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★ソープの鉄則一つめ。

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「ミナミ、ソープの鉄則の一つ目、言ってみろ」
「え……えと……」

 再び腹の奥でうねり始めた熱に南は震えながらなんとか答えを搾り出す。

「ひ……ひとつ、客の言うことは、ぜったい……っ、でも、主導権は、ぜったい、手離すな……っ」
「そう。じゃあ最後ソコの復習な」
「え、あ、ひうっ!?」

 突然呉凱が南の腰を掴んだ。そしてなんの遠慮もなく奥の奥まで突き上げた。

「ひいいうううんんんっ!!!」

 思わず腰が抜けそうになったところを呉凱にピシャリと叩かれる。

「オラ、客にてめぇの油断したとこ見せんじゃねぇ!」
「す、すみませ……んぐっ!!」

 今度は微妙に角度を変えて再び奥を抉られた。

「ミナミ、体勢替えるぞ」

 そう言ってだしぬけにペニスを抜くと、呉凱は南の腕を取ってマットの上からどかした。

「滑って危ねぇから、ローション流すな」

 そう言ってシャワーのお湯をマットにぶちまける。それからまた南の腰を押してマットに四つんばいにさせると尻だけを高く上げるように言った。

「いいか、客が自分主導でヤりてぇっつったらもちろん従うけど、でもあくまでイかすのはお前だからな。そこんとこ間違っても忘れんじゃねぇぞ」
「わ……わかってる……っ」

 だがすぐに入って来ると思われたのに何もなく、後ろで呉凱がぐるるる、と唸る声が聞こえてきた。

「くそっ、ちょっと待ってろ」

 肩越しに見ると呉凱がボディーソープやシャンプーが並んでいる場所から小さなパッケージを取って牙で食いちぎる。そして取り出したスキンを臍まで反り返った極太の男根に慎重に被せていった。

(あ、ゴムしてないの、気づいちゃったんだ……)

 なぜかとても残念な気がして、南は密かに唇を噛む。

(ん、でもゴムつけるの、規則だって言ってたし、俺だってもう未経験じゃないから、いつもはちゃんと使ってるけど、でもやっぱり病気とか心配しないといけないし)

 それでもなんとなくガッカリしていると、呉凱の大きなペニスがずぶずぶと入ってきた。

「はっ、あっ、ひっ」

 ゴリゴリと前立腺を抉るようにして腹を埋め尽くさんばかりに奥へと入ってくるその感触に頭が真っ白になる。だがすぐに呉凱の声がして我に返った。

「いいか、マジでヤバそうだったら自分でイイとこから外せ」
「は……はずす、って……っ」
「ちょっと腰捻ってみろ。そうしても客もちゃんと気持ちよくなるから、大丈夫」
「う……こ……こう……っ?」

 言われた通りに尻を動かすと、確かに一番危険な場所からはわずかにずれたような気がする。

「お前、入り口んとこ浅く出し挿れされんのと奥ガツガツ突かれるのと、どっちがヤバイんだ」
「え、そ……そんなこと……」

 そんなこと言われても、普段客を相手にしている時は中を突かれただけでイったりしないし、冷静さを剥ぎ取られるほど気持ちが良くなるわけでもないから、どこが自分の弱点なのかわからない。
 心の底から『ヤバイ』と思ったのは呉凱とした前回とつい今しがたの二度だけだが、あまりに無我夢中だったせいで入り口と奥とどっちがより感じるのかなどちっともわからなかった。

「えーと、ど、どっちかな……」
「なんだよ、てめぇの身体だろうが」

 呉凱が舌打ちするのが背後から聞こえる。

「そんじゃついでだ。どっちもやってやるからちゃんと感覚覚えとけ。そんで客相手にヤバそうになったら自分でピンスポット外すんだぞ? わかったな?」
「う、うん。ありがと……」

 つまり、呉凱は先ほどのように南が快感に我を忘れて仕事が疎かになることがないように、今のうちに自分の弱点をちゃんと知っておけ、と言っているのだ。
 アルバイトの南と違って責任者である呉凱は、店内の清掃に客の相手、嬢のご機嫌取りからトラブルの始末、そして売り上げの集計作業など、開店から閉店までずっと働き詰めだ。いい加減くたびれているだろうに、わざわざこうして付き合ってくれているのだということに南はひたすら感じ入る。
 こんなところが呉凱という男は本当に人が良くて面倒見がいい、と感心するが、それと同時に南はまざまざと思い知らされる。

(そっか、そうだよな。店長さんは俺に『研修』してくてれるだけだもんな)

 先ほど呉凱が、完全に勃起したペニスを南に尻で咥えこまれて息を荒げながらも目の色は冷静そのものだったことを思い出す。

(そうだよな。店長さんは、別に好きで俺とこんなことやってんじゃないんだもんな)

 恐らく、これも呉凱の強い責任感の表れなのだ。そう、そうでしかない。そう気づいた途端、なぜかひどく胸がキリキリと痛んで南はいぶかしむ。

(いや、当たり前じゃん。だって店長さんは俺と違って別に男が好きなわけじゃ……)

 ところが次の瞬間、呉凱が突然動き出して南の思考は断ち切られた。

「ひうんッ!!」
「ほら、これが入り口んとこ」

 ぬぷぬぷと、カリを引っ掛けるように浅く出し挿れされて南の背中が反り返る。時折先端が中のしこりを掠めて、そこでも南は悲鳴を押し殺す。

「そんで、これが、奥、な……っ」
「~~~~~~~ッツ!!!」

 ずちゅん! と奥までねじ込まれて、南の息が止まった。

「どうだ、わかるか?」

 ぐりぐりと奥を小刻みに突かれながら、南は答えることができずにひたすら目を見開き喘いだ。

「……っ、ひっ、んぐっ! あう……っ!」
「フン、どうやら奥が好きみてぇだな」
「てん……っ、うーかい、さ……っ、も、もう、やめ……っ」
「いいか、そんな風にうろたえてるとこ見せちまったらマジで客にいいように遊ばれるぞ」

 さらに強く何度も何度も奥を穿たれて、南は目を閉じ歯を食いしばって必死に耐える。

「ん゛っ、ん゛~~~~~~っつ!!!!」
「ほら、だからずらせって。ケツ締めながら自分で腰振って客のモンをさりげなく奥から退かせろ」
「ひっ! あっ! う、う゛う゛~~~~っ!!」

 涙が滲む。飲み込むことのできない涎がだらだらとマットに滴り落ち、ペニスは我慢汁を垂れ流しながらぷらぷらと揺れている。
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