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「あっ、ひう、く、ゲオルグ、あ、ソコ……ッ!」
ちゅくちゅくと乳輪ごと乳首を咥えて吸い、尖らせた舌先で乳頭のくぼみをくりくりと弄るとアリスティドは一層甘い声を漏らして背中を逸らせた。
「あ、あ、あ」
「随分と胸で感じるようになりましたね」
「う、うるさ…………ひっ!」
ぐちゅ、とナカに挿し込んだ二本の指でアリスティドがことさら弱い場所を撫でてこすって、押し潰す。するとアリスティドは息を呑んできゅううっつ! と熱くうねる秘腔を締め付けた。
恐らく授業や評議会の仕事の合間を縫って寮でのトラブルや揉め事を収め、さらにオリエンテーリングの準備や調整に奔走しながらも身体の熱を抑えることはできなかったのだろう。いつも以上にアリスティドはゲオルグの下で乱れ、喘いでいた。
ゲオルグはこっそり笑みを浮かべると、ことさら丁寧にアリスティドの身体を愛撫して慰め、アリスティドが自分では触れない後ろを徹底的に可愛がってやることにした。
「はっ、あっ、きも、きもち、いい……っあ、んッ」
凛々しく涼やかな眉を顰めて、アリスティドが目を閉じたまませわしなく喘いでいる。普段人を寄せ付けぬアリスティドの美貌が快感に歪み、唯一女性的な色を感じさせるほのかに赤い唇を震わせているのを見て、ゲオルグのモノがさらに硬くなった。
あの豚のような目をした男やアリスティドを誹謗する者たちはよく彼を『女々しい顔をして』と蔑むが、ゲオルグは彼らが言うほどアリスティドの顔を女のようだとは思わない。
意志の強さを如実に示すような凛々しい眉も、すっきりと高い鼻梁も英知の光を湛えた鋭い目も、無駄のないシャープな顎の線も、どれもあくまで男が持つ美しさだ。ただ唇だけが血の色を透かしたように色づき、ゲオルグに抱かれながら豊かに息づいているのがかえって艶めかしくて非常に好ましかった。
「もういいですか……?」
たっぷりと香油を注ぎ込み、散々指でナカを愛撫してからそう呟くと、ずるり、と指を抜き出した。すると熱く濡れた粘膜が引き留めようとするかのように絡みついてくる。
「っひ、あ゛ぅ~~~~っ」
(この人は抜かれる時にひどくいい声で啼く)
そう思っていると、アリスティドが目尻に涙を浮かべて言った。
「っは、ハッ、ハッ、も、ゲオルグ、はや、はや、く」
「わかってます」
ペロリ、と唇を舌で舐めてゲオルグはアリスティドの両足を抱え上げる。
「足、いいですか?」
そう尋ねると、アリスティドが悔しそうに眉を吊り上げながらも身体を支え、自分で足を上げようとする。その顔を見下ろしながらゲオルグは痛いほど反り返った自らの男根に香油を塗り込め手のひらで軽く扱いた。そして甘く蕩けたアリスティドの後腔をこじ開けながら奥を目指す。
「っは、あ、はいって、はいって、くる……っ」
「ああ、見たいですか?」
ゲオルグはわざと動きを止めてアリスティドの片方の足を下ろしてそれを跨ぐ。そしてもう反対の足を肩に担ぎ上げた。先端だけが潜り込んだまま急に身体を動かされて、アリスティドはベッドの敷布を握りしめて必死に耐えている。
「ほら」
ゲオルグが言うとアリスティドはぎこちなく身体を丸め、赤らんだ目を細めて自分の股間を覗き込んだ。
「…………っあ、」
ぬぷぬぷと入っていくゲオルグのモノを、アリスティドが凝視している。
「あ、はいって、はいって、く、ゲオルグの、ゲオルグ、の」
ゲオルグは焦らすように半ばまで挿れてからまたギリギリまで引き抜き、そしてまたうねる肉壁を掻き分けて潜り込んでいく。
アリスティドとて本当は女子を相手にする方がいいと思っているのだろう。それでもなぜか毎回ゲオルグが9号室に現れても一度として「帰れ」とは言ってこなかった。
(下手に別の人間を呼んで、己の痴態を知る者を増やしたくない、といったところか)
そう、恐らくアリスティドはゲオルグ個人に何か思い入れがあるわけではない。その証拠に委員の派遣を依頼するメモにはいつも自分の部屋の番号と時間を明記するだけで、わざわざゲオルグを指名してきたことは一度もないと聞いている。
だからこそゲオルグはありとあらゆる手を尽くしてアリスティドを愛撫し、責めたて、イかせてやるのだ。アリスティドの身体がゲオルグのやり方を覚えてそれに馴染み、ゲオルグの『奉仕』だけを求めるようになるように。
そしてついに数日前の夜、ゲオルグは女にはできない、自分にしかできない方法でアリスティドを愛してやった。自分だけが知っている彼の痴態にガチガチにいきり勃った自らの男根で奥の奥まで貫いて。
「っひ、あ、んっ、んっ」
ゆっくりと大きいストロークでナカを責めてやると、アリスティドが口を半開きにして喘ぎ始めた。
「あ、あ、あう、んっ、あ、あ、あ」
「ここですか?」
「ひうっ!!」
ぐちゅ、と前立腺を潰すように擦ってやれば、アリスティドの身体がビクン、と跳ねる。
「それとも奥がいいですか?」
「んぐっ!」
一気に根元までねじ込んで、そのまま陰毛同士を擦りつけるように腰を押し付ける。そこからはゲオルグはアリスティドが一番好きなリズムで入り口から奥まで繰り返し何度も出し挿れしていっぱい擦り立ててやった。
「はあっ! あう、んっ、あ、イイ、きもち、いい、あ、んひ、あぐ」
敷布を握りしめて目を瞑り喘ぐアリスティドは、初めの頃とは比べ物にならぬほど素直に「気持ちがいい」と言う。奉仕が良いのか悪いのかをきちんと伝えるのが主人の務めだと、過ぎる快楽に理性がぐずぐずに融けたアリスティドに繰り返し教え込んだ成果だ。それがたまらなくゲオルグの中の雄を満足させる。
「っあ、ま、待て、おく、おく、まって、あ、駄目…っ!」
アリスティドが目を見開いて身をよじる。逃げだそうとするアリスティドの腕を掴んで引っ張り、さらにぐりぐりとねじ込むと、アリスティドが悲鳴を呑み込んだ。
「あ、う、ひう」
血管が浮くほど勃起したアリスティドのモノが、ゲオルグに突かれるたびに先走りか精液かわからぬものをだらだら零しながら揺れている。
「けれど、こうされるの好きでしょう?」
そう言いながらゲオルグはまた入り口ギリギリまで抜くと、ひくひく脈打つ肉壁を膨らんだ亀頭で擦り立てながら一番奥まで潜り込ませた。そしてまたぬるぬると引いていく。
「好きなだけイっていいですよ、アリスティド先輩。これは貴方のために用意された奉仕で、貴方が受け取ってしかるべき権利だ」
「け、けんり、あっ、わ、わたしの、ための……んっ」
「そう、貴方のための」
腹の中の入り口から奥までゆっくりと行ったり来たりする感触に泣いて身悶えながら、アリスティドはゲオルグのモノが出入りする場所を見つめた。
「あ、んぐ、は、はいってる、いやだ、おまえの、が、わたしの、ナカに……っ」
前回も、アリスティドはこんな風に何度も「嫌だ、嫌だ」と言いながらビクビクとナカを痙攣させて絶頂に達した。だが今日はちゃんとイったようなのになぜか射精できないようで、いつまでもハアハアと息を切らしながら時折ピクピクと下腹を震わせている。
(凄いな、出さずに女のようにイったのか)
またゾクゾクとゲオルグの背筋を激しい快感が突き抜ける。それは射精することよりも強烈な悦楽なのではないだろうか、とさえ思った。
「大丈夫、すぐ楽にしてあげますよ」
そう囁いてゲオルグはアリスティドの勃起したままのモノを優しく扱いてやる。だがイったばかりでペニスを愛撫されるのはあまりにも刺激が強すぎたのか、アリスティドは声を出すこともできずに身体を震わせてようやく濃い精液を吐き出した。
ぐったりと弛緩したアリスティドの身体から、うっかり射精してしまわないようにゆっくりと自分のモノを抜き出す。そしてあらかじめ用意しておいた湯で絞った布で汚れを拭いてやりながら、ゲオルグは考えた。
(もう二か月近くナカを弄られ続けていたとはいえ、この間初めて男のモノを挿れられて、それで今いきなりナカで、しかも出さずに達せるとは)
本当に、他の委員より早くこの男の身体を篭絡できて良かった、とゲオルグは心底安堵する。
アリスティドが女子委員ではなくゲオルグの奉仕を甘んじて受けているのは、ただ単にアリスティドにとって他に選択肢がないからだ。
アリスティドのような男は、こと彼の目標や人生の指針、彼が目指す将来の邪魔になりさえしなければ、一番早くアリスティドに迫って彼の隠された性欲を満足させた人間に簡単に自分の身体を明け渡す。なぜなら彼のように恋を知らず己の価値にこうも無頓着な人間は、自分の性器を扱く手が誰のもので、自分が挿れる穴が誰のものなのかどうでもいいことだからだ。
だから溜まった鬱憤を晴らしてくれて勉学や筆頭監督生としての仕事に集中させてくれるのなら、誰が相手でも、自分が挿れるのではなく挿れられるのでもきっと構わないのだ。そのことが少しだけ悔しくもあり、腹立たしくもある。
アリスティドは自分へ向けられる他人の感情に驚くほど意識を払わない。
もしかしたら、その秀でた美貌や頭脳、そして地位などのために周りから一歩的に向けられる様々な思惑から自分を守るための手段なのかもしれない。
意図的であるにせよ違うにせよ、アリスティドはいつも前だけを見て他人の視線に見向きもせず、すべて冷たく跳ね返す。例えそれが純粋な好意であったとしても。
ゲオルグは、一学年下の女生徒がいつも寮の図書室でアリスティドが手に取った本ばかりをこっそり借りては、それがどんなに難解なものであっても一生懸命読んでいるのを知っている。
またハンター寮の監督生が、入学してもう六年経っているにも関わらず未だにアリスティドと同じ寮になれなかったことを悔しがっていることも知っている。
そしてあの豚男のように彼の美貌に目がくらんで良からぬことを企んだ男子生徒を三人、力づくで脅して人知れず自主退学に追い込んでいることは自分だけの秘密だ。
それほどまでに周りの熱い思いと視線を集めていても、彼は気づきもせず目をくれもしない。
この、人が自分へ向ける思いにまるで頓着せずいつも涼しい顔で受け流す薄情者が、ゲオルグ=ラングレンという男と自分が夜ごと何をしていたのか、その意味にいつか気づくことがあるのだろうか? とゲオルグは笑みを浮かべる。
(誰よりも強く、正しくあろうとするアリスティド。貴方はまだ気づいていない)
嫌だと、憎いと言わんばかりの目でゲオルグを睨みつけるのなら、たったひと言「もう二度と顔を見せるな」と言いさえすればゲオルグを一生自分の傍から追い払えるのに。
(胸をしゃぶられて、前はほったらかしで後ろばかり弄られて、おまけに男の俺に貫かれて散々出し挿れされてイかされて、それでただの『ご奉仕』だと?)
あまりにも鈍くて不用心で、まさか自分がこんな浅ましい男の欲望の対象になっているのだと考えもしていないこの男に心底呆れながらも、その愚かな危うささえ可愛らしいと思う。
(アリスティド、貴方は俺とセックスしてるんですよ)
「貴方はきっと、なぜ俺が奉仕委員なんてやっているのか考えもしないのだろうな」
いつの間にか穏やかな寝息を立てているアリスティドの額から前髪を掻き上げてやる。そして未だ勃起したままの自分のモノを見下ろしてため息をつくと、風邪をひかないようにアリスティドの身体を丁寧に拭いてやった。
ちゅくちゅくと乳輪ごと乳首を咥えて吸い、尖らせた舌先で乳頭のくぼみをくりくりと弄るとアリスティドは一層甘い声を漏らして背中を逸らせた。
「あ、あ、あ」
「随分と胸で感じるようになりましたね」
「う、うるさ…………ひっ!」
ぐちゅ、とナカに挿し込んだ二本の指でアリスティドがことさら弱い場所を撫でてこすって、押し潰す。するとアリスティドは息を呑んできゅううっつ! と熱くうねる秘腔を締め付けた。
恐らく授業や評議会の仕事の合間を縫って寮でのトラブルや揉め事を収め、さらにオリエンテーリングの準備や調整に奔走しながらも身体の熱を抑えることはできなかったのだろう。いつも以上にアリスティドはゲオルグの下で乱れ、喘いでいた。
ゲオルグはこっそり笑みを浮かべると、ことさら丁寧にアリスティドの身体を愛撫して慰め、アリスティドが自分では触れない後ろを徹底的に可愛がってやることにした。
「はっ、あっ、きも、きもち、いい……っあ、んッ」
凛々しく涼やかな眉を顰めて、アリスティドが目を閉じたまませわしなく喘いでいる。普段人を寄せ付けぬアリスティドの美貌が快感に歪み、唯一女性的な色を感じさせるほのかに赤い唇を震わせているのを見て、ゲオルグのモノがさらに硬くなった。
あの豚のような目をした男やアリスティドを誹謗する者たちはよく彼を『女々しい顔をして』と蔑むが、ゲオルグは彼らが言うほどアリスティドの顔を女のようだとは思わない。
意志の強さを如実に示すような凛々しい眉も、すっきりと高い鼻梁も英知の光を湛えた鋭い目も、無駄のないシャープな顎の線も、どれもあくまで男が持つ美しさだ。ただ唇だけが血の色を透かしたように色づき、ゲオルグに抱かれながら豊かに息づいているのがかえって艶めかしくて非常に好ましかった。
「もういいですか……?」
たっぷりと香油を注ぎ込み、散々指でナカを愛撫してからそう呟くと、ずるり、と指を抜き出した。すると熱く濡れた粘膜が引き留めようとするかのように絡みついてくる。
「っひ、あ゛ぅ~~~~っ」
(この人は抜かれる時にひどくいい声で啼く)
そう思っていると、アリスティドが目尻に涙を浮かべて言った。
「っは、ハッ、ハッ、も、ゲオルグ、はや、はや、く」
「わかってます」
ペロリ、と唇を舌で舐めてゲオルグはアリスティドの両足を抱え上げる。
「足、いいですか?」
そう尋ねると、アリスティドが悔しそうに眉を吊り上げながらも身体を支え、自分で足を上げようとする。その顔を見下ろしながらゲオルグは痛いほど反り返った自らの男根に香油を塗り込め手のひらで軽く扱いた。そして甘く蕩けたアリスティドの後腔をこじ開けながら奥を目指す。
「っは、あ、はいって、はいって、くる……っ」
「ああ、見たいですか?」
ゲオルグはわざと動きを止めてアリスティドの片方の足を下ろしてそれを跨ぐ。そしてもう反対の足を肩に担ぎ上げた。先端だけが潜り込んだまま急に身体を動かされて、アリスティドはベッドの敷布を握りしめて必死に耐えている。
「ほら」
ゲオルグが言うとアリスティドはぎこちなく身体を丸め、赤らんだ目を細めて自分の股間を覗き込んだ。
「…………っあ、」
ぬぷぬぷと入っていくゲオルグのモノを、アリスティドが凝視している。
「あ、はいって、はいって、く、ゲオルグの、ゲオルグ、の」
ゲオルグは焦らすように半ばまで挿れてからまたギリギリまで引き抜き、そしてまたうねる肉壁を掻き分けて潜り込んでいく。
アリスティドとて本当は女子を相手にする方がいいと思っているのだろう。それでもなぜか毎回ゲオルグが9号室に現れても一度として「帰れ」とは言ってこなかった。
(下手に別の人間を呼んで、己の痴態を知る者を増やしたくない、といったところか)
そう、恐らくアリスティドはゲオルグ個人に何か思い入れがあるわけではない。その証拠に委員の派遣を依頼するメモにはいつも自分の部屋の番号と時間を明記するだけで、わざわざゲオルグを指名してきたことは一度もないと聞いている。
だからこそゲオルグはありとあらゆる手を尽くしてアリスティドを愛撫し、責めたて、イかせてやるのだ。アリスティドの身体がゲオルグのやり方を覚えてそれに馴染み、ゲオルグの『奉仕』だけを求めるようになるように。
そしてついに数日前の夜、ゲオルグは女にはできない、自分にしかできない方法でアリスティドを愛してやった。自分だけが知っている彼の痴態にガチガチにいきり勃った自らの男根で奥の奥まで貫いて。
「っひ、あ、んっ、んっ」
ゆっくりと大きいストロークでナカを責めてやると、アリスティドが口を半開きにして喘ぎ始めた。
「あ、あ、あう、んっ、あ、あ、あ」
「ここですか?」
「ひうっ!!」
ぐちゅ、と前立腺を潰すように擦ってやれば、アリスティドの身体がビクン、と跳ねる。
「それとも奥がいいですか?」
「んぐっ!」
一気に根元までねじ込んで、そのまま陰毛同士を擦りつけるように腰を押し付ける。そこからはゲオルグはアリスティドが一番好きなリズムで入り口から奥まで繰り返し何度も出し挿れしていっぱい擦り立ててやった。
「はあっ! あう、んっ、あ、イイ、きもち、いい、あ、んひ、あぐ」
敷布を握りしめて目を瞑り喘ぐアリスティドは、初めの頃とは比べ物にならぬほど素直に「気持ちがいい」と言う。奉仕が良いのか悪いのかをきちんと伝えるのが主人の務めだと、過ぎる快楽に理性がぐずぐずに融けたアリスティドに繰り返し教え込んだ成果だ。それがたまらなくゲオルグの中の雄を満足させる。
「っあ、ま、待て、おく、おく、まって、あ、駄目…っ!」
アリスティドが目を見開いて身をよじる。逃げだそうとするアリスティドの腕を掴んで引っ張り、さらにぐりぐりとねじ込むと、アリスティドが悲鳴を呑み込んだ。
「あ、う、ひう」
血管が浮くほど勃起したアリスティドのモノが、ゲオルグに突かれるたびに先走りか精液かわからぬものをだらだら零しながら揺れている。
「けれど、こうされるの好きでしょう?」
そう言いながらゲオルグはまた入り口ギリギリまで抜くと、ひくひく脈打つ肉壁を膨らんだ亀頭で擦り立てながら一番奥まで潜り込ませた。そしてまたぬるぬると引いていく。
「好きなだけイっていいですよ、アリスティド先輩。これは貴方のために用意された奉仕で、貴方が受け取ってしかるべき権利だ」
「け、けんり、あっ、わ、わたしの、ための……んっ」
「そう、貴方のための」
腹の中の入り口から奥までゆっくりと行ったり来たりする感触に泣いて身悶えながら、アリスティドはゲオルグのモノが出入りする場所を見つめた。
「あ、んぐ、は、はいってる、いやだ、おまえの、が、わたしの、ナカに……っ」
前回も、アリスティドはこんな風に何度も「嫌だ、嫌だ」と言いながらビクビクとナカを痙攣させて絶頂に達した。だが今日はちゃんとイったようなのになぜか射精できないようで、いつまでもハアハアと息を切らしながら時折ピクピクと下腹を震わせている。
(凄いな、出さずに女のようにイったのか)
またゾクゾクとゲオルグの背筋を激しい快感が突き抜ける。それは射精することよりも強烈な悦楽なのではないだろうか、とさえ思った。
「大丈夫、すぐ楽にしてあげますよ」
そう囁いてゲオルグはアリスティドの勃起したままのモノを優しく扱いてやる。だがイったばかりでペニスを愛撫されるのはあまりにも刺激が強すぎたのか、アリスティドは声を出すこともできずに身体を震わせてようやく濃い精液を吐き出した。
ぐったりと弛緩したアリスティドの身体から、うっかり射精してしまわないようにゆっくりと自分のモノを抜き出す。そしてあらかじめ用意しておいた湯で絞った布で汚れを拭いてやりながら、ゲオルグは考えた。
(もう二か月近くナカを弄られ続けていたとはいえ、この間初めて男のモノを挿れられて、それで今いきなりナカで、しかも出さずに達せるとは)
本当に、他の委員より早くこの男の身体を篭絡できて良かった、とゲオルグは心底安堵する。
アリスティドが女子委員ではなくゲオルグの奉仕を甘んじて受けているのは、ただ単にアリスティドにとって他に選択肢がないからだ。
アリスティドのような男は、こと彼の目標や人生の指針、彼が目指す将来の邪魔になりさえしなければ、一番早くアリスティドに迫って彼の隠された性欲を満足させた人間に簡単に自分の身体を明け渡す。なぜなら彼のように恋を知らず己の価値にこうも無頓着な人間は、自分の性器を扱く手が誰のもので、自分が挿れる穴が誰のものなのかどうでもいいことだからだ。
だから溜まった鬱憤を晴らしてくれて勉学や筆頭監督生としての仕事に集中させてくれるのなら、誰が相手でも、自分が挿れるのではなく挿れられるのでもきっと構わないのだ。そのことが少しだけ悔しくもあり、腹立たしくもある。
アリスティドは自分へ向けられる他人の感情に驚くほど意識を払わない。
もしかしたら、その秀でた美貌や頭脳、そして地位などのために周りから一歩的に向けられる様々な思惑から自分を守るための手段なのかもしれない。
意図的であるにせよ違うにせよ、アリスティドはいつも前だけを見て他人の視線に見向きもせず、すべて冷たく跳ね返す。例えそれが純粋な好意であったとしても。
ゲオルグは、一学年下の女生徒がいつも寮の図書室でアリスティドが手に取った本ばかりをこっそり借りては、それがどんなに難解なものであっても一生懸命読んでいるのを知っている。
またハンター寮の監督生が、入学してもう六年経っているにも関わらず未だにアリスティドと同じ寮になれなかったことを悔しがっていることも知っている。
そしてあの豚男のように彼の美貌に目がくらんで良からぬことを企んだ男子生徒を三人、力づくで脅して人知れず自主退学に追い込んでいることは自分だけの秘密だ。
それほどまでに周りの熱い思いと視線を集めていても、彼は気づきもせず目をくれもしない。
この、人が自分へ向ける思いにまるで頓着せずいつも涼しい顔で受け流す薄情者が、ゲオルグ=ラングレンという男と自分が夜ごと何をしていたのか、その意味にいつか気づくことがあるのだろうか? とゲオルグは笑みを浮かべる。
(誰よりも強く、正しくあろうとするアリスティド。貴方はまだ気づいていない)
嫌だと、憎いと言わんばかりの目でゲオルグを睨みつけるのなら、たったひと言「もう二度と顔を見せるな」と言いさえすればゲオルグを一生自分の傍から追い払えるのに。
(胸をしゃぶられて、前はほったらかしで後ろばかり弄られて、おまけに男の俺に貫かれて散々出し挿れされてイかされて、それでただの『ご奉仕』だと?)
あまりにも鈍くて不用心で、まさか自分がこんな浅ましい男の欲望の対象になっているのだと考えもしていないこの男に心底呆れながらも、その愚かな危うささえ可愛らしいと思う。
(アリスティド、貴方は俺とセックスしてるんですよ)
「貴方はきっと、なぜ俺が奉仕委員なんてやっているのか考えもしないのだろうな」
いつの間にか穏やかな寝息を立てているアリスティドの額から前髪を掻き上げてやる。そして未だ勃起したままの自分のモノを見下ろしてため息をつくと、風邪をひかないようにアリスティドの身体を丁寧に拭いてやった。
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