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第7話 異母兄
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サラシン帝国北領国の王宮へ戻ってきた。気は進まないがお父様に婚約破棄について報告しないと。例の暗殺事件についてはしばらくは伏せよう。だって、私は一度死んだ上に死霊教会へ改宗してしまったのですもの、正体がバレたら幽閉されかねない。お父様はそういう人だ。家族を道具としか見ていない。
「親善の公務すらまともにこなさず挙げ句に婚約を解消したいとはどういうことだ。お前には心底失望したぞ」
「お父様。申し訳ありません。ジハール王子様には私のような者は相応しくないかと……」
「このままではお前を修道院に送るしかあるまいが、不具の娘とはいえ金をかけて育てたお前をみすみす手放すのは惜しい。さてどうしたものか」
修道院へ送られるのならそれでも良いかな。うん、きっとそれが良い。私は聖女兼王女から修道女へ転職しよう。
貰い手がいない貴族の娘は女子修道院に送られる。普通はそれまでに縁談が決まるものだ。姉達はすでに嫁いで行った。未婚の姫は親善大使として外交の政務に就くが、同盟国へ政略結婚に出されたり、配下の騎士の忠誠心を高める道具として扱われる。修道院で天使様に祈りながら生涯静かに過ごすのと、好きでもない人と結婚して子供を産むのはどちらが女性にとって幸福だろうか。
「お前の処遇は大臣達と相談した上で決める。それまで部屋で謹慎を命じる。まったくお前のような頭ばかり良くても盲目の娘は貰い手がいない。良いか、王家の娘は有力な者に嫁ぎ健康な子を成すことが使命だ」
「お父様、これも人智の及ばない天の定めし理です。西方の国々では女子修道院へ入って生涯を信仰に捧げる貴族の娘も多くいると聞きます」
「ふん、宗教にかぶれおって。娘の分際で父に意見するとは生意気だ。そういった態度こそ古来より続く王家の伝統に反する」
「……カビの生えた伝統に何の価値があるのかしら」
「何か言ったか?」
「いえ何も。 愛するお父様を悲しませることは私にとっての悲しみです。どうか婚約解消のわがままをお許しください」
「最初からそう言えば可愛げのあるものを。もうよい下がれ、おい、誰か姫を部屋まで連れて行け」
「はっ、陛下。姫様、お手を」
「大丈夫よ。部屋ぐらい一人で帰れるから」
「ああっ、姫様どうかお待ちを! 危ない! そちらには人が!」
「失礼します。陛下と姫様にお飲み物をお持ち……」
ガシャーン! ドタバタドタ! ガラーン! ガラーン!
「きゃっ!?」
「きゃーっ!」
「おい! 大変だ! 姫様が!」
「まったく騒々しい……」
玉座の間を出た直後に熱い飲み物を持った侍女の子とぶつかったらしい。盛大に階段を転げ落ちた。
「ひ、姫様、どうかお許しください……。避けきれなくて……。ううっ……。姫様の御顔に熱湯をかけたりして……。ぐすっ。ひっく、ひっく……」
「泣かなくても良いわよ。私の方こそごめんなさいね、前が見えなくて。あなた火傷したでしょ? ほら、私に近づいて」
「え? 姫様こそ熱湯をかぶられて……」
死霊になってから物理攻撃に対して異常に強くなった。熱湯を被ってもちょっと温かい程度にしか感じない。
「私は大丈夫よ、鍛えてるから。死霊教会奇跡『回復』。 はい、これでもうあなたの火傷は跡もなく治ったはずよ。私ね、奇跡の力なら結構自信あるの。今なら重傷の四肢切断でも大火傷でも治せる自信があるわ」
「あ、ありがとうございます……。私のような下々の者に奇跡を使っていただきまして……」
「おい、貴様ら何やってるんだ」
侍女の子を介抱するそんな優しい私の前に尊大な態度の男が現れた。
「よう、ダリヤ、久しぶりだな。親父にめっきり絞られてた上にまた何かやらかしたのか。あーあ、高い絨毯が汚れちまってるぜ」
「アフダル……お兄様……」
「ア、アフダル王子殿下……。絨毯は後ほど清掃しますので……」
この男は異母兄である。母親はライラと同じ第三王妃。サラシン帝国では一夫多妻制が認められている。そして彼はライラと性格がそっくりで私に何かといじわるをしてくる。はっきり言えば嫌いだ。
「なんだ、久しぶりにあったというのに悲しげな顔をしているな。俺に会えなかったのが寂しくてすねてるのか」
あー……、冗談キツイわー。背筋がゾクッとする。でも、家臣の前なので一応社交辞令で返事をしとこうかしら。
「ええ、お兄様。私をほっといてどこへ行かれていたのですか」
「なんだ聞いてなかったのか、西領国内の異教徒掃討へ出向いていたのだ。砦にいる連中はなかなか手強い奴らだった。どうやら敵は剣の腕はゴブリンにも劣るが、女みたいに癇癪起こして男へ向かって物を投げるのは得意らしい。見ろ、矢が腕と脚に当たったんだ。名誉の負傷だぞ。治してくれ」
ね、いじわるでしょ。
「見ろと言われましても、この通り私は目が見えない女です。お兄様もご存知でしょう。いじわるを仰らないでください」
「なら俺の部屋に来てくれ。そこで治してくれたら良い。お前が聖女なのは王族の男が戦場で負った傷を治すために天使が力を与えたのだからな」
そうかしら。天使様は私の活躍に期待すると仰ってた気がするけどダメな兄の世話をしろとは仰らなかったわ。
「ほら、早く来いよ。まったく昔からダリヤは一人じゃ何もできないな。ハハハッ」
「お兄様、そんなに手を引っ張らないでください。痛くないですけど脱臼しそうです」
私は半ば強引に兄の部屋へ連れられた。
「それでお兄様、どこをケガされたのですか?」
「あー、今服脱ぐからこっちに来てくれ」
カチャカチャ……。
ベルトを緩めて鎧を脱ぐ音が聞こえる。
「親善の公務すらまともにこなさず挙げ句に婚約を解消したいとはどういうことだ。お前には心底失望したぞ」
「お父様。申し訳ありません。ジハール王子様には私のような者は相応しくないかと……」
「このままではお前を修道院に送るしかあるまいが、不具の娘とはいえ金をかけて育てたお前をみすみす手放すのは惜しい。さてどうしたものか」
修道院へ送られるのならそれでも良いかな。うん、きっとそれが良い。私は聖女兼王女から修道女へ転職しよう。
貰い手がいない貴族の娘は女子修道院に送られる。普通はそれまでに縁談が決まるものだ。姉達はすでに嫁いで行った。未婚の姫は親善大使として外交の政務に就くが、同盟国へ政略結婚に出されたり、配下の騎士の忠誠心を高める道具として扱われる。修道院で天使様に祈りながら生涯静かに過ごすのと、好きでもない人と結婚して子供を産むのはどちらが女性にとって幸福だろうか。
「お前の処遇は大臣達と相談した上で決める。それまで部屋で謹慎を命じる。まったくお前のような頭ばかり良くても盲目の娘は貰い手がいない。良いか、王家の娘は有力な者に嫁ぎ健康な子を成すことが使命だ」
「お父様、これも人智の及ばない天の定めし理です。西方の国々では女子修道院へ入って生涯を信仰に捧げる貴族の娘も多くいると聞きます」
「ふん、宗教にかぶれおって。娘の分際で父に意見するとは生意気だ。そういった態度こそ古来より続く王家の伝統に反する」
「……カビの生えた伝統に何の価値があるのかしら」
「何か言ったか?」
「いえ何も。 愛するお父様を悲しませることは私にとっての悲しみです。どうか婚約解消のわがままをお許しください」
「最初からそう言えば可愛げのあるものを。もうよい下がれ、おい、誰か姫を部屋まで連れて行け」
「はっ、陛下。姫様、お手を」
「大丈夫よ。部屋ぐらい一人で帰れるから」
「ああっ、姫様どうかお待ちを! 危ない! そちらには人が!」
「失礼します。陛下と姫様にお飲み物をお持ち……」
ガシャーン! ドタバタドタ! ガラーン! ガラーン!
「きゃっ!?」
「きゃーっ!」
「おい! 大変だ! 姫様が!」
「まったく騒々しい……」
玉座の間を出た直後に熱い飲み物を持った侍女の子とぶつかったらしい。盛大に階段を転げ落ちた。
「ひ、姫様、どうかお許しください……。避けきれなくて……。ううっ……。姫様の御顔に熱湯をかけたりして……。ぐすっ。ひっく、ひっく……」
「泣かなくても良いわよ。私の方こそごめんなさいね、前が見えなくて。あなた火傷したでしょ? ほら、私に近づいて」
「え? 姫様こそ熱湯をかぶられて……」
死霊になってから物理攻撃に対して異常に強くなった。熱湯を被ってもちょっと温かい程度にしか感じない。
「私は大丈夫よ、鍛えてるから。死霊教会奇跡『回復』。 はい、これでもうあなたの火傷は跡もなく治ったはずよ。私ね、奇跡の力なら結構自信あるの。今なら重傷の四肢切断でも大火傷でも治せる自信があるわ」
「あ、ありがとうございます……。私のような下々の者に奇跡を使っていただきまして……」
「おい、貴様ら何やってるんだ」
侍女の子を介抱するそんな優しい私の前に尊大な態度の男が現れた。
「よう、ダリヤ、久しぶりだな。親父にめっきり絞られてた上にまた何かやらかしたのか。あーあ、高い絨毯が汚れちまってるぜ」
「アフダル……お兄様……」
「ア、アフダル王子殿下……。絨毯は後ほど清掃しますので……」
この男は異母兄である。母親はライラと同じ第三王妃。サラシン帝国では一夫多妻制が認められている。そして彼はライラと性格がそっくりで私に何かといじわるをしてくる。はっきり言えば嫌いだ。
「なんだ、久しぶりにあったというのに悲しげな顔をしているな。俺に会えなかったのが寂しくてすねてるのか」
あー……、冗談キツイわー。背筋がゾクッとする。でも、家臣の前なので一応社交辞令で返事をしとこうかしら。
「ええ、お兄様。私をほっといてどこへ行かれていたのですか」
「なんだ聞いてなかったのか、西領国内の異教徒掃討へ出向いていたのだ。砦にいる連中はなかなか手強い奴らだった。どうやら敵は剣の腕はゴブリンにも劣るが、女みたいに癇癪起こして男へ向かって物を投げるのは得意らしい。見ろ、矢が腕と脚に当たったんだ。名誉の負傷だぞ。治してくれ」
ね、いじわるでしょ。
「見ろと言われましても、この通り私は目が見えない女です。お兄様もご存知でしょう。いじわるを仰らないでください」
「なら俺の部屋に来てくれ。そこで治してくれたら良い。お前が聖女なのは王族の男が戦場で負った傷を治すために天使が力を与えたのだからな」
そうかしら。天使様は私の活躍に期待すると仰ってた気がするけどダメな兄の世話をしろとは仰らなかったわ。
「ほら、早く来いよ。まったく昔からダリヤは一人じゃ何もできないな。ハハハッ」
「お兄様、そんなに手を引っ張らないでください。痛くないですけど脱臼しそうです」
私は半ば強引に兄の部屋へ連れられた。
「それでお兄様、どこをケガされたのですか?」
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カチャカチャ……。
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