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第3章 婚活エグゼクティブパーティー
服の試着
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* * *
洋服屋に着き、男性三人用の服を選ぶ。
婚活アドバイザーは、会員の方のデートやパーティ参加の際の服装のアドバイスもする。
スーツやセットアップのメンズ服の中で、各々に似合いそうな服を見繕い、試着してもらっているところだ。
モデルが全員良いので、イケメンの変身っぷりが楽しみだな、とアリサは試着室の前の椅子で待っていた。
試着室の布の扉が開いた。一番最初に着替え終わったケビンが顔を出す。
「ど、どうだろうか……」
シャイなケビンはアリサに見られるのが恥ずかしいのか、視線を逸らしながら尋ねる。
いつものラフな姿ではなく、シックな黒のスーツを着て、髪はオールバック。よく磨かれた革靴。ネクタイにシルバーのタイピンだ。
(やっぱり、フォーマルな格好も似合うわ!
眼帯もワイルドで良い!)
ギルドで私服の印象が強いので、大人っぽい服装にしたのがギャップが出てとても似合っている。
次に試着室を出てきたのはクレイだ。
「いや、なんだか気恥ずかしいですね」
上下ダークグレーのスーツに、胸ポケットには赤いチーフが入っている。
いつもしっかりと整えられた髪は、少しワックスで空気感を出し遊ばせる。
(こちらは逆に、いつもより遊び心をプラスして、親しみやすい感じに!
素敵ね)
王子側近としての普段のかっちりした印象ではなく、彼の持っている優しい雰囲気が前面に出ていて女性ウケしそうだとアリサは思った。
最後に試着室から現れたのはルビオだ。
「シルクはオーダーメイドにしたいところだがな」
生地が気に入らないのか、少し不服そうだったが、シャンパンゴールドのスーツを着て出てきたルビオは、後光が差すほどかっこいい。
金髪に合うように明るいゴールドのスーツにしたが、下手したら全身派手な色で浮いてしまうところを、顔面の良さで完璧にカバーできている。
(う……うわぁ! 直視できないほどの美しさだー!
高貴! 美麗! レベチ!)
アリサは賞賛の言葉を心の中で叫んだ。
さすが王子、レベルが違う。
顔を真っ赤にしてグーサインを出すアリサに、当たり前だという様子のルビオ。
洋服屋の店員も、女性だけでなく男性ですら、そのオーラに言葉を失っている。
「今更だが、さすが皇族の血筋は美形だな」
「陛下も皇后様も非常に美しい方ですからね」
ケビンとクレイも、ルビオの姿にあっけに取られている。
「この格好でエグゼクティブパーティとやらに行けば、妻が見つかるのだな」
見せ物扱いされて気に入らないのか、ルビオは試着したままソファに座り足を組んだ。
「もちろん、可能性はぐんと高まるはずです!」
今から女性参加者たちが喜ぶのが目に浮かぶ。
「あ、ちなみに私もワンピース買ったんですが、どうですか?」
司会をするのも仕事の一環だ。司会者も参加者に合わせた格好が必要なため、薄い水色のレースのワンピースを購入し、身につけたアリサが男性陣に感想を求める。
アリサの頭から爪先まで、凝視する三人。
「防御力が低すぎるな。肩と膝に防具をつけるといい。
魔物と遭遇したら危ないぞ」
冒険者目線のトンチンカンなアドバイスをするケビン。
「嫁入り前の女性が、少し露出が多いかと思います」
まるで父親のような注意をしてくるクレイ。
「そのペラッペラな布は、下着か寝巻きなのか?」
献上された高級品しか着たことがないため、寝巻き扱いしてくるルビオ。
「……聞いた私が間違いでした。
別に露出激しくないですけど……」
レースで少し透けてはいるが、五分袖で膝丈のスカートの上品なワンピースのため、納得いかない。
(せっかく借金してまで買ったお気に入りの服なのに。
こんな調子でパーティ参加して、女性相手にデリカシーないことを言わないか心配だわ……)
どんなに見た目が良くても、中身まで紳士でないと意味がない。
この三人がうまくいくのか、アリサは少々不安になった。
洋服屋に着き、男性三人用の服を選ぶ。
婚活アドバイザーは、会員の方のデートやパーティ参加の際の服装のアドバイスもする。
スーツやセットアップのメンズ服の中で、各々に似合いそうな服を見繕い、試着してもらっているところだ。
モデルが全員良いので、イケメンの変身っぷりが楽しみだな、とアリサは試着室の前の椅子で待っていた。
試着室の布の扉が開いた。一番最初に着替え終わったケビンが顔を出す。
「ど、どうだろうか……」
シャイなケビンはアリサに見られるのが恥ずかしいのか、視線を逸らしながら尋ねる。
いつものラフな姿ではなく、シックな黒のスーツを着て、髪はオールバック。よく磨かれた革靴。ネクタイにシルバーのタイピンだ。
(やっぱり、フォーマルな格好も似合うわ!
眼帯もワイルドで良い!)
ギルドで私服の印象が強いので、大人っぽい服装にしたのがギャップが出てとても似合っている。
次に試着室を出てきたのはクレイだ。
「いや、なんだか気恥ずかしいですね」
上下ダークグレーのスーツに、胸ポケットには赤いチーフが入っている。
いつもしっかりと整えられた髪は、少しワックスで空気感を出し遊ばせる。
(こちらは逆に、いつもより遊び心をプラスして、親しみやすい感じに!
素敵ね)
王子側近としての普段のかっちりした印象ではなく、彼の持っている優しい雰囲気が前面に出ていて女性ウケしそうだとアリサは思った。
最後に試着室から現れたのはルビオだ。
「シルクはオーダーメイドにしたいところだがな」
生地が気に入らないのか、少し不服そうだったが、シャンパンゴールドのスーツを着て出てきたルビオは、後光が差すほどかっこいい。
金髪に合うように明るいゴールドのスーツにしたが、下手したら全身派手な色で浮いてしまうところを、顔面の良さで完璧にカバーできている。
(う……うわぁ! 直視できないほどの美しさだー!
高貴! 美麗! レベチ!)
アリサは賞賛の言葉を心の中で叫んだ。
さすが王子、レベルが違う。
顔を真っ赤にしてグーサインを出すアリサに、当たり前だという様子のルビオ。
洋服屋の店員も、女性だけでなく男性ですら、そのオーラに言葉を失っている。
「今更だが、さすが皇族の血筋は美形だな」
「陛下も皇后様も非常に美しい方ですからね」
ケビンとクレイも、ルビオの姿にあっけに取られている。
「この格好でエグゼクティブパーティとやらに行けば、妻が見つかるのだな」
見せ物扱いされて気に入らないのか、ルビオは試着したままソファに座り足を組んだ。
「もちろん、可能性はぐんと高まるはずです!」
今から女性参加者たちが喜ぶのが目に浮かぶ。
「あ、ちなみに私もワンピース買ったんですが、どうですか?」
司会をするのも仕事の一環だ。司会者も参加者に合わせた格好が必要なため、薄い水色のレースのワンピースを購入し、身につけたアリサが男性陣に感想を求める。
アリサの頭から爪先まで、凝視する三人。
「防御力が低すぎるな。肩と膝に防具をつけるといい。
魔物と遭遇したら危ないぞ」
冒険者目線のトンチンカンなアドバイスをするケビン。
「嫁入り前の女性が、少し露出が多いかと思います」
まるで父親のような注意をしてくるクレイ。
「そのペラッペラな布は、下着か寝巻きなのか?」
献上された高級品しか着たことがないため、寝巻き扱いしてくるルビオ。
「……聞いた私が間違いでした。
別に露出激しくないですけど……」
レースで少し透けてはいるが、五分袖で膝丈のスカートの上品なワンピースのため、納得いかない。
(せっかく借金してまで買ったお気に入りの服なのに。
こんな調子でパーティ参加して、女性相手にデリカシーないことを言わないか心配だわ……)
どんなに見た目が良くても、中身まで紳士でないと意味がない。
この三人がうまくいくのか、アリサは少々不安になった。
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