上 下
15 / 16

しおりを挟む
駅迄の路のり、無言も駄目だし何か喋らないと……

 手を繋ぐってなんか変な感じ。この前までは普通の幼馴染みだったのに、いきなり恋人同士みたいにするのって反則だと思うんだよね。

 うー手が大きいなぁ何だか守られてるみたいな感じがする。Andreでは、私が女の子に歯の浮くようなセリフ平気で言えちゃうのに、反対になるとダメダメだ……

 Andreでは派手な男装してるし、2.5次元俳優になりきってるから平気なのに、それに同性だしね。そこが大きいのかなぁ 何故かノリノリで、できちゃうのに何故かこれは無理だ……汗が手に……汗が出ちゃうよぉ~


「あのさ……卓也さっきね。お姉ちゃんからもお金貰ったんだよね。お昼ご飯食べろって。どうする?結構な額あるかも」

「いくらあるの? 」

「お姉ちゃんからは1万円でお母さんはわかんない」

「おっ! すげー奮発してくれたな。じゃあ、お言葉に甘えて美味しい物食おうぜ! 何食いたい? 歩」

「えっとね……美味しいお肉」

「おっ! いいじゃん。じゃあさ焼肉行かねえか? 俺先輩に連れてって貰った美味い焼肉知ってんだよ」

「行きたい! 最近焼肉行ってないから行きたい」

「じゃあ予約取っとくわ」


卓也が、携帯を操作する為に難しかったのか繋いでた手を離した。

 急いで、服で手汗を拭いた。繋いでたら緊張するしドキドキするしで手汗もかいちゃうけど、離すとなんか寂しい……かも。


「取れたぞ予約。それにしても、今日の歩いつもに増して可愛いな。歩らしくていいんじゃないか」

「私らしさって?」

「歩はさ、何事にも流されないだろ。自分をきちんと持ってるって言うか、そーゆう所。

 後は、怖がりだろ。昔良く夏に怖いテレビ見た後、俺の部屋上がってきただろ。一緒に居てって。

 それに、優しさもあってさ、悪口も出来るだけ言わない様にしてただろ。

 昔、女の子達が集まって嫌いな奴の悪口言ってその子の家に行こうよって話してたの横で聞いてて、お前一人で止めてたろ。悪口も言わなかったよな。俺さ、そんとき公園の遊具の外に居たんだよ。お前達は遊具の中でコソコソ話してたから、気になって近づいて聞いたんだ。未だガキだったから盗み聞きも許せよ。

 歩は横でその子の少しでも良いとこを言ってたろ。そん時、歩はすげ~なって思ったんだよ。

 今日の服もさ、女の服はよく分からんが歩の好きな女の子らしいスカートと今の雰囲気に似合ってる革ジャンで良いなって思ってさ」

「ストップ! もういい! ストップ!その話、私にとっては失敗だったんだから。あの後、私がボッチになってさ一年間誰も話してくれなかった。何となく、話し合わせてれば切り抜けられたかもしれないのに。あの後すっごく辛かったから……

 この性格のせいで真面目とか融通がきかないとか話合わないとか、色々言われてきたんだから。いろんな人と適当に合わせて、楽しく話せる人になりたいよ」



自分のコンプレックスを刺激されて下を向いたら、頭を大きな手がグリグリ撫でられている。掌からあたたかさと優しさが流れ込んでくるみたいだ。安心する。


「俺はさ、そんな歩が好きだけどな」


頭から手の暖かさが無くなった。


「さっ、映画館行くぞ。俺スッゲー楽しみにしてたんだよ。この映画。それに4DX初めてだし。時間が無いし急ぐぞ」


卓也は、私の手をギュッと握って急ぎ足で駅迄の路を急いだ。





 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

(完結)親友の未亡人がそれほど大事ですか?

青空一夏
恋愛
「お願いだよ。リーズ。わたしはあなただけを愛すると誓う。これほど君を愛しているのはわたしだけだ」  婚約者がいる私に何度も言い寄ってきたジャンはルース伯爵家の4男だ。 私には家族ぐるみでお付き合いしている婚約者エルガー・バロワ様がいる。彼はバロワ侯爵家の三男だ。私の両親はエルガー様をとても気に入っていた。優秀で冷静沈着、理想的なお婿さんになってくれるはずだった。  けれどエルガー様が女性と抱き合っているところを目撃して以来、私はジャンと仲良くなっていき婚約解消を両親にお願いしたのだった。その後、ジャンと結婚したが彼は・・・・・・ ※この世界では女性は爵位が継げない。跡継ぎ娘と結婚しても婿となっただけでは当主にはなれない。婿養子になって始めて当主の立場と爵位継承権や財産相続権が与えられる。西洋の史実には全く基づいておりません。独自の異世界のお話しです。 ※現代的言葉遣いあり。現代的機器や商品など出てくる可能性あり。

不倫をしている私ですが、妻を愛しています。

ふまさ
恋愛
「──それをあなたが言うの?」

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

なりゆきで、君の体を調教中

星野しずく
恋愛
教師を目指す真が、ひょんなことからメイド喫茶で働く現役女子高生の優菜の特異体質を治す羽目に。毎夜行われるマッサージに悶える優菜と、自分の理性と戦う真面目な真の葛藤の日々が続く。やがて二人の心境には、徐々に変化が訪れ…。

お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?

さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。 私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。 見た目は、まあ正直、好みなんだけど…… 「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」 そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。 「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」 はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。 こんなんじゃ絶対にフラれる! 仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの! 実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。 

処理中です...