上 下
37 / 84
第6章 街コンカップリングパーティ

相変わらずのルビオ

しおりを挟む
「ルビオ王子も、残念でしたね」


 アリサが労うように声をかけるも、


「ふん、別に」


 片眉を上げ、大したことないと首を横に振る。
 意に介さぬ態度を怪しがり、アリサは受付の机の上に置いてあった、集計の終わったカップリングカードをもう一度見てみた。

 10番だったルビオの書き込んだカップリングカードを見つけると、小さく声を上げる。


「る、ルビオ王子……! あなたって人は……!」


 アリサは震える指でカードを広げ、ルビオとクレイに見せつけた。


 第一希望から第三希望まで、全ての欄を白紙で出していたのだ。


 クレイが口をあんぐり開け、ルビオに信じられないという視線を送る。


 「何が悪い? 心惹かれる者が一人も居なかったのだから、仕方がないだろう」


 相変わらずのルビオの態度に、アリサが頭を抱える。


 確かに、必ず第一希望から第三希望まで埋めなければいけないという決まりはない。
 書くのは一人でもいいし、気になる人が居なかったら白紙で出すのも問題はない。


 しかし、今回の街コンで男性一番人気で、選り取り見取りのはずなのに、白紙で出すとは思わなかった。


「無駄足だったな。クレイ、帰るぞ」


「はっ」


 ルビオが捨て台詞と共に、側近のクレイを引き連れ颯爽と帰ろうとするので、


「ルビオ王子、クレイさん! 
 また明日ギルドに来てください! 
 お二人にぴったりな婚活イベントを考えますので!」


 その背中にアリサが叫ぶ。

 ルビオはゆっくりと振り返り、口角を上げる。


「楽しみにしているぞ、敏腕婚活アドバイザー殿」


 不敵に、嫌味たっぷりに言い放ち、ガーネット王国へ向かって歩き出した。


(は、腹立つ~!! 
 あんな人好きになる人なんていないわよ!)


 地団駄を踏みながら、アリサはルビオの背中にあっかんべーをする。


(でも、難ありなこじらせ男子だって、成婚させて見せるんだから……!)


 実際、セミナーの成果もあってか今回ケビンはうまくカップリングできた。
 クレイもあと一歩だった。

 自分のやり方に間違いはないはずだ、とアリサは頷く。


(ルビオ王子とクレイさんの二人には、ただ会って会話するより、実際に体を動かしたり共同作業をすることによって仲が深まる、趣味コンが合うかもしれないわ……!)


 次のイベントは、会話だけでないものにしようと、意気込んだ。



<アリサ所持金 プラス20万フィル>


<ステータス

ケビン ルックス A +  所持金 A   戦闘スキル S  コミニュケーション能力 B + ↑


クレイ ルックス A +  人望 A     交渉力 S    スマートさ B + ↑


ルビオ ルックス SS   血統SS   統率力 A  デリカシー C↑ 空気を読む力 C↑>
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

暇だったので、なんとなくダンジョン行ってみた

himahima
ファンタジー
勢いで会社を辞めたおばさんは暇だった。 なんもかんも嫌になって仕事を辞めたが、目標も気力もない自堕落な生活をおくっていた。 ある日、テレビに映る探検者なるキラキラした若者達を観てなんとなく近所のダンジョンに行ったことから、第二の人生がはじまる。 ★初めてのファンタジー投稿です。

いや、帰りますけど!?

ゴルゴンゾーラ三国
ファンタジー
 主人公・青葉はある日異世界に聖女として召喚されてしまう。しかし、オタク女子である青葉は、異世界転移特典のチート能力を使って、異世界に数時間と滞在せず元の世界へと戻る。その際、転移先で青葉に役割の説明をしようとしていた王子・エルベールも一緒についてきてしまい、帰れないエルベールと共に生活することとなる。  一度異世界転移を体験してからというものの、迷い込むタイプの異世界転移や、神様の手違いで死んでしまい異世界に転移せざるを得ないタイプの異世界転移など、さまざまなパターンの異世界転移へと巻き込まれることになる。  しかし、漫画・ゲームへの愛情が深いオタク女子である青葉は、転移先の異世界事情など知らぬとばかりにチート能力で元の世界へと戻り続けるのであった。  これは異世界にひっぱりだこでありながらも、推しへの愛で元の世界に秒で戻ろうとするオタク女子・青葉の異世界転生ギャグ物語である。 【この作品は『小説家になろう』『カクヨム』『Pixiv』にも掲載しています】

転移旅行のすすめ

ファンタジー
 学生時代にネット小説にハマって、読み漁っていた経験があるリョウコ。しかし、社会人になってからというもの、前ほど読む時間がなく、ネット小説から足が遠のいていた。  ある日の帰り道。自分の借りている自宅を目指していたリョウコだが、階段を上る最中に足を踏み外してしまう。尻もちをついた拍子に目を開けると、林の中?!  そこで出会った旅行会社社員を、名乗る青年。彼が提案してきたのは、あるツアーの試験運用の被験者だった。  リョウコが既視感のある体験に懐かしさを覚えつつ、世界に関わったり関わらなかったりするお話。

人付き合いより好奇心優先で

ゆずゆ
ファンタジー
転生したら何をしたい?剣と魔法の定番ファンタジーほのぼのストーリーです!

婚約破棄されたので実家で暮らす道を選びます。〜他者から言われることなんて気にしない〜

四季
恋愛
婚約破棄されたので、実家で暮らすことにしました。

冒険最初の街でカフェ・ひなた開店しました。

野紫
ファンタジー
魔王と転生勇者のいる世界で、冒険最初の街でカフェ・ひなた開店しました。 何故そんな所でカフェなんかやっているかですか。 こんな所に何故いるのかはわかりません。 でもどんな所でもお金は必要ですし、自分の居場所が他ったので。 それにこの街が安全なのは知っています、創作者が言っているんだがら間違いありません。 他サイトにもアップしてます。

転生幼女な真祖さまは最強魔法に興味がない

深田くれと
ファンタジー
JRPGに登場する大好きな美幼女キャラ、リリーンに転生した主人公。 リリーンは周回プレイでステータスとレベルを鍛えた「☆10」のヴァンパイアだ。 目ざめた場所は見たこともない山の中。 さまよっていると、少女がゲームで見なれたモンスターたちに追われている。  求めに応じて、リリーンに成りきって言った。 「永遠に眠ってくれる?」 三秒で救援完了。 LV776、魔法攻撃999。敵なんて影も形も残らない。 最強魔法だって使えるし、真祖と呼ばれるやばいキャラだ。 死ぬ心配はないだろう。 でも――ちょっとまずいことになった。大ピンチだ。 魔法より甘味がほしい。 アイスとかカステラとかシュークリームとか。 無かったら絶対に困る! 幼女な真祖さまは、仲間たちと楽しい旅を始めることに――

男装宰相と護衛騎士

exa
恋愛
男装の宰相ラーズは眠気に負けて、会議の終わりに寝てしまった。 その身を守るように運んだのは王の側近の騎士であるトウ。 ベッドに運ばれたラーズは騎士の腕を離さず……。 エブリスタ、小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...