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しち

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俺は橘晶高校二年生。

 高校での俺は何故か落ち着いた大人っぽい奴になっている。

 友人も普通にいるし、偶にはふざけたりしている筈なのに、女達の最初の変なフィルターにより、変な俺が出来上がっている今現在だ。

 入学当時の俺は、自身のことや周りの事より、ある一人の人物の事しか頭に無く、一歩間違えばストーカ並みの事をしていた自覚もある。

 だからか、周りの人間には俺は冷淡な、かっこ良くいえばクールに見えたのだろう。

 その人物とは、幼稚園・小学校・中学校・高校とずーっと同じだった。クラスも同じ確率が何故か多かった幼馴染みの飯田華だ。

 華の事を俺は自然に好きになっていた。

 華の見た目や性格も勿論だが、綺麗で落ち着きのある心に響く唄声と、鋭く張り詰めそして悲しみの混じる歌詞を偶然にも聴いた時、俺は華を護りたい。側で元気付けてやりたい。抱き締めてゆっくり安心して休憩させてやりたい。

 そんな感情が芽生えたんだ。

 頭の良い華と同じ高校へ行けるように必死で勉強したし、人気のある華の横に居て、他の奴等を牽制もしてた。華はきっと何もわかっていないだろう。

 あいつの家族関係は薄々気付いていた。唄のことや唄の歌詞同様に心の中の傷にも知っていて知らないフリをした。

 華はきっと知られたくないだろうと思ったし、華からいつか話してくれる日を俺は待とうと思ったから。

 俺は高校へ進学したら、華に告白しようと決めていた! それなのに、気付いたら華の家は引っ越し居なくなっていた。

 色々調べて探したが、華の居場所はわからなかった。けど、きっと高校は一緒の筈だから、そこを頼りにしていた。

 俺は入学式のその日、華を見つけた。喜び駆け寄ろうとしたが、独りでたたずみ周りを遮断している様に感じて声を掛けることが出来なかった。

 その日から俺は、華の家を調べ状況を調べそして機会を伺った。今、きっと話しかけても華に拒絶されるのは目に見えていた。それ程、華は殻に篭っていた。時期を待つ必要があると思ったんだ。

 俺は将来、親を超えるヘアースタイリストになる事を決めていた。

 父親の店には、芸能人やモデルも多く来店していて、店は小さいが腕は確かで多くの人が笑顔で帰っていくそんな店なんだ。

 俺も父親の元でバイトしながら、腕を磨き将来は不器用な華の髪を綺麗に毎朝セットしてやる事を夢見ているんだ。

 あいつの唄も歌詞も良くわからないが、凄い事才能がある事だけは理解できた。俺は華がゆくゆくは外へ飛び出していく人間だと思ってるんだ、俺もあいつと一緒に羽ばたける様にヘアースタイリストの路を突き進んでいく決心をしている。

 
 そんな俺の我慢も一年を過ぎた頃からウズウズしてきて、とうとう華に話しかける事を決めた! 

 機会を伺い話しかけたそして、今やっと目の前で華の唄を聴ける所まで漕ぎ着けたんだよ。


「俺の将来の為に頑張るぞ!」



 
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