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1 明日葉明日香との遭遇
第3話
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彼女はピンク色の派手な財布からチケットを二枚取り出して、テーブルに置く。そこには、目の前の美女とはとてもマッチし得ないようなおどろおどろしい姿の怪物が数体写っていた。なにやら長ったらしい題名だ。そういえば、この前テレビでこんな映画の特集があっていたような気がする。
僕は迷った。いくらチケットがあるとはいえ、初対面である僕なんかにこれを使うのは、もったいないのではないのだろうか。
そんな思いが僕の表情に出ていたのか、彼女は、どうせもらい物だから、と付け足した。
「それに、どうせ一緒に行く相手もいないしね」
彼氏とかは、という言葉が出かけて、慌てて飲み込んだ。初対面の相手に対していくらなんでも失礼すぎると思ったからだ。しかし、さずがに恋人がいるのに他の男と一緒にどこかにでかけるというような人はそうそういないだろう。
「どう? 一緒に来てくれる?」
彼女は身を乗り出して最終ジャッジを迫ってきた。不安そうな瞳でこちらを見つめている。
僕にとって、彼女は正に恩人だ。その恩人の頼みとあれば、従わないわけにはいけないだろう。せっかくの彼女の好意を無碍にする理由もない。金もないから、どうせこの後やることもない。
僕が頷くと、彼女は女神のような笑みを満面に浮かべた。今日見た彼女のどの笑顔よりも、それは美しかった。
店内から一歩外に足を踏み出した瞬間、忘れかけていた猛烈な暑さが僕を襲う。中の涼しさが名残惜しかったが、仕方なく歩みを進めた。
コーヒーの値段は一杯120円。支払いのとき、いつか必ず返すから、いやいやこのぐらい、といったようなやり取りが数回行われ、結局彼女が先に折れた。まあ僕が折れることは絶対になかったのだが。
しかし、いつか、とはいうものの、また彼女に会う機会はこれから訪れるのだろうか、という思いも心の奥にあった。実際問題、彼女に今日出会えたことはまったくの偶然で、明日以降もう一度偶然的に会う確立など、天文学的数字なのではないだろうか。もしそうなら、僕は彼女にお金を返す機会さえないのだ。いや待て、それ以前に、僕はまた家に帰ることが出来るのだろうか……。
「どうしたの? 浮かない顔して」
隣を並んで歩いていた彼女が、僕の顔を覗き込む。その顔には、暑さなど一切感じさせないような気品が漂っていた。むしろ、涼しささえ感じられる。既に汗だらだらの僕とは大違いだ。
「まさか、映画嫌いだったとか?」
「いや、そんなことないさ。どちらかというと結構好きな方」
僕がそんな無難な答えを返すと、彼女はほっとしたように微笑み、歩くペースを速めだした。それに従い、僕も歩幅を広くする。
実を言うと、映画館で映画を見たことは、今まで生きてきて片手の指で数えられる程度だった。確か、最後に見たのは、小学五年生くらいだったと思う。その時何を見たかすら、今はもう思い出せない。
映画が結構好きというのは嘘ではない。面白そうなSFやパニックものが宣伝されていれば、見たいなという気持ちにはなる。しかし、いかんせん映画館は金が掛かる。僕の経済状況では、とてもじゃないが映画にまわすようなお金は残らない。もちろん、どうにかやり繰りをすれば映画を一回見るくらいの金は優に出来るが、そこまでして映画館で見ようとはどうしても思わないのだ。
だからなのかは知らないが、久しぶりに映画館で見る映画をなんだかんだで楽しみにしている僕がいた。
近くの映画館に着いた僕たちは、チケットを二枚見せて中に入った。受付の若い女性は、うっすらと笑みを浮かべながら対応していた。彼女の目には、僕たちの関係はどういう風に映っただろうか。まさか恋人同士ということはないだろうが、もしそうなら僕はとても彼女に失礼なことをしていることになる。
彼女はといえば、周りの目などまったく気にしていない様子でホールの指定された席に急いでいた。丁度ど真ん中というベストポジションに、二人で並んで座った。
「なんだか緊張するね」
そう言う彼女はとても楽しそうだ。
本編が始まる前の予告を眺めながら、僕は彼女について再度考察してみた。
第一印象では清楚なお嬢様といった感じだったが、見る限りでは、中身は子供のように無邪気で無防備だ。誰とでも仲良くなれるような性格とでもいうべきだろうか。とにかく、裏表がないような純粋さがそこにはあるように思える。
しかし、いくらなんでも彼女は無防備すぎるのではないのだろうか。初対面の男と一緒に映画まで観るとは、彼女には他人に対する不信感というものはないのだろうか。僕みたいな男だったからよかったものの、彼女に何か危害を与えるような卑劣な男だったら、一体どうするつもりだったのだろうか。やはり、彼女にはその辺の危機感というものを持ってもらわないと……。
などと要らぬおせっかいを考えているうちに、映画が始まったので、そちらに集中することにした。
※
「面白かったねー!」
子供のように無垢な笑顔を浮かべて、彼女は楽しそうにそう話しかけてくる。今にもスキップでもしだしそうな表情だ。
「あ、うん、そうだね……」
一方の僕はといえば、憔悴しきったような顔でうなだれていた。
最近の映画というものを舐めすぎていたようだ。とても作り物とは思えないくらいリアルな怪物たちがスクリーン中に所狭しと映し出され暴れまわるシーンが特に印象的で、思い出すだけでも背筋が凍りそうになるほどの恐怖に襲われる。なぜかそこでけらけらと笑う彼女の声でさえ、とても不気味に思えたものだ。
「……ああいう映画、好きなの?」
「うん! 面白いよね!」
きらきらと輝く彼女の笑みに、僕は投げやり気味に頷いた。
映画館を出る。時刻はまだ午後三時過ぎ。暑さは無論変わっていない。
「ありがとね、今日は付き合ってくれて」
僕の正面に立って両手を後ろで組みながら、彼女は頭を下げた。きれいな黒髪がふわりと浮いた。
「いや、こちらこそ、おごってもらった上に、映画まで観させてくれて。本当に感謝してるよ」
言いながら、僕は考えていた。そうか、ここで彼女とはもうお別れなのか……。今日、偶然にも初めて会って、数時間を共にしたというだけだが、いざ別れるとなると、なんだか寂しい気持ちにもなる。彼女とは、もう二度と会わないのかもしれないのだから。
「この恩は、次会ったとき、必ず返すから」
僕の言葉に、彼女はにっこりと微笑んだ。
「じゃあ、必ず返してね」
「ああ、約束する」
「よし。なら、はい!」
彼女は右手を突き出すと、小指を立てた。一瞬迷ったが、すぐに理解し、僕も右手の小指を立てて、彼女のものと交わらせた。
「指きりげんまん嘘ついたらハリセンボンのーます」
無邪気に彼女は歌う。僕はさすがに恥ずかしくて歌えなかった。彼女は指を離すと、片手を挙げて言った。
「またね、零君」
僕が返事をする暇もなく、彼女は振り返り、足早に人ごみの中へ去っていった。残された僕は、しばらくその後姿を目で追っていた。
「明日葉明日香……か」
もう二度と会うことはないであろうその人の名前をぽつりと呟き、僕もそろそろ帰ろうかと思ったとき、何かを忘れていることに気がついた。なんだっけ、何か、大事なことだったような――。
「……金ないじゃん!」
そうだ、一番大事なことをすっかりと忘れていた。そういえば、その件についてはまだ一ミリも解決に進んでいないじゃないか。
途方に暮れるとはまさにこのことだろうか。唯一の救いの助けだった彼女と別れた僕は今、もはや誰にすがることも出来なくなってしまったのだ。
歩いて帰る? いや、さすがに遠すぎる。タクシーを拾うとかは? タクシーとか乗ったことないからわかんない。そもそもどこで拾うんだよ。ヒッチハイク? 論外かな。
考えても一向にアイディアが浮かばない。じりじりとした暑さが僕の思考を妨げる。ああ、またこの状況か……。
もう何も考えられなくなったくらいにまで陥ったときだったろうか――。
「零? 何してんの、こんなところで?」
聞き覚えのある高い声。
悪魔という名の天使が、そこに舞い降りた。
僕は迷った。いくらチケットがあるとはいえ、初対面である僕なんかにこれを使うのは、もったいないのではないのだろうか。
そんな思いが僕の表情に出ていたのか、彼女は、どうせもらい物だから、と付け足した。
「それに、どうせ一緒に行く相手もいないしね」
彼氏とかは、という言葉が出かけて、慌てて飲み込んだ。初対面の相手に対していくらなんでも失礼すぎると思ったからだ。しかし、さずがに恋人がいるのに他の男と一緒にどこかにでかけるというような人はそうそういないだろう。
「どう? 一緒に来てくれる?」
彼女は身を乗り出して最終ジャッジを迫ってきた。不安そうな瞳でこちらを見つめている。
僕にとって、彼女は正に恩人だ。その恩人の頼みとあれば、従わないわけにはいけないだろう。せっかくの彼女の好意を無碍にする理由もない。金もないから、どうせこの後やることもない。
僕が頷くと、彼女は女神のような笑みを満面に浮かべた。今日見た彼女のどの笑顔よりも、それは美しかった。
店内から一歩外に足を踏み出した瞬間、忘れかけていた猛烈な暑さが僕を襲う。中の涼しさが名残惜しかったが、仕方なく歩みを進めた。
コーヒーの値段は一杯120円。支払いのとき、いつか必ず返すから、いやいやこのぐらい、といったようなやり取りが数回行われ、結局彼女が先に折れた。まあ僕が折れることは絶対になかったのだが。
しかし、いつか、とはいうものの、また彼女に会う機会はこれから訪れるのだろうか、という思いも心の奥にあった。実際問題、彼女に今日出会えたことはまったくの偶然で、明日以降もう一度偶然的に会う確立など、天文学的数字なのではないだろうか。もしそうなら、僕は彼女にお金を返す機会さえないのだ。いや待て、それ以前に、僕はまた家に帰ることが出来るのだろうか……。
「どうしたの? 浮かない顔して」
隣を並んで歩いていた彼女が、僕の顔を覗き込む。その顔には、暑さなど一切感じさせないような気品が漂っていた。むしろ、涼しささえ感じられる。既に汗だらだらの僕とは大違いだ。
「まさか、映画嫌いだったとか?」
「いや、そんなことないさ。どちらかというと結構好きな方」
僕がそんな無難な答えを返すと、彼女はほっとしたように微笑み、歩くペースを速めだした。それに従い、僕も歩幅を広くする。
実を言うと、映画館で映画を見たことは、今まで生きてきて片手の指で数えられる程度だった。確か、最後に見たのは、小学五年生くらいだったと思う。その時何を見たかすら、今はもう思い出せない。
映画が結構好きというのは嘘ではない。面白そうなSFやパニックものが宣伝されていれば、見たいなという気持ちにはなる。しかし、いかんせん映画館は金が掛かる。僕の経済状況では、とてもじゃないが映画にまわすようなお金は残らない。もちろん、どうにかやり繰りをすれば映画を一回見るくらいの金は優に出来るが、そこまでして映画館で見ようとはどうしても思わないのだ。
だからなのかは知らないが、久しぶりに映画館で見る映画をなんだかんだで楽しみにしている僕がいた。
近くの映画館に着いた僕たちは、チケットを二枚見せて中に入った。受付の若い女性は、うっすらと笑みを浮かべながら対応していた。彼女の目には、僕たちの関係はどういう風に映っただろうか。まさか恋人同士ということはないだろうが、もしそうなら僕はとても彼女に失礼なことをしていることになる。
彼女はといえば、周りの目などまったく気にしていない様子でホールの指定された席に急いでいた。丁度ど真ん中というベストポジションに、二人で並んで座った。
「なんだか緊張するね」
そう言う彼女はとても楽しそうだ。
本編が始まる前の予告を眺めながら、僕は彼女について再度考察してみた。
第一印象では清楚なお嬢様といった感じだったが、見る限りでは、中身は子供のように無邪気で無防備だ。誰とでも仲良くなれるような性格とでもいうべきだろうか。とにかく、裏表がないような純粋さがそこにはあるように思える。
しかし、いくらなんでも彼女は無防備すぎるのではないのだろうか。初対面の男と一緒に映画まで観るとは、彼女には他人に対する不信感というものはないのだろうか。僕みたいな男だったからよかったものの、彼女に何か危害を与えるような卑劣な男だったら、一体どうするつもりだったのだろうか。やはり、彼女にはその辺の危機感というものを持ってもらわないと……。
などと要らぬおせっかいを考えているうちに、映画が始まったので、そちらに集中することにした。
※
「面白かったねー!」
子供のように無垢な笑顔を浮かべて、彼女は楽しそうにそう話しかけてくる。今にもスキップでもしだしそうな表情だ。
「あ、うん、そうだね……」
一方の僕はといえば、憔悴しきったような顔でうなだれていた。
最近の映画というものを舐めすぎていたようだ。とても作り物とは思えないくらいリアルな怪物たちがスクリーン中に所狭しと映し出され暴れまわるシーンが特に印象的で、思い出すだけでも背筋が凍りそうになるほどの恐怖に襲われる。なぜかそこでけらけらと笑う彼女の声でさえ、とても不気味に思えたものだ。
「……ああいう映画、好きなの?」
「うん! 面白いよね!」
きらきらと輝く彼女の笑みに、僕は投げやり気味に頷いた。
映画館を出る。時刻はまだ午後三時過ぎ。暑さは無論変わっていない。
「ありがとね、今日は付き合ってくれて」
僕の正面に立って両手を後ろで組みながら、彼女は頭を下げた。きれいな黒髪がふわりと浮いた。
「いや、こちらこそ、おごってもらった上に、映画まで観させてくれて。本当に感謝してるよ」
言いながら、僕は考えていた。そうか、ここで彼女とはもうお別れなのか……。今日、偶然にも初めて会って、数時間を共にしたというだけだが、いざ別れるとなると、なんだか寂しい気持ちにもなる。彼女とは、もう二度と会わないのかもしれないのだから。
「この恩は、次会ったとき、必ず返すから」
僕の言葉に、彼女はにっこりと微笑んだ。
「じゃあ、必ず返してね」
「ああ、約束する」
「よし。なら、はい!」
彼女は右手を突き出すと、小指を立てた。一瞬迷ったが、すぐに理解し、僕も右手の小指を立てて、彼女のものと交わらせた。
「指きりげんまん嘘ついたらハリセンボンのーます」
無邪気に彼女は歌う。僕はさすがに恥ずかしくて歌えなかった。彼女は指を離すと、片手を挙げて言った。
「またね、零君」
僕が返事をする暇もなく、彼女は振り返り、足早に人ごみの中へ去っていった。残された僕は、しばらくその後姿を目で追っていた。
「明日葉明日香……か」
もう二度と会うことはないであろうその人の名前をぽつりと呟き、僕もそろそろ帰ろうかと思ったとき、何かを忘れていることに気がついた。なんだっけ、何か、大事なことだったような――。
「……金ないじゃん!」
そうだ、一番大事なことをすっかりと忘れていた。そういえば、その件についてはまだ一ミリも解決に進んでいないじゃないか。
途方に暮れるとはまさにこのことだろうか。唯一の救いの助けだった彼女と別れた僕は今、もはや誰にすがることも出来なくなってしまったのだ。
歩いて帰る? いや、さすがに遠すぎる。タクシーを拾うとかは? タクシーとか乗ったことないからわかんない。そもそもどこで拾うんだよ。ヒッチハイク? 論外かな。
考えても一向にアイディアが浮かばない。じりじりとした暑さが僕の思考を妨げる。ああ、またこの状況か……。
もう何も考えられなくなったくらいにまで陥ったときだったろうか――。
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