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国中総てに虐げられてた私は未来の皇后?

妖精からの能力(レイファ)

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「「えーーーーーーーーー!!!」」

「ルラック! どう言う事なの?」

「レイファ様! 大丈夫なのですか?」


私は抱き締められていた美人さんから離されて、ミミさんに両肩を掴まれ目線を合わせられた。

 ジッと、ミミさんに間近で見つめられていたたまれなくて、キョロキョロ周りを見渡したら、肩から手が外されミミさんに抱きつかれた。


「本当に良かったです。レイファ様のご様子がおかしくなり、私は私は……」

「まあまあ! なにわともあれ何だか平和に解決できたみたいで良かったじゃ無いの!

 今更だけど、あたしはアン。此処の店主よ~ 宜しくねぇ~

 貴女はレオン様からの注文のドレスのレイファちゃんね! 用意できてるんだけど……少し待ってくれるかしら? 貴女を観て少しイメージが変わっちゃったのよ~

 レイファちゃんの神秘的な感じを出したいわ! ミミさんどう?」

「はい、宜しくお願いします。レイファ様のドレスを完璧にしてください」

「了解よ~~ すこーし待っててねぇ」


アンさんはステップを踏みながら部屋から出て行きました。ドレスを作る事が本当に好きなんだなぁーって眺めていたら、美人さんに話しかけられました。


「私も自己紹介しないとね。私は辺境伯夫人デイビーズ・ラティラよ。王都には辺境領地経営物品店ナチュラルがあるから、よく来ているのよ」

「私は、皇后様のお住まいの離宮にお世話になっています。エバニス・レイファです。助けていただきありがとうございました」


私はカーテシをして挨拶しました。


「貴女を助けたのは私ではなく、多分ルラックね……」

「レイファ様。私、何か飲み物をいただいてきます。喉が渇いていますでしょ。それでは失礼します」


ミミさんがスッとドアを開けて出て行きました。すると、辺境伯夫人がソファに座って、白と黒の生き物を膝に乗せて背中を優しく撫でています。隣にどーぞという仕草をされたので、私もその隣に座りました。


「レイファちゃんの侍女さんは、とても良い方なのね。

 レイファちゃんだけに内緒の話をするわね。

私は力は何も無いけれど、ルラックは普通では無いのよ。

 ルラックはいきなり出現したの。不思議な湖の中から飛び出てきたのよ。それに私とは頭の中で会話できるの。後、数年は私の近くに居るらしいわよ。その後は自由になるそうだけどね」

(……おじょーが寂しそうだからずっと一緒に居てやっても良いし……)


ボソボソ、ルラック? の声が聞こえました。


「あら? それは嬉しいわ! これからも宜しくねぇ」

(ふんっだっ)

「あら? ルラック顔が何か赤いわよ?」

(うるさいよ、おじょー!)


本当にお二人の会話が、きちんと成立しているみたいです。お二人は信頼できる方達だと思ったので、私は今までの事を包み隠さずにお二人に話しました。




「妖精の泉ねぇ……」

(ルラックの故郷だよ。妖精の泉は。それにレイファは、かなりの加護を受けてるね……

 今、君が気付いている動物達の声と、もう一つは少し解釈が違うね……

 傷や病気を治すのではなく、時間を遡って元凶を無くすんだよ。かなりの体力を使うから気を付けてね~ 他にも有るけどそこは自分で探してね)


「ルラック私は何か力は無いの?」

(何言ってんのさ! おじょーはルラックと言う力があるでしょ)

「えーーーー! 何だか残念ね……」

(家出します)

「嘘よ嘘! ルラックで十分よ」

(えへへへへへへへ)


何だかルラック君? に驚くべき事を発表された様な気がするのに、お二人の会話でお手軽な感じがするのは何故でしょうか?

 そんな、お二人の掛け合いのお陰で、暖かな空気が流れている時、扉を叩く音がしてミミさんがお茶とお菓子を持って入ってきました。


「喉が渇いていますでしょ! 皆様潤して下さい」

「いただくわね。あら! 美味しいわね。アンのお店にこんなに風味の良いお茶などあったかしら?」


ミミさんの入れてくれたお茶を飲んで、ラティラさんがミミさんに驚いた様子で、聞いていました。


「このフレーバーティーは、フレア様手作りのお茶です。離宮から持参しました」

「フレア様? あ~ 皇后様ね! 長らくお会いしていないわね? お元気かしら?」

「フレア様はとても元気にされています。優しく親切な方です」


ラティラさんに笑顔で答えました。フレア様は、私にとって恩人と言っても良い方ですから、自然と微笑んでしまいます。

 それから、朗らかな雰囲気のお茶の時間だったのですが……

 何やらピリッとした感覚を感じました。


「ねぇレイファちゃん……さっきの事、聞いても良いかしら? 何故あの様な事になったのかしら?」

「……………………」


やはり先程の私の様子は、かなり良くなかったのだろう。ラティラさんとミミさんの心配する感情の気配を察知した。

 何と答えていいのか判らなくて悩んでいて、ふと横を見るとルラック君の耳が何故かピクピクしてる? 可愛いわね! 癒されるわ。


(レイファいま君は、何を察知したの)

察知? 耳が可愛い? 癒されるって事?

(違うよ! おじょーとお姉さんの気持ち読んだでしょ! 因みにこの会話はおじょーには聞こえてないから)

えっ? 気持ち? 私はただ……2人が心配してるんだって……えっ?

(レイファは人間の大まかな気持ちを察知できるんだよね。

 でも、この事は誰にも言わない様にね。人間は気持ちを読まれるのを良しとしないから、バレても良い事にはならないから)

わかったわ。気をつけるわ。

(あと、付け加えると未だあるから楽しんで見つけてね)

えっ? 未だあるの? そんなに要らないんだけど。

(必要だから授かったんだよ。貴女はキチンと使えるでしょ)






私は何故こんなにも人とは違う物を与えられたの。

 本当は普通が良いのに……目立ちたく無い。人と違うから差別されるの。親や姉妹からも忌み嫌われた。

 ラティラさんやミミさんの心配を解消してあげたいのに、この恐怖を感じる気持ちを言葉にできない……

 物心ついた頃から植え付けられた恐怖心。本心では、人間が本当は怖くて信じられないこの心。優しく親切な人に言えない……


「私の想像なんだけどね。レイファちゃんの来る前、店先で騒いでいたあの方達が原因かしら?

 私も追求したくは無いのだけれど、きっとあの方達は舞踏会に参加するわよ。
レイファちゃんも参加するのよね? 出逢うのが嫌なら参加は辞めた方が良いわよ。それを言いたくて」


良かった。少しホッとした。あの親子の事を言えばよかったのだ……私は考え過ぎていたのね。

 ありがたいと思う。ラティラさんは私の為に言ってくれているのだろう。舞踏会に参加すれば、きっと出逢ってしまうのだろう、あの家族と……


「さっきの方達は、私の姉妹と義母です。まさかこの国で会う事になるとは思っていなくて、いきなりの事だったので恐怖と驚きで、あの様になってしまいました。ご心配をお掛けしてすみませんでした」

「良いわよ。謝る様な事では無いわ。私も舞踏会に参加する事にしたから何かあったら頼りなさい。

 そういえば、同い年ぐらいなのかしら? 私の親戚のソフィアって子が居るんだけど、多分気が合いそうな感じだから紹介するわね」

「ソフィア? 第3王子様と婚約された?」

「えっ? 何で知ってるの近しい人しか知らない事よ」

「あっ! ごめんなさい……小鳥さんが噂していて…」

「あ~ そういう事ね~ どんな噂かしら? 聞いてみたいわね。楽しそうだわ」

「そうですね。楽しそうに話していましたよ。多分内密な事なのに、ごめんなさい」

「大丈夫よ。それに舞踏会で婚約の事は発表するらしいから、もうじき知れ渡る事になるしね」


舞踏会の様子等の話をしていたら、外から大声でアンさんが。


「レイファちゃん来て~ できたわよ!試着室よ~」

「もう! アンったら迎えにも来ないで仕方ないわね。ドレスの試着室迄、私が案内するわ。いらっしゃい」


ラティラさんの案内で試着室まで行く事になりました。どんなドレスなんだろう少し胸がワクワクしてきました。







〔おまけ小話〕

ねえ! ルラック何でレイファちゃんにキスしてたの? レイファちゃん覚えてないっぽいから誰も触れなかったけど、乙女には一大事なんだけど!!

(あれはキスじゃないもん! 身体中恐怖で溢れてたから恐怖を吸い取ったんだよ~

 おじょーも抱き締めてたでしょ。一緒だよ~ あれも同族として吸い取ってたんだよ。レイファその後可笑しいぐらいケロリとしてたでしょ。

 ルラックとおじょー 二人続けて吸い取られたら恐怖なんて、カケラも残んないよ~

 痛っ!? 何で頭叩くの? ルラック親切でしたんだよ!)


レイファちゃんの心を想うとルラックがファーストキスだなんて可哀想で……

 記憶にないからって済ませられないわよ! 飼い主としての責任で、レイファちゃんがキチンとした相手と、幸せになるのを見届けるまで。私はレイファちゃんのお姉ちゃんになるわよ!!

 ルラックもレイファちゃんに手助けするからね! それが責任よ。わかった?

〔えー! わかんないけど~ わかった)
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