15 / 84
第3章 婚活エグゼクティブパーティー
シングルなイケメン
しおりを挟む
「王子は、これから婚活イベントに参加していただくのが良いかと」
今いる会員では条件を満たせないため、今後開くイベントに参加する女性に、彼の気に入った相手がいることを賭けるしかない。
「ふむ、イベントというのが、この間の僧侶コンのようなやつか」
「職業や年齢、出身地やステータスなど、さまざまなくくりでの男女の集まるイベントを開きます」
僧侶コンは男性の職業で絞ったものだ。
前世では、二十代限定や、関東出身限定、バツイチ限定、オタク限定やラーメン好き限定など色々な需要があった。
自分の求める相手により、イベント参加を選ぶことが成婚への早道である。
「王子、いけません。一般庶民のイベントに参加するなど。
ご自身の身分をわきまえてください」
「一刻も早く世継ぎを作れと、口うるさいのはお前だろうが」
我慢に耐えかねたクレイが声を上げた。肩をすくめて言い返すルビオとの口喧嘩が始まる。
その二人のやりとりを見ながら、アリサは頭をフル回転させる。
今いる会員の中の女性に、ルビオ王子の要望を全て満たす人はいなかった。
なので、一対一のデートをセッティングしても、うまくいかないだろう。
(なら、婚活パーティは?
大人数でのパーティなら、話してみたら気の合う人も見つかるかもしれない)
この人たちなら絶対相性が良い、とお見合いをさせるよりも、パーティの方がチャンスが増えるはずだ。
(そうよ、王子様なんてハイスペックな男性、婚活パーティで絶対人気者になるじゃない……!)
異世界で婚活イベントを開く、という考えがなかったアリサは、良い考えがひらめき、気持ちが高揚し始めた。頭の中では、どんどんアイディアが膨らんでいく。
「なあ、ギルド内であまり騒々しくしないでもらえるか……」
個室の扉を開けて、ギルドで接客をしていたケビンが口元に人差し指を添えて注意してきた。
静かにしてほしい、と。
おそらく、二人の騒々しいやり取りが外に漏れてしまっていたのだろう。
しかし、口の減らないルビオからの反論と、クレイの押し問答は続く。
アリサは、三人の男性の姿を遠目に見て、考えた。
(ほんとイケメンな三人だわ……。
婚活イベントに参加してもらえれば、女性陣が盛り上がりそうよね)
正統派美形、超絶ハイスペックなルビオ、物腰柔らかで凛としたクレイ、眼帯姿がクールでかっこいいケビン。
前世の現代日本だったら、女性から人気が出ないわけがない三人だ。
よし、とアリサの婚活アドバイザーの血が騒ぐ。
「ルビオ王子。
あなたは素敵な女性と出会って、すぐにでも結婚されたいということですね」
静かにするしないで揉めている三人の間に割って入り、アリサが質問をする。
「そうだ。不本意だが、国の存続もかかっている私の使命だからな」
ルビオの言葉に、結婚願望は間違いなくあるのだと頷く。
「クレイさん、ちなみにあなたは独身ですか?
お相手はいますか?」
王子側近のクレイに向き直り、優しく問う。
「はっ、私は恥ずかしながら独り身であります」
胸に手を当てる、王宮に使える者の敬礼をしながら答えるクレイ。
「それではケビンさんは、奥さんや彼女さんはいますか?」
転生した初日から、ギルドの端の場所を借り共に働いていたケビンだったが、そういえば女性関係のことは聞いたことがなかった。
ケビンは驚いたように左目を見開いたが、
「なぜ俺に聞く……。いないが」
腕を組み、素直に答えてくれた。
「なるほどなるほど。
こんな素敵な成人男性が三人、パートナーもいないなんて、女性からしたらもったいないです」
大抵、素敵だなと思う男性には彼女や奥さんがいるものだ。恋愛に進むこともなく、諦めるのが常だろう。
でもこのイケメン三人は、未婚で彼女なし。
「では三人とも、私が成婚までプロデュースいたします!」
アリサが拳を突き上げて、声高く宣言した。
異世界で始めた結婚相談所、ここからが婚活アドバイザーの腕の見せ所だ、と決意をして。
今いる会員では条件を満たせないため、今後開くイベントに参加する女性に、彼の気に入った相手がいることを賭けるしかない。
「ふむ、イベントというのが、この間の僧侶コンのようなやつか」
「職業や年齢、出身地やステータスなど、さまざまなくくりでの男女の集まるイベントを開きます」
僧侶コンは男性の職業で絞ったものだ。
前世では、二十代限定や、関東出身限定、バツイチ限定、オタク限定やラーメン好き限定など色々な需要があった。
自分の求める相手により、イベント参加を選ぶことが成婚への早道である。
「王子、いけません。一般庶民のイベントに参加するなど。
ご自身の身分をわきまえてください」
「一刻も早く世継ぎを作れと、口うるさいのはお前だろうが」
我慢に耐えかねたクレイが声を上げた。肩をすくめて言い返すルビオとの口喧嘩が始まる。
その二人のやりとりを見ながら、アリサは頭をフル回転させる。
今いる会員の中の女性に、ルビオ王子の要望を全て満たす人はいなかった。
なので、一対一のデートをセッティングしても、うまくいかないだろう。
(なら、婚活パーティは?
大人数でのパーティなら、話してみたら気の合う人も見つかるかもしれない)
この人たちなら絶対相性が良い、とお見合いをさせるよりも、パーティの方がチャンスが増えるはずだ。
(そうよ、王子様なんてハイスペックな男性、婚活パーティで絶対人気者になるじゃない……!)
異世界で婚活イベントを開く、という考えがなかったアリサは、良い考えがひらめき、気持ちが高揚し始めた。頭の中では、どんどんアイディアが膨らんでいく。
「なあ、ギルド内であまり騒々しくしないでもらえるか……」
個室の扉を開けて、ギルドで接客をしていたケビンが口元に人差し指を添えて注意してきた。
静かにしてほしい、と。
おそらく、二人の騒々しいやり取りが外に漏れてしまっていたのだろう。
しかし、口の減らないルビオからの反論と、クレイの押し問答は続く。
アリサは、三人の男性の姿を遠目に見て、考えた。
(ほんとイケメンな三人だわ……。
婚活イベントに参加してもらえれば、女性陣が盛り上がりそうよね)
正統派美形、超絶ハイスペックなルビオ、物腰柔らかで凛としたクレイ、眼帯姿がクールでかっこいいケビン。
前世の現代日本だったら、女性から人気が出ないわけがない三人だ。
よし、とアリサの婚活アドバイザーの血が騒ぐ。
「ルビオ王子。
あなたは素敵な女性と出会って、すぐにでも結婚されたいということですね」
静かにするしないで揉めている三人の間に割って入り、アリサが質問をする。
「そうだ。不本意だが、国の存続もかかっている私の使命だからな」
ルビオの言葉に、結婚願望は間違いなくあるのだと頷く。
「クレイさん、ちなみにあなたは独身ですか?
お相手はいますか?」
王子側近のクレイに向き直り、優しく問う。
「はっ、私は恥ずかしながら独り身であります」
胸に手を当てる、王宮に使える者の敬礼をしながら答えるクレイ。
「それではケビンさんは、奥さんや彼女さんはいますか?」
転生した初日から、ギルドの端の場所を借り共に働いていたケビンだったが、そういえば女性関係のことは聞いたことがなかった。
ケビンは驚いたように左目を見開いたが、
「なぜ俺に聞く……。いないが」
腕を組み、素直に答えてくれた。
「なるほどなるほど。
こんな素敵な成人男性が三人、パートナーもいないなんて、女性からしたらもったいないです」
大抵、素敵だなと思う男性には彼女や奥さんがいるものだ。恋愛に進むこともなく、諦めるのが常だろう。
でもこのイケメン三人は、未婚で彼女なし。
「では三人とも、私が成婚までプロデュースいたします!」
アリサが拳を突き上げて、声高く宣言した。
異世界で始めた結婚相談所、ここからが婚活アドバイザーの腕の見せ所だ、と決意をして。
0
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、騎士見習の少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
多産を見込まれて嫁いだ辺境伯家でしたが旦那様が閨に来ません。どうしたらいいのでしょう?
あとさん♪
恋愛
「俺の愛は、期待しないでくれ」
結婚式当日の晩、つまり初夜に、旦那様は私にそう言いました。
それはそれは苦渋に満ち満ちたお顔で。そして呆然とする私を残して、部屋を出て行った旦那様は、私が寝た後に私の上に伸し掛かって来まして。
不器用な年上旦那さまと割と飄々とした年下妻のじれじれラブ(を、目指しました)
※序盤、主人公が大切にされていない表現が続きます。ご気分を害された場合、速やかにブラウザバックして下さい。ご自分のメンタルはご自分で守って下さい。
※小説家になろうにも掲載しております
おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ
Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_
【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】
後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。
目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。
そして若返った自分の身体。
美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。
これでワクワクしない方が嘘である。
そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。
外れ婚約者とは言わせない! 〜年下婚約者様はトカゲかと思ったら最強のドラゴンでした〜
秋月真鳥
恋愛
獣の本性を持つものが重用される獣国ハリカリの公爵家の令嬢、アイラには獣の本性がない。
アイラを出来損ないと周囲は言うが、両親と弟はアイラを愛してくれている。
アイラが8歳のときに、もう一つの公爵家で生まれたマウリとミルヴァの双子の本性はトカゲで、二人を産んだ後母親は体調を崩して寝込んでいた。
トカゲの双子を父親は冷遇し、妾腹の子どもに家を継がせるために追放しようとする。
アイラは両親に頼んで、マウリを婚約者として、ミルヴァと共に自分のお屋敷に連れて帰る。
本性が本当は最強のドラゴンだったマウリとミルヴァ。
二人を元の領地に戻すために、酷い父親をザマァして、後継者の地位を取り戻す物語。
※毎日更新です!
※一章はざまぁ、二章からほのぼのになります。
※四章まで書き上げています。
※小説家になろうサイト様でも投稿しています。
表紙は、ひかげそうし様に描いていただきました。
全てを捨てて消え去ろうとしたのですが…なぜか殿下に執着されています
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のセーラは、1人崖から海を見つめていた。大好きだった父は、2ヶ月前に事故死。愛していた婚約者、ワイアームは、公爵令嬢のレイリスに夢中。
さらにレイリスに酷い事をしたという噂まで流されたセーラは、貴族世界で完全に孤立していた。独りぼっちになってしまった彼女は、絶望の中海を見つめる。
“私さえいなくなれば、皆幸せになれる”
そう強く思ったセーラは、子供の頃から大好きだった歌を口ずさみながら、海に身を投げたのだった。
一方、婚約者でもあるワイアームもまた、一人孤独な戦いをしていた。それもこれも、愛するセーラを守るため。
そんなワイアームの気持ちなど全く知らないセーラは…
龍の血を受け継いだワイアームと、海神の娘の血を受け継いだセーラの恋の物語です。
ご都合主義全開、ファンタジー要素が強め?な作品です。
よろしくお願いいたします。
※カクヨム、小説家になろうでも同時配信しています。
不憫な推しキャラを救おうとしただけなのに【魔法学園編 突入☆】
はぴねこ
BL
魔法学園編突入! 学園モノは読みたいけど、そこに辿り着くまでの長い話を読むのは大変という方は、魔法学園編の000話をお読みください。これまでのあらすじをまとめてあります。
美幼児&美幼児(ブロマンス期)からの美青年×美青年(BL期)への成長を辿る長編BLです。
金髪碧眼美幼児のリヒトの前世は、隠れゲイでBL好きのおじさんだった。
享年52歳までプレイしていた乙女ゲーム『星鏡のレイラ』の攻略対象であるリヒトに転生したため、彼は推しだった不憫な攻略対象:カルロを不運な運命から救い、幸せにすることに全振りする。
見た目は美しい王子のリヒトだが、中身は52歳で、両親も乳母も護衛騎士もみんな年下。
気軽に話せるのは年上の帝国の皇帝や魔塔主だけ。
幼い推しへの高まる父性でカルロを溺愛しつつ、頑張る若者たち(両親etc)を温かく見守りながら、リヒトはヒロインとカルロが結ばれるように奮闘する!
リヒト… エトワール王国の第一王子。カルロへの父性が暴走気味。
カルロ… リヒトの従者。リヒトは神様で唯一の居場所。リヒトへの想いが暴走気味。
魔塔主… 一人で国を滅ぼせるほどの魔法が使える自由人。ある意味厄災。リヒトを研究対象としている。
オーロ皇帝… 大帝国の皇帝。エトワールの悍ましい慣習を嫌っていたが、リヒトの利発さに興味を持つ。
ナタリア… 乙女ゲーム『星鏡のレイラ』のヒロイン。オーロ皇帝の孫娘。カルロとは恋のライバル。
ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。
光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。
昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。
逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。
でも、私は不幸じゃなかった。
私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。
彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。
私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー
例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。
「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」
「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」
夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。
カインも結局、私を裏切るのね。
エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。
それなら、もういいわ。全部、要らない。
絶対に許さないわ。
私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー!
覚悟していてね?
私は、絶対に貴方達を許さないから。
「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。
私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。
ざまぁみろ」
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる