシルク生地に、ダイヤモンドを散りばめた世界で一つのものだ。
ウエディングケーキは天井に届くほど高いものをパティシエに作らせよう。
諸外国の王族たちも呼び、王国付きの音楽隊に三日三晩演奏をしてもらおう」
美味しい料理に舌鼓を打っていたみんなが、突如始まったルビオの演説に目を丸くして振り返った。
「ちょ、ちょっと待ってください」
アリサが静止するも、ルビオの口は止まらない」
「そうだ、新郎新婦登場は飛行魔法を使い空から降りてくるというのはどうだろう。
宮廷魔術師たちに頼んで、後ろに炎魔法で派手に花火も上げてもらおう」
現代でもゴンドラから降りてくる演出などはあるが、いくらなんでも派手すぎる。
「な、何考えてるんですか! 恥ずかしいし、そんなの絶対嫌です!」
ルビオの言葉に呆気に取られている一同の空気を感じ、アリサは首を振りながら拒否する。
「なぜだ。そなたは次期王妃だぞ。
国民全員で祝うに決まってるだろう」
しかし、なにがおかしいのかわからない、という顔で見つめてくるルビオ。
せっかく祝福されて上機嫌だったのに。
アリサは休日だが、婚活アドバイザーの説得スイッチを入れた。
「結婚式というのは、見栄を張って派手にすればいいというものではありません。
近しい人だけを呼んで、二人の一生の思い出になるようにするのです」
懇々と説明するが、しかしやはり、その程度の言葉はこの男には響かない。
「このぐらいやった方が、一生の思い出になるだろう?」
説得しても意味のないルビオに、アリサが頭を抱える。
(だめだ、相変わらずこの人は、固定観念が凝り固まった根っからの王子様!
こんな派手な結婚式なんて恥ずかしいし、絶対嫌よ!)
アリサは拳を固く握りしめ、再び宣言する。
「もう、相変わらずこじらせ男子なんですから……!
わかりました、私はウェディングプランナーの勉強もしていましたので、今度は良い結婚式をプロデュースします!!」
アリサが叫び声が響く。
店にいるみんなが、笑ったり呆れたり驚いたりとさまざまな反応をした。
「それはいいですね、私も全く結婚式など何から準備すればいいかわかりませんし」
「きっとまた、良いアドバイスがもらえそうだ」
こじらせ男子仲間である、クレイとケビンは、顔を見合わせて自分たちの結婚式の相談もしようか、と笑い合っている。
アリサのアドバイスなら間違いはないと、素敵なパートナーを見つけられた二人は思うのだろう。
「ふむ。アリサ、こんなに愛しているのになぜわかってくれないのだ?」
ルビオは最後まで、意味がわからない、といった様子だ。
「それとこれとは話が違います!」
やっと見つけた、一緒に楽しく過ごせるパートナー。
その相変わらずのこじらせっぷりを、愛おしくも思う自分もなかなか重症だ、とアリサは思った。
(こうして、異世界で私とこじらせハイスペ王子たちとの付き合いは、まだまだ続きそうだった)
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