虹色のプレゼントボックス

紀道侑

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第二章 向田さんちの無花果の樹

向田さんを御披露目します。

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 向田さんの国に来て数日経った。
 ナピーナップの王族達は向田さん達となんか色々話し合っている。
 向田さんの国を昔あった場所、今のナピーナップに戻すか、新しい場所にするか、みたいなことが主な話し合いらしい。
 まあ、俺を含めてうちのパーティーは話し合いに混ざっていないので全部なんとなく聞いた話だ。

 多分昔あった場所に戻すんじゃなくて世界樹の別な場所に扉を移してみたいなのが濃厚だろう。

「安田様、王様が話がおありだそうです」

 ん?話し合い終わったかな?
 呼びに来た騎士と共に王族達の部屋に向かう。

「おお、安田殿、ようやく話がまとまったのだ」

 部屋に入っていくとニコニコしてるヒゲ王様が話しかけてくる。

「向田さんの国どうすんのか決まりました?」

「うむ、やはり別な場所に扉を移すことになった」

 ああ、やっぱそうなんだ。
 しかし国の領土内に別な国が突然できるとかって大丈夫なんだろうか?
 住民同士の軋轢みたいなのとか文化の壁みたいのとか国土の問題だとか……。
 いやまあ、偉い人達がその辺りも全部含めて話し合った最終結果がこれなんだろう。
 そもそも地図にダーツ刺してふらふら来た部外者の俺には関係ないとこだわな。


「それでだな。一度王都に戻って民達に救い主様を大々的に御披露目などしたいのだが、救い主様方と共に安田殿達も一緒に来てくれんか?」

 ふむふむなるほどね。

「いいですよ。みんなに言っときますね」

「うむ、よろしく頼む」

 というわけで俺達は二万才のおじいちゃんを連れてナピーナップの王都に行くことになった。








「うん、昔と比べて随分変わっているねえ」

 向田さんが馬車の窓から町並みを見て呟いてる。
 腰が悪いのか向田さんは杖を持ってる。
 今は向田さんの国から飛行船で王都に戻り馬車で城に向かっているところだ。
 町並みを見て変わっているねえ、とか言ってるが向田さんの知っているこの国の姿は一万年以上昔のヤツなわけだから、そりゃ色々変わってるだろう。
 むしろ昔と一緒の町並みだったらちょっとしたホラーだよ。

「昔はスパゲッティー屋さんが多かったんだけどなあ」

 え?
 そんな位の違いしかないの?
 昔と比べて商店街の店舗が変わってるね、位の違いしかないの?
 一万五千年も経ってるのに?
 ……時の流れは残酷とか誰が言ったんだ。

「スパゲッティー屋さんが多かったんですか?」

 思わず聞いてしまった。

「うん、たらこスパゲティーとかウニのスパゲティーとか出す店が多かったねえ」

 一万五千年分の壮大な国の歴史の話してるはずなのにスパゲティーの種類の話されたわ。
 なんだかな。


 そして王城について使わせてもらってる部屋でみんなで一休みして夕食だ。

「うむ、ラーメンなんて久しぶりだ。一万五千年ぶり」

 夕食のラーメンをみんなで食ってる時の向田さんのセリフだ。
 スケールが小さいようでとんでもなくでかい。

「龍臣、向田のじい様が言ってたが、この国は昔はスパゲティ出す店がたくさんあったのか?」

 気になってたのかラーメン食いながら京が聞いてきた。

「んん、ていうかこの世界は結構食文化がぐるぐるしてるんだ。色んな時代にちょいちょい日本人が来て自分の好きな食い物流行らすからな」

 気になったから鑑定で調べてみたのだ。
 二万年に来た日本人がパスタ流行らせたり、一万年前に来た日本人がラーメン流行らせたりする。
 何万年規模の話だからな。
 日本人が伝えても長い年月の間に文化が途絶えたり風化したりする。
 そして文化が消えたところにまた日本人が現れて別なもの流行らせたりする。
 だからもう世界中で食文化ごちゃごちゃなのよな。

「はあ、すごい話だね。まあどこでも口に合う食べ物があるのはいいよねえ」

 鈴木さんがラーメン美味しそうに食いながら、栄養を体にたくさん蓄えられる能力の持ち主らしい発言をする。
 うん、まあそうよね。
 どこでも口に合う食べ物があるのはいいよね。

「じゃあ俺たちも異世界に何か食文化をもたらそうか」

 せっかくだしなんか流行らせようぜ。

「ふむ、流行すとしたら例えば何?」

 食べ物の話題が好きな鈴木さんが食いついてくる。
 例えばそうだなあ……。

「……ハギスとか」

「ハギスって羊の胃袋に羊の内臓だか詰めた料理だよね。そもそも安田くんそれ食べたことあるの?」

 いやないけどね。
 なぜだかスコットランドの伝統料理が頭に浮かんだんだよね。
 臭いとか不味いとか散々言われてたかわいそうなヤツ。
 その名はハギス。
 まあ、食べたことないんだけど。

「龍臣お前そもそも作り方すら知らんだろ」

 吸血鬼にまっとうな突っ込みされたわ。

「……じゃあ、ブルートヴルスト」

「それ豚の血でできたソーセージだよね。安田くんなんでさっきから妙にあくが強いものばっかりなの?」

「違うんだよ。この世界だと日本にありそうな料理は大概あるんだよ。今からやろうと思ったら変化球な料理になるんだよ」

「いや、変化球過ぎるでしょ。変化しすぎてストライクゾーンから外れてるからね」

「……えーと、じゃあエスカルゴは?フランス料理の」

「いや~、ん~、カタツムリもどうなんだろうか?」

 うーん、異世界料理は難しいな。
 そもそもなぜ俺の頭には行ったこともない西ヨーロッパ系の食い物ばかり浮かんだんだろうか?
 食べたことも無いし。

 まあ、あれだな。
 俺には異世界の食文化に新しい風を吹かせる才覚は無いってことだな。




「そういえば向田さんなにやら来週辺りにこの国の国民に挨拶するんですよね。大丈夫なんですか?」

 ラーメン食い終わってまったりしていると東くんが思い出したように向田さんに語りかける。

「うん。そうなんだよねえ、なにを語ってもらっても構わないとか言われてるんだけど、そもそもワシ人前が苦手なんだよねえ」

 向田さんが微妙に落ち込んでるような口調で話してくる。
 まあ、元スパイだからな。
 そりゃあ人前は苦手でしょうね。

 ……いや待て、2万年も経ってるのに?
 もうなんか色々慣れてんじゃないのかな?
 ……何万年経とうが人間の本質はそんなに変わらんってことなんだろうか?


 しかし向田さんの御披露目まで一週間もあんのか、暇だな。

「じゃああれだ。もうみんなで創作料理を異世界に流行らせよう。一週間暇だし」

「え~、まあ確かに暇だしね~」

 俺たちの作った創作料理で異世界に新風を巻き起こそうぜ。















 というわけであっという間に一週間が経過した。

「いや~、俺達に料理を創作するセンスは無かったねえ」

「うん、もう後半は感覚が一周して美味しいってなんだろう状態だったからね」

 最終的にリンゴの豚肉巻きカツレツ風味をはじめ、訳のわからない生ゴミがたくさん出来上がってたからな。
 新風なんて全く巻き起こせなかったね。
 料理人ってすごい人々だったんだな。

「自分わかりましたよ。不味いとか美味しいとか、主観でしかないんですよ。善悪と同じなんです」

 東くんなんて料理を通して勇者として大切な価値観がなにやらグラグラしだしたからな。
 この子まだグラグラしてるわ。

 いやいや、今日は向田さんの御披露目会だからな。
 気を取り直して気合い入れんと。

 ……いや別に俺たちが気合い入れる必要ないか。
 気合いいれて突っ立って傍観していよう。

「向田さん大丈夫?」

「う、うん多分……大丈夫かな?」

 おじいちゃん緊張しまくりじゃないか。
 なんか足が震えてるわ。
 足がぷるぷるぷるぷるしてるわ。
 あ~大変だこれ。

「向田さんあの雲出そう。それ乗って移動しよう」

 起きてる向田さんとはじめて会った時に乗ってた雲、あれに乗せて移動させよう。
 自分の足で歩かせたらこの人なにもないとこでもひっくり返りそうだ。

「そ、そうじゃね」

 向田さんは魔法の袋から雲を出して乗る。


「勇者様方、こちらへ」

 執事っぽい人に案内させられて控室みたいなとこに通される。

 今は城のでっかいテラスみたいなとこで王様が国民に演説してる最中だ。
 なにやら町の広場が一望できて国民がめちゃくちゃ集まってるから演説する用のとこなんだろうな。
 広場からもこっちがよく見えるはずだ。



「この国の神話に出てくる向田様は確かにおられたのだっ、一万年も前から我々を守っていてくださったっ。この国を訪れた勇者方と私の二人の息子、そして第三騎士団の精鋭達が向田様の国につながる扉を見つけ、封印を解いて向田様を解放してくれたのだっ」

「「「「「うおおおおおっ!!!!!!」」」」」

 国民の盛り上がりがすごい。
 そういえばこの国来た時もなんかこんな大騒ぎだったな。
 そういう国民性なんだろうか?

 そして第三騎士団の隊長や隊員達、カワウソやら他のパーティーメンバーに勲章とか授けたり、王子二人を誉めたり、なぜかブーちゃんの四股を披露したりしてから向田さんの出番になった。

「向田さん、頑張って」

「そうだぞじい様、国民などかぼちゃの集まりだと思えばよいのだ」 

「向田さんなら大丈夫ですよ」

「う、うむ、頑張るよ」

 勇者勢が激励する。
 向田さんはまだガチガチだが。

「……向田さんなら大丈夫、頑張ってください」

 最後に鈴木さんの激励が飛ぶ。

「……うん、頑張ろう」

 お、鈴木さんの激励で向田さんに気合いが入ったかな。

「向田様、こちらへ」

 執事っぽいひとに案内させられて向田さんはテラスみたいなとこに出ていく。

「……ん?」
「何?」
「なんだ、光が……」

 パーティーメンバーや王族達が騒いでいる。
 向田さんが雲に乗ってテラスに出ていった瞬間からなにやら辺り一面に光の玉みたいのがふわふわし出したからだ。
 なんだこれ?
 あ、向田さんのところ中心に光の玉がふわふわしてるが、よく見たらそこかしこで光の玉がふわふわしてる。

 ……これ無花果の世界樹から出てんな。
 国民集まってる広場、城、多分この世界樹全体から光の玉が溢れてるはずだ。
 世界樹が気をきかせてくれたんだろうか?
 木だけに……。


「おお、救い主様」
「おお、ありがたや」
「おお、なんということじゃ」
「神話はまことであったのか」
「なんと眩い」

 国民が涙を流しながら向田さんを拝んだり跪いたりしている。
 騎士や王様達もまた泣いてるわ。

 まあ、でも拝みたくなるのもしょうがないわな。





 もうビジュアルが神様か、天国に行っちゃったおじいちゃんかだからな。
 どっちに転んでも拝まれる対象だわ。
 ……俺も拝んどこうかなって気持ちになるな。
 なにやらご利益がありそうだ。


「……え~」

 神様スタイルの向田さんが何かを話そうとしている。

「本日はお日柄もよく、えー、晴々しい天気にも恵まれ、えー、あー」

 ……向田さんど緊張したままだったわ。


 そして向田さんの演説が終わった。
 なぜか校長先生の朝礼みたいに「継続は力なりっ」とか最終的に言ってたが、国民は最初から最後まで泣き通しだったからなんでも良かったんだろう。
 多分あの場で向田さんがサラリーマン川柳読み始めても泣いてたんじゃないだろうか。


「いやあ、ワシ何しゃべってた?継続は力なりとか言ってたような気がするんじゃが、なんでそんなこと言ったんじゃろう」

 向田さんは記憶飛ぶくらい緊張してたらしい。

「さて、なんにしてもこれで一通り解決かな」

「龍臣、なんだっけな?あの毒電波?だかはどうなったんだ」

 京が曖昧な記憶を手繰り寄せるように話かけてくる。
 あ~そうだったわ。
 そんなんあったな。えーと。


鑑定結果

封印されている毒電波は無花果の世界樹の真下海底5000メートルの辺りに封印されています。
ちなみに安田達を邪魔した崩壊の力がこの世界の魔物システムに干渉しており封印された毒電波が魔物化しそうになっています。
魔物化して地下で数が増えて地上に溢れて来たら大変な被害が出ます。
溢れるまでに23462年ほどかかります。
それと崩壊の力がこの国にいる一人の魔法使いのオッサンに反応してオッサンが魔王化しそうになっています。
魔王化まで2462年ほどかかります。
心のケアが必要です。


 おおう、なんやねん。
 ……おお、えー?
 なんだろうな。いつもと違ってめちゃくちゃ猶予があるな。
 なんだろうなこの微妙な肩すかし感。 
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