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第7章 趣味コン:魔物狩り

取るに足らんな

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魔物コンの開催時間は、大体小一時間、戦闘に換算すると3回程をこなしたら、入口に戻ってくるように伝える。

 参加料を集めたタイミングで、全員に回復薬を一つずつ配っているので、不測の事態は避けられると思うが、基本的にはチームごとに自由行動となる。


「魔物が出やすいという洞窟の近くまで行ってみますか」

「そうですね、ここから東の方角です」


 クレイの提案に同意し、みんなで東の方向へと向かっていく。


「おい、そなたはなぜ着いてくる」


 四人チームのはずだが、運営のアリサはルビオとクレイのチームに同行していた。


「そりゃあ、色々と心配だからですよ!」


 こじらせ男子二人が、上手く女性と会話しながら魔物も倒せるかどうか。

 そしてなんの魔法も剣も使えないゼロスキルな自分が、一人でうろうろしていて魔物に襲われないか。

 どちらも心配なので、王子達について回ることにしたのだ。


「まあいいじゃないですか。
 アリサさんも、私がお守りしますので大丈夫ですよ」


 クレイが、腑に落ちないとルビオをなだめながら告げる。


「あら、クレイさんってほんと優しいですよね。
 こういう人が旦那さんなら、きっと幸せなんだろうなぁ」

「いやいや、褒めすぎですよ」


 魔法使いの女子たちに聞こえるよう、クレイの優しさをわざとらしく大げさに褒めるが、クレイはいつも謙虚な対応だ。女子二人は後ろでクスクス笑っていた。


「おい。―――来るぞ」


 ルビオが立ち止まり、剣に手を置く。
 すると、暗い茂みをかき分けて、スライムとコボルト数体が現れた。

 グルルル、と鳴くコボルトと目が合う。


(ひぃぃぃ! 
 弱いとはいえ、生で見るモンスター、怖すぎ……!)


 前世では虫さえまともに相手ができないビビりなアリサだ。初めて見る魔物が怖くて、思わず後退りする。


「これは、腕が鳴りますね」

「雑魚相手だ。とっとと終わらすぞ」


 クレイとルビオは目で合図をし、お互い腰に据えた剣を抜く。


「我々が倒しますので、女性達は下がっていてくださいね」


 この程度のレベルの魔物は、魔法使い二人は参加せずとも大丈夫だと、頼りになるクレイが言う。


「―――いくぞ!」


 ルビオは剣を構え、スライムに斬り込んだ。

 剣で切られたスライムは形を変えながら後ずさるが、ルビオに飛んでくる。
 赤いマントを翻し、その攻撃を軽やかに避けるルビオ。

 避けた先に陣取っていたクレイが、大剣でスライムを薙ぎ払うと、その場でスライムは消滅した。


(すごい、長年王子と側近をしているからか、二人のコンビネーションはさすがね)


 休む暇もなく、次はコボルトに剣を向けるルビオ。

 ひと突きで倒しきれなかったので、ルビオは得意の魔法剣技を使う。

 細身のレイピアに、青い雷が取り巻く。


「―――――はっ!」


 ルビオの声が響き、青い雷をまとわせた剣がコボルトの体の中心に刺さり、ビリビリと雷が走り、地面へと倒れた。


「取るに足らんな」


 ルビオが体中焦げ、痙攣しているコボルトを見下ろして、吐き捨てるように告げる。


(おお、ゲームの戦闘終了セリフ、生で聞けるの感動……!魔物は倒し終わったのね)


 ルビオをメインキャラで使った際、戦闘勝利時に聞けるセリフ、『取るに足らんな』が聞けて、感動しているヘビーユーザーのアリサ。

 二人が強くて、出る幕のなかった魔法使いの女子二人がお礼を言っている。


「あなた強いのね、かっこよかったわ」

「ありがとうございます」


 エマとアンナの言葉に、当たり前だとでも言うように剣を拭きながら首を振るルビオ。


「……もう少し骨のあるやつが良い。
 森の奥へ進むぞ」


 ルビオはさっさと行こうと森の奥へと足を向ける。


 (目的はあくまでも魔物を倒すことではなく、男女仲良くなるためなので、もっと会話してほしいんだけどなぁ)


 アリサの嘆きと、物言いたげな視線には取り合わないルビオ。 

 しかし、五人の背後で、動く影があった。
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