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祝福されし太陽の神子の役目
11 アトラの奉仕 ★
しおりを挟む「んっ、っ、んっ、」
鼻から甘ったるい声がひっきりなしに漏れる。こんな時こそ口を塞いでいて欲しいのに、突然手が口から外れて俺の顎を持ち上げた。
「っふ、あっ、あっ、ん……っ」
自分でも赤面するほどどろどろに蕩けた恥ずかしい声がねっとりと耳孔に入り込む。先端から漏れる先走りをくちゅくちゅと塗り込められ、巧みに竿を扱かれながら俺はあっけなくイかされた。
「ひ、~~~~ぅ~~ッ!!」
とてつもない絶頂にガクガクと身体が痙攣する。先端から勢いよく吐き出された精液を、誰かが大きな杯で受け止めるのが見えた。
頂点を過ぎた快感が急激に冷えて、少しずつ正気が戻って来る。一体俺は今、何をされたんだ……? それがわかる前に、またしても肉厚な手が俺のモノを弄り始めた。
「え、ま、まって」
そう言おうとした途端、また手で口を塞がれる。
「んっ、んっ、…………っ!」
白濁に濡れたペニスをまたしてもぐちゃぐちゃと扱き立てられて俺はパニックになった。単調で慣れきった自慰しか知らない俺にとって、他人の手でもたらされるまるで予想がつかない一方的な責めはあまりに刺激が強すぎた。
「んっ、っ、ぅ、んぐ……ぅ……っ!」
またイかされて射精して、イっている最中の恐ろしく敏感な性器をさらに扱かれて根こそぎ搾り取られる。恭しく捧げられた杯で二度、三度と白濁が受け止められるのを見て、それがさっき飲まされた酒の杯だと気が付いた。
愛撫され続けて赤く腫れた先端を太い親指の腹で労わるように優しく撫でられる。気持ちよさが背筋をゾクゾクと這い上がってきて、俺はその腕にしがみついてみっともなく泣いた。
「まだだ、まだ足りぬ」
祭司長の声が響き、周りの空気や歓声や熱気はさらに高潮していく。
それから俺は暴力的なまでの快感に必死に身体を丸めて、涙と汗と涎で顔をぐちゃぐちゃにしながらさらに二度イかされた。陰嚢に溜まった全部の精液を残らず吐き出させられて、俺はようやく終わったかとぐったりと脱力する。気を失いかけた俺の耳に大勢の人たちの熱狂的な声と激しく打ち鳴らされる太鼓や土笛の男が木霊した。
それから俺は横抱きにされてあの《夜の座》へ連れていかれた。
厚い敷物の上に下ろされ、まともに座ることもできなくてぐずぐずとへたり込む俺の前にあの杯が置かれる。それは俺の出した精液とあの白く甘い匂いの酒が混ぜられたもので満たされていた。
足早に祭司長がやってくる。
「これは**の日、《最*の七日間》最初の日の捧げ物」
俺の背中をそっと撫でて、アトラの気配が遠ざかる。
「恐ろしく強大な神にして*を*く鏡、我らが偉大なる*******よ! 心願を成さしめたまえ!!」
何度も何度もイかされて、腰の奥が鉛のように重だるい。唾液も飲み込めず這いつくばった半開きの目に、杯と綺麗な石のタイルで飾られた頭蓋骨と、そしてあの黒く光る巨大な石の鏡が見えた。
祭司長の朗々とした声が《夜の座》に響き渡る。
「これが最初の一日目! やがて**は御身に近づき、御身に**られる**は完成する!」
◇ ◇ ◇
気が付くと俺はあの沐浴場の水の中に浸かっていた。身体に纏ったままの薄い布がゆらゆらと水中で揺れている。誰かが俺を背中から抱き込んで、濡らした柔らかな布で俺のうなじや肩を撫でるように拭っていた。
「…………アト、ラ」
ピクリ、とその手が止まる。
ちゃんとわかっていた。今夜、俺を羽交い絞めにして俺に触れて、俺が泣いて意識を失うほど繰り返しイかせ続けたのはアトラだ。
名前を呼んだはいいが、その後何も言えずに黙り込む。するとアトラが後ろから俺を覗き込んできた。いつだって凛として男らしい美しさに溢れていた彼の顔が曇っている。多分、俺に惨いことをしたと思っているんだろう。でもやっぱり俺はわかっていた。
もしもアトラがしなければ、きっと他の誰かが同じことを俺にしていたに違いない。だったらアトラで良かった。まだ半分目が覚めていないような頭で、なんとか呟く。
「アトラで、よかった」
だから大丈夫。そんな顔をしなくていい。するとアトラの眉がぎゅっと顰められた。真面目なやつだなぁ、なんておかしく思う。
多分俺は今夜、いや今までだって何度もアトラに助けられていたのだ。
いつも俺が混乱して何かまずいことを口走りそうになるたびに、アトラは手で俺の口を塞いであの祭司長に気づかれないようにしてくれた。今日だって俺が怖がって嫌がっているとわかっていても、俺が罰を受けたりもっとひどい目に遭ったりしないようにあんなことをしたのだ。
アトラは優しい。それに思いやりもある。明らかに様子のおかしい俺のことを疑って当然なのに、それでも俺を助けて守ってくれている。絶対に間違いなくアトラはいいやつだ。
ちゃぷ、と水音がしてアトラの手がたゆたう布の下に潜り込む。その時、あれだけ散々射精させられたのにまだ俺のペニスは勢いを無くしていなかったことに気が付いた。そんな馬鹿な。驚いた勢いで小さく肩が跳ねる。それをなだめるようにアトラがもう片方の手で俺の腕を撫でた。
アトラの手がまた俺のモノに触れてくる。水の中で揺れる布の下で緩やかに動き出す手に息を詰めた。
「……っふ、んっ、……ぅ、…………あっ」
たちまち上がる息と声を慌てて手で押さえると、そんな必要はないとアトラがこめかみに唇を押し当てる。それで今、沐浴場には俺とアトラの二人しかいないのだとわかった。だから俺も恐る恐る詰めていた息をそっと吐き出す。
「あ、うぅ……ぅンッ……あ、はァ……」
アトラは俺の顔を見下ろしながら少しずつ、ゆっくりと俺を追い上げてくる。無理矢理イかされたさっきと違って俺のリズムや心の動きに合わせてくれているのがわかる。俺がいっぱいいっぱいになると待ってくれて、我慢できなくなると親指の腹で竿を擦りながら爪先で先端の穴をくりくりと弄ってくれた。言葉はなくてもじっと俺の顔を見て呼吸を合わせてくれる。だから安心してすべてを委ねた。
こんなこと普通じゃ考えられない。でもアトラのことは怖くも嫌でもなかった。
何度もイきすぎて一滴も出せずにただビクビク痙攣している俺を抱きしめながら、アトラは柔らかな布でそっと俺の足の間を拭ってくれた。そして俺の身体を拭いて新しい服を着せると、いつものように二人だけのベッドに連れて行ってくれた。
――――やっと、長いようで短かった**の七日間の初めの日が終わった。
そう頭の中に浮かんでくる。
今夜もきっと俺はトナティルの夢を見る。それは予想ではなく確信だった。
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