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第3章 夏だ!海だ!バカンスだ!
出発準備
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雨が止んでから、気温は一気に上がった。
土の中で眠っていたセミの幼虫たちは地上に顔を出し、ミーンミーンと元気な声を響かせている。
青い空に、くっきりとした白い雲。
本格的な夏の到来だった。
「はぁ~忙しいですわ~!」
午後。
いつもせんべいをかじりながら昼ドラを見ているリリィは、珍しく忙しそうに動き回っていた。
「こんなこともあろうかと水着を購入した甲斐がありました!」
リリィは手に様々な服や水着を抱えて、トランクケースにぎゅうぎゅうと詰め込んでいる。
「かわいい水着にかわいいお洋服、サンダルに……ショコラさんだけじゃなくてミルとメルの分も……」
必需品リストを見ながら、リリィはブツブツと呟く。
茶色のトランクケースには、いろんな色の服や水着やサンダルなどが、キラキラとした輝きを放ちながら、収まっていた。
ショコラはそれをそわそわしながら、そばで見守っているのだった。
ロロたちが去ってから、十日ほどが経った。
日差しは益々強くなり、夏真っ盛りという時期。
明日から、ラグナルたちはロロが準備した夏の別荘へ、一週間ほど遊びにいくことになっていた。
リリィたちはその準備で大わらわになっているのだった。
「リリィ~ミルのお菓子入れて~」
「メルのも~」
忙しそうなリリィに、ミルメルが絡み付いて自分たちのお菓子を鞄に入れろとねだる。
「向こうでたくさん買えますから、不要な荷物は入れてはいけませんよ」
「え~」
「不要じゃないもん~」
だだをこねる二人。
リリィはため息をついた。
「ねえ、あたしの日焼け止めどこにやったのよ!?」
リビングにルーチェがぷんすか怒ってやってきた。
「日焼け止め? 知らないですよ」
「あたし、洗面所に置いてたのよ!」
「知らないですってば」
リリィとルーチェが喧嘩をし始める。
「おやついれちゃお~」
その間にミルとメルが鞄をいじり始めたので、見かねたショコラは、二人の手を引いて部屋から連れ出した。
「ミル、メル、あっち行こう?」
旅行の準備をしてくれているリリィの邪魔をするわけにはいかない。
ショコラの荷物は、すべてリリィが準備してくれることになっていた。
自分で持っていくものは、自分で準備するといったのだが、夏なのでついでに服を全部新調すると言って、持ち物は全てリリィが管理することになったのだ。
ショコラが今持っているお仕着せは、夏の海には似合わないらしい。
ショコラは服も水着も、リリィに、ひいてはラグナルのお金で買ってもらってしまった。
それに申し訳なさを感じるも、とにかく可愛い服を買いたいのだと、リリィは張り切っているのだった。
「ねえねえショコラ」
「ん?」
「ショコラ、泳げる?」
部屋に戻る道すがら、ミルとメルがショコラを見上げて言った。
ショコラは少し考えて、苦笑する。
「うーん、わたしは、もしかしたら泳ぐのは苦手かも……」
ショコラは深い水辺で泳いだことがないので、そこだけが心配だった。
第一、海なんて、見たこともないのだ。
普通の池や湖と違って、波というものがあるらしいので、気をつけないと流されてしまうかもしれない。
一応、ラグナルと一緒に勉強したので、知識だけはある。
「大丈夫。浮き輪あるし!」
ミルがクスッと笑う。
「ビニールのイルカさんもあるよ!」
メルが手でこんくらい大きいの! と示して見せた。
「浮き輪? 浮き輪ってなんですか?」
浮き輪にビニールのイルカ。
ショコラは聞きなれない単語に、首をかしげた。
「ショコラ、浮き輪知らないの?」
「ビニールのイルカさんも?」
「?」
はてなを浮かべるショコラ。
「それって、なんでしょうか?」
首をかしげながら廊下を歩く。
「えーっとねぇ……あ、ほらあれだよショコラ!」
ミルが目の前を指差してきゃっきゃとはしゃいだ。
「え? なんです……」
一体なんだというのか。
ショコラがミルの視線を辿って、廊下の先を見る。
すると廊下の先に不可解なものが見えて、ショコラはぎょっとして足を止めてしまった。
「!?」
「ぶくぶく……」
目の前にいる謎の少年。
青いアロハシャツを着て、短パンとビーチサンダルを履いている。
顔にはシュノーケリングマスクをし、腰にパイナップル模様の浮き輪をはめていた。
そしてビニールでできた大きなイルカさんを引きずっている。
「ご、ご主人様!?」
こんなおかしなことをするのは、ラグナルだけである。
どうやら一足先に、海を満喫(妄想)しているらしい。
海を泳いでいる設定なのだろうか。
「ショコラ……ぶくぶく……」
「ご主人様溺れてる!?」
溺れている設定らしい。
「これが浮き輪とイルカさんだよ……ぶくぶく……」
そう言ってくるりと回ってみせる。
「あ……浮き輪って空気が入ったわっかのことだったんだ……」
ショコラはラグナルの腰にあった浮き輪を見て、呟いた。
どうやらイルカも、水に浮くためのものらしかった。
「泳げなくても大丈夫だから……ぶくぶく……」
そう言って、ラグナルは自分の部屋にすう~っと入っていった。
「い、今のは一体……」
そう呟くと、ドアが再び開いてラグナルが顔をみせる。
「でも危ないから、明日は僕のそばを離れちゃダメだよ」
「は、はい」
それだけいうと、ラグナルは顔を引っ込めた。
「……」
幻か何かを見たような気分になったショコラだった。
「ショコラ、明日はいっぱい泳ごうね!」
「う、うん」
「それから砂でお城を作って~」
「貝殻拾いして~」
「「遊ぶの!!」」
二人は楽しそうにショコラの周りをパタパタと飛び回る。
「……うん!」
ショコラはにっこりと微笑んで、しっぽを振ったのだった。
「ところでショコラ」
「うん?」
ミルとメルはショコラを見上げて言った。
「ルーチェの日焼け止め、お料理ごっこで使っちゃった」
「使っちゃった!」
「え」
聞かなかったことにしたかった、ショコラなのだった。
◆
その日の夜。
明日は朝早くから出発するということだったので、ショコラはいつもより早めにベッドへ入った。
ミルとメルも隣でくうくうと眠っている。
「明日から、海かぁ……」
ベッドサイドのランプをつけて、ショコラは手に持った写真を見上げていた。
写真には、青い海と白い砂浜が写っている。
ショコラはネットでプリントアウトした海の写真を見て、そわそわしているのだった。
ショコラは海という存在を知ってはいるけれど、実際に見たことはない。ネットで検索して、ようやく海の景色を知ったくらいだ。
けれどラグナルによると、海は写真でみるよりももっと青くて、潮の香りがして、写真とは全然違うのだという。
「海って、どんなのかな……」
ショコラは海の青さを、波の音を想像してみた。
海の水はしょっぱいらしいが、本当なのだろうか?
まだ見たことのないものをみられる。
新しいこと知れる。
ショコラにとって、それはとても大切なことだった。
ショコラの世界をまた一つ、大きくしてくれるのだから。
「楽しみ……」
その日の夜、ショコラは写真を胸に抱いて、眠った。
明日からいよいよ、ショコラたちの旅行が始まる。
土の中で眠っていたセミの幼虫たちは地上に顔を出し、ミーンミーンと元気な声を響かせている。
青い空に、くっきりとした白い雲。
本格的な夏の到来だった。
「はぁ~忙しいですわ~!」
午後。
いつもせんべいをかじりながら昼ドラを見ているリリィは、珍しく忙しそうに動き回っていた。
「こんなこともあろうかと水着を購入した甲斐がありました!」
リリィは手に様々な服や水着を抱えて、トランクケースにぎゅうぎゅうと詰め込んでいる。
「かわいい水着にかわいいお洋服、サンダルに……ショコラさんだけじゃなくてミルとメルの分も……」
必需品リストを見ながら、リリィはブツブツと呟く。
茶色のトランクケースには、いろんな色の服や水着やサンダルなどが、キラキラとした輝きを放ちながら、収まっていた。
ショコラはそれをそわそわしながら、そばで見守っているのだった。
ロロたちが去ってから、十日ほどが経った。
日差しは益々強くなり、夏真っ盛りという時期。
明日から、ラグナルたちはロロが準備した夏の別荘へ、一週間ほど遊びにいくことになっていた。
リリィたちはその準備で大わらわになっているのだった。
「リリィ~ミルのお菓子入れて~」
「メルのも~」
忙しそうなリリィに、ミルメルが絡み付いて自分たちのお菓子を鞄に入れろとねだる。
「向こうでたくさん買えますから、不要な荷物は入れてはいけませんよ」
「え~」
「不要じゃないもん~」
だだをこねる二人。
リリィはため息をついた。
「ねえ、あたしの日焼け止めどこにやったのよ!?」
リビングにルーチェがぷんすか怒ってやってきた。
「日焼け止め? 知らないですよ」
「あたし、洗面所に置いてたのよ!」
「知らないですってば」
リリィとルーチェが喧嘩をし始める。
「おやついれちゃお~」
その間にミルとメルが鞄をいじり始めたので、見かねたショコラは、二人の手を引いて部屋から連れ出した。
「ミル、メル、あっち行こう?」
旅行の準備をしてくれているリリィの邪魔をするわけにはいかない。
ショコラの荷物は、すべてリリィが準備してくれることになっていた。
自分で持っていくものは、自分で準備するといったのだが、夏なのでついでに服を全部新調すると言って、持ち物は全てリリィが管理することになったのだ。
ショコラが今持っているお仕着せは、夏の海には似合わないらしい。
ショコラは服も水着も、リリィに、ひいてはラグナルのお金で買ってもらってしまった。
それに申し訳なさを感じるも、とにかく可愛い服を買いたいのだと、リリィは張り切っているのだった。
「ねえねえショコラ」
「ん?」
「ショコラ、泳げる?」
部屋に戻る道すがら、ミルとメルがショコラを見上げて言った。
ショコラは少し考えて、苦笑する。
「うーん、わたしは、もしかしたら泳ぐのは苦手かも……」
ショコラは深い水辺で泳いだことがないので、そこだけが心配だった。
第一、海なんて、見たこともないのだ。
普通の池や湖と違って、波というものがあるらしいので、気をつけないと流されてしまうかもしれない。
一応、ラグナルと一緒に勉強したので、知識だけはある。
「大丈夫。浮き輪あるし!」
ミルがクスッと笑う。
「ビニールのイルカさんもあるよ!」
メルが手でこんくらい大きいの! と示して見せた。
「浮き輪? 浮き輪ってなんですか?」
浮き輪にビニールのイルカ。
ショコラは聞きなれない単語に、首をかしげた。
「ショコラ、浮き輪知らないの?」
「ビニールのイルカさんも?」
「?」
はてなを浮かべるショコラ。
「それって、なんでしょうか?」
首をかしげながら廊下を歩く。
「えーっとねぇ……あ、ほらあれだよショコラ!」
ミルが目の前を指差してきゃっきゃとはしゃいだ。
「え? なんです……」
一体なんだというのか。
ショコラがミルの視線を辿って、廊下の先を見る。
すると廊下の先に不可解なものが見えて、ショコラはぎょっとして足を止めてしまった。
「!?」
「ぶくぶく……」
目の前にいる謎の少年。
青いアロハシャツを着て、短パンとビーチサンダルを履いている。
顔にはシュノーケリングマスクをし、腰にパイナップル模様の浮き輪をはめていた。
そしてビニールでできた大きなイルカさんを引きずっている。
「ご、ご主人様!?」
こんなおかしなことをするのは、ラグナルだけである。
どうやら一足先に、海を満喫(妄想)しているらしい。
海を泳いでいる設定なのだろうか。
「ショコラ……ぶくぶく……」
「ご主人様溺れてる!?」
溺れている設定らしい。
「これが浮き輪とイルカさんだよ……ぶくぶく……」
そう言ってくるりと回ってみせる。
「あ……浮き輪って空気が入ったわっかのことだったんだ……」
ショコラはラグナルの腰にあった浮き輪を見て、呟いた。
どうやらイルカも、水に浮くためのものらしかった。
「泳げなくても大丈夫だから……ぶくぶく……」
そう言って、ラグナルは自分の部屋にすう~っと入っていった。
「い、今のは一体……」
そう呟くと、ドアが再び開いてラグナルが顔をみせる。
「でも危ないから、明日は僕のそばを離れちゃダメだよ」
「は、はい」
それだけいうと、ラグナルは顔を引っ込めた。
「……」
幻か何かを見たような気分になったショコラだった。
「ショコラ、明日はいっぱい泳ごうね!」
「う、うん」
「それから砂でお城を作って~」
「貝殻拾いして~」
「「遊ぶの!!」」
二人は楽しそうにショコラの周りをパタパタと飛び回る。
「……うん!」
ショコラはにっこりと微笑んで、しっぽを振ったのだった。
「ところでショコラ」
「うん?」
ミルとメルはショコラを見上げて言った。
「ルーチェの日焼け止め、お料理ごっこで使っちゃった」
「使っちゃった!」
「え」
聞かなかったことにしたかった、ショコラなのだった。
◆
その日の夜。
明日は朝早くから出発するということだったので、ショコラはいつもより早めにベッドへ入った。
ミルとメルも隣でくうくうと眠っている。
「明日から、海かぁ……」
ベッドサイドのランプをつけて、ショコラは手に持った写真を見上げていた。
写真には、青い海と白い砂浜が写っている。
ショコラはネットでプリントアウトした海の写真を見て、そわそわしているのだった。
ショコラは海という存在を知ってはいるけれど、実際に見たことはない。ネットで検索して、ようやく海の景色を知ったくらいだ。
けれどラグナルによると、海は写真でみるよりももっと青くて、潮の香りがして、写真とは全然違うのだという。
「海って、どんなのかな……」
ショコラは海の青さを、波の音を想像してみた。
海の水はしょっぱいらしいが、本当なのだろうか?
まだ見たことのないものをみられる。
新しいこと知れる。
ショコラにとって、それはとても大切なことだった。
ショコラの世界をまた一つ、大きくしてくれるのだから。
「楽しみ……」
その日の夜、ショコラは写真を胸に抱いて、眠った。
明日からいよいよ、ショコラたちの旅行が始まる。
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