虹色のプレゼントボックス

紀道侑

文字の大きさ
上 下
16 / 80
第一章 温室育ちのへっぽこ先生異世界に降臨せり

飛行船とか乗ったことある人見たことない。

しおりを挟む
 朝日が差し込む窓から外の景色が見える。
 ふわふわ浮いとる。すごいな飛行船。
 今は飛行船に乗ってダンガンポートに行く途中だ。
 飛行船に魔法の部屋を設置して部屋の窓から外を眺めてる。
 この飛行船はガスじゃなく、なんか浮遊石だかっていう浮かぶ石で浮いてるらしい。
 浮かぶ石とかファンタジー物質の代表だな。

 ダンガンポートの魔物が大氾濫を起こす前に、俺とまんじゅうだけで先に飛ぶって手もあったが、頭がおかしい勇者として嫌われてるだろうからと却下になった。
 なにがあるかわからないから、カワウソ達のフォローがあった方がいいとのことだ。
 というわけで、五日間の平和な飛行船の旅だ。

 カワウソ子供組は、今は俺の部屋でゲームをやってる。
 ちなみに昭和時代のハードで土管工のひげのおじさんががんばるゲームだ。それの3、お地蔵さんに変身できるタヌキスーツあるやつをやってる。
 レトロゲーってやつだな。

 さて、暇だしなあ。

 「まんじゅうプレゼントボックスやらせてくれ」

 リンリンリンっ。

 いいよ。のリンリンリンだ。
 よし、一回目


アイテム名 浮遊マント
分類    防具
レア度   C
防御力   18
価格相場  500000G~600000G

効果及び説明

落下スピードを大幅に減速してくれるマント。
浮遊という名だが空は飛べない。


 おお、なんかいいアイテム引いたな。でもレア度Cだからそんなアタリでもないんだろうな。
 地球人目線だとアタリだ。
 もう高い所怖くなーい。別に高所恐怖症でもないけど。
 ようし、次だ。

アイテム名 ハゲカツラ
分類    防具
レア度   C-
防御力   18
価格相場  200000G~230000G

効果及び説明

被ると光る。
洞窟などで重宝する他に、パーティーでも盛り上がる。


 パーティグッズ出てきちゃったよ。
 なんだよこれ、要らねえよ。パーティーグッズに二十万とかたっかいなあ。
 よし、最後の一回。

アイテム名 眼鏡の王様
分類    防具
レア度   ?
防御力   8
価格相場  5000000G~5500000G

効果及び説明

鑑定スキルを持つ者が装備すると、鑑定レベルが一段階上がり、詠唱や予備動作が必要なくなる。
古代の技術で作られており存在を知るものは現在存在しない。
ちなみにだて眼鏡。

余談

鑑定のレベルは上がりませんが、これでアホ丸出しのポーズを取らなくてすみますね。


「うわああああぁっやったああああっ!!」

 子供カワウソ達がびくってなったけど、あまりの嬉しさに気にしてられない。
 うわああ、超嬉しい。バイバイあほみたいなポーズ、こんにちはインテリ装備。
 うわあ、完全に今までで一番のアタリだわ。

 ……あ、でもあれだな、ハゲカツラはつけないこと確定だけども、眼鏡はつけるべ、あとマントもあった方が良さそうだから……うーん。
 俺七三っぽい髪形にしてるんだよな。
 あと唯一の防具のスーツで、えーと。



 ……こんなんただの企業戦士じゃねえか。
 もうこれバカみたいだわ。せめてマント無しだな。
 カワウソ達が何やらこっち見てる。

「先生ー、これ難しいよ早い飛行船」

「それはあれだPパタ使うんだよPパタ」

「もう、使っちゃった」

「使っちゃったのか、よし先生に任せろ」

「……あっ、先生死んだじゃん。すぐ死んだじゃん」

「……これはあれだよ、久しぶりにコントローラー握ると最初のクリ坊になぜかやられるの法則だよ。もう一回、もう一回チャンスくれ」




 そんなこんなで数日間のゆるい飛行船旅を経て、とうとうダンジョン都市が見えてきた。

「先生、あの尖った岩山が全てダンジョンなのですよ」

「へえー」

 大小様々な岩山?に囲まれた町が見える。
 あれ岩山か?スゲーとがってるけど。
 よし、早速眼鏡の効果を発揮させよう。
 おおう、変なポーズ取らなくても発動する。嬉しーい。





場所名 ダンガンポート

説明

人口約三万人の町、現在勇者ヤスダのわがままにイライラしている冒険者であふれている。
マリアシリールの飛行船が見えたので勇者が来たと思い、文句の一つでも言おうと冒険者が飛行場に集まってきている。


 嬉しくなーい。全然嬉しくなーい情報出てきたー。
 ピンタさんに相談しよう。

「……大丈夫です。先生には指一本触れさせません」
「うむ、先生わしらに任せろ」
「全員とりあえず完全に武装じゃ」
「「「おうっ」」」
「冒険者が揃っておる中でこれだけの装備を見せれば十分威嚇にもなるしの」

 おお、あの優秀だが色物な装備でも威嚇なんかになるのか?
 まあ色物って感覚はあくまで日本的な感覚だもんな。

「とりあえず見た目でかましてやるってことですね」

「うむ、そうじゃ」

 ピンタさんの親父さんのパニニじいちゃんが肯定する。
 ようし、俺も一発かましてやろうじゃねえかっ!!
 


 飛行船が飛行場に着陸する。
 あ、もうなんか喧騒が聞こえて来るわ。
 飛行船のドアが開いたらもっと聞こえて来た。
 おお、インドア派な俺の心がグワングワン殴られるぜ。
 さっきまでのやってやる感一瞬で消えたぜ。ぶっちゃけもう嫌だぜ。帰りたいぜ。


「おっ、出てきやがったぞっ」
「マリアシリールのカワウソ族かよ、くず勇者でもパーティメンバーだけは優秀らしい」
「はやく出てこいよっどんな面してんのか見せろっ」
「なんだよあの装備、ほとんど最高級じゃねえか、金だけはもってそうだな」

「だまれっ貴様ら!!わが剣の錆びになりたいか!!」

 おおう、冒険者とピンタさん大怒りだよ。
 おおう、山ほどいるわ数千人位いんじゃねえのこれ。
 こわーい、まんじゅう大暴れさせるぞ脅迫作戦とか、ワケわからん提案しなきゃ良かったー。

 ……いやいや、いかんいかん弱気になるな。俺にはカワウソ達がついてるしまんじゅうもいる。
 よーしっ一発かましてやる。

「行くぞまんじゅう」

 リンリンリンっ。

 よっしゃーのリンリンリンだ。





 俺が出ていった瞬間に、大騒ぎしていた冒険者者達が静まりかえる。



 ふふふ、一発かましてやったぜ。
 俺達は結局、絡まれもせず文句も言われないまま領主の館に到着できた。

 後から仲良くなった冒険者から聞いたら、「なんだかよくわかんねえけどそこはかとなくおっかねえし触れたらいけない気がした」ビジュアルで文句なんて言えなかったそうだ。
 そうだろうそうだろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

偽物の女神と陥れられ国を追われることになった聖女が、ざまぁのために虎視眈々と策略を練りながら、辺境の地でゆったり楽しく領地開拓ライフ!!

銀灰
ファンタジー
生まれたときからこの身に宿した聖女の力をもって、私はこの国を守り続けてきた。 人々は、私を女神の代理と呼ぶ。 だが――ふとした拍子に転落する様は、ただの人間と何も変わらないようだ。 ある日、私は悪女ルイーンの陰謀に陥れられ、偽物の女神という烙印を押されて国を追いやられることとなった。 ……まあ、いいんだがな。 私が困ることではないのだから。 しかしせっかくだ、辺境の地を切り開いて、のんびりゆったりとするか。 今まで、そういった機会もなかったしな。 ……だが、そうだな。 陥れられたこの借りは、返すことにするか。 女神などと呼ばれてはいるが、私も一人の人間だ。 企みの一つも、考えてみたりするさ。 さて、どうなるか――。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

転生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! 〜物作りチートで楽々異世界生活〜

かむら
ファンタジー
 剣持匠真は生来の不幸体質により、地球で命を落としてしまった。  その後、その不幸体質が神様によるミスだったことを告げられ、それの詫びも含めて匠真は異世界へと転生することとなった。  思ったよりも有能な能力ももらい、様々な人と出会い、匠真は今度こそ幸せになるために異世界での暮らしを始めるのであった。 ☆ゆるゆると話が進んでいきます。 主人公サイドの登場人物が死んだりなどの大きなシリアス展開はないのでご安心を。 ※感想などの応援はいつでもウェルカムです! いいねやエール機能での応援もめちゃくちゃ助かります! 逆に否定的な意見などはわざわざ送ったりするのは控えてください。 誤字報告もなるべくやさしーく教えてくださると助かります! #80くらいまでは執筆済みなので、その辺りまでは毎日投稿。

不幸少女は二度目の人生でイージーモードを望む

天宮暁
ファンタジー
人生なんてクソゲーだ。 それが、16年生きてきた私の結論。 でもまさか、こんな結末を迎えるなんて……。 しかし、非業の死を遂げた私をあわれんで、神様が異世界に転生させてあげようと言ってきた。 けど私、もう人生なんて結構なんですけど! ところが、異世界への転生はキャンセル不能。私はむりやりチートを持たされ、異世界に放り出されることになってしまう。 手に入れたチートは「難易度変更」。世界の難易度を強制的に変える力を使い、冒険者となった私はダンジョンに潜る。 今度こそ幸せな人生を送れるといいんだけど……。

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

森の中で偶然魔剣を拾いました。

EAT
ファンタジー
小さい頃から騎士になることを夢見る少年レイルは東の最果てにある辺境の小さな村に住み、平和に過ごしていた。 15歳になると成人の儀というものでその人の一生を決める、天職というものを授かることになるのだがレイルが授かった天職は農民というごくごく普通のものだった。 農民として渋々生きていくことになったレイルはある日森である物を拾うのだが……。 ※初めての投稿です。 誤字脱字など教えていただければ幸いです。 のんびりと投稿していければ良いなと思っています。

処理中です...