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レヴェント編
16.惹きつける者
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さて、そうと決まれば全力で選ぶとしようか……
俺は自身の持ち金と、購入する武具の値段を合わせ揃える。
文字は読めないが、既に値段の把握は済ませてある。市場で見た値札とさっき購入した林檎、今日一日で見てきたもので、値段の把握くらいはできるようになった。
「よし、爺さん、これ全部だ」
「おいおい、お前さん買い込むなぁ……」
俺が持って来たのは、ショートソード二本、ロングソード二本、大剣一本、槍二本、弓一丁、矢五十本、流石にこうも沢山買い込む者は少ないのか、驚いたような顔をしている。
「ケイヤさん、そんなに買うんですか?」
「すっごい量ね……」
突如、店内を見て回っていた二人が現れそう言った。
「まあな……職業柄っていうか、俺の性格上、用心深いせいで物を買い込む癖があるんだよ。もちろん用途は考えてるけどな……言っておくが、別に同情で買い込んでるってわけじゃないからな?」
「分かっておる。おぬしはそんな人間でもあるまい」
念押しして言った言葉に、爺さんは当然のようにそう言った。
「YES、別に俺は優しい人間でもないしな」
俺がそう言うと微笑を浮かべながら爺さんは清算にかかった。
「おぬし、名前は何と言うんだ?」
「ん? ああ、俺は神塚敬也だ。アンタは?」
「儂はガディオ・アーガイル。ケイヤ、これはサービスだ」
ガディオはそういい、ポーチを渡してきた。
「え、エア・ボックスですか!?」
「私、初めて見ました」
そう驚きの声を上げたのは俺ではなく、隣の二人。
「何なんですか、これ?」
「それは異空間収納、かなり昔に異端の魔女によって製作された魔道具だ」
「魔道具」
俺は渡されたポーチを見つめながらそう呟いた。
「それはポーチ内の空間を広げ、大量の物を詰められる魔道具らしい。それは初期に作られたオリジナル版、異端の魔女が作成した数十個の内の一つだ」
「そんなにすごいのか?」
「そりゃそうよ! 異端の魔女、レナ・ケーンレスが生み出した固有魔法、それを魔道具に起用して作られたそれは、魔道具というより遺物のようなモノ、魔剣や聖剣と同等の物よ!?」
「へ、へぇ……」
二人が驚愕の表情を浮かべる中、固有魔法、魔道具、遺物、魔剣、聖剣という聞き覚えのない単語が、どんどんと出てきて、正直よく分からん。
「おじさんはどういった経緯でエア・ボックスを?」
「これは儂がこの店を初めてすぐに仕入れた物だ。当時は客引きに使っていたが、簡略版の値打ちが安い物が販売されて以降、特段と客を引き付ける物でもなくなってな、長い間倉庫で眠らせていた」
「勿体なくないですか?」
オリビアが疑問そうにそう言った。
「確かに仕入れた当時のことを考えれば、売らなきゃ損だ……だが、これはうちで造ったもんじゃねぇ。鍛冶屋として、当時の浅はかさ呪う。だから、これは売らずに戒めとして保管していた」
「じゃあ、なぜ、俺に譲るんだ?」
その問いをするとガディオはニィッと笑って言った。
「儂はおぬしの心に惚れた。こいつを持って行けば役に立つだろう……それに、ここで腐らせておくには、勿体いねぇ性能をしていることも確かだ……おぬしのような者に使われるなら本望だろう」
「ガディオ、アンタは俺を買い被り過ぎだ……」
「そうか?」
「ああ――まあ、でも……使わせてもらう。腐っても、文句は言わないでくれよ」
俺のその言葉を聞き、ガディオは笑いながら「毎度」そういい、購入した武器をポーチへしまって俺に手渡した。
俺は自身の持ち金と、購入する武具の値段を合わせ揃える。
文字は読めないが、既に値段の把握は済ませてある。市場で見た値札とさっき購入した林檎、今日一日で見てきたもので、値段の把握くらいはできるようになった。
「よし、爺さん、これ全部だ」
「おいおい、お前さん買い込むなぁ……」
俺が持って来たのは、ショートソード二本、ロングソード二本、大剣一本、槍二本、弓一丁、矢五十本、流石にこうも沢山買い込む者は少ないのか、驚いたような顔をしている。
「ケイヤさん、そんなに買うんですか?」
「すっごい量ね……」
突如、店内を見て回っていた二人が現れそう言った。
「まあな……職業柄っていうか、俺の性格上、用心深いせいで物を買い込む癖があるんだよ。もちろん用途は考えてるけどな……言っておくが、別に同情で買い込んでるってわけじゃないからな?」
「分かっておる。おぬしはそんな人間でもあるまい」
念押しして言った言葉に、爺さんは当然のようにそう言った。
「YES、別に俺は優しい人間でもないしな」
俺がそう言うと微笑を浮かべながら爺さんは清算にかかった。
「おぬし、名前は何と言うんだ?」
「ん? ああ、俺は神塚敬也だ。アンタは?」
「儂はガディオ・アーガイル。ケイヤ、これはサービスだ」
ガディオはそういい、ポーチを渡してきた。
「え、エア・ボックスですか!?」
「私、初めて見ました」
そう驚きの声を上げたのは俺ではなく、隣の二人。
「何なんですか、これ?」
「それは異空間収納、かなり昔に異端の魔女によって製作された魔道具だ」
「魔道具」
俺は渡されたポーチを見つめながらそう呟いた。
「それはポーチ内の空間を広げ、大量の物を詰められる魔道具らしい。それは初期に作られたオリジナル版、異端の魔女が作成した数十個の内の一つだ」
「そんなにすごいのか?」
「そりゃそうよ! 異端の魔女、レナ・ケーンレスが生み出した固有魔法、それを魔道具に起用して作られたそれは、魔道具というより遺物のようなモノ、魔剣や聖剣と同等の物よ!?」
「へ、へぇ……」
二人が驚愕の表情を浮かべる中、固有魔法、魔道具、遺物、魔剣、聖剣という聞き覚えのない単語が、どんどんと出てきて、正直よく分からん。
「おじさんはどういった経緯でエア・ボックスを?」
「これは儂がこの店を初めてすぐに仕入れた物だ。当時は客引きに使っていたが、簡略版の値打ちが安い物が販売されて以降、特段と客を引き付ける物でもなくなってな、長い間倉庫で眠らせていた」
「勿体なくないですか?」
オリビアが疑問そうにそう言った。
「確かに仕入れた当時のことを考えれば、売らなきゃ損だ……だが、これはうちで造ったもんじゃねぇ。鍛冶屋として、当時の浅はかさ呪う。だから、これは売らずに戒めとして保管していた」
「じゃあ、なぜ、俺に譲るんだ?」
その問いをするとガディオはニィッと笑って言った。
「儂はおぬしの心に惚れた。こいつを持って行けば役に立つだろう……それに、ここで腐らせておくには、勿体いねぇ性能をしていることも確かだ……おぬしのような者に使われるなら本望だろう」
「ガディオ、アンタは俺を買い被り過ぎだ……」
「そうか?」
「ああ――まあ、でも……使わせてもらう。腐っても、文句は言わないでくれよ」
俺のその言葉を聞き、ガディオは笑いながら「毎度」そういい、購入した武器をポーチへしまって俺に手渡した。
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