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第10章 対面デート
1人の男性として
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* * *
家まで送り届けられ、玄関先で別れた後も、アリサは頭が整理できずぼんやりとしていた。
風呂に入り、髪を乾かし、寝巻きに着替え、化粧水を塗ってベッドに大の字に寝転がる。
そうしてやっと、起こったことを理解できた。
(……ルビオ王子が、私のことが好き?)
軌道に乗り始めた結婚相談所に突如として現れた、こじらせハイスペ王子。
問題児だと思っていたが、最近はアドバイスの甲斐あって、女性へ優しくなったと思っていたが。
(急なことで頭が追いつかないわ。
もしかして、婚活が面倒になって、私という手頃な女で手を打とうとしている?
うーん、急だし予想外すぎてわからない!)
家のベッドで頭を抱えながら悶々とするアリサ。
とっとと婚活を終わらせるための彼の作戦なのかもしれないと、疑心暗鬼になった。
(私は……確かにルビオ王子は最初会った時はデリカシーのない人だと思ったけど、最近の彼は気が使えて柔らかい雰囲気になってきた。
成婚も近いと思っていたけど……その相手が私?)
ハードワークが続くアリサに、ゆっくり休むように促した。
倒れてしまったアリサを王宮まで運び、食事や庭でもてなした。
服屋でショッピングしアイスを食べながら、夕日に照らされる公園でプロポーズされた。
流れる金髪と澄んだ青い瞳で、自分を見つめてきたルビオのことを思い出す。
(私は……彼のことどう思っているんだろう……)
相談所の厄介な会員としてでなく、一人の男性として、アリサはルビオを意識し始めた。
* * *
(なんだか悶々としてよく眠れなかったわ……。
せっかく休暇をもらったのに、しっかりしなきゃ)
次の日、二日休んだアリサはギルドに出勤する。
「アリサ、大丈夫だったか」
「おかげさまで、お休みいただけてゆっくりできました」
ケビンが心配して声をかけてきたが、今後は積極的に休暇を取ると伝えると、その方が良いと承諾された。
「ああ、あとこれは俺の個人的なことなんだが」
ケビンが頭を掻きながら、口ごもっているのでアリサが首を傾げる。
「……レイラと、正式に付き合うことになった」
「わあ! おめでとうございます!」
照れているケビンに、良かったですねと喜び拍手をするアリサ。
マッチングアプリで出会ったが、以前の冒険仲間の妹という関係もあり、食事の趣味も合うケビンとレイラは、すぐに心を通わせたようだ。
ケビンが思いを伝えて、レイラも喜んで受け入れてくれたという。
「良かったですね!
パートナーとして、思いやりを持って今後も楽しんでくださいね」
カップリング成功した会員に向けての言葉を贈ると、ケビンは頷く。
「ありがとう、君のおかげだ。
後はルビオ王子が相手を見つけなければいけないな」
「んん!」
ケビンの言葉に、昨日のルビオとのデートや告白を思い出し、急に赤面するアリサ。
一緒にエグゼクティブパーティや相席居様屋に行った、こじらせ男子のルビオを心配した、なんの気なしのセリフだ。
動揺しているアリサに、ケビンが怪訝そうな顔をする。
「はは、そ、そうですね!
ささ、仕事しなきゃ」
そそくさと、会員と面談をする部屋に向かい、書類整理などの作業をしに行く。
家まで送り届けられ、玄関先で別れた後も、アリサは頭が整理できずぼんやりとしていた。
風呂に入り、髪を乾かし、寝巻きに着替え、化粧水を塗ってベッドに大の字に寝転がる。
そうしてやっと、起こったことを理解できた。
(……ルビオ王子が、私のことが好き?)
軌道に乗り始めた結婚相談所に突如として現れた、こじらせハイスペ王子。
問題児だと思っていたが、最近はアドバイスの甲斐あって、女性へ優しくなったと思っていたが。
(急なことで頭が追いつかないわ。
もしかして、婚活が面倒になって、私という手頃な女で手を打とうとしている?
うーん、急だし予想外すぎてわからない!)
家のベッドで頭を抱えながら悶々とするアリサ。
とっとと婚活を終わらせるための彼の作戦なのかもしれないと、疑心暗鬼になった。
(私は……確かにルビオ王子は最初会った時はデリカシーのない人だと思ったけど、最近の彼は気が使えて柔らかい雰囲気になってきた。
成婚も近いと思っていたけど……その相手が私?)
ハードワークが続くアリサに、ゆっくり休むように促した。
倒れてしまったアリサを王宮まで運び、食事や庭でもてなした。
服屋でショッピングしアイスを食べながら、夕日に照らされる公園でプロポーズされた。
流れる金髪と澄んだ青い瞳で、自分を見つめてきたルビオのことを思い出す。
(私は……彼のことどう思っているんだろう……)
相談所の厄介な会員としてでなく、一人の男性として、アリサはルビオを意識し始めた。
* * *
(なんだか悶々としてよく眠れなかったわ……。
せっかく休暇をもらったのに、しっかりしなきゃ)
次の日、二日休んだアリサはギルドに出勤する。
「アリサ、大丈夫だったか」
「おかげさまで、お休みいただけてゆっくりできました」
ケビンが心配して声をかけてきたが、今後は積極的に休暇を取ると伝えると、その方が良いと承諾された。
「ああ、あとこれは俺の個人的なことなんだが」
ケビンが頭を掻きながら、口ごもっているのでアリサが首を傾げる。
「……レイラと、正式に付き合うことになった」
「わあ! おめでとうございます!」
照れているケビンに、良かったですねと喜び拍手をするアリサ。
マッチングアプリで出会ったが、以前の冒険仲間の妹という関係もあり、食事の趣味も合うケビンとレイラは、すぐに心を通わせたようだ。
ケビンが思いを伝えて、レイラも喜んで受け入れてくれたという。
「良かったですね!
パートナーとして、思いやりを持って今後も楽しんでくださいね」
カップリング成功した会員に向けての言葉を贈ると、ケビンは頷く。
「ありがとう、君のおかげだ。
後はルビオ王子が相手を見つけなければいけないな」
「んん!」
ケビンの言葉に、昨日のルビオとのデートや告白を思い出し、急に赤面するアリサ。
一緒にエグゼクティブパーティや相席居様屋に行った、こじらせ男子のルビオを心配した、なんの気なしのセリフだ。
動揺しているアリサに、ケビンが怪訝そうな顔をする。
「はは、そ、そうですね!
ささ、仕事しなきゃ」
そそくさと、会員と面談をする部屋に向かい、書類整理などの作業をしに行く。
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