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レヴェント編・真紅の血鬼《クリムゾン・ブラッド》
プロローグ 後悔もまた――
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目が覚めて体を起こした。
「あ゙、痛ぇ……」
全身の筋肉が張っているような感覚に声を上げる。重度の筋肉痛と言ったところだろうか? これでも数日前よりかなりマシになった方である。
シドとの戦いを終えて数日が経過した。
紅月の強制適応と燃焼、その代償で数日間地獄のような痛みに見舞われた俺はこの数日間、まともに動くことが出来ず、ベットで寝たきりだった。現在ようやく体が動かせる程度に回復してきたが、未だ体を起こすだけで激痛がするくらいには重傷だ。
ほとんど自傷か、これ……。
体のダメージはほとんどが自身によるもの、シドから受けた攻撃の大半はしっかり流せていたので、攻撃によるダメージはほぼない。
「ふぅ――、久しぶりの学園か」
思い体を起こし服を着替え始める。
シドとの戦いよる払った代償、肉体の疲労+寿命を十年。知人、俺が修正者であると知っており、その話をしても問題ないと判断した者達には話したが――ひどく叱られた。
指一本も動かせず、寮のベットに寝ている俺に対して、レナにメイビス、アンドリュオ、メイフュ、などの人物から散々怒られた。
『命は消耗品じゃない!』とか、『自分の命を使い捨ての道具だと思わないでください!』とか、まるで俺が命を雑に扱っているような言い草に、文句の一つも言いたかった。が、言った結果、激痛の走る体をツンツン突かれ叫びを上げることになったので、それ以降は言ってない。
俺は確かに、シドとの戦いで〝十年〟という年月を消費した。
傍から見れば、この行為は自己保存の伴っていない〝人〟としては、イカれた行為なのかもしれない。
自分でも……理解している。
十年――俺は軽く言ったが、その重さはよく理解してる。
長寿ではなく、転生――
転生を繰り返すという俺の特性上、人生における十年という年月の重さは他の人間より強く理解している。転生を繰り返しても、その度に送ってきた人生は決して紛い物ではない。故に、一つ一つの人生、その時間の大切さを理解しているつもりだ。
でも、だからこそ――〝後悔〟をしない選択を取っている。
今回の行いも、俺は後悔はしていない。
確かに修正者としての役目とは、一切関係ないことだったのかもしれない。だけど、あの時代償を払ったから、俺は誰かを助けられた。
その行いは間違いではない。なら――後悔はしていない。
払った代償は大きい。でも、後悔していないのなら、満足しているのなら、今はそれでいい。自己満足の産物だったとしても、それでも構わない。
右手をギュッと握る。
「よし、今日からまた頑張るとしましょうか!」
思い体を引き摺って声を上げる。
今日からまた、めんどくさい学園生活が始まる。いつまでも憂鬱な気持ちに支配されていては耐えられないほどの、めんどくさい一日が始まるんだ。さ、肩の力を抜いて気楽に行こう。
「行ってきます」
誰もいない部屋にそう言葉を残して学園に向った。
「あ゙、痛ぇ……」
全身の筋肉が張っているような感覚に声を上げる。重度の筋肉痛と言ったところだろうか? これでも数日前よりかなりマシになった方である。
シドとの戦いを終えて数日が経過した。
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ほとんど自傷か、これ……。
体のダメージはほとんどが自身によるもの、シドから受けた攻撃の大半はしっかり流せていたので、攻撃によるダメージはほぼない。
「ふぅ――、久しぶりの学園か」
思い体を起こし服を着替え始める。
シドとの戦いよる払った代償、肉体の疲労+寿命を十年。知人、俺が修正者であると知っており、その話をしても問題ないと判断した者達には話したが――ひどく叱られた。
指一本も動かせず、寮のベットに寝ている俺に対して、レナにメイビス、アンドリュオ、メイフュ、などの人物から散々怒られた。
『命は消耗品じゃない!』とか、『自分の命を使い捨ての道具だと思わないでください!』とか、まるで俺が命を雑に扱っているような言い草に、文句の一つも言いたかった。が、言った結果、激痛の走る体をツンツン突かれ叫びを上げることになったので、それ以降は言ってない。
俺は確かに、シドとの戦いで〝十年〟という年月を消費した。
傍から見れば、この行為は自己保存の伴っていない〝人〟としては、イカれた行為なのかもしれない。
自分でも……理解している。
十年――俺は軽く言ったが、その重さはよく理解してる。
長寿ではなく、転生――
転生を繰り返すという俺の特性上、人生における十年という年月の重さは他の人間より強く理解している。転生を繰り返しても、その度に送ってきた人生は決して紛い物ではない。故に、一つ一つの人生、その時間の大切さを理解しているつもりだ。
でも、だからこそ――〝後悔〟をしない選択を取っている。
今回の行いも、俺は後悔はしていない。
確かに修正者としての役目とは、一切関係ないことだったのかもしれない。だけど、あの時代償を払ったから、俺は誰かを助けられた。
その行いは間違いではない。なら――後悔はしていない。
払った代償は大きい。でも、後悔していないのなら、満足しているのなら、今はそれでいい。自己満足の産物だったとしても、それでも構わない。
右手をギュッと握る。
「よし、今日からまた頑張るとしましょうか!」
思い体を引き摺って声を上げる。
今日からまた、めんどくさい学園生活が始まる。いつまでも憂鬱な気持ちに支配されていては耐えられないほどの、めんどくさい一日が始まるんだ。さ、肩の力を抜いて気楽に行こう。
「行ってきます」
誰もいない部屋にそう言葉を残して学園に向った。
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