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Ⅴ エルフの恋も信心から 編
キスをたくさん。 ★
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ラカンの何が欲しい? そう聞かれたら全部としか答えようがない。
ラカンの手も足も指も髪も、あの鋭い牙も黒い角もなんでも見通すみたいな鋭い目も。それに意地悪なように見えるけど、俺がいっぱいいっぱいで馬鹿みたいに泣いてしまうとすぐに抱きしめてくれる、本当はあったかい心も。
俺はラカンの特別になりたい。ラカンの大きな心の中の片隅でいいから特別な場所が欲しい。もしそれをくれたなら、俺はラカンがよそでどれだけ他の誰かに優しくしてても、他の子に好かれてても、きっと怖くないと思う。
俺は歯を食いしばって震える身体を起こすと、俺を乗せて欲情に息を荒げているラカンを見る。
昔、一度だけ夢で見た事がある。ラカンが好きだと自覚して、でも男同士だし向こうにしてみればただの腐れ縁の相棒だし、絶対この気持ちを悟られるわけにはいかないって思い詰めてた頃に。
それはラカンにキスして貰う夢だった。
もちろん俺の勝手な妄想だってわかってたけど、それでも俺は嬉しくて嬉しくて、何年もの間密かにその他愛もない夢をこっそりひっそり大事な宝物みたいに胸の奥に仕舞ってた。
結局あんな道の往来の酒場の前なんかでどさくさに紛れて、一方的にラカンとの初めてのキスを奪ってしまったけど、でもそれでいいんだ。
俺がラカンのキスが欲しいんだから自分で奪りに行けばいいんだ。今までだって欲しいものにはずっとそうしてきたじゃないか。周りの反対を押し切って森を出て、試行錯誤しながらもこのダナンの街で暮らして、ラカンの良き相棒として八年もやってきたみたいに。
だからこれでいい。俺がキスをして、ラカンが答えてくれる。それだけですごく嬉しい。そう思って騎乗位のままもう一度身を屈めてラカンにキスをしようとした時、ラカンに止められて思わず息を飲んだ。
「ラカン……?」
「ちょっと待て」
ラカンが俺の下で身じろいで、そんで俺の腰を掴んだ。
「お前、このままじゃイけないだろ」
「え、や、それは……」
「いいから、体重かけて力抜いとけ」
「いや、それじゃ重いだろうし…………っ!?」
いきなり、ラカンがベッドについてた俺の左の膝をぐいっと払った。
「ひうんっつ!?」
あまりに突然のことに膝が滑って全体重が俺とラカンが繋がったソコにかかる。そしてラカンのモノにすんごい奥まで突き上げられた。
え、あ、うそ、初めてこんな奥まで挿れられた……? いや、それより、これ絶対、なにかすごくいけないところに当たってる、きがする。
「動かすぞ」
「や、まて、ちょ、ちょっとまて、ちょっとま…………ひゃうっつ!?」
ぐいっと、ラカンが俺の腰を揺すった。するとその危険な場所をラカンの張りつめた亀頭にぐぷっ、と抉られて頭が真っ白になる。
「ラカ、ラカン、まって、まってまって、やっ、ひんっ!」
俺は必死に両手を突っ張り、回らない舌で懸命にラカンの名前を呼ぶ。するとラカンが動きを止めて尋ねた。
「なんだ、マジでヤバイのか」
「ひ……っ、あっ、う、うう……」
ほんの少しでも動けばとんでもないことになる。そんな感覚に、言葉も出ない。
「そうか。よしよし。大丈夫だからな」
ラカンはそんなことを言って俺の背中や腰を撫でて、落ち着くまで待っててくれる。俺はその間に必死にまともな呼吸を取り戻そうとした。
「なあ、アドルティス」
ラカンに呼ばれて、驚きと混乱とでにじみ出てきた涙に濡れる目で瞬きする。するとラカンは俺の肘を撫で、指で辿って俺の腕を掴んでそっと引き寄せた。俺はラカンに貫かれたまま、前屈みになってラカンと顔を付き合わせた格好になる。
「なあ、アドルティス」
もう一度ラカンが俺の名を呼ぶ。
「なあ、お前、欲しいんだろう?」
「…………何を」
「……それは俺が言うことじゃねぇだろ」
「………………」
でも、俺は何も言えなかった。ラカンの強い視線に耐え切れず、ぎゅっと目をつぶる。
もちろん自分が欲しいものは自分が一番よくわかってる。でも言えなかった。言っていいのかわからなかったから。ううん、言って、もしそれが手に入らなかったら、自分が味わうことになる悲しさとか苦しさとか、そういうのが怖かったからだ。
俺はどうしていいかわからず唇をかみ締めて押し黙る。こういう肝心な時、俺の口はさっぱり役目を果たしてくれない。そしたらラカンが小さくため息をついた。思わず俺はビクッと固まってしまう。
「アドルティス、こっち見ろよ」
「………………」
無視するわけにもいかず、恐る恐る目を開けてると、ラカンがすっごい真剣な顔して俺を見てた。相変わらず俺が黙ったままでいると、また一つため息をついて俺の頭を引き寄せた。
ラカンの顔が近づいてきて、俺はたまらずにまた目を閉じる。すると額にひとつ、小さな優しいキスが落とされた。次は目蓋に、目尻に、鼻の頭をかぷりと噛まれて思わず笑ってしまう。そして俺の唇に、子どものころに森で摘んでは吸った花の蜜みたいにふんわりと甘く、それはそれはやさしくラカンの唇が触れた。
あ。ラカンが。キスしてくれた。
そう思った瞬間、ラカンが俺の唇を軽く食んで、そして舌先で口を開けるように促す。俺がそれに従うとラカンの暖かな舌が滑り込んできて、それからはもう夢中でラカンの舌を追いかけて、段々激しくなる愛撫に一生懸命答えた。
初めてラカンの方からキスしてくれた。
するとラカンが頼んでくれた木苺の酒のように綺麗な色が胸の中でぱちぱちと弾けて、俺の心臓をくすぐり、そして暖める。
ラカンが俺にくれて、胸の真ん中に宿ったその熱はじんわりと体中に広がっていって、目蓋の奥でまたキラキラと弾けた。
「好きだ、ラカン、ラカン」
俺はほんの一瞬唇が離れたその隙間を縫ってうわごとのように呟く。
「ラカン、好き。すごく、誰よりも一番大好きだ」
「そうかよ」
ラカンが喉の奥で笑いながら答える。そして言った。
「俺たちは見た目は似ても似つかないが、本当はすごく気が合うよな」
「………………え?」
思わず上半身を持ち上げてラカンを見下ろすと、鬼が捕まえた獲物を値踏みする目つきで言った。
「『麗しのエルフ様』の一番のファンは俺だぜ? 覚えとけよ、アディ」
「………………ふはっ!」
らしくない言い草に思わず吹き出してしまう。するとラカンがぎゅっと眉間に皴を刻んで俺に言った。
「いいか、二度とあんなつまんねぇ女たちにベタベタさせるんじゃないぞ。いいな」
「わかった」
「あとレンの野郎は……あいつはまあいい。上手く使え」
「使う?」
意味が分からずつい首を傾げる。次の瞬間ハッと我に返って、俺も負けじとラカンに向かって言った。
「あ、あんただって約束してくれ!」
「おお、いいぞ。なんだ」
「リ…………リナルアと…………その…………」
二人っきりで会わないで欲しい、なんて言ったらいけないだろうか。嫉妬心剥き出して、呆れられるかな、と躊躇っていたらラカンが鼻で笑った。
「あいつはただの魔石マニアだ。俺に用があるわけじゃない」
「え? マニア?」
「今度よく聞いてみろよ。あいつの話は全部いつの間にか石の話になってるから」
そ……そうだったのか…………初めて知った…………。
思わず呆然としてると、ラカンが俺の尻をぺちっと叩いて言った。
「で、どうすんだよ。今日はお前がイかせてくれるのか? それともいつもみたいに俺にたっぷりといじめて欲しいのか」
「い、いじめ……っ!?」
ちょっと考えてからおっかなびっくり答える。
「…………ど、どっちも……したい……」
「ったく、こっちは十日以上も野営続きで寝不足なんだぜ?」
「そ、そうか………………頑張れ?」
「あのなぁ」
「ふふっ」
そうやってお互い顔を見合わせて、笑った。
そして俺たちは会えなかった何日もの空白を埋めるかのように、そりゃあもうお互いの何もかもをたっぷり貪って堪能し尽くした。
「ラカン、ラカン、かっこいい、すき、だいすき」
初めは俺が上になったまま、ラカンの荒く息づく胸やぴくぴくしてる腹筋をたっぷり目や手や唇で楽しんでたら、イきそうになった直前にひっくり返されて今度は俺がベッドに組み伏せられた。
「え、あ、やだ、これ、やだ」
「いいから、よく見てろ」
膝裏を持ち上げられて、これでもかってくらい足を開かされて、ラカンのモノが出入りしているところを見せつけられる。すごい……ラカンの赤黒い極太の男根が、ぬるぬる出たり入ったりして、すごくいやらしい……。見てるだけで達してしまいそうだ……。
「はあんっ、んふあっ、んあっ、ふぅああっ」
ぬちぬちと音を立てながら行き来してたラカンのモノが、ぐぐっと奥に入ってきて最奥を打つ。
「ほら、全部入ったぜ? アディ」
「ひゃっ、んっ、すご、すご、い……っ、あっ、ひうっ」
そのままごつごつ奥を突かれてイかされて、それから一度抜かれて今度はうつ伏せにされて後ろから挿れられた。
「や、まえ、いじらないで……っ」
「じゃあこっちな」
「ひっ、そ、そっちも、だめ……ぇ……っ」
「お前、男に抱かれてる時はほんと女みたいに泣くのな」
「あっ、ち……ちが……っ、おんなのこなんかじゃ……あ、や、おく、んぐっ……っ」
「ほら、乳首ぷっくり勃起させて、触ってもないのに後ろぐちゅぐちゅされただけで摩羅勃たせて、ほんとに俺のアディはエロくてかわいいな」
「も……も、いうな……ひぁ……っ」
胸もナカもしつこく責めたてられてまたイかされて、大きな手でがっちりと腰を掴まれたまま溢れるくらいたっぷりとナカに出された。
その時点で俺の方はもうへとへとだったけどラカンの方がまだ満足しなかった。ラカン、疲れてるって言ってなかったか?
でも確かにラカンのモノはまだガチガチに勃起していて、だから今度は俺が口でしてあげて、そして口内で出されたのを全部はムリだったけどちょこっとだけ飲み込んだら、ラカンが怒ったようになんか言いながら俺の頭をはたいてきた。解せぬ。
◇ ◇ ◇
もう指一本動かせなくてぐったりしてる俺を、ラカンが後処理という名目で好き勝手に指でナカを弄り回す。そして自分が出したものを掻き出してながら、ふと思い出したように言った。
「……本当はもっと早く戻って来たかったんだぜ?」
「…………え…………?」
「お前、こないだ誕生日だったんだろう?」
って、え? ラカン知ってたのか? 確かにそんな話、随分昔に一度だけしたような気もするけど、でもラカンたち鬼人族は生まれた日を祝う習慣はないってその時聞いて、だからラカンもそういうの興味ないんだと思っていたのに。
「あ、ああ、そうだけ、ど……ひうっ」
俺は何度もイって恐ろしく敏感になったままの中をいいように弄ばれて、息も絶え絶えにラカンにしがみつきながら答えた。
「で、でも、ラカンは、そういうの、気にしない、って」
「自分のはな。でもエルフにとっては大事な日なんだろう?」
なんだか胸がきゅううっ、となってすごく苦しい。なんでだろう、すごく嬉しいのに苦しいなんて。
ラカンが俺の頭を膝に乗せてニッと笑う。
「お前がこの世に生まれて感謝してるんだから、俺にとっても大事な日だな…………ってなんで泣くんだよ、おい」
「泣いてない。絶対泣いてない」
みっともなくぐしぐしと拳で目を擦っていると、その手をラカンに掴まれた。
「いいか。俺にして欲しいことは何でも言え。黙って一人でぐるぐる考えてんじゃねぇぞ。わかったな」
「……わかった」
「よし」
それから言われた通り「キスして欲しい」って言って、ぎゅって抱きしめてもらいながらいっぱい口づけを交わしてたら、ラカンのモノがまた熱く硬くなってきた。
「……ほんとに、鬼人族って、すごいな……」
思わず感心しながらうっとりとその太い竿を扱いていたら、ラカンの指がまた俺のナカに潜り込んできた。
「なあ、お前もう眠たいんだろう。寝てていいからもう一回だけいいか?」
「ね、寝ててもいいの……?」
「ああ」
そう言ってラカンがちゅ、と俺の額に口づける。確かにもう体力が限界で、正直ものすごく眠い。
「……いい、よ……、おれのこと、すきにして……」
「かわいいな、アディ。このまま食っちまいたいくらいだぜ」
何かものすごく物騒なことを言われた気がしたが、結局そのまま気絶するみたいに眠ってしまった。けれど夜中に何度かふと意識が浮上するたびに俺のソコを何かがちゅくちゅくと出入りしているのを、確かに俺はずっと感じていた。
そして夜が明けて突然入ってきた極太の楔に奥まで貫かれて、朝っぱらからたっぷりと子種を注ぎ込まれながら俺はラカンから濃厚すぎるおはようのキスを貰ったのだった。
ラカンの手も足も指も髪も、あの鋭い牙も黒い角もなんでも見通すみたいな鋭い目も。それに意地悪なように見えるけど、俺がいっぱいいっぱいで馬鹿みたいに泣いてしまうとすぐに抱きしめてくれる、本当はあったかい心も。
俺はラカンの特別になりたい。ラカンの大きな心の中の片隅でいいから特別な場所が欲しい。もしそれをくれたなら、俺はラカンがよそでどれだけ他の誰かに優しくしてても、他の子に好かれてても、きっと怖くないと思う。
俺は歯を食いしばって震える身体を起こすと、俺を乗せて欲情に息を荒げているラカンを見る。
昔、一度だけ夢で見た事がある。ラカンが好きだと自覚して、でも男同士だし向こうにしてみればただの腐れ縁の相棒だし、絶対この気持ちを悟られるわけにはいかないって思い詰めてた頃に。
それはラカンにキスして貰う夢だった。
もちろん俺の勝手な妄想だってわかってたけど、それでも俺は嬉しくて嬉しくて、何年もの間密かにその他愛もない夢をこっそりひっそり大事な宝物みたいに胸の奥に仕舞ってた。
結局あんな道の往来の酒場の前なんかでどさくさに紛れて、一方的にラカンとの初めてのキスを奪ってしまったけど、でもそれでいいんだ。
俺がラカンのキスが欲しいんだから自分で奪りに行けばいいんだ。今までだって欲しいものにはずっとそうしてきたじゃないか。周りの反対を押し切って森を出て、試行錯誤しながらもこのダナンの街で暮らして、ラカンの良き相棒として八年もやってきたみたいに。
だからこれでいい。俺がキスをして、ラカンが答えてくれる。それだけですごく嬉しい。そう思って騎乗位のままもう一度身を屈めてラカンにキスをしようとした時、ラカンに止められて思わず息を飲んだ。
「ラカン……?」
「ちょっと待て」
ラカンが俺の下で身じろいで、そんで俺の腰を掴んだ。
「お前、このままじゃイけないだろ」
「え、や、それは……」
「いいから、体重かけて力抜いとけ」
「いや、それじゃ重いだろうし…………っ!?」
いきなり、ラカンがベッドについてた俺の左の膝をぐいっと払った。
「ひうんっつ!?」
あまりに突然のことに膝が滑って全体重が俺とラカンが繋がったソコにかかる。そしてラカンのモノにすんごい奥まで突き上げられた。
え、あ、うそ、初めてこんな奥まで挿れられた……? いや、それより、これ絶対、なにかすごくいけないところに当たってる、きがする。
「動かすぞ」
「や、まて、ちょ、ちょっとまて、ちょっとま…………ひゃうっつ!?」
ぐいっと、ラカンが俺の腰を揺すった。するとその危険な場所をラカンの張りつめた亀頭にぐぷっ、と抉られて頭が真っ白になる。
「ラカ、ラカン、まって、まってまって、やっ、ひんっ!」
俺は必死に両手を突っ張り、回らない舌で懸命にラカンの名前を呼ぶ。するとラカンが動きを止めて尋ねた。
「なんだ、マジでヤバイのか」
「ひ……っ、あっ、う、うう……」
ほんの少しでも動けばとんでもないことになる。そんな感覚に、言葉も出ない。
「そうか。よしよし。大丈夫だからな」
ラカンはそんなことを言って俺の背中や腰を撫でて、落ち着くまで待っててくれる。俺はその間に必死にまともな呼吸を取り戻そうとした。
「なあ、アドルティス」
ラカンに呼ばれて、驚きと混乱とでにじみ出てきた涙に濡れる目で瞬きする。するとラカンは俺の肘を撫で、指で辿って俺の腕を掴んでそっと引き寄せた。俺はラカンに貫かれたまま、前屈みになってラカンと顔を付き合わせた格好になる。
「なあ、アドルティス」
もう一度ラカンが俺の名を呼ぶ。
「なあ、お前、欲しいんだろう?」
「…………何を」
「……それは俺が言うことじゃねぇだろ」
「………………」
でも、俺は何も言えなかった。ラカンの強い視線に耐え切れず、ぎゅっと目をつぶる。
もちろん自分が欲しいものは自分が一番よくわかってる。でも言えなかった。言っていいのかわからなかったから。ううん、言って、もしそれが手に入らなかったら、自分が味わうことになる悲しさとか苦しさとか、そういうのが怖かったからだ。
俺はどうしていいかわからず唇をかみ締めて押し黙る。こういう肝心な時、俺の口はさっぱり役目を果たしてくれない。そしたらラカンが小さくため息をついた。思わず俺はビクッと固まってしまう。
「アドルティス、こっち見ろよ」
「………………」
無視するわけにもいかず、恐る恐る目を開けてると、ラカンがすっごい真剣な顔して俺を見てた。相変わらず俺が黙ったままでいると、また一つため息をついて俺の頭を引き寄せた。
ラカンの顔が近づいてきて、俺はたまらずにまた目を閉じる。すると額にひとつ、小さな優しいキスが落とされた。次は目蓋に、目尻に、鼻の頭をかぷりと噛まれて思わず笑ってしまう。そして俺の唇に、子どものころに森で摘んでは吸った花の蜜みたいにふんわりと甘く、それはそれはやさしくラカンの唇が触れた。
あ。ラカンが。キスしてくれた。
そう思った瞬間、ラカンが俺の唇を軽く食んで、そして舌先で口を開けるように促す。俺がそれに従うとラカンの暖かな舌が滑り込んできて、それからはもう夢中でラカンの舌を追いかけて、段々激しくなる愛撫に一生懸命答えた。
初めてラカンの方からキスしてくれた。
するとラカンが頼んでくれた木苺の酒のように綺麗な色が胸の中でぱちぱちと弾けて、俺の心臓をくすぐり、そして暖める。
ラカンが俺にくれて、胸の真ん中に宿ったその熱はじんわりと体中に広がっていって、目蓋の奥でまたキラキラと弾けた。
「好きだ、ラカン、ラカン」
俺はほんの一瞬唇が離れたその隙間を縫ってうわごとのように呟く。
「ラカン、好き。すごく、誰よりも一番大好きだ」
「そうかよ」
ラカンが喉の奥で笑いながら答える。そして言った。
「俺たちは見た目は似ても似つかないが、本当はすごく気が合うよな」
「………………え?」
思わず上半身を持ち上げてラカンを見下ろすと、鬼が捕まえた獲物を値踏みする目つきで言った。
「『麗しのエルフ様』の一番のファンは俺だぜ? 覚えとけよ、アディ」
「………………ふはっ!」
らしくない言い草に思わず吹き出してしまう。するとラカンがぎゅっと眉間に皴を刻んで俺に言った。
「いいか、二度とあんなつまんねぇ女たちにベタベタさせるんじゃないぞ。いいな」
「わかった」
「あとレンの野郎は……あいつはまあいい。上手く使え」
「使う?」
意味が分からずつい首を傾げる。次の瞬間ハッと我に返って、俺も負けじとラカンに向かって言った。
「あ、あんただって約束してくれ!」
「おお、いいぞ。なんだ」
「リ…………リナルアと…………その…………」
二人っきりで会わないで欲しい、なんて言ったらいけないだろうか。嫉妬心剥き出して、呆れられるかな、と躊躇っていたらラカンが鼻で笑った。
「あいつはただの魔石マニアだ。俺に用があるわけじゃない」
「え? マニア?」
「今度よく聞いてみろよ。あいつの話は全部いつの間にか石の話になってるから」
そ……そうだったのか…………初めて知った…………。
思わず呆然としてると、ラカンが俺の尻をぺちっと叩いて言った。
「で、どうすんだよ。今日はお前がイかせてくれるのか? それともいつもみたいに俺にたっぷりといじめて欲しいのか」
「い、いじめ……っ!?」
ちょっと考えてからおっかなびっくり答える。
「…………ど、どっちも……したい……」
「ったく、こっちは十日以上も野営続きで寝不足なんだぜ?」
「そ、そうか………………頑張れ?」
「あのなぁ」
「ふふっ」
そうやってお互い顔を見合わせて、笑った。
そして俺たちは会えなかった何日もの空白を埋めるかのように、そりゃあもうお互いの何もかもをたっぷり貪って堪能し尽くした。
「ラカン、ラカン、かっこいい、すき、だいすき」
初めは俺が上になったまま、ラカンの荒く息づく胸やぴくぴくしてる腹筋をたっぷり目や手や唇で楽しんでたら、イきそうになった直前にひっくり返されて今度は俺がベッドに組み伏せられた。
「え、あ、やだ、これ、やだ」
「いいから、よく見てろ」
膝裏を持ち上げられて、これでもかってくらい足を開かされて、ラカンのモノが出入りしているところを見せつけられる。すごい……ラカンの赤黒い極太の男根が、ぬるぬる出たり入ったりして、すごくいやらしい……。見てるだけで達してしまいそうだ……。
「はあんっ、んふあっ、んあっ、ふぅああっ」
ぬちぬちと音を立てながら行き来してたラカンのモノが、ぐぐっと奥に入ってきて最奥を打つ。
「ほら、全部入ったぜ? アディ」
「ひゃっ、んっ、すご、すご、い……っ、あっ、ひうっ」
そのままごつごつ奥を突かれてイかされて、それから一度抜かれて今度はうつ伏せにされて後ろから挿れられた。
「や、まえ、いじらないで……っ」
「じゃあこっちな」
「ひっ、そ、そっちも、だめ……ぇ……っ」
「お前、男に抱かれてる時はほんと女みたいに泣くのな」
「あっ、ち……ちが……っ、おんなのこなんかじゃ……あ、や、おく、んぐっ……っ」
「ほら、乳首ぷっくり勃起させて、触ってもないのに後ろぐちゅぐちゅされただけで摩羅勃たせて、ほんとに俺のアディはエロくてかわいいな」
「も……も、いうな……ひぁ……っ」
胸もナカもしつこく責めたてられてまたイかされて、大きな手でがっちりと腰を掴まれたまま溢れるくらいたっぷりとナカに出された。
その時点で俺の方はもうへとへとだったけどラカンの方がまだ満足しなかった。ラカン、疲れてるって言ってなかったか?
でも確かにラカンのモノはまだガチガチに勃起していて、だから今度は俺が口でしてあげて、そして口内で出されたのを全部はムリだったけどちょこっとだけ飲み込んだら、ラカンが怒ったようになんか言いながら俺の頭をはたいてきた。解せぬ。
◇ ◇ ◇
もう指一本動かせなくてぐったりしてる俺を、ラカンが後処理という名目で好き勝手に指でナカを弄り回す。そして自分が出したものを掻き出してながら、ふと思い出したように言った。
「……本当はもっと早く戻って来たかったんだぜ?」
「…………え…………?」
「お前、こないだ誕生日だったんだろう?」
って、え? ラカン知ってたのか? 確かにそんな話、随分昔に一度だけしたような気もするけど、でもラカンたち鬼人族は生まれた日を祝う習慣はないってその時聞いて、だからラカンもそういうの興味ないんだと思っていたのに。
「あ、ああ、そうだけ、ど……ひうっ」
俺は何度もイって恐ろしく敏感になったままの中をいいように弄ばれて、息も絶え絶えにラカンにしがみつきながら答えた。
「で、でも、ラカンは、そういうの、気にしない、って」
「自分のはな。でもエルフにとっては大事な日なんだろう?」
なんだか胸がきゅううっ、となってすごく苦しい。なんでだろう、すごく嬉しいのに苦しいなんて。
ラカンが俺の頭を膝に乗せてニッと笑う。
「お前がこの世に生まれて感謝してるんだから、俺にとっても大事な日だな…………ってなんで泣くんだよ、おい」
「泣いてない。絶対泣いてない」
みっともなくぐしぐしと拳で目を擦っていると、その手をラカンに掴まれた。
「いいか。俺にして欲しいことは何でも言え。黙って一人でぐるぐる考えてんじゃねぇぞ。わかったな」
「……わかった」
「よし」
それから言われた通り「キスして欲しい」って言って、ぎゅって抱きしめてもらいながらいっぱい口づけを交わしてたら、ラカンのモノがまた熱く硬くなってきた。
「……ほんとに、鬼人族って、すごいな……」
思わず感心しながらうっとりとその太い竿を扱いていたら、ラカンの指がまた俺のナカに潜り込んできた。
「なあ、お前もう眠たいんだろう。寝てていいからもう一回だけいいか?」
「ね、寝ててもいいの……?」
「ああ」
そう言ってラカンがちゅ、と俺の額に口づける。確かにもう体力が限界で、正直ものすごく眠い。
「……いい、よ……、おれのこと、すきにして……」
「かわいいな、アディ。このまま食っちまいたいくらいだぜ」
何かものすごく物騒なことを言われた気がしたが、結局そのまま気絶するみたいに眠ってしまった。けれど夜中に何度かふと意識が浮上するたびに俺のソコを何かがちゅくちゅくと出入りしているのを、確かに俺はずっと感じていた。
そして夜が明けて突然入ってきた極太の楔に奥まで貫かれて、朝っぱらからたっぷりと子種を注ぎ込まれながら俺はラカンから濃厚すぎるおはようのキスを貰ったのだった。
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