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レヴェント編
32.異常、イジョウ、いじょう……
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「ああ、ところで三つ目の要求てのは、何なんだ? 今思い出したが、聞いていなかった」
ふと、思い出したようにそう聞いた。
「ああ、それは――」
そういうとアンドリュオはこちらに顔を向け再び真剣な眼差しをして、右手を差し出してきた。
「アマナイ殿、貴方がヤキョウ殿と似ていることはよくわかりました。ですが、貴方と彼は違う人間です。ですから――『ヤキョウ』殿ではなく、『アマナイ』である貴方と友人になりたいと思ったのです」
「俺と、か?」
「はい。最初からそのつもりではいましたが……先の叱咤。私の不甲斐なさを理解し、正そうとしてくれた貴方と、友人になりたい、そう強く思いました」
「わ、私もお願いします、ケイヤ殿…いえ、アマナイ殿」
「では、私もだ」
アンドリュオの言葉に続くようにレナとメイフューベルもそう言った。
「友人になったとしても……俺からしてやれることに変わりはないぞ?」
「それでも構いません。たまにこうして砕けた会話をすることができれば、それでいいです。私も日々、王を振る舞うのは疲れます、気兼ねなく会話のできる友人は少ないのでね」
「…………そう、か」
不思議な気分だった。
こんなにも純粋にそう言ったきた人間は初めてだった。ただの友人――修正者として過ごしている中、友人と言える人物は何人かいた。
でも、こんなにも俺という人間と友人になりたいと言ってくれる人間は、いなかった。
嫌な気はしない、厭な気はしない。だけど、どうしてだろうか?
――――― が動かない。
止まった時計のように何の脈絡もない。ただひたすらに止まっている。
異常だ。異状だ。異条だ。異剰だ。イジョウだ。イ、ジョウ、ダ。
一秒前の心のせせらぎを感じない。一秒前の心の脈拍を感じない。一秒前の心の感動を感じない。
一秒前の の動きを感じない。
目の前が酷く気味悪く見える。でも、何も感じない。
元に、元に戻ったように感じた。
「アマナイ殿?」
「!」
はっ、と意識が戻る。目の前にいる三人が俺を心配そうな表情で見ていた。
「大丈夫ですか?」
「……あ、ああ、大丈夫だ」
急に固まり動かなくなった俺を見て、アンドリュオとメイフューベルが声をかけてくれた。
「すまない。何でもない……少し、気が動転してただけだ」
俺はそう言葉を取り繕い、自身に起きた異常を忘れようとした。
「あー、友人なりたいだったか? ああ、OKだ。よろしくな」
そういいアンドリュオの手を取った。
「これからよろしく頼む。力不足な面が多いと思うが、それなりに努力する」
「ええ、お互いに……」
握った手に違和感を感じながらも、俺はその異常を忘れようと気づかないフリをしていた――
全く――馬鹿な話にもほどがある。
ふと、思い出したようにそう聞いた。
「ああ、それは――」
そういうとアンドリュオはこちらに顔を向け再び真剣な眼差しをして、右手を差し出してきた。
「アマナイ殿、貴方がヤキョウ殿と似ていることはよくわかりました。ですが、貴方と彼は違う人間です。ですから――『ヤキョウ』殿ではなく、『アマナイ』である貴方と友人になりたいと思ったのです」
「俺と、か?」
「はい。最初からそのつもりではいましたが……先の叱咤。私の不甲斐なさを理解し、正そうとしてくれた貴方と、友人になりたい、そう強く思いました」
「わ、私もお願いします、ケイヤ殿…いえ、アマナイ殿」
「では、私もだ」
アンドリュオの言葉に続くようにレナとメイフューベルもそう言った。
「友人になったとしても……俺からしてやれることに変わりはないぞ?」
「それでも構いません。たまにこうして砕けた会話をすることができれば、それでいいです。私も日々、王を振る舞うのは疲れます、気兼ねなく会話のできる友人は少ないのでね」
「…………そう、か」
不思議な気分だった。
こんなにも純粋にそう言ったきた人間は初めてだった。ただの友人――修正者として過ごしている中、友人と言える人物は何人かいた。
でも、こんなにも俺という人間と友人になりたいと言ってくれる人間は、いなかった。
嫌な気はしない、厭な気はしない。だけど、どうしてだろうか?
――――― が動かない。
止まった時計のように何の脈絡もない。ただひたすらに止まっている。
異常だ。異状だ。異条だ。異剰だ。イジョウだ。イ、ジョウ、ダ。
一秒前の心のせせらぎを感じない。一秒前の心の脈拍を感じない。一秒前の心の感動を感じない。
一秒前の の動きを感じない。
目の前が酷く気味悪く見える。でも、何も感じない。
元に、元に戻ったように感じた。
「アマナイ殿?」
「!」
はっ、と意識が戻る。目の前にいる三人が俺を心配そうな表情で見ていた。
「大丈夫ですか?」
「……あ、ああ、大丈夫だ」
急に固まり動かなくなった俺を見て、アンドリュオとメイフューベルが声をかけてくれた。
「すまない。何でもない……少し、気が動転してただけだ」
俺はそう言葉を取り繕い、自身に起きた異常を忘れようとした。
「あー、友人なりたいだったか? ああ、OKだ。よろしくな」
そういいアンドリュオの手を取った。
「これからよろしく頼む。力不足な面が多いと思うが、それなりに努力する」
「ええ、お互いに……」
握った手に違和感を感じながらも、俺はその異常を忘れようと気づかないフリをしていた――
全く――馬鹿な話にもほどがある。
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