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番外編

騎士トーマの、ついているかいないのかわからない日常

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カルクーラ王国騎士団所属の騎士トーマにとって、その3日間は、ついているのかいないのかさっぱりわからない日々であった。

出だしは間違いなくついていなかったと言える。
年に一度の騎士達による御前試合。勝ち残り方式のトーナメント戦20歳未満の部の1回戦で、よりによって彼は、優勝候補の騎士に当たってしまったのである。
これをついていないと言わずに何をそう言うのだと思う。
トーマは18歳。その年齢の騎士としては決して弱くはないと胸を張って言える実力がある。
彼は、ここカルクーラ王国でも武で有名な地方領の出身だった。幼いころから武芸に親しみ、10年に1人の逸材と言われて王都の騎士団に鳴り物入りで入団した程の腕前なのだ。
ただ、残念な事にこの騎士団には10年に1人のトーマを上回る、100年に1人の逸材が存在していたのだった。
何もそんな100年に1人なんて珍しい存在を自分と同年代にぶつける必要はないのではないかと思うのだが、いるものはいるのだから仕方ない。
(そいつに初戦でぶつかるんだから、俺はついていないよな)
トーマの考えに誰だって賛成してくれるはずだった。
それでも彼は全力で試合に臨み――――完敗した。
相手の腕にたった1回剣をかすらせることしかできなかった試合に、わかっていた結果とはいえトーマは落ち込む。試合終了後、既に近衛に昇進している相手の騎士が観戦していた女王陛下に直に称賛のお言葉をいただく姿を見ていられず、逃げるように会場を後にした彼はそのまま自室に閉じこもり結果昼食も夕食も食べ損ねたのだった。
まさに踏んだり蹴ったりとはこの事である。
(本当についてない)
夜中、あまりの空腹に耐えかねて城の厨房に向かったトーマは完璧に落ち込んでいた。厨房付近は人気もなく、暗闇が彼の落ち込みに拍車をかける。
トボトボと歩く彼の鼻が、香ばしい匂いを嗅ぎつけたのは、目的とした厨房付近に仄かな明かりを見つけたのと同時だった。
(こんな時間に何だ?)
不審に思いながらも、クンクンと鼻をならし辿り着けば、そこには予想通りこの真夜中に調理をしている人間がいた。
「誰だ!」
当然トーマは厳しい声で誰何する。
ビクッと震えたその人物は、ギギギッと音がしそうな程ぎこちない動きでこちらを振り返った。
それは、白いエプロンに三角巾を着けた城の下働きと思われる格好をした女性だった。
真夜中に灯かりはランプ1つだけという状況で、細部はよく見えないもののギュッと縛られた三角巾からこぼれる黒髪と微かな光に反射して光る黒い瞳が見て取れる。
「ごめんなさい!」
まだ昼間の騎士服のままで着替えていないトーマを見回りの兵とでも思ったのだろう、女性は深々と頭を下げた。
「どうしても、今夜中にコドゥが作りたくって、勝手に厨房を借りていたの。お願い、この事は誰にも言わないでっ」
どうやら女性は、軽く手でつまんで食べられるお菓子コドゥを焼いていたようだった。
必死に頭を下げ、両手を顔の前に合わせてトーマに頼み込んでくる。
「……別に、かまわないけれど」
何でこんな夜中にと思いながらも、トーマはその女性の迫力に押されるように呟いた。
城の厨房で下働きが料理をしている事は、特に責められるような事でも何でも無い。問題なのはこの時間帯だろうが、それだって夜中に厨房を使うなという決まりがあるわけではないだろう。そもそも騎士であるトーマに城の厨房に関する権限など何も無いのである。彼がその女性を咎めたてる理由は何も無かった。
女性は、あからさまにホッと大きな息を吐く。
小さな灯かりに照らされて赤い唇が嬉しそうな笑みを浮かべる様子が見えて、トーマの心臓がドクンと1つ脈打った。
「あっ――――ほら、見ていないでいいのか?なんだか焦げた匂いがするぞ」
何故か焦ってトーマは、女性に声をかける。
しかし焦げた匂いというのは本当の事で、「え?」と言った女性は慌てて振り返り、世にも哀しそうな悲鳴をあげた。
「きゃあぁぁ~っ。クッキーがぁ!」
(クッキー?)
聞きなれない言葉にトーマは首を傾げる。
「何だそれは?」と聞こうとしたら、小さな悲鳴があがってそれどころではなくなった。
あたふたしながら窯からコドゥを取り出そうとした女性が、焦るあまり熱い鉄板に指を触れたのだ。
「アツッ!」
「大丈夫かっ?」
慌てて女性の手を引き寄せ赤くなった指先に治癒術をかける。
あまりに弱い力なのでほとんど役に立たないが、トーマは治癒術が使えるのだった。
「スゴイ」
それでもみるみる赤みの引いていく様子に、女性が感激したように声を上げる。
「ありがとう」
そのままトーマを見つめてきた。
「――――?!」
トーマは息をのむ。
手を取り合って見つめ合うという超至近距離であらためて見たその女性は――――もの凄く美しかったのだ。
「あっ、あの、いや、その……大したことじゃない」
つるつるすべすべのきめ細やかな白い肌に、大きく吸い込まれそうな黒曜石の瞳、スッと通った鼻筋も赤い唇も、全てこの世のモノとも思えぬような完璧な美貌がそこにあった。
「あ、その……そうだっ! 俺、俺がコドゥを出してやるから。危ないからあんたはそこに座ってろっ」
トーマはもの凄く焦りまくって手を放すと、凄い勢いで窯の中からコドゥを取り出した。
心臓がバクバクいって、顔が熱い。
(こんな美人はじめて見た!!)
流石、王城。下働きの女性のレベルも半端ないとトーマは感心した。未だ遠目にしか見たことがないが、美人と噂の女王陛下もこんなに美しいのだろうかと呆然と考える。
(一緒にしたら不敬かも。でも、ホントに美人だ)
ドキドキしながら様子を窺った女性は、取り出したコドゥを見てガックリと肩を落としていた。
可愛い小鳥の形をした20枚程のコドゥは、思った通り半分以上が焦げていたのだった。
そのあまりにもしょんぼりした様子に、美人に緊張していたトーマの力が抜ける。
焦げたコドゥを前に泣き出しそうな女性の姿は、何というか情けなくて、とても可愛かった。
「あ~ん。せっかく頑張って焼いたのにぃ。やっぱり直火の窯は難しいわよね。私電子オーブンレンジしか使ったことないし……」
女性は何やらブツブツと呟いている。
苦笑しながら近づいたトーマは、何気なく手を伸ばすと焦げたコドゥを1枚掴みヒョイッと自分の口の中に放り込んだ。
「あっ!」
「うん。大丈夫だ。美味い。」
モグモグと咀嚼してのみこむと、本当はちょっと苦かったがそう言ってやる。
ニッと笑いかけた。
「コドゥは焼いた分、全部必要なのか?」
トーマの質問に、呆気にとられていた女性は首をフルフルと横に振る。
「ううん。多分7~8枚くらいあれば大丈夫のはずだけど」
「じゃあ、こっち側の焦げたヤツは俺がもらってやるよ。そっちのまともそうなヤツで数は間に合うだろう」
トーマの提案に女性は美しい目を真ん丸にした。
「そんなっ、悪いわ」
「悪くなんかない。どうせこれは捨ててしまうつもりなんだろう。だったら俺にくれ。実は俺は今日、朝食以外何も食べていないんだ」
トーマはそう言うと、自分が御前試合の1回戦で負けた事とそれから何も食べていない事を話して聞かせた。
女性はびっくりした顔でまじまじとトーマを見る。
それから、何か思い出したようにポン! と手を叩いた。
「ああ、ホントだわ。1回戦でホルグに負けた人ね。……確か、トーマ。負けはしたけどホルグの腕に一太刀入れたってダリウスが凄く感心していたわ。大丈夫、みんなあなたを褒めていたわよ」
彼女はニコニコとしてトーマを慰めてくれた。
(……って!おい。みんな呼捨てかよ?! 俺やホルグはまだしも、ダリウス将軍までっ!)
トーマは頭を抱えたくなった。
ダリウス将軍というのは女王陛下の覚えもめでたいこの国の英雄である。トーマも憧れるその英雄将軍を呼捨てなんて、女って怖いもの知らずだなと思う。
おそらく彼女は貴族付きの下働きか何かで、たまたま今日の試合を見ていたダリウス将軍の近くに居たのだろう。会話を小耳にはさんだのだと思われたが、呼捨ては有り得なかった。
もちろん落ち込んでいるトーマを慰めるための嘘という可能性もあるが、初対面のはずの彼の名前を言い当てたのだ、まるっきりでたらめという訳でもないだろう。
単純ではあるが、ダリウス将軍に褒めてもらえた可能性にトーマの気分は一気に浮き上がった。
「本当に?」
「ホントよ。何だったら証言させてもいいわ」
誰に何を証言させるのかとは思ったが、嬉しさは倍増だった。
「そこまでしなくていいさ。そのかわりにコドゥをくれ。焦げていても大丈夫だから」
「でも、悪いわ」「悪くない」そんなやりとりを何回か繰り返して、結局トーマは焦げたコドゥのほとんどを引き取ることになった。
なんとか大丈夫な分を取り分けて、残りの何枚かはその場で2人で食べる。
他愛の無いお喋りをして――――それは、落ち込んだ1日の終わりにしては、殊の外楽しいひと時であった。
自分で食べたコドゥの苦さにしきりに恐縮した女性が、後日きちんと焼いたモノを届けると約束してくれたが、トーマはそんな約束も必要ないくらい上機嫌になれた。
この時の自分は、ついているなと思っていたと間違いなく言える。
ついていたのかいないのかわからない1日目はそうして終わった。

翌日は可もなく不可もない当たり前の1日であった。
昨日敗けたホルグの姿を見れば多少胸がモヤモヤしたが、ダリウス将軍が褒めてくれたのだと信じて訓練に一層の力を入れる。
それに、胸のモヤモヤは焦げたコドゥの食べ過ぎのせいも多分にあるのかもしれなかった。
まあ、おかげで朝食は食べられなかったが、当然その事に不満は無い。
何故かホルグも朝食を食べず、その理由を聞いた仲間に「朝、コドゥを食べたので」と幸せそうに笑って言っていたのには驚いたが、そんな偶然もあるのだなとスルーする。
何も無さ過ぎてついていたのかいなかったのかやっぱりわからない2日目はこうして過ぎて行った。

そして、運命の3日目。
この日の訓練終了後、上官に呼びだされたトーマは、談話室の真ん中に周囲の注目を一身に浴びて、バカみたいにポカンと突っ立っていた。
目の前には憧れの英雄将軍ダリウスがいる。
そして、ダリウス将軍の手には、何故かコドゥがいっぱい詰まったリボン付きの籠があった。
「お前がトーマか」
不機嫌に尋ねられて冷や汗が流れる。
(何で怒っていらっしゃるんだ?)
わからないながらも「はい」と素直に答えた。
「ダリウス将軍!どうされたのですか?」
ダリウスの姿を見つけてホルグが近寄ってくる。トーマの姿を見て不思議そうに首を傾げた。
「トーマが何か?」
「何かしたのかは俺が聞きたい。――――トーマ、お前に女王陛下からだ」
そう言うとダリウス将軍は、トーマに手に持った籠をグイッと差し出した。
「へっ!? ――――、え、えぇ~っ! ……じょ、女王陛下って、な、何故ですかっ」
当然トーマがその籠を受け取れるはずもなかった。
びっくり仰天して倒れなかっただけでも上出来である。
「何故!? トーマに陛下が?」
驚いたホルグも目を瞠る。
「知るかっ。呼び出されたから何かと思って行ってみたら、この籠をトーマという騎士に渡してくれと頼まれたんだ。しかも、御前試合でトーマを俺が褒めていた事を証言して来いと言われた」
ダリウスの機嫌はもの凄く悪かった。
茉莉からの呼び出しに喜んで参上したところに、そんな訳のわからぬお願いをされたのである。機嫌の良いはずもないのだが、その不満をぶつけられるトーマの方はたまったものではなかった。
救国の英雄将軍の氷のような表情に、トーマは心底ビビる。
「ご、御前試合でって――――」
震えるトーマの頭にその言葉の何かが引っ掛かった。
――――ホントよ。何だったら証言させてもいいわ――――
美しい女性の声が、突然脳裏に蘇る。
「陛下からのご伝言だ。『この前はごめんなさい。今度は上手く焼けたから沢山食べてね』だそうだ」
仏頂面の将軍の女言葉のものまねが、怖い。
(今度はって何だ? 俺は陛下にお会いしたことなんて1回もないぞ)
そう思いながらも、トーマは先日深夜の厨房で逢った女性を思い出していた。
焦げたコドゥを食べて、後日きちんと焼けたモノを届けると約束してくれたのも、同じその美しい女性だ。
黒髪黒瞳のこの世のモノとも思えぬほどに本当に美しい女性。
……この国カルクーラの名高き女王陛下も、黒髪黒瞳の美しい女性だった。
そんなトーマに英雄将軍が、もう一度籠をグイッと押し付けてくる。
プルプルと震えながらもなんとか受け取った。
籠の中のコドゥは、あの日と同じ小鳥の形だ。
(……そんなっ。なんで女王陛下が深夜の厨房なんかにいるんだ?)
トーマは天を仰いだ。
「“今度は上手く焼けたから”って、ならこれは陛下の手作りで、トーマは以前にも陛下と会って手作りのコドゥを食べた事があるっていう事ですか?」
ホルグが部屋中に響くほどの大声を上げた。
「……どうやらそのようだな」
ダリウス将軍の声は、地を這う程に低い。
周囲がシンと静まりかえった。
(そのコドゥは焦げていて、凄く苦かったですって言っても、ダメなんだろうな)
絶望の中でトーマは思う。
「――――ゆっくり話を聞かせてもらおうか? フレイやリオンも詳細な報告が欲しいと言っていたしな」
ダリウス将軍の言うフレイとは、宰相のフレイアス・フォン・カルヴァン様の事で、リオンというのは、大公リオン・マイダール様のことだろう。
信じられない大物の名前に気が遠くなる。
ダリウス将軍が獰猛な笑みを浮かべてトーマを見る。
憧れの英雄とゆっくり話し合えるという、別の機会であればついていると言えるこの状況が、今のトーマには、心底ついていないとしか思えなかった。
「僕もご一緒します」
クルリと回れ右をして逃げ出したいトーマの腕をがっしり掴んでホルグが言った。100年に1人の逸材の手は、どう抗ってもトーマを逃がしてくれそうもない。

(滅茶苦茶ついていないだろうっ!)

トーマは心の内で悲痛な叫びを上げた。



このついているかいないのかよくわからない3日間を過ごした騎士トーマは、後にカルクーラ王国最年少将軍になるホルグの、右腕と呼ばれる人物になる。
偶然女王陛下に出会い、それを機に出世コースに乗ったと言われる騎士トーマは、運の良い人として後世の歴史に語られる。

……しかし、いつも女王に親しく・・・声をかけられていたと言われる彼の生涯が、本当についていたのかいなかったのかは誰にもわからぬことであった。
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