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第三章 茜空ギャラクシィ
じゃあ色々準備するべ。
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根本少年救助作戦の目処がたったので、王都にテレポートでとんぼ返りする。
鑑定結果
勇者召喚魔法はランダムで地球人を呼び寄せますが、安田の鑑定能力を使えば60億分の1程度の確率なら容易につかみとれます。
この城の地下にある勇者召喚陣は魔力で作動します。
魔石を集めるか魔法使いを集めるかすれば作動します。
この国の一人前の魔法使いを50人ほど集めてください。
今現在博士は別次元の空間にいますので、すぐに召喚する場合は一万人分の魔法使いの魔力が必要になります。
こちらの宇宙に出てきたタイミングで召喚してください。
気圧、湿度などによって細かに召喚方法が変わりますので、今のところは魔法使いを集めるだけでオーケーです。
勇者根本が太陽付近に出現するまであと15時間36分18秒です。
夜が明けてから、王の間にみんなを集合させる。
「あ、あの、安田様、こちらの方はどちら様でしょうか?」
宰相さんとその他が東くん見て首をかしげてる。
ああ、東くんは夜が明けて美人バージョンになってる。
宰相さんは美人バージョンとはファーストコンタクトだったか。
「それ東くんだから。色々あってさ」
「東です」
東くんがにこやかに有無を言わさない空気を醸し出す。
「……は、はあ、そ、それでその、安田様の後ろに浮いてるのは……」
宰相さんが今度は俺の後ろにいるてるてる坊主に視線を向ける。
『こんちにわー』
「あ、こんちにわ」
女神しゃまの分身は連絡を密にするため残ってくれているのだ。
山小屋の帰りになにやら出力を上げるとか言って人間大に巨大化したから威圧感がある。
人間サイズのてるてる坊主はちょっと怖い。
じゃあ、光るてるてる坊主との挨拶も終わったようなので、本題に入るべ。
「宰相さん、今日の夕方までに魔法使い集めてくれる?一人前のやつ、50人ほど」
「……え?、あ、魔法使い50人ですか。王都に在住している魔法使いを集めればなんとかなると思いますが、そ、それは何のためにでございましょう?」
気を取り直した宰相さんが困った顔してる。
この人には迷惑かけるなあ。
「勇者召喚陣を動かす為に、根本少年が空間魔法でどっか行っちゃってさ、このままだと死んじゃうんだよ」
まあ、主にあの子供がここぞの場面でスッ転んだせいなんだが。
「……っ、わかりました。直ちに下知を出しましょう」
宰相さんが足早に部屋から出てく。
彼は有能だ。
「……さて、後は……」
「安田さん、これを」
美人バージョンの東くんが俺の頭になにかを乗せる。
……王冠か。
「多分あった方がいいでしょう?」
まあ、権力もお金も無いよりはあった方がいいよね。
あと安眠できる寝具と、でっかいテレビもあった方がいい。
あと美味しいご飯が食べたいし。
お風呂にも入りたい。
意味もなくぐるぐる踊ってどっか飛んでっちゃいたい。
……現実逃避してないで予習しよ。
鑑定結果
地下にある勇者召喚の魔法陣の部屋で召喚しますが、魔法陣は取り外し可能ですので、城の中庭に運ぶと魔法使いも窮屈な思いをしなくてすみます。
魔法陣は魔法使いに起動して貰わなければなりません。
カワウソ族のクレープさんか、宰相にやってもらってください。
俺達はみんなで地下室にある魔法陣を地上に運び出す。
「クレープさん、いけそう?」
カワウソ族の魔法使いクレープさんに魔法陣が使えるか聞く。
「大丈夫、魔法の起動だけなら陣が補助してくれるみたい。簡単だよ」
よし。とりあえず起動は可能らしい。
他のカワウソ達もてきぱき動いて色々手伝ってくれてる。
城の中庭に段々人が集まってきた。
みんなローブっぽい物を着ている。魔法使いの人達だろう。
「鈴木王様っ、あなた様のお陰で家族が飢えずにすみましたっ」
「私の娘も助かりました。ありがとうございましたっ」
「我らの魔力、存分にお使いくださいっ」
「ああ、ありがとうございます。あの、でもボクもう王様じゃないんで」
鈴木さんが魔法使いに感謝されて、もみくちゃにされている。
「唯川様、我ら貴族の籍は捨てましたが、皆あなた様の配下でございます。何なりとお命じください」
「「「お命じくださいっ」」」
「うむ、可哀想な童を助ける、力を貸せ」
「「「「はっ」」」」
京に洗脳された元貴族の魔法使いもいるらしい。
いい年したオッサンやオバサンが京の前で跪いてる。
……なにあれ、おっかねえ。
「お名前は?お嬢さん」
「東です」
東くんが魔法使いにナンパされているっ。
東くんはいつも通りにこやかにしてる。
多分人生で初めて男にナンパされてるんだろうけど、いつも通りにこやかな東くんは今どういう精神状態なの?
「……おれ、先月くらいにこのてるてる坊主に命救われた」
「お前も?俺も先週仲間が助けられたわ」
「ありがたや~」
騒ぎになるだろうから光る置物のふりして貰ってる女神しゃまが拝まれてる。
……なんか様々な光景が繰り広げられてるなあ。
「安田王様、魔法使い50名、揃いましてございます」
宰相さんが、定員の魔法使いが揃ったことを教えてくれる。
ふむ、今は昼をちょい過ぎたとこか。
時間的には全然間に合ったな。
じゃあ、ウルトラ鑑定。
鑑定結果
魔法使いが揃ったようですので、50名全員に1から50までの数字がふってあるネームプレートかなんかを配ってください。
勇者根本が太陽付近に出現するまであと8時間2分16秒です。
……ネームプレート?
俺は宰相さんを呼んで、ネームプレート的な物を配ってくれるように頼む。
ネームプレートってなんだろうか?
少しして、メイド的な人達と執事的な人達が何やら手書きの数字がふってある白い板を魔法使いの人達に配ってくれる。
……全部配り終わったようだ。
よし。
「えー、ちゅうもーくっ、どうもー、この国の王様安田です」
俺は魔法使い達が見渡せるポジションに置いた台に乗って、みんなに呼び掛ける。
「えっ、また王様違う?」
「安田?」
「鈴木様が王なのでは?」
集まった魔法使い達がざわざわしとる。
王様ポンポン変えてしまってるからね。
「静粛にっ、静粛にっ」
宰相さんが騒ぎをおさめてくれる。
「えー、本日皆様に集まっていただいたのは一人の迷子を保護するためです」
「ま、迷子?」
「うそだろ?」
「ば、馬鹿馬鹿しい」
お、何やら嫌な感じにざわざわし出したな。
「いやいやまじでまじで、迷子を保護するためだから」
申し訳ないけどまじで。
「まじかよっ」
「バカかっ」
「ふざけんなっ」
おお、凄いブーイングだな。
でも事実だからしょうがない。
「静粛にしろ貴様らっ、王の御前ぞっ!!」
おお、宰相さんの一喝でブーイングがピタリとやんだ。
「えー、その迷子の名前は根本っていいます」
「根本?」
「まさか?」
「なんだよ、誰?」
お、勇者根本を知ってる人も混じってるようだ。
「そう、かつてこの国にいた勇者根本君を保護したいのよ」
「ゆ、勇者?」
「根本って何百年も前の勇者じゃ」
「馬鹿な、まさか本人を?」
「そう、紛れもなく勇者根本本人だから」
お、みんな驚愕して静まりかえってるわ。
「彼はね、勇者の能力を使う度に若返るっていう能力の副作用があってね。ホントに心も子供のままなんだ。でも親の育て方がよかったんだろうね。優しい子供だった。この国の歴史に残ってるようにたくさんの人達を助けてた」
何せ、勇者信仰だかが引き金で王様の首飛んできそうになったくらいだからな。
「「「…………」」」
みんな静かに聞いてくれてるわ。
「でも彼はね。人を助けて勇者と呼ばれたり、偉業をこなして歴史に残ったりしてるけど、結局中身は家に帰りたがってるだけのただの子供なんだよ」
「もう500年、ただただ日本に、勇者の国にある家に帰りたがってるだけの迷子の子供なんだよ。家に帰りたくて、帰りたくて、つい昨日、空間魔法で家に帰ろうとして、失敗しちまった」
「……彼はこのままだと死んでしまう。だからその前になんとか保護してやりたいんだ。本当にみんなにやってもらうことは、ただの迷子の保護なんだ」
「俺達凡人には、あの子を家に返してやれる力もない。せめて、あの子が家路につくまでなんとか守ってやりたい。だからみんなの力を貸してください。お願いします」
とりあえずお辞儀しとこう。
「……まかしとけよっ」
「俺も娘の親だっ、魔力くらいいくらでももってけっ」
「我が家は勇者根本様に大恩ある一族、ここでやらねばご先祖様に顔向けできん」
「やろう、貴族の血を引くわれらこそ、やらねばならん」
「東ちゃん、俺やるからっ」
お、真摯にお願いしたらなんか知らんが、みんなやる気になってくれたわ。
「安田様は、煽るのが上手いですな」
宰相さんが笑ってこっち見てるわ。
鑑定結果
勇者召喚魔法はランダムで地球人を呼び寄せますが、安田の鑑定能力を使えば60億分の1程度の確率なら容易につかみとれます。
この城の地下にある勇者召喚陣は魔力で作動します。
魔石を集めるか魔法使いを集めるかすれば作動します。
この国の一人前の魔法使いを50人ほど集めてください。
今現在博士は別次元の空間にいますので、すぐに召喚する場合は一万人分の魔法使いの魔力が必要になります。
こちらの宇宙に出てきたタイミングで召喚してください。
気圧、湿度などによって細かに召喚方法が変わりますので、今のところは魔法使いを集めるだけでオーケーです。
勇者根本が太陽付近に出現するまであと15時間36分18秒です。
夜が明けてから、王の間にみんなを集合させる。
「あ、あの、安田様、こちらの方はどちら様でしょうか?」
宰相さんとその他が東くん見て首をかしげてる。
ああ、東くんは夜が明けて美人バージョンになってる。
宰相さんは美人バージョンとはファーストコンタクトだったか。
「それ東くんだから。色々あってさ」
「東です」
東くんがにこやかに有無を言わさない空気を醸し出す。
「……は、はあ、そ、それでその、安田様の後ろに浮いてるのは……」
宰相さんが今度は俺の後ろにいるてるてる坊主に視線を向ける。
『こんちにわー』
「あ、こんちにわ」
女神しゃまの分身は連絡を密にするため残ってくれているのだ。
山小屋の帰りになにやら出力を上げるとか言って人間大に巨大化したから威圧感がある。
人間サイズのてるてる坊主はちょっと怖い。
じゃあ、光るてるてる坊主との挨拶も終わったようなので、本題に入るべ。
「宰相さん、今日の夕方までに魔法使い集めてくれる?一人前のやつ、50人ほど」
「……え?、あ、魔法使い50人ですか。王都に在住している魔法使いを集めればなんとかなると思いますが、そ、それは何のためにでございましょう?」
気を取り直した宰相さんが困った顔してる。
この人には迷惑かけるなあ。
「勇者召喚陣を動かす為に、根本少年が空間魔法でどっか行っちゃってさ、このままだと死んじゃうんだよ」
まあ、主にあの子供がここぞの場面でスッ転んだせいなんだが。
「……っ、わかりました。直ちに下知を出しましょう」
宰相さんが足早に部屋から出てく。
彼は有能だ。
「……さて、後は……」
「安田さん、これを」
美人バージョンの東くんが俺の頭になにかを乗せる。
……王冠か。
「多分あった方がいいでしょう?」
まあ、権力もお金も無いよりはあった方がいいよね。
あと安眠できる寝具と、でっかいテレビもあった方がいい。
あと美味しいご飯が食べたいし。
お風呂にも入りたい。
意味もなくぐるぐる踊ってどっか飛んでっちゃいたい。
……現実逃避してないで予習しよ。
鑑定結果
地下にある勇者召喚の魔法陣の部屋で召喚しますが、魔法陣は取り外し可能ですので、城の中庭に運ぶと魔法使いも窮屈な思いをしなくてすみます。
魔法陣は魔法使いに起動して貰わなければなりません。
カワウソ族のクレープさんか、宰相にやってもらってください。
俺達はみんなで地下室にある魔法陣を地上に運び出す。
「クレープさん、いけそう?」
カワウソ族の魔法使いクレープさんに魔法陣が使えるか聞く。
「大丈夫、魔法の起動だけなら陣が補助してくれるみたい。簡単だよ」
よし。とりあえず起動は可能らしい。
他のカワウソ達もてきぱき動いて色々手伝ってくれてる。
城の中庭に段々人が集まってきた。
みんなローブっぽい物を着ている。魔法使いの人達だろう。
「鈴木王様っ、あなた様のお陰で家族が飢えずにすみましたっ」
「私の娘も助かりました。ありがとうございましたっ」
「我らの魔力、存分にお使いくださいっ」
「ああ、ありがとうございます。あの、でもボクもう王様じゃないんで」
鈴木さんが魔法使いに感謝されて、もみくちゃにされている。
「唯川様、我ら貴族の籍は捨てましたが、皆あなた様の配下でございます。何なりとお命じください」
「「「お命じくださいっ」」」
「うむ、可哀想な童を助ける、力を貸せ」
「「「「はっ」」」」
京に洗脳された元貴族の魔法使いもいるらしい。
いい年したオッサンやオバサンが京の前で跪いてる。
……なにあれ、おっかねえ。
「お名前は?お嬢さん」
「東です」
東くんが魔法使いにナンパされているっ。
東くんはいつも通りにこやかにしてる。
多分人生で初めて男にナンパされてるんだろうけど、いつも通りにこやかな東くんは今どういう精神状態なの?
「……おれ、先月くらいにこのてるてる坊主に命救われた」
「お前も?俺も先週仲間が助けられたわ」
「ありがたや~」
騒ぎになるだろうから光る置物のふりして貰ってる女神しゃまが拝まれてる。
……なんか様々な光景が繰り広げられてるなあ。
「安田王様、魔法使い50名、揃いましてございます」
宰相さんが、定員の魔法使いが揃ったことを教えてくれる。
ふむ、今は昼をちょい過ぎたとこか。
時間的には全然間に合ったな。
じゃあ、ウルトラ鑑定。
鑑定結果
魔法使いが揃ったようですので、50名全員に1から50までの数字がふってあるネームプレートかなんかを配ってください。
勇者根本が太陽付近に出現するまであと8時間2分16秒です。
……ネームプレート?
俺は宰相さんを呼んで、ネームプレート的な物を配ってくれるように頼む。
ネームプレートってなんだろうか?
少しして、メイド的な人達と執事的な人達が何やら手書きの数字がふってある白い板を魔法使いの人達に配ってくれる。
……全部配り終わったようだ。
よし。
「えー、ちゅうもーくっ、どうもー、この国の王様安田です」
俺は魔法使い達が見渡せるポジションに置いた台に乗って、みんなに呼び掛ける。
「えっ、また王様違う?」
「安田?」
「鈴木様が王なのでは?」
集まった魔法使い達がざわざわしとる。
王様ポンポン変えてしまってるからね。
「静粛にっ、静粛にっ」
宰相さんが騒ぎをおさめてくれる。
「えー、本日皆様に集まっていただいたのは一人の迷子を保護するためです」
「ま、迷子?」
「うそだろ?」
「ば、馬鹿馬鹿しい」
お、何やら嫌な感じにざわざわし出したな。
「いやいやまじでまじで、迷子を保護するためだから」
申し訳ないけどまじで。
「まじかよっ」
「バカかっ」
「ふざけんなっ」
おお、凄いブーイングだな。
でも事実だからしょうがない。
「静粛にしろ貴様らっ、王の御前ぞっ!!」
おお、宰相さんの一喝でブーイングがピタリとやんだ。
「えー、その迷子の名前は根本っていいます」
「根本?」
「まさか?」
「なんだよ、誰?」
お、勇者根本を知ってる人も混じってるようだ。
「そう、かつてこの国にいた勇者根本君を保護したいのよ」
「ゆ、勇者?」
「根本って何百年も前の勇者じゃ」
「馬鹿な、まさか本人を?」
「そう、紛れもなく勇者根本本人だから」
お、みんな驚愕して静まりかえってるわ。
「彼はね、勇者の能力を使う度に若返るっていう能力の副作用があってね。ホントに心も子供のままなんだ。でも親の育て方がよかったんだろうね。優しい子供だった。この国の歴史に残ってるようにたくさんの人達を助けてた」
何せ、勇者信仰だかが引き金で王様の首飛んできそうになったくらいだからな。
「「「…………」」」
みんな静かに聞いてくれてるわ。
「でも彼はね。人を助けて勇者と呼ばれたり、偉業をこなして歴史に残ったりしてるけど、結局中身は家に帰りたがってるだけのただの子供なんだよ」
「もう500年、ただただ日本に、勇者の国にある家に帰りたがってるだけの迷子の子供なんだよ。家に帰りたくて、帰りたくて、つい昨日、空間魔法で家に帰ろうとして、失敗しちまった」
「……彼はこのままだと死んでしまう。だからその前になんとか保護してやりたいんだ。本当にみんなにやってもらうことは、ただの迷子の保護なんだ」
「俺達凡人には、あの子を家に返してやれる力もない。せめて、あの子が家路につくまでなんとか守ってやりたい。だからみんなの力を貸してください。お願いします」
とりあえずお辞儀しとこう。
「……まかしとけよっ」
「俺も娘の親だっ、魔力くらいいくらでももってけっ」
「我が家は勇者根本様に大恩ある一族、ここでやらねばご先祖様に顔向けできん」
「やろう、貴族の血を引くわれらこそ、やらねばならん」
「東ちゃん、俺やるからっ」
お、真摯にお願いしたらなんか知らんが、みんなやる気になってくれたわ。
「安田様は、煽るのが上手いですな」
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