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第3章 婚活エグゼクティブパーティー

大混乱の会場

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「うそ、本物の王子様が来てるって!」

「金髪に青い目、間違い無いわ! 
 選ばれたら未来のお妃様じゃない!」

 
 王子が来ていると気が付き、参加者の女性たちは一斉にルビオに群がった。


 パーティ開始と同時にソファを陣取り、近寄るなオーラを出していた男が、まさか一国の王子だとは思わなかったのだろう。


「王子は、どんな女の子がタイプなんですか?」


「私、正室じゃなくて側室でも良いです!」


 玉の輿を狙っているのだろう。
 露骨にアピールをしてくる女性たちに、ルビオが声を荒げる。


「なんだお前ら、急に目の色を変えて……! 
 近寄るな!」


 側近のクレイが、ため息をついて頭を押さえていた。
 遠くからその様子を見ていたケビンも、えらいことになったな、と独り言を漏らす。


 女性参加者たちは喜ばしい誤算だったようだが、面白く無いのは男性参加者である。


「おい、話していた子があっちにいっちゃったぞ」


 せっかく話が盛り上がり、良い感じだった女性が、ルビオがいると聞いてその場を去ってしまったという。
 やけ酒を飲むように、シャンパンをあおっている男性。
 キャーキャーと黄色い声援が飛び交うルビオ周辺と、それ以外の会場の温度差がひどい。


 アリサが冷や汗をかいていると、何人もの男性参加者が取り囲んで文句を言ってきた。


「王子が来るなんて聞いてないぞ、俺たち庶民が勝てるわけないじゃないか!」


「エグゼクティブが過ぎるだろ! 運営、どうにかしろ!」


「すす、すみません! こんな騒ぎになるとは思わなくて……」


 スーツ姿の男性参加者は、王子が来てるなんて聞いてない、と怒り心頭だ。
 
 前世の現代日本だと、エグゼクティブパーティに来るのは会社経営者や医者などの、いわゆる高収入な男性が多かった。


 異世界では、身分制度がしっかりしており、王族や貴族など、位が高い人とは結婚どころか、出会うことさえできないのだ。


 確固たる身分差がある縦社会で、お金を払って参加さえすれば、自分も王族と結婚できるかもしれないチャンスを得た女性たちの熱気は、異常だった。


(異世界ならではの失態だったわ! 
 これじゃ、一般市民の男性の出る幕はないし、王子に人気が集まり過ぎてしまう……)


 ルビオを取り囲む女性たちのアピールと、ルビオの罵声と、男性たちの苦情が飛び交い、いつの間にかパーティの九十分は過ぎてしまった。


 結果的には参加費を返金するということで、どうにか収集をつけたが、エグエクティブ婚活パーティは大失敗に終わった。



 散々だったパーティの帰り道。
 人のスペックしか見ていない、打算的でくだらない女たちめ、と罵詈雑言を言い続けているルビオをなだめながら、クレイと二人で王宮へと戻っていく背を見送った。


 参加者たちには後日返金をすると告げてなんとか納得してもらったが、借金間違いなしだ。


「ケビンさん、お金返すの、また今度でいいですか……」


 首をうなだれて、半泣き状態のアリサにさすがに追い打ちはかけられないと思ったのだろう。


「まあ、焦らず待ってるよ」


 黒いスーツにオールバックのケビンは頷き、二人でギルドまでの道を歩いた。


(今後、混乱を避けるために王子の身分は隠した方がいいわね……。
 そして、三人の男性の、女性に対する態度も、指導しなくちゃ!)



 アリサは順調にいっていた結婚相談所での初めての失敗にショックを受けたが、逆境を乗り越えるべく使命に燃えていた。


<アリサ所持金 マイナス10万フィル>

<ステータス

ケビン ルックス A +  所持金A   
戦闘スキルS   コミニュケーション能力 B-

クレイ ルックス A +  人望A    
交渉力S       スマートさ B-

ルビオ ルックス SS   血統SS    
デリカシー C-  空気を読む力 C->
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