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第6章 街コンカップリングパーティ
フリータイムの先陣を切る
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時計を見ると、もうすぐ一人当たりの会話時間である十分が経過する。
アリサは、手に持ったハンドベルを鳴らして、声をかける。
「はい、お話は以上です!
プロフィールカードを相手にお返しし、男性は一つ大きな番号の席にご移動をお願いしまーす!」
盛り上がっていた二人は、短いですね、また後で話しましょう、などと会話をしている。
礼を言い合って、男性は一つ隣の席に移動する。
そして、向かい合って座った次の女性に挨拶をし、改めてプロフィールカードを交換するのだ。
(三人ともうまくお話しできているみたいだし、街コン自体も盛り上がってるわ。よかった)
カフェのいたるところから、笑い声が上がっている。
異世界でも街コンは通用するわ、とアリサは自信が付いた。
参加者が全員の異性と、十分間ずつ初対面で話し合うのが終わる。
ずっと喋り通していたので、少し休憩時間をとり、ソフトドリンクを配る。
各々、最初の席に戻り、水分補給をしながら簡単に相手の情報を書いたメモを読み返している。
アリサは、休憩時間の終了を告げるベルを鳴らす。
「さあ、次はフリータイムです!
もう少し話したかったな、という異性の方にぜひ話しかけに行ってください!
10分が3回ございますので、3人の方とお話ができます」
その言葉に、全員が静かに目配せをする。
いいな、と思った異性三人、誰にしようか。
どういう順番で話しかけようか、どんな話で好印象を持ってもらえたら良いか、と瞬時に考えているようで、暖かかった空気が途端に張り詰める。
ここで話かけられたら、少なからず自分に好意を持ってくれたんだな、と思ってキュンとするし、逆に盛り上がったと思っていた相手が他の異性に話しかけに行ってしまったら、がっかりしてしまう、期待と不安が表裏一体なフリータイムだからだ。
そしてフリータイムでの行動が、最後のカップリングタイムの結果につながる。
「それでは、みなさんご自由にお楽しみくださいませ!」
リンリン、とベルの音が響き渡る。
アリサの言葉に、意を決してクレイとケビンが立ち上がった。
(さあフリータイムの始まりよ!
人気女性はすぐに他の人に話しかけられちゃうから、頑張ってアタックしないとね)
アリサが全体を見渡しながら、こじらせ男子三人の動向を見守る。
立ち上がって、あの子に話しかけに行きたいけど、好意がバレるし恥ずかしいな、と全員が少しもじもじしていたが、クレイの動きは早かった。
立ち上がると、周りの目も気にせず、好印象を持ったらしき4番の女性の席へと一直線で向かい、
「もしよろければ、お話ししてもいいでしょうか?」
優しく微笑んで、フリータイムの相手に選んでほしいと立候補した。
その大胆かつスマートな行動に、4番の女性は驚き、頬を染める。
「ええ。ぜひ」
了承を得たことを確認し、クレイは嬉しそうに微笑むと向かいの席に座った。
4番の女性は、上品でおっとりした大人で、クレイがタイプだと言っていた雰囲気だ。
(おお! 積極的かつ紳士的! その調子よ)
一番話したかった女性からフリータイムの時間をもらえ、クレイは自分から熱心に話しかけている。
その様子に触発されたのか、男性陣は皆こぞって立ち上がり、気になった女性の元へ足を進めた。
アリサは、手に持ったハンドベルを鳴らして、声をかける。
「はい、お話は以上です!
プロフィールカードを相手にお返しし、男性は一つ大きな番号の席にご移動をお願いしまーす!」
盛り上がっていた二人は、短いですね、また後で話しましょう、などと会話をしている。
礼を言い合って、男性は一つ隣の席に移動する。
そして、向かい合って座った次の女性に挨拶をし、改めてプロフィールカードを交換するのだ。
(三人ともうまくお話しできているみたいだし、街コン自体も盛り上がってるわ。よかった)
カフェのいたるところから、笑い声が上がっている。
異世界でも街コンは通用するわ、とアリサは自信が付いた。
参加者が全員の異性と、十分間ずつ初対面で話し合うのが終わる。
ずっと喋り通していたので、少し休憩時間をとり、ソフトドリンクを配る。
各々、最初の席に戻り、水分補給をしながら簡単に相手の情報を書いたメモを読み返している。
アリサは、休憩時間の終了を告げるベルを鳴らす。
「さあ、次はフリータイムです!
もう少し話したかったな、という異性の方にぜひ話しかけに行ってください!
10分が3回ございますので、3人の方とお話ができます」
その言葉に、全員が静かに目配せをする。
いいな、と思った異性三人、誰にしようか。
どういう順番で話しかけようか、どんな話で好印象を持ってもらえたら良いか、と瞬時に考えているようで、暖かかった空気が途端に張り詰める。
ここで話かけられたら、少なからず自分に好意を持ってくれたんだな、と思ってキュンとするし、逆に盛り上がったと思っていた相手が他の異性に話しかけに行ってしまったら、がっかりしてしまう、期待と不安が表裏一体なフリータイムだからだ。
そしてフリータイムでの行動が、最後のカップリングタイムの結果につながる。
「それでは、みなさんご自由にお楽しみくださいませ!」
リンリン、とベルの音が響き渡る。
アリサの言葉に、意を決してクレイとケビンが立ち上がった。
(さあフリータイムの始まりよ!
人気女性はすぐに他の人に話しかけられちゃうから、頑張ってアタックしないとね)
アリサが全体を見渡しながら、こじらせ男子三人の動向を見守る。
立ち上がって、あの子に話しかけに行きたいけど、好意がバレるし恥ずかしいな、と全員が少しもじもじしていたが、クレイの動きは早かった。
立ち上がると、周りの目も気にせず、好印象を持ったらしき4番の女性の席へと一直線で向かい、
「もしよろければ、お話ししてもいいでしょうか?」
優しく微笑んで、フリータイムの相手に選んでほしいと立候補した。
その大胆かつスマートな行動に、4番の女性は驚き、頬を染める。
「ええ。ぜひ」
了承を得たことを確認し、クレイは嬉しそうに微笑むと向かいの席に座った。
4番の女性は、上品でおっとりした大人で、クレイがタイプだと言っていた雰囲気だ。
(おお! 積極的かつ紳士的! その調子よ)
一番話したかった女性からフリータイムの時間をもらえ、クレイは自分から熱心に話しかけている。
その様子に触発されたのか、男性陣は皆こぞって立ち上がり、気になった女性の元へ足を進めた。
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