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第七章 ダンジョンには女神様が待っている
6、ダンジョン包囲網☆選択!? ダンジョンか死か……
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☆☆☆
マリアクアの騎士マイルズは、燃えていた。
任務で町を出たときには、釈然としないものを感じていたのだが……。
マリアースの町で聞き込みを行いダンジョン入り口で、アキノカズヤが出てくるのを待っていた。
そのとき、連絡が来た。
アキノカズヒロ、アキノカオリ、アキノカノン追跡対象の家族も手配されたのだ。
それも、あの街道モンスターと関わりありとして。
アキノカズヤを追い未知の街道モンスターに襲われた。そして、街道モンスターに関わりありとして、その家族が手配される。
関係が、ない訳がない! 密かに調査されていたのだろう。
プリン堂などという甘いスイーツ店の看板の陰で、いかなる悪を企んでいたのか……。一味の面々は、いまダンジョン内にいるらしい。
マイルズは確信する。正義は、自分達と共にある。
周辺の町からも増援が駆けつけてきていた。
ダンジョンは女神の領域であり、人同士の争いを好まない。
相手が未知の街道モンスターと関わる悪ならば、構わないのでないか? と言う声もあるが、自ら踏み込む勇気は流石にない様だ。
もともとアキノカズヤが出てきたら、後をつけてダンジョン領域外で捕縛する予定だった。それでも無実の者が対象なら、女神の呪いの不安はあった。
充分な増員が得られ、ダンジョン領域を囲むように兵を配置する事になる。
ダンジョン入り口には、伝言スキルを持つ隊員と一味の顔を知っている隊員が待ち構える。
顔を知っている者は、恋人にスイーツを買いに並ばされた事があるという……。
「話には聞いていたんだけど、そんなに美味かったのか?」
「ああ、絶品だった。こんなに美味いものがあるのかと思ったよ」
「……今回の事で、もう食えなくなるのか。食べておくんだったかな」
「美味いけど、高いんだ……そうそう、食えるもんじゃなかった」
「……ついでに拷問してでも、そのレシピとか聞き出せないものかね?」
「うん、そうだな。そうすれば、もっと安く食べられるようになるかも」
「……高級品は、そうそう安くならんさ」
雑談を交わしながら、夜を明かし間もなく交代時間かという頃、ダンジョンから出てくる者たちがいた。
顔を知っていると言う男が姿を見て、緊張すると伝言スキルを持つ男に合図を送る。
『伝言! 伝言! 一味の者がダンジョンより出てきました! 手配の者に加え、男二人女一人います。一味の総勢は、七名であります!』
☆☆☆
地下20階のセーフティゾーンで一泊したボク達は、ダンジョンの入り口を目指す。
戦闘は何の問題もない。もはやこの辺りでは、素振りに毛が生えた程の経験値しか入らないだろう。
「じゃあ、ダンジョンを出た後は第七王家の領地を目指すって事で」
「そうだね、ここから一番近いし」
「しばらくは、旅暮らしですね」
旅暮らしと聞いて、和也君と花音ちゃんは嬉しそうだ。ずっと町中の暮らしだったみたいだからね。
ダンジョンの外に出ると、ダンジョン入り口で野営をしていた二人の男がこちらを見ている。どこか、不自然だった。
『カイト、この人たち待ってたよ』
『なにか、れんらくしてる?』『あやし~』
「ちょっと、ここで小休止します。ぽち、たま、うさ子」
『他に、何か分かるか周りを探って』
ぽち、たま、うさ子の名を呼んだことで、単なる小休止でないことを理解したようで、当たり障りのない内容の会話をしながら寛いだふりをしている。
『人がいっぱいいる』『囲まれてる』
『うまもいっぱい』『たたかいなれてる?』
『つよいかも?』
『『『……まちぶせしてる』』』
『うさ子、リンクして様子を探らせて』
どうやら、200名近くの兵士にダンジョンが包囲されているらしい……。さてと、どうしたものか。小声で和弘さんに尋ねる。
「幻影魔法って、音とか誤魔化せます? 相談したいんですけど」
「……できるよ。任せてくれ」
「もう、大丈夫だよ。普通に喋ってもあの二人には聞こえない」
和弘さんの言葉を聞き、つづいてボクの方を皆がみる。ぽち、たま、うさ子の探知能力はすでに皆の知るところでなのだ。
「あそこの二人が、見張りでボク達の出てきたのを知らせたみたいです。
で、ダンジョンの周りに、200名以上が待ち伏せています。……強いみたいです。あの二人を見ても感じられますが正規兵じゃあないでしょうか」
「……狙いは、わたし達だな」
「ブランカさんマリアさん。ボク達に、正規兵200名の包囲網を抜けられると思いますか?」
「ダメですね」
「……全員無事には無理です」
「……じゃあ、いける方向は一つしかないですね」
「「「……?」」」
「えっどこへ?」「「……」」
「ダンジョンへ戻りましょう! 皆でダンジョンをクリアします!」
マリアクアの騎士マイルズは、燃えていた。
任務で町を出たときには、釈然としないものを感じていたのだが……。
マリアースの町で聞き込みを行いダンジョン入り口で、アキノカズヤが出てくるのを待っていた。
そのとき、連絡が来た。
アキノカズヒロ、アキノカオリ、アキノカノン追跡対象の家族も手配されたのだ。
それも、あの街道モンスターと関わりありとして。
アキノカズヤを追い未知の街道モンスターに襲われた。そして、街道モンスターに関わりありとして、その家族が手配される。
関係が、ない訳がない! 密かに調査されていたのだろう。
プリン堂などという甘いスイーツ店の看板の陰で、いかなる悪を企んでいたのか……。一味の面々は、いまダンジョン内にいるらしい。
マイルズは確信する。正義は、自分達と共にある。
周辺の町からも増援が駆けつけてきていた。
ダンジョンは女神の領域であり、人同士の争いを好まない。
相手が未知の街道モンスターと関わる悪ならば、構わないのでないか? と言う声もあるが、自ら踏み込む勇気は流石にない様だ。
もともとアキノカズヤが出てきたら、後をつけてダンジョン領域外で捕縛する予定だった。それでも無実の者が対象なら、女神の呪いの不安はあった。
充分な増員が得られ、ダンジョン領域を囲むように兵を配置する事になる。
ダンジョン入り口には、伝言スキルを持つ隊員と一味の顔を知っている隊員が待ち構える。
顔を知っている者は、恋人にスイーツを買いに並ばされた事があるという……。
「話には聞いていたんだけど、そんなに美味かったのか?」
「ああ、絶品だった。こんなに美味いものがあるのかと思ったよ」
「……今回の事で、もう食えなくなるのか。食べておくんだったかな」
「美味いけど、高いんだ……そうそう、食えるもんじゃなかった」
「……ついでに拷問してでも、そのレシピとか聞き出せないものかね?」
「うん、そうだな。そうすれば、もっと安く食べられるようになるかも」
「……高級品は、そうそう安くならんさ」
雑談を交わしながら、夜を明かし間もなく交代時間かという頃、ダンジョンから出てくる者たちがいた。
顔を知っていると言う男が姿を見て、緊張すると伝言スキルを持つ男に合図を送る。
『伝言! 伝言! 一味の者がダンジョンより出てきました! 手配の者に加え、男二人女一人います。一味の総勢は、七名であります!』
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地下20階のセーフティゾーンで一泊したボク達は、ダンジョンの入り口を目指す。
戦闘は何の問題もない。もはやこの辺りでは、素振りに毛が生えた程の経験値しか入らないだろう。
「じゃあ、ダンジョンを出た後は第七王家の領地を目指すって事で」
「そうだね、ここから一番近いし」
「しばらくは、旅暮らしですね」
旅暮らしと聞いて、和也君と花音ちゃんは嬉しそうだ。ずっと町中の暮らしだったみたいだからね。
ダンジョンの外に出ると、ダンジョン入り口で野営をしていた二人の男がこちらを見ている。どこか、不自然だった。
『カイト、この人たち待ってたよ』
『なにか、れんらくしてる?』『あやし~』
「ちょっと、ここで小休止します。ぽち、たま、うさ子」
『他に、何か分かるか周りを探って』
ぽち、たま、うさ子の名を呼んだことで、単なる小休止でないことを理解したようで、当たり障りのない内容の会話をしながら寛いだふりをしている。
『人がいっぱいいる』『囲まれてる』
『うまもいっぱい』『たたかいなれてる?』
『つよいかも?』
『『『……まちぶせしてる』』』
『うさ子、リンクして様子を探らせて』
どうやら、200名近くの兵士にダンジョンが包囲されているらしい……。さてと、どうしたものか。小声で和弘さんに尋ねる。
「幻影魔法って、音とか誤魔化せます? 相談したいんですけど」
「……できるよ。任せてくれ」
「もう、大丈夫だよ。普通に喋ってもあの二人には聞こえない」
和弘さんの言葉を聞き、つづいてボクの方を皆がみる。ぽち、たま、うさ子の探知能力はすでに皆の知るところでなのだ。
「あそこの二人が、見張りでボク達の出てきたのを知らせたみたいです。
で、ダンジョンの周りに、200名以上が待ち伏せています。……強いみたいです。あの二人を見ても感じられますが正規兵じゃあないでしょうか」
「……狙いは、わたし達だな」
「ブランカさんマリアさん。ボク達に、正規兵200名の包囲網を抜けられると思いますか?」
「ダメですね」
「……全員無事には無理です」
「……じゃあ、いける方向は一つしかないですね」
「「「……?」」」
「えっどこへ?」「「……」」
「ダンジョンへ戻りましょう! 皆でダンジョンをクリアします!」
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