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その時、ドアの開く音がしてアリスティドはごくり、と唾を呑み込んだ。ギシ、と床の軋む音がして誰かが入って来る。うつ伏せのまま息を潜めじっと相手の気配を窺うアリスティドの背に声が落ちて来た。
「どうしたんですか? アリスティド先輩」
その聞き慣れた声にアリスティドは詰めていた息をそろそろと吐き出した。
「…………ゲオ、ルグ」
ゲオルグがアリスティドの身体を跨いでベッドに乗り上げる。そしてアリスティドを後ろから抱き込むように身を屈めた。
「そんなに待てなかったんですか?」
「うるさ……っ」
自らベッドに擦りつけて自慰をしていたところを見られたことが悔しくて恥ずかしくて、アリスティドは思わず憎まれ口を叩く。
「……おい、奉仕委員には女もいるんだろう……っ!?」
「ええ、いますよ」
「なら、なぜいつもお前が……っ」
なぜ、男の自分のところに同じ男であるゲオルグが派遣されてくるのか。ベッドにうつぶせたままアリスティドがずっと胸に抱いていた疑問を口にすると、不意を突くように耳元でゲオルグが言った。
「俺じゃ嫌ですか?」
「…………っ、え?」
あまりにもストレートに聞かれてアリスティドは答えに詰まる。だが再び口を開く前にゲオルグの大きな体にすっぽりと抱き込まれながら、ベッドとアリスティドの間に滑り込んできた手にひくん、と喉を震わせた。ゲオルグの手が下着の中に入り込んできて物欲しげに涎を垂らすアリスティドのペニスを握りしめる。その手の温かさと硬くてかさついた感触に思わず深々とため息を漏らした。
(嫌ですか、だと?)
(それはお前の方ではないのか)
アリスティドは、つい先ほど総代のアーサーに言われた言葉を思い出す。
――――それともああいう男は好きではないか?
(嫌われているのは私の方だ)
そうでなければ彼が夜な夜なこうしてアリスティドの部屋を訪れ、こんなことをしている説明がつかない。
身に覚えがあるわけではないが、物心ついた頃からただそこにいるだけで目立って仕方がなかった自分のことだ。知らぬところでこの男の恨みや憎しみを買った可能性だってあるだろう。
(嫌っているからこそ、私の身体をこんな風に変えてしまったのではないのか)
「相当、腹を空かせていたようですね」
輪にした指でぬるぬると扱きながら、ゲオルグが耳元で囁く。
「っあ、あ、う」
「今日の午後はずっと下級生たちの練習に付き合い、一人一人にアドバイスを与え、俺たちのように山の整備に回った者たちにも事細かに指示を与えそれを見て回っていたというのに。疲れすぎると逆に欲しくなる、というやつですか?」
「んっ、っし、、知らな、……っ」
「ああ、すごい。蜜でドロドロだ」
「ひうっ」
いきなり鈴口をぐり、と親指の腹でこねられてアリスティドは尻を跳ね上げた。すると覆いかぶさるゲオルグの身体に背中と尻が密着する。
「同性の委員が派遣されるのは別に珍しくないですよ」
突然思い出したようにゲオルグが言った。
「特に女子は男子にされるのが怖くて同じ女子がいいという人も多いと聞いています」
「そ……そう、な、ん……あっ、あっ、んんっ」
ぐちゃぐちゃとペニスを扱かれながらアリスティドが喘ぐと、突然いきり勃つペニスからゲオルグの手が離れ、背中にぴったりとくっついていたゲオルグのぬくもりが遠ざかって、思わずアリスティドは唇を噛みしめて振り向いた。
「おい、どうして……っ!?」
ゲオルグがパチ、と瞬きをする。そしてかすかに笑った。
「大丈夫ですよ。ちゃんと気持ちよくしてあげますから」
そう言って傍らに置いていた沐浴用の厚いタオルをベッドに敷いていく。ほんの少し待たされるだけなのに、アリスティドは我慢できずに疼く自分の身体を強く抱きしめてまた唇を噛む。
「……駄目ですよ。傷になる」
ゲオルグが覗き込んできて、そっと親指の腹でアリスティドの唇を撫でた。一瞬口づけられるのかと思って背筋が凍り付く。だがゲオルグはあっさりと身を離すとスラックスのポケットから小さな瓶を取り出し、アリスティドの目の前でその中身をとろり、と手のひらに落とした。
「お好きでしょう、これ」
そう言ってアリスティドの身体をうつ伏せして後ろから覆いかぶさり、香油に濡れた手のひらで期待に震えているアリスティドのモノをぐちゅぐちゅと愛撫し始める。
「っは、あっ、う」
あまりの気持ちよさに声が漏れるのを止められない。アリスティドは両手を突っ張り尻を突き出すように浮かせてひたすら喘いだ。
「あ、う、んっ、あ、ソコ、ソコ……っ」
裏筋を揃えた指で順繰りに撫でられ、亀頭を握り込まれてくびれを何度も擦られる。快感が脳天まで駆け上がるたびに腰が引けて、アリスティドは腹に回されたゲオルグの手を掴むと快感に跳ねる尻を後ろへぐいぐい押し付けた。
「あ、う、はやく、……っ、ゲオルグ、はやく……ッ」
「まだですよ」
「な……ッツ」
この期に及んで焦らそうとするのか、とアリスティドが肩越しに睨みつけると、すぐそこにあったゲオルグの目がおかしそうに弧を描いた。
「もしかして今日一日ずっとここをこうして弄られてイかせて欲しくて、そればかり考えていたんですか?」
「ひゃうっ!!」
突然竿を扱かれながらお椀のように丸めた手のひらで先端を捏ね回され、アリスティドはのけ反った。
「あっ、ハッ、ハッ」
今度は痛いほど敏感になっている亀頭を放り出されて、根元と陰嚢を弄ばれる。
「俺に、どうされたいですか?」
すぐ耳元でゲオルグが問いただす。そして両手で輪を作ってゴリゴリと裏筋を擦りたてた。あまりに強烈な刺激にアリスティドの鈴口からはぼたぼたとカウパーが溢れ落ちてゲオルグの手を濡らし、ぬちゃぬちゃと聞くに堪えぬ音を立てた。
「あっ、ハッ、あぐ、っ、んんッ!」
「舐めて欲しいですか? しゃぶって欲しい?」
「ハッ、ハッ、ゲオル、ゲオル、グ……ッ」
「………………それとも」
その時、根元を握り重く垂れさがる陰嚢を弾くように弄んでいた中指が、ぞろり、と会陰を撫でた。
「…………ッ!!」
その動きと感触に、アリスティドがゲオルグに教えられたあの禁断の享楽がフラッシュバックする。
「…………っ、あ」
(この指が、もっと奥へ、奥へと這いこんできて)
アリスティドの身体がカタカタと小さく震える。
(アソコを撫でて、ちいさく、めくって、それから)
その震えが恐れからなのか期待なのか、アリスティドにはわからなかった。
(それから、少しずつ、少しずつ、ナカに、はいりこんで、きて)
誰にも侮られぬよう強く、清く正しく鍛えてきたアリスティドの身体の、誰も触れたことのなかった最も敏感で柔らかな肉。赤く腫れ熱を持ち、ずっと前からひくひくと脈打っていた、その場所。
「………………ッツ!!」
アリスティドはたまらず敷布を握りしめ額を擦りつける。そしてぎゅっと目を瞑って唇を噛みしめた。
「アリスティド先輩……?」
またゲオルグの声が聞こえる。
信じられない。自分と同性で年下の、何を考えているかわからぬ得体のしれないこの男の声が、こんな風にアリスティドをおののかせ、そして誘惑してくるなんて。
「……ッ、ああ、もう、…………っ」
額をベッドに押し付けたままアリスティドが力なく首を振ると、ゲオルグが片方の手をアリスティドの身体に回してぎゅっと力を込めた。
常に感情を見せぬ巨躯の一匹狼に似合わぬ、ひどく優しく穏やかな声がアリスティドの耳に忍び込んでくる。
「俺たち奉仕委員は、貴方たちが誰よりも賢く、強くいられるように、そのためにいる」
(ああそうだ。これはあくまで、私が優秀な監督生でいるための『奉仕』なんだ)
(ゲオルグはそのための委員で、だから、かれにされることは、すべて、ひつようなことで)
こんな風に己を恥じることなくもっと貪欲に求めてもいいのだ、と何度も何度も自分に言い聞かせる。
「アリスティド?」
まるで悪魔のささやきのようにゲオルグの低くて深い声がアリスティドの理性を絡めとる。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしくてみっともなくて、そして恐ろしい。
「…………ゲオ、ルグ……っ」
(駄目だ。言っては駄目だ)
何度も自分に言い聞かせようとするのに、たまらなく熱を孕んだ身体がそれを裏切る。
(ああ、駄目だ、でも、…………ッ!!)
とうとう我慢できずに、アリスティドの口から言葉が漏れた。
「わ、わたしは、筆頭監督生で、この寮の、せ、責任者で」
「ええ、そうですね」
きつく瞑った目蓋にそっとゲオルグの指が触れる。その温もりに泣き出したくなるほど心が昂る。
「それに、今度の行事は特に、気を抜けないから、変に、ふ、不満が溜まって、そちらに集中できないと、困るし……っ」
「そう。だからいつでも委員を呼んでいい」
そしてゲオルグはアリスティドの身体を抱え起こすとローブやタイやベスト、そしてスラックスと下着を剥ぎ取りベッドの下に落とす。そして自分もタイを抜き、アリスティドの足を開かせその間に屈みこんだ。
ゲオルグの大きな手のひらが己の内腿を這い、まだ羽織ったままのシャツに隠れたソコにそっと触れる。すでに先走りと香油で濡れそぼったソレはそそり勃ち、シャツの裾を押し上げていやらしいシミを作っていた。
「さあ、貴方の欲しがりなココを、一晩中でもしゃぶってあげますよ」
そう言われてアリスティドのモノが一層硬くなる。
「…………っ……っは……ぁ…………ッ」
ベッドのヘッドボードにもたれて、アリスティドはゲオルグが自分の股間に深々と顔を埋めるのを息を弾ませながらじっと見つめる。だがゲオルグはすぐには咥えず、臍まで反り返ったアリスティドのモノを顔のすぐそばでぬくぬくと扱きながら呟いた。
「……綺麗ですね」
その言葉にアリスティドは思わずカッとなる。
「うるさ…………ッ」
「褒めてるんですよ。……美味そうだ」
そう言ってわずかに口角を上げると、尖らせた唇で先端に口づけ、そのままぬるぬると飲み込んでいった。
「っひ…………ッ」
ぬちゅ、ぐちゅ、ぬぷ。
いやらしい音を立てて、ゲオルグの頭が上下する。
「っは……っ、あ、う、う」
ゲオルグの口を、完全に勃起した自分のモノが出入りしている。
「あっ、あう、んっ、んっ」
じゅる、と音を立てて亀頭を吸われてアリスティドはビクビクと震えた。
「く、ゲオルグ、だしたい、だしたい、ゲオルグ」
「いいですよ」
一度口から抜いて、ゲオルグが言う。そしてもう一度熱くぬめる口内に咥え込んで激しくピストンし始めた。
「あ、出る、出る、あ、イく…………ッ!!」
思わず強くゲオルグの頭を掴んで股間に押し付ける。そして一瞬後に、どくん! と心臓が大きく跳ねて、重くしこる陰嚢から大量の精液が押し出された。びゅくびゅくとまるで音を立てているような勢いでアリスティドはゲオルグの口の中に注ぎ込む。
「…………っは……ッ、ハッ、ハッ、ハッ」
悪い、とすぐに謝って抜くべきだと思ったが、あまりの衝撃に息をするだけで精一杯だった。やがて唇をきつく締めたままゲオルグが顔を上げ、アリスティドのモノから口を離す。そしてずるずるとベッドに身体を沈ませたアリスティドの目の前で口の中のものをどろり、と手のひらに吐き出した。
「どうしたんですか? アリスティド先輩」
その聞き慣れた声にアリスティドは詰めていた息をそろそろと吐き出した。
「…………ゲオ、ルグ」
ゲオルグがアリスティドの身体を跨いでベッドに乗り上げる。そしてアリスティドを後ろから抱き込むように身を屈めた。
「そんなに待てなかったんですか?」
「うるさ……っ」
自らベッドに擦りつけて自慰をしていたところを見られたことが悔しくて恥ずかしくて、アリスティドは思わず憎まれ口を叩く。
「……おい、奉仕委員には女もいるんだろう……っ!?」
「ええ、いますよ」
「なら、なぜいつもお前が……っ」
なぜ、男の自分のところに同じ男であるゲオルグが派遣されてくるのか。ベッドにうつぶせたままアリスティドがずっと胸に抱いていた疑問を口にすると、不意を突くように耳元でゲオルグが言った。
「俺じゃ嫌ですか?」
「…………っ、え?」
あまりにもストレートに聞かれてアリスティドは答えに詰まる。だが再び口を開く前にゲオルグの大きな体にすっぽりと抱き込まれながら、ベッドとアリスティドの間に滑り込んできた手にひくん、と喉を震わせた。ゲオルグの手が下着の中に入り込んできて物欲しげに涎を垂らすアリスティドのペニスを握りしめる。その手の温かさと硬くてかさついた感触に思わず深々とため息を漏らした。
(嫌ですか、だと?)
(それはお前の方ではないのか)
アリスティドは、つい先ほど総代のアーサーに言われた言葉を思い出す。
――――それともああいう男は好きではないか?
(嫌われているのは私の方だ)
そうでなければ彼が夜な夜なこうしてアリスティドの部屋を訪れ、こんなことをしている説明がつかない。
身に覚えがあるわけではないが、物心ついた頃からただそこにいるだけで目立って仕方がなかった自分のことだ。知らぬところでこの男の恨みや憎しみを買った可能性だってあるだろう。
(嫌っているからこそ、私の身体をこんな風に変えてしまったのではないのか)
「相当、腹を空かせていたようですね」
輪にした指でぬるぬると扱きながら、ゲオルグが耳元で囁く。
「っあ、あ、う」
「今日の午後はずっと下級生たちの練習に付き合い、一人一人にアドバイスを与え、俺たちのように山の整備に回った者たちにも事細かに指示を与えそれを見て回っていたというのに。疲れすぎると逆に欲しくなる、というやつですか?」
「んっ、っし、、知らな、……っ」
「ああ、すごい。蜜でドロドロだ」
「ひうっ」
いきなり鈴口をぐり、と親指の腹でこねられてアリスティドは尻を跳ね上げた。すると覆いかぶさるゲオルグの身体に背中と尻が密着する。
「同性の委員が派遣されるのは別に珍しくないですよ」
突然思い出したようにゲオルグが言った。
「特に女子は男子にされるのが怖くて同じ女子がいいという人も多いと聞いています」
「そ……そう、な、ん……あっ、あっ、んんっ」
ぐちゃぐちゃとペニスを扱かれながらアリスティドが喘ぐと、突然いきり勃つペニスからゲオルグの手が離れ、背中にぴったりとくっついていたゲオルグのぬくもりが遠ざかって、思わずアリスティドは唇を噛みしめて振り向いた。
「おい、どうして……っ!?」
ゲオルグがパチ、と瞬きをする。そしてかすかに笑った。
「大丈夫ですよ。ちゃんと気持ちよくしてあげますから」
そう言って傍らに置いていた沐浴用の厚いタオルをベッドに敷いていく。ほんの少し待たされるだけなのに、アリスティドは我慢できずに疼く自分の身体を強く抱きしめてまた唇を噛む。
「……駄目ですよ。傷になる」
ゲオルグが覗き込んできて、そっと親指の腹でアリスティドの唇を撫でた。一瞬口づけられるのかと思って背筋が凍り付く。だがゲオルグはあっさりと身を離すとスラックスのポケットから小さな瓶を取り出し、アリスティドの目の前でその中身をとろり、と手のひらに落とした。
「お好きでしょう、これ」
そう言ってアリスティドの身体をうつ伏せして後ろから覆いかぶさり、香油に濡れた手のひらで期待に震えているアリスティドのモノをぐちゅぐちゅと愛撫し始める。
「っは、あっ、う」
あまりの気持ちよさに声が漏れるのを止められない。アリスティドは両手を突っ張り尻を突き出すように浮かせてひたすら喘いだ。
「あ、う、んっ、あ、ソコ、ソコ……っ」
裏筋を揃えた指で順繰りに撫でられ、亀頭を握り込まれてくびれを何度も擦られる。快感が脳天まで駆け上がるたびに腰が引けて、アリスティドは腹に回されたゲオルグの手を掴むと快感に跳ねる尻を後ろへぐいぐい押し付けた。
「あ、う、はやく、……っ、ゲオルグ、はやく……ッ」
「まだですよ」
「な……ッツ」
この期に及んで焦らそうとするのか、とアリスティドが肩越しに睨みつけると、すぐそこにあったゲオルグの目がおかしそうに弧を描いた。
「もしかして今日一日ずっとここをこうして弄られてイかせて欲しくて、そればかり考えていたんですか?」
「ひゃうっ!!」
突然竿を扱かれながらお椀のように丸めた手のひらで先端を捏ね回され、アリスティドはのけ反った。
「あっ、ハッ、ハッ」
今度は痛いほど敏感になっている亀頭を放り出されて、根元と陰嚢を弄ばれる。
「俺に、どうされたいですか?」
すぐ耳元でゲオルグが問いただす。そして両手で輪を作ってゴリゴリと裏筋を擦りたてた。あまりに強烈な刺激にアリスティドの鈴口からはぼたぼたとカウパーが溢れ落ちてゲオルグの手を濡らし、ぬちゃぬちゃと聞くに堪えぬ音を立てた。
「あっ、ハッ、あぐ、っ、んんッ!」
「舐めて欲しいですか? しゃぶって欲しい?」
「ハッ、ハッ、ゲオル、ゲオル、グ……ッ」
「………………それとも」
その時、根元を握り重く垂れさがる陰嚢を弾くように弄んでいた中指が、ぞろり、と会陰を撫でた。
「…………ッ!!」
その動きと感触に、アリスティドがゲオルグに教えられたあの禁断の享楽がフラッシュバックする。
「…………っ、あ」
(この指が、もっと奥へ、奥へと這いこんできて)
アリスティドの身体がカタカタと小さく震える。
(アソコを撫でて、ちいさく、めくって、それから)
その震えが恐れからなのか期待なのか、アリスティドにはわからなかった。
(それから、少しずつ、少しずつ、ナカに、はいりこんで、きて)
誰にも侮られぬよう強く、清く正しく鍛えてきたアリスティドの身体の、誰も触れたことのなかった最も敏感で柔らかな肉。赤く腫れ熱を持ち、ずっと前からひくひくと脈打っていた、その場所。
「………………ッツ!!」
アリスティドはたまらず敷布を握りしめ額を擦りつける。そしてぎゅっと目を瞑って唇を噛みしめた。
「アリスティド先輩……?」
またゲオルグの声が聞こえる。
信じられない。自分と同性で年下の、何を考えているかわからぬ得体のしれないこの男の声が、こんな風にアリスティドをおののかせ、そして誘惑してくるなんて。
「……ッ、ああ、もう、…………っ」
額をベッドに押し付けたままアリスティドが力なく首を振ると、ゲオルグが片方の手をアリスティドの身体に回してぎゅっと力を込めた。
常に感情を見せぬ巨躯の一匹狼に似合わぬ、ひどく優しく穏やかな声がアリスティドの耳に忍び込んでくる。
「俺たち奉仕委員は、貴方たちが誰よりも賢く、強くいられるように、そのためにいる」
(ああそうだ。これはあくまで、私が優秀な監督生でいるための『奉仕』なんだ)
(ゲオルグはそのための委員で、だから、かれにされることは、すべて、ひつようなことで)
こんな風に己を恥じることなくもっと貪欲に求めてもいいのだ、と何度も何度も自分に言い聞かせる。
「アリスティド?」
まるで悪魔のささやきのようにゲオルグの低くて深い声がアリスティドの理性を絡めとる。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしくてみっともなくて、そして恐ろしい。
「…………ゲオ、ルグ……っ」
(駄目だ。言っては駄目だ)
何度も自分に言い聞かせようとするのに、たまらなく熱を孕んだ身体がそれを裏切る。
(ああ、駄目だ、でも、…………ッ!!)
とうとう我慢できずに、アリスティドの口から言葉が漏れた。
「わ、わたしは、筆頭監督生で、この寮の、せ、責任者で」
「ええ、そうですね」
きつく瞑った目蓋にそっとゲオルグの指が触れる。その温もりに泣き出したくなるほど心が昂る。
「それに、今度の行事は特に、気を抜けないから、変に、ふ、不満が溜まって、そちらに集中できないと、困るし……っ」
「そう。だからいつでも委員を呼んでいい」
そしてゲオルグはアリスティドの身体を抱え起こすとローブやタイやベスト、そしてスラックスと下着を剥ぎ取りベッドの下に落とす。そして自分もタイを抜き、アリスティドの足を開かせその間に屈みこんだ。
ゲオルグの大きな手のひらが己の内腿を這い、まだ羽織ったままのシャツに隠れたソコにそっと触れる。すでに先走りと香油で濡れそぼったソレはそそり勃ち、シャツの裾を押し上げていやらしいシミを作っていた。
「さあ、貴方の欲しがりなココを、一晩中でもしゃぶってあげますよ」
そう言われてアリスティドのモノが一層硬くなる。
「…………っ……っは……ぁ…………ッ」
ベッドのヘッドボードにもたれて、アリスティドはゲオルグが自分の股間に深々と顔を埋めるのを息を弾ませながらじっと見つめる。だがゲオルグはすぐには咥えず、臍まで反り返ったアリスティドのモノを顔のすぐそばでぬくぬくと扱きながら呟いた。
「……綺麗ですね」
その言葉にアリスティドは思わずカッとなる。
「うるさ…………ッ」
「褒めてるんですよ。……美味そうだ」
そう言ってわずかに口角を上げると、尖らせた唇で先端に口づけ、そのままぬるぬると飲み込んでいった。
「っひ…………ッ」
ぬちゅ、ぐちゅ、ぬぷ。
いやらしい音を立てて、ゲオルグの頭が上下する。
「っは……っ、あ、う、う」
ゲオルグの口を、完全に勃起した自分のモノが出入りしている。
「あっ、あう、んっ、んっ」
じゅる、と音を立てて亀頭を吸われてアリスティドはビクビクと震えた。
「く、ゲオルグ、だしたい、だしたい、ゲオルグ」
「いいですよ」
一度口から抜いて、ゲオルグが言う。そしてもう一度熱くぬめる口内に咥え込んで激しくピストンし始めた。
「あ、出る、出る、あ、イく…………ッ!!」
思わず強くゲオルグの頭を掴んで股間に押し付ける。そして一瞬後に、どくん! と心臓が大きく跳ねて、重くしこる陰嚢から大量の精液が押し出された。びゅくびゅくとまるで音を立てているような勢いでアリスティドはゲオルグの口の中に注ぎ込む。
「…………っは……ッ、ハッ、ハッ、ハッ」
悪い、とすぐに謝って抜くべきだと思ったが、あまりの衝撃に息をするだけで精一杯だった。やがて唇をきつく締めたままゲオルグが顔を上げ、アリスティドのモノから口を離す。そしてずるずるとベッドに身体を沈ませたアリスティドの目の前で口の中のものをどろり、と手のひらに吐き出した。
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