24 / 64
Ⅲ 有為転変はエルフの習い 編
アドルティスの試練 ★
しおりを挟む「は……はぁああぁあっ!?」
と思わず叫びそうになった。実際には「は」で止まってたけど。
いや、そんなことより、さ、最後まで!? 俺、ラカンの目の前でこんなことをして、その上こんな道具なんかでイくとこ見られるとか、そんな醜態まで晒さないといけないのか!?
と、そこはうっかり口に出してしまってたらしい俺は、ラカンの『当たり前だろう』みたいな顔をただ呆然と見ていた。
「ラ……ラカン? あんた、自分で何言ってるか本気でわかってる……?」
「だって、実際見てみなけりゃお前が本当に無茶やってないかわからんからな」
「いや、でもあんた、気持ち悪くないのか? 俺が、そ、そんなことして、イ、イく時の顔とか、見るの」
すると、ラカンは『なんだ、そんなことか』みたいな顔であっさりと言った。
「いや、この間あれだけお前の中に出しといて今更気持ち悪いも何もないだろうが」
「そ、そうか……」
……なんでこの男は何でもやたらと思い切りがいいというか肝が座っているというか……と半ば呆然としていると、ラカンがニィッと悪者みたいな笑みを浮かべて俺を見た。
「ほら、早くしないと寂しがりやのアディちゃんがお待ちかねだぜ?」
アディちゃん。そう呼ばれて胸がきゅっ、となる。
本当に馬鹿みたいだが、ラカンが俺を呼ぶその馬鹿馬鹿しくもかわいらしい名前に俺は弱いのだ。
アドルティスという男は、愛想がなくて人付き合いも悪くて可愛げなんて欠片もない男だが、アディはちがう。
快感に弱くて自分の欲望に恐ろしく素直で気持ちいいことが好きで、そしてラカンのことが大好きだ。しかもこの間、一晩中ラカンの指や太い男根にいっぱいいっぱい可愛がられて、すっかりその味を覚え込んでしまった。
だから今もアドルティスの頭は『いくらなんでもそれは駄目だろう』って思ってるけど、でもアディちゃんなんて呼ばれてる俺のソコは、ラカンの声や視線だけでもうすっかりその気になってしまってる。
これは恥ずかしい。恥ずかしすぎる。でも俺がやらなきゃラカンもアディも納得しない。その上、どうやらアドルティスの方もアディちゃんに引きずられて頭のネジが緩んできたみたいだ。
なんかもう、どうでもよくなってきた。
あー、本気か。俺、八年も片思いし続けてきた相手の目の前でこんなところにこんな物を挿れてしまうのか。
さっき一気飲みしてしまった酒のせいで、頭も身体も相当カッカきてる。それにラカンが、俺を見てる。痛いほど感じるその視線だけでイってしまいそうで思わず唇を噛み締めた。
ううん、そうだ、酒のせいだ。そうそう。そういうことにしておこう。
「ん……ふ……んっ」
身体の力を抜いて、さっきラカンが壁側に置いてくれた枕に深くもたれてゆっくりと張型を動かし始める。少しずつ入口を広げるように回して、徐々に中へと押し込んでいく。そう、ここ。ここが俺が最初に見つけた気持ちいいところ。
ラカンの手と俺の中で温められた滑らかな張型で優しく撫でるようにすると段々中が敏感になってくる。
「う……、っは……ぁ……っ」
目を閉じて、今俺の狭い肉壁を慣らすように行き来しているのがラカンの指だったら、って想像してみる。と、勝手に身体がピクッと跳ねて思わず声が漏れる。一度声が出てしまうと、もう抑えられない。
「はっ、あっ、んっ」
それを動かす手がどんどん強く早くなる。何度も撫でられて膨らみ育ったしこりをぐりぐり弄る。
「は……あっ、んっ、ふあ……っ」
さすがに後ろだけではイけないので、いつもこれくらいから前も弄り始める。だから今もそうしようと反対の手を前に伸ばそうとしたら、突然手首を掴まれて心臓が止まりそうなくらい驚いた。
「な、なに……っ!?」
そうだ、ラカンがいたんだった。忘れてた。いやいや、忘れるなよって感じだけど。
するとラカンがすごくあっさりとした口調で言った。
「前は触るな」
「は……ハァ!? な、なんで……っ!?」
「だって、触ったらお前イッちまうだろ」
これにはさすがの俺も頭に来た。
「おい、ちょっと待てこの鬼瓦!! 道具使ってイけって言ったのはあんただろうが!」
「鬼瓦? よく知ってんな、そんなもん」
「あんたの国じゃ家にみんな乗せてるんだろう!? ノルンのじいさまが言ってたぞ! 鬼の首を屋根に飾るとか悪趣味極まりないと思うけどな!」
「違ぇよ」
うるさいうるさい、ふざけたこと言ってんじゃないぞこの泣く子もさらに泣き出す鬼顔の絶倫男が! と怒りにまかせてぶちまけてやろうと思ったら、ラカンがぐいっと顔を近づけて囁いた。
「……だってお前、まだあるだろう?」
「な……何が……」
「だから、コレ」
そう言って汗の浮き出た俺の鼻先に突きつけたのは、今挿れてる物よりもずっと太くて遥かに卑猥な形をした魔道具だった。
「ラカ……、あん……た……っ」
「その張形と一緒に引き出しに入ってたぞ。ってことはこれも使ってるんだろう? しかもこっちはただの棒じゃない。魔道具だ。どんな風に動くのかちゃんと見せてみろ」
「な……っ」
俺は絶句してしまった。
そう、それは燃料の屑魔石をセットすることで動くというとんでもない代物なのだ。ちなみにものすごく高かった。当然だけど。でもこれを使えば好きな相手に本当にされてる気分を味わえるって言われてつい買ってしまったのだ。
そんなものまで持っていることがバレてしまって死にたい気持ちで俯いてると、ラカンがニヤリと笑って言った。
「恥ずかしがらなくていいぜ。俺だってこういうモンがあるって知らないわけじゃないからな」
それはあれだろうか、ラカンの馴染みの妓楼の女たちも持ってるということなんだろうか。でもその人たちはなんでこんなものがいるんだろう。ラカンが抱いてくれるのに、こんなおもちゃなんていらなくないか? なんて首を傾げてたらラカンが恐ろしく獰猛な、瀕死の獲物をいたぶる魔獣みたいな顔して俺を見ていた。しかもものすごく近くで。
「ほら、手が止まってるぜ?」
そう言って、まだ細い方の張型を挿れたままの俺の手をそっと撫でる。それだけでゾクゾクしてしまって思わずナカのそれをきゅうっと締め付けてしまった。
「ほら、いつもどんな風にしてるんだ? アディ」
宥めるような、そそのかすような声を耳元で吹き込まれて俺の頭がとろとろと溶けていく。
「う……うごかして、な、なでたり……」
「こっちのデカイのでも? こんなの入るのか?」
「だ、だから、こうやって細いので、あっ、ひ、ひろげて、慣らして……んっ」
「そうか」
「あっ、ん、っふ、んっ」
死ぬほど恥ずかしいのを我慢してラカンの目の前でゆっくりとまた手を動かし始めると、ラカンが俺の肩を抱き寄せて笑った。
「上手だな、アディは」
………………俺、今、もしかして褒められた……? いや、嬉しいとか思うなよ俺。
でもすぐ耳元で囁かれるラカンの声に俺の身体も頭も勝手に熱を帯びてきて、腹の奥までずくずくと疼き始める。
「う……あ……っ、あっ」
ああ、でもくぷりと飲み込んだソレの感覚よりもラカンの視線の方がよっぽど気になる。俺は張型の先端であの恐ろしく敏感なふくらみを撫でて、擦って、とんとん、と突く。
「……っふ、あ、や……っ、きもち……んっ」
そう、ここ、それからもっと奥。奥まで挿れて、捏ねまわして、広げて、だってそうじゃないと、きっと一番ほしいものが、はいらないから、
「あっ、あっ、あっ」
目を閉じて想像する。そう、これはラカンの指。太くてかさついてて、いつも二振りの刀を操り次々に魔獣を倒していく、あの指が、俺のナカを。
くちゅくちゅといやらしい音が俺の耳にも聞こえてくる。
もっと、もっとほしい、もっと太くておおきくて、つよくてたしかなものが。
「……よーし、そろそろいいか……?」
ラカンの声がして、張型を持つ手を握られて引かれる。ズルズルと抜けていく感触に思わず身体を震わせて啼いた。
「ハッ、あっ、ハッ」
「じゃあ次はこれな?」
震える手から張型を取られ、たっぷりと香油を塗りたくられた魔道具を渡される。それはさっきまで使っていた細くてまっすぐな張型と違って、ガチガチに勃起した男の形をしていた。
「どう使うんだ? アディ」
またアディって呼ばれて胸がきゅうっ、ってなる。
俺よりずっと大きな身体に後ろから抱き込まれて、ラカンの分厚い胸にもたれてその魔道具をひくひくと口を開けながら待ちわびてるソコに押し当てた。
「……う、ん…………っ」
さっきのよりもずっと太くて重みのあるソレを少しずつ奥へ挿れて、膨らんだ亀頭の形をした先端をソコに押し当てて、指先からほんの少しの魔力を流して作動させる。
「ふぁ、ああぁあ……んっ!!」
まずい、声を我慢できない。
さざなみのような微弱な振動がコリコリと膨らんだ俺のソコを責めたてる。ああ、やだ、すごい、キてる、やだ。
呼吸がどんどん速く、荒くなって、心臓がバクバク鳴ってる。
「ひゃぁ……あ……っ、あっ、あっ」
「気持ちいいのか?」
「うぁ……っ、んっ、きもち、い……っ、きもち、いい……っ」
目を閉じていてもラカンの視線を痛いくらい感じる。それにこの声。いつも少し掠れたような、低くて太いこの声が俺の心臓を掴んで離さない。
「それから、いつもどうしてるんだ?」
「……い、いつも、もうちょっと、おく、に……ぃ……ひうんっ!」
小さく振動する亀頭が当たって、たまらずに閉じた膝頭が震える。身体を縮めて頭を振ってなんとかやり過ごそうとするけど、うまく快感を逃がせない。するとラカンの無情な命令が俺の脳髄を揺らす。
「アドルティス。本当はもっと奥まで入るんじゃないのか?」
「ひぁあああっんっっ!!」
なんていうの、もう条件反射? 言われるがまま奥までソレを咥え込んで俺は思わず仰け反った。
86
お気に入りに追加
3,411
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの高校一年生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の主人公への好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる