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★ミナミくんのおねだり。

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 ローションでぬるつくマットの上で呉凱に仰向けになるよう促す。そしてその両手を取って再びマットの上に捕まらせると、そのまま手を握りこんでキスをした。

(あー、なんだろ、キスしてるだけなのに、すごい、クる……)

 思い返せば前回呉凱とキスをしたのは研修に入る一番最初、『初めて客と顔を合わせた時のサービス』としてしたあの一回だけだった。
 普通に考えればノンケの店長とゲイのソープ嬢がキスする機会などあるわけがない。だからこそなのか、今呉凱の大きな肉食獣そのものの口を舐めて食んで噛みついて、思うさま貪りながら南はひどく興奮していた。

(なんで、なんでこんなにきもちーの、なんで、なんでこんなに、)
「んちゅ、ちゅ……っ、んっ、あふっ、んっ、ふあ……っ」

 短くてピンピンと跳ねた口の周りの毛皮と口内の濡れた温かい粘膜、そして餌を食いちぎるための鋭い牙を舐めてしゃぶって存分に味わう。

(……そういえば、てんちょお……、ずっときにしてた、な……)

 前に一度、南は呉凱にうなじを噛まれたことがある。でもそれは南が馬鹿なことを言って彼を怒らせたのが原因だったし、多分無意識に加減してくれていたせいでそこまで深い傷ではなかったと思う。すぐに呉凱が薬を塗ってガーゼを当ててくれたお陰か後から腫れたりもしなかったから、南はそのことをすぐに忘れてしまった。
 けれど呉凱は随分とその噛み傷を気にして、後から南の後ろ髪をそっと掻き上げてはそこを確認し、お詫びにとコンタクトレンズと新しい眼鏡を買ってくれた。

(……この牙で、おれのくびに、かみついたんだ……)

 南はペロペロと呉凱の牙とピンク色の歯茎を舐めながら目を閉じ、想像する。

 この象牙色の硬くてつややかで鋭い先端が、南の皮膚を裂き、肌に食い込んでいく。ずぶずぶと沈んでいく牙に縫い留められて南は身動きひとつ、呼吸さえまともにできなくなる。

 呉凱の指には時々鋭い爪がある。自由に出し入れできるのか、その太くて節立った指が南のナカに潜り込んできてひくつく粘膜を思うさま捏ね回していた時は少しも痛くなかった。
 でももしもその爪がゾロリと伸びた力強い手で押さえつけられて、南の何倍も大きくて重い身体で伸し掛かられてベッドに組み伏せられて、あの巨大な肉棒で串刺しにされながら揺さぶられたら。

「…………っは…………ぁ…………っ」

 熱いわけでもないのに額から汗が滑り落ちる。鼓動はどんどん早くなり、腹の奥底がずくずくと熱を持つ。

 南は呉凱の舌と絡め合いながら腰を落とし、呉凱の腹や男根を自らの尻や太腿でぬるぬると揉みしだく。そして自分も硬く勃起したペニスを呉凱の身体に押し付けてそこから生まれる快感に酔いしれた。

(あ……、どうしよう……、なんかあたま、ボーっとしてきた……)

 そのまま呉凱の顎から首筋へ、そして胸から引き締まった腹筋へと舌と唇で奉仕し続ける。臍の穴をくすぐり股間のふっさりとした毛を舌で掻き分け、そそり勃つ男根にしゃぶりついた。

「んっ、んちゅっ、んふ……っ」

 そしてまた足先へと降り、片手で呉凱の睾丸を弄りながら足の指一本一本を舌でねぶっていく。その時、ふいに「……ミナミ」と名を呼ばれた。顔を上げると呉凱が南を見下ろして言った。

「ミナミ、フィニッシュだ。ここでイかせろ」
「…………はい」

 南は自分の唾液と呉凱のペニスから溢れた先走りとローションで濡れそぼった唇をペロリ、と舐めて呉凱の身体を跨いで膝立ちした。恥ずかしいくらいに完勃ちした自分のモノがふるふると震えて呉凱の眼前に晒される。思わず南は片手でぐっしょりと濡れている自分の陰毛を梳き、陰嚢と一緒に竿の根元をいやらしく擦ってみせた。

「は……っ、あ……っ、もう、挿れても、いいですか……っ」

 店長さん、と呼びかけようとして、プレイ中は客を必ず名前で呼ぶように再三言われたことを思い出した。

「…………うーかい、さん……」

 自分でも後腔がひくひくと脈打っているのがわかる。呉凱は答えない。ただ黙って南の痴態を見ているだけだ。南ははあはあと肩で息をしながらローションとカウパーにまみれた指を奥へと滑らせ、己を貫く灼熱の楔を今か今かと待ちわびているソコへと押し込んだ。

「ふ……んあ……っ」

 今日一晩ですでに客二人分の男根を咥えこんでいるソコはぐずぐずに蕩けていて、いとも容易く南の指を飲み込んで行く。

「ふあっ、んんっ、あう……ぅ」

 人差し指と薬指で広げて、中指を中へと挿し入れる。ぬくぬくと出し挿れすると知らず腰が揺れ、どうしようもないほどとめどなく声が漏れた。

「ここ……ここに……」

 南はわずかに涙を滲ませて、犬のように息を荒げながら懇願する。

「いれたいで、す……、う、うーかい、さんの、かたくて、ふといの……」

 後から後から溢れてくる唾液が口の端から垂れた。

「おねがい、いれても、いいですか……っ」
「ああ、いいぜ」

 ようやく呉凱の許しを得て、南は歓喜に目を潤ませながら腰を落として行く。そしてつるりとした先端を入り口に押し当てると待ちきれないとばかりに自分の後腔がちゅう……っ、と吸いつくのがわかった。その感触にうっとりと笑みを浮かべる。

(あ、どーしよ、ごむ、してない……)

 だが一刻も早く呉凱のモノでいっぱいにされたくて疼くナカがあまりに切なくて、呉凱から何も言われないのをいいことにそのまま、くぷ、と先っぽを飲み込む。

(ああ、ヤバイ、今いれたら、すぐイっちゃいそう……っ)

 そしてそのまま一気に突き入れたいのを必死に我慢してゆっくりゆっくり中へと迎え入れて行く。

(じぶんじゃなくて、おきゃくさんの、おきゃくさんが、きもちよくなれるように……っ)

 けれど、殊勝にもそんなことを考えられたのは、南がぬるつくマットに膝を滑らせてしまった時までだった。いきなり、ずくんっ! と奥の奥まで貫かれて南の息が止まる。そして腹の奥から脳髄まで一気に駆け上がったとてつもない快感に思わず悲鳴を上げて仰け反った。

「ひぃぁ………………ッ!!!」

 南の反り返ったペニスからごぷっと精液が吐き出された。

(う、うそ……っ! 俺、これだけでイっちゃった……っ!?)

 一ヶ月ぶりの、そして人生で二度目のとてつもない快感に身体がビクビクと痙攣する。うまく力が入れられなくて南は呉凱の上にへたり込んだまま必死に考える。

(えと、だめだ、おれがイくんじゃなくて、おきゃくさんをイかさないと、いけないんだから)

 南は震える足腰を奮い立たせてなんとか腰を浮かそうとした。だが膨れ上がった呉凱の亀頭が、どこかすごくヤバイところに嵌り込んでいるような気がして息を呑む。

(もういっかい、おれんなかで、こすって、いっぱい)

 下腹に力を籠めていまだ勃起したままの呉凱のモノを締め付ける。そしてなんとかゆっくり腰を上げて奥に嵌ってしまった先端を外すと、呉凱の大きく張り出したエラがちょうど前立腺に引っかかって南はまた悲鳴を上げた。

「ミナミ」

 とうとう呉凱が口を開いた。

「あのな、イくのが悪いとは言わねえけど、お前がそんな感じまくってちゃ客に奉仕するどころじゃねぇだろ」
「わ……わかってる……んだけ、ど……っ」

 呉凱の呆れたような声が悔しくて南は唇を噛み締める。

(どうしよう、このままじゃ、ほんとにダメなヤツって思われて、思われちゃう……っ)

 南はマットに手をついて未だ震えている腰を持ち上げると、呉凱のモノを呑み込んだままゆっくり、深くピストンし始めた。

「ん……っ、あ……うっ、んん……っ」

 狭い肉壁をぐちぐちと呉凱の極太の男根が行き来するのがよくわかる。イったばかりでまだ蠕動している場所をごりごりと抉られるのは恐ろしくきつかったが、それでも南はぎゅっと眉を顰め唇を噛み締めて耐えた。
 腰の動きは上下と前後、そしてこねるように回転させる。それが客のペニスにたまらない快感を与えるコツだ。

(てんちょぉさん……っ、てんちょぉさん、も、きもちいい……っ?)

 南が目を開くと、自分の下で仰向けに寝転ぶ呉凱の顔は確かに快感に耐えるように顰められてはいたけれど、その目の奥は冷静そのものだった。なぜかそれがひどくショックで南は思わず動きを止めてしまう。するとすぐに呉凱が言った。

「おい、どうした」
「あ、す、すみませ……」

 だがそれを遮るように呉凱の声が風呂場に響く。

「ロングの時はこんな調子でもいいけど、ショートでこれだと時間内に終わんねぇぞ。わかってんのか」
「わ……わかってる……っ」
「ちんたらやってねぇで、一気にキメろ」
「う、うう……っ、ん、あうんッ!」

 その時また呉凱のモノが南のイイところに当たって身体が跳ねた。すると呉凱が小さくため息をついて言った。
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