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Ⅲ 有為転変はエルフの習い 編

アドルティスの試練 ★

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「は……はぁああぁあっ!?」

 と思わず叫びそうになった。実際には「は」で止まってたけど。
 いや、そんなことより、さ、最後まで!? 俺、ラカンの目の前でこんなことをして、その上こんな道具なんかでイくとこ見られるとか、そんな醜態まで晒さないといけないのか!? 
 と、そこはうっかり口に出してしまってたらしい俺は、ラカンの『当たり前だろう』みたいな顔をただ呆然と見ていた。

「ラ……ラカン? あんた、自分で何言ってるか本気でわかってる……?」
「だって、実際見てみなけりゃお前が本当に無茶やってないかわからんからな」
「いや、でもあんた、気持ち悪くないのか? 俺が、そ、そんなことして、イ、イく時の顔とか、見るの」

 すると、ラカンは『なんだ、そんなことか』みたいな顔であっさりと言った。

「いや、この間あれだけお前の中に出しといて今更気持ち悪いも何もないだろうが」
「そ、そうか……」

 ……なんでこの男は何でもやたらと思い切りがいいというか肝が座っているというか……と半ば呆然としていると、ラカンがニィッと悪者みたいな笑みを浮かべて俺を見た。

「ほら、早くしないと寂しがりやのアディちゃんがお待ちかねだぜ?」

 アディちゃん。そう呼ばれて胸がきゅっ、となる。
 本当に馬鹿みたいだが、ラカンが俺を呼ぶその馬鹿馬鹿しくもかわいらしい名前に俺は弱いのだ。

 アドルティスという男は、愛想がなくて人付き合いも悪くて可愛げなんて欠片もない男だが、アディはちがう。
 快感に弱くて自分の欲望に恐ろしく素直で気持ちいいことが好きで、そしてラカンのことが大好きだ。しかもこの間、一晩中ラカンの指や太い男根にいっぱいいっぱい可愛がられて、すっかりその味を覚え込んでしまった。
 だから今もアドルティスの頭は『いくらなんでもそれは駄目だろう』って思ってるけど、でもアディちゃんなんて呼ばれてる俺のソコは、ラカンの声や視線だけでもうすっかりその気になってしまってる。
 これは恥ずかしい。恥ずかしすぎる。でも俺がやらなきゃラカンもアディも納得しない。その上、どうやらアドルティスの方もアディちゃんに引きずられて頭のネジが緩んできたみたいだ。
 なんかもう、どうでもよくなってきた。
 あー、本気か。俺、八年も片思いし続けてきた相手の目の前でこんなところにこんな物を挿れてしまうのか。

 さっき一気飲みしてしまった酒のせいで、頭も身体も相当カッカきてる。それにラカンが、俺を見てる。痛いほど感じるその視線だけでイってしまいそうで思わず唇を噛み締めた。
 ううん、そうだ、酒のせいだ。そうそう。そういうことにしておこう。

「ん……ふ……んっ」

 身体の力を抜いて、さっきラカンが壁側に置いてくれた枕に深くもたれてゆっくりと張型を動かし始める。少しずつ入口を広げるように回して、徐々に中へと押し込んでいく。そう、ここ。ここが俺が最初に見つけた気持ちいいところ。
 ラカンの手と俺の中で温められた滑らかな張型で優しく撫でるようにすると段々中が敏感になってくる。

「う……、っは……ぁ……っ」

 目を閉じて、今俺の狭い肉壁を慣らすように行き来しているのがラカンの指だったら、って想像してみる。と、勝手に身体がピクッと跳ねて思わず声が漏れる。一度声が出てしまうと、もう抑えられない。

「はっ、あっ、んっ」

 それを動かす手がどんどん強く早くなる。何度も撫でられて膨らみ育ったしこりをぐりぐり弄る。

「は……あっ、んっ、ふあ……っ」

 さすがに後ろだけではイけないので、いつもこれくらいから前も弄り始める。だから今もそうしようと反対の手を前に伸ばそうとしたら、突然手首を掴まれて心臓が止まりそうなくらい驚いた。

「な、なに……っ!?」

 そうだ、ラカンがいたんだった。忘れてた。いやいや、忘れるなよって感じだけど。
 するとラカンがすごくあっさりとした口調で言った。

「前は触るな」
「は……ハァ!? な、なんで……っ!?」
「だって、触ったらお前イッちまうだろ」

 これにはさすがの俺も頭に来た。

「おい、ちょっと待てこの鬼瓦!! 道具使ってイけって言ったのはあんただろうが!」
「鬼瓦? よく知ってんな、そんなもん」
「あんたの国じゃ家にみんな乗せてるんだろう!? ノルンのじいさまが言ってたぞ! 鬼の首を屋根に飾るとか悪趣味極まりないと思うけどな!」
「違ぇよ」

 うるさいうるさい、ふざけたこと言ってんじゃないぞこの泣く子もさらに泣き出す鬼顔の絶倫男が! と怒りにまかせてぶちまけてやろうと思ったら、ラカンがぐいっと顔を近づけて囁いた。

「……だってお前、まだあるだろう?」
「な……何が……」
「だから、コレ」

 そう言って汗の浮き出た俺の鼻先に突きつけたのは、今挿れてる物よりもずっと太くて遥かに卑猥な形をした魔道具だった。

「ラカ……、あん……た……っ」
「その張形と一緒に引き出しに入ってたぞ。ってことはこれも使ってるんだろう? しかもこっちはただの棒じゃない。魔道具だ。どんな風に動くのかちゃんと見せてみろ」
「な……っ」

 俺は絶句してしまった。
 そう、それは燃料の屑魔石をセットすることで動くというとんでもない代物なのだ。ちなみにものすごく高かった。当然だけど。でもこれを使えば好きな相手に本当にされてる気分を味わえるって言われてつい買ってしまったのだ。
 そんなものまで持っていることがバレてしまって死にたい気持ちで俯いてると、ラカンがニヤリと笑って言った。

「恥ずかしがらなくていいぜ。俺だってこういうモンがあるって知らないわけじゃないからな」

 それはあれだろうか、ラカンの馴染みの妓楼の女たちも持ってるということなんだろうか。でもその人たちはなんでこんなものがいるんだろう。ラカンが抱いてくれるのに、こんなおもちゃなんていらなくないか? なんて首を傾げてたらラカンが恐ろしく獰猛な、瀕死の獲物をいたぶる魔獣みたいな顔して俺を見ていた。しかもものすごく近くで。

「ほら、手が止まってるぜ?」

 そう言って、まだ細い方の張型を挿れたままの俺の手をそっと撫でる。それだけでゾクゾクしてしまって思わずナカのそれをきゅうっと締め付けてしまった。

「ほら、いつもどんな風にしてるんだ? アディ」

 宥めるような、そそのかすような声を耳元で吹き込まれて俺の頭がとろとろと溶けていく。

「う……うごかして、な、なでたり……」
「こっちのデカイのでも? こんなの入るのか?」
「だ、だから、こうやって細いので、あっ、ひ、ひろげて、慣らして……んっ」
「そうか」
「あっ、ん、っふ、んっ」

 死ぬほど恥ずかしいのを我慢してラカンの目の前でゆっくりとまた手を動かし始めると、ラカンが俺の肩を抱き寄せて笑った。

「上手だな、アディは」

 ………………俺、今、もしかして褒められた……? いや、嬉しいとか思うなよ俺。
 でもすぐ耳元で囁かれるラカンの声に俺の身体も頭も勝手に熱を帯びてきて、腹の奥までずくずくと疼き始める。

「う……あ……っ、あっ」

 ああ、でもくぷりと飲み込んだソレの感覚よりもラカンの視線の方がよっぽど気になる。俺は張型の先端であの恐ろしく敏感なふくらみを撫でて、擦って、とんとん、と突く。

「……っふ、あ、や……っ、きもち……んっ」

 そう、ここ、それからもっと奥。奥まで挿れて、捏ねまわして、広げて、だってそうじゃないと、きっと一番ほしいものが、はいらないから、
 
「あっ、あっ、あっ」

 目を閉じて想像する。そう、これはラカンの指。太くてかさついてて、いつも二振りの刀を操り次々に魔獣を倒していく、あの指が、俺のナカを。
 くちゅくちゅといやらしい音が俺の耳にも聞こえてくる。
 もっと、もっとほしい、もっと太くておおきくて、つよくてたしかなものが。

「……よーし、そろそろいいか……?」

 ラカンの声がして、張型を持つ手を握られて引かれる。ズルズルと抜けていく感触に思わず身体を震わせて啼いた。

「ハッ、あっ、ハッ」
「じゃあ次はこれな?」

 震える手から張型を取られ、たっぷりと香油を塗りたくられた魔道具を渡される。それはさっきまで使っていた細くてまっすぐな張型と違って、ガチガチに勃起した男の形をしていた。

「どう使うんだ? アディ」

 またアディって呼ばれて胸がきゅうっ、ってなる。
 俺よりずっと大きな身体に後ろから抱き込まれて、ラカンの分厚い胸にもたれてその魔道具をひくひくと口を開けながら待ちわびてるソコに押し当てた。

「……う、ん…………っ」

 さっきのよりもずっと太くて重みのあるソレを少しずつ奥へ挿れて、膨らんだ亀頭の形をした先端をソコに押し当てて、指先からほんの少しの魔力を流して作動させる。

「ふぁ、ああぁあ……んっ!!」

 まずい、声を我慢できない。
 さざなみのような微弱な振動がコリコリと膨らんだ俺のソコを責めたてる。ああ、やだ、すごい、キてる、やだ。
 呼吸がどんどん速く、荒くなって、心臓がバクバク鳴ってる。

「ひゃぁ……あ……っ、あっ、あっ」
「気持ちいいのか?」
「うぁ……っ、んっ、きもち、い……っ、きもち、いい……っ」

 目を閉じていてもラカンの視線を痛いくらい感じる。それにこの声。いつも少し掠れたような、低くて太いこの声が俺の心臓を掴んで離さない。

「それから、いつもどうしてるんだ?」
「……い、いつも、もうちょっと、おく、に……ぃ……ひうんっ!」

 小さく振動する亀頭が当たって、たまらずに閉じた膝頭が震える。身体を縮めて頭を振ってなんとかやり過ごそうとするけど、うまく快感を逃がせない。するとラカンの無情な命令が俺の脳髄を揺らす。

「アドルティス。本当はもっと奥まで入るんじゃないのか?」
「ひぁあああっんっっ!!」

 なんていうの、もう条件反射? 言われるがまま奥までソレを咥え込んで俺は思わず仰け反った。
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