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Ⅰ 窮鼠、鬼を噛む 編
鬼人・ラカンの反撃 ★
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え? 今、突いたの? ラカンが? この人、俺のナカ突いたの?
思わず頭真っ白になってたら、半ばまで何かでいっぱいになった状態のままぐいっと揺さぶられて、また口からとんでもない声が漏れた。
「あっ! ひゃっ! んっ、あう!」
「な? ココ、アドルティスちゃん? いやアディか?」
え? アディちゃん? おんなのこ? 俺のアソコ、おんなのこになっちゃったの?
そんな頭が沸いたようなことを思い浮かべながら、うっかり声に出して言っていたらしい。ラカンがニヤァッとますます悪そうな笑みを浮かべて言った。
「そうか。お前の尻は俺の摩羅咥え込んで女になっちまったのか」
「う、うそだぁ……」
今まで一度たりとも、こんな自分で恥ずかしくなるような甘ったれた声を出したことなんてない。羞恥のあまり思わず俯くと、ラカンはなぜかものすごく楽しそうに笑って言った。
「うそじゃねぇよ。わかるだろ自分で」
ラカンが俺の両手を片手で掴んでベッドに押し付けながら揺さぶってくる。
「ひっ、あっ、あっ、あ、う…………んっ!」
俺はわけもわからず必死に両足をラカンの腰に回して仰け反った。
すごい、すごい、 ラカンのがすっごいぐりぐり、俺の中を行ったり来たりしてるのがわかる。俺の口からはもうほんとに女の子みたいな甘ったるい声しか出てこない。
繋がったナカが擦れて熱くてたまらない。
「ひっ! あっ! っソ、ソコ、やだ、あ、あっ、……っひうッ」
赤銅色のぶっとい腕に押さえ込まれて、めちゃくちゃ重たい身体に圧し掛かられてひたすら声を上げながら俺の中で暴れまくってるラカンを感じてたら、ふいにラカンの声が聞こえてきた。
「くそっ、やっぱり全部は入んねぇな」
そして俺を気づかってくれてるみたいにゆっくり抜きかかる。
「あ、だめ……っ」
咄嗟に腰に絡めた足に力を入れてしがみついた。するとラカンが少し驚いたような顔をする。
そんな顔をされると、本当に今更だけどものすごく恥ずかしくなってきてつい顔を背けてしまった。
「……なぁアドルティス、お前、どこが気持ちいいんだ?」
「え……、は?」
あまりにも予想外すぎる問いに頭が真っ白になる。
「そんな声出してるってことは気持ちいいんだろう? どこか教えろよ」
な、なんでそんなこと聞くんだろう……?
「え……え、いいけど、なんで」
「なんでって、お前してほしくないのか?」
ニヤッと笑ったラカンの口の端にちらり、と牙が覗く。
「俺のモノでお前のイイところ、ぐりぐりしてほしくないのか?」
し、して! して! めちゃくちゃいっぱいぐりぐりして! と叫ばなかった俺を褒めてほしい。というか言えなかった。頭混乱しすぎて。
え、何言ってんだこの人。あたまおかしいんじゃないのか? と自分を棚に上げて大変失礼なことを考える。
でもラカンの目は本気だった。
本気になった鬼人族ってどんな目してるかわかるか? 本気で、本当に逆らえない。逆らうなんて考えるのも無理。ただもう本能でハイ、と頷くのがやっと。
そんで本気の鬼人様が望むものを、獲物の森の栗鼠? 鳥? はただ這いつくばって捧げるしかなかった。
「ええと……、もっと……入り口の上……? お腹側の……」
「腹側? お前のアレの裏か」
「とか、その辺……?」
「ふーん」
ラカンは軽く相槌を打つと、俺の頭の上で両手を押さえ込んでた手を離した。
そして俺の両足の膝の裏を掴んでぐいと持ち上げた。おかげで俺は赤ん坊がおしめを換えてもらう時みたいな格好になる。
さ、さすがにこれは恥ずかしい。ラカンに「頼むからこれは止めて……」と言おうとして、俺の視線は自分の股間に釘付けになった。
ラカンの赤黒い、凶暴なアレが、俺の中にぐっぷりと入ってる。ほんとに入っちゃってる。
あまりにもすごい光景に、元々は自分が始めたことのくせに思わず絶句してしまった。
するとラカンが低く笑って、ずるり、と抜いてしまった。
「ひゃ、あっ」
ずるっと一気に抜けた感触がこれまた凄かった。
腹いっぱいに埋め込まれてたラカンくんがいなくなってものすごくさみしい、さみしいって俺のナカが震えている。お願い、もう一度来て♡ 来て♡ って入り口のところがひくひくしている。
ああ、俺の身体って本当に馬鹿だな。馬鹿で間抜けで、健気でかわいい。俺がかわいいって言ってあげなきゃ誰も言ってくれないからな。それはあまりにかわいそうすぎる。
「どうした?」
多分相当情けない顔をしてたんだろう。ラカンがそう聞いてくるから俺は手で顔を隠してそっぽを向いた。するとラカンが俺の膝を分厚い肩に乗せ直して聞いてくる。
「なあ、見たいんじゃないのか?」
そんなことひと言だって言ってない。見たいけど。
背けた顔の前にラカンの太い腕をつかれて、情けなく鼻を啜りながら恐る恐る二人の身体がくっついてるところを覗いて見た。
ラカンが俺の腰を抱え上げて、すべすべの亀頭をちゅっと入り口にくっつけてくれる。くっつけて、また離して、今度はちょっとだけ中に咥え込ませた。そのたびに香油だのなんだのが俺の入り口とラカンの亀頭との間に糸をひいて、ちゅ、ちゅ、ってかわいらしいキスみたいな音を立てる。
いいなあ、俺のお尻、ラカンのとキスしてるのか。いいなあ。いいなあ。急に切なくなって胸がぎゅっと掴まれたように苦しくなる。
そうしたらラカンの先端が、ちゅぷ、と中に入ってきた。
「ひうんっ」
いきなりだったから思わずまた声が出てしまう。するとラカンがカリの部分を引っ掛けるように入り口の浅いところを何度も何度もくぷくぷと抜き差しし始めた。
「は、え? あ、や……ぁっ」
そしてついにラカンの亀頭が、今まで自分で妄想しながら散々弄ってふっくらと盛り上がってるソコをぐりっと擦った。
「~~~~ッツ!?」
背骨折れるんじゃないかってくらい仰け反ってしまった。だって、え、うそ。なに今の。
「へー、ここか。アディのイイところは」
「あ、ま、まって、ラカン、まって……っ!」
がむしゃらに手を突っ張ってラカンの体を押し返そうとしたけど、黒血牛のばかでかい骨付き肉を片手で持って貪り喰らうような鬼人族に、木の実とか川魚ばっか食べて育った森のエルフが敵うはずがなかった。
「ひっ! あっ! っソ、ソコ、やだ、あ、あっ、……っひうッ」
気がついたら何度も何度もそのコリコリしたしこりをガツガツ責めたてられて、あまりにも気持ちよすぎてもう頭も体もぐっちゃぐちゃになってしまってた。
「ラ、ラカン、やだ、ラカン……ッ!?」
ああ、すごい、きもちいい、きもちいい、きもちよすぎてしんじゃう。
こわい、なにこれ、こんなの、しらない。
きもちいいのに、きもちいいけど、なにかちがう。
こわい、こわい、こわい。
どうも俺は自分でも気づかず、泣きながらうわごとみたいに怖い、怖いって言ってたらしい。ラカンが動きを止めて、俺の顔を覗き込んでいた。
「どうした、痛いのか」
「いた……いたくはない……けど……」
「けど、なんだ」
生まれて初めて、みっともないくらい泣きじゃくりながら、俺はなんとか言葉を探す。
「つ、つかまるところがなくて」
「……おう」
「……どこか高いとこから放りだされたみたいで、お、おっこちそうで、こわい」
「は?」
ラカンが首をかしげる。そりゃそうだ。言ってる俺も意味がわからない。
「あー、掴まるとこが欲しいのか」
「……うん」
「……うん、ってお前なァ……」
なんか、珍しく困ったみたいな顔をしてラカンがガシガシと頭を掻きまわした。
「……ならここに掴まっとけ」
そう言って、ラカンが俺の両手を自分の首の後ろに回して、その手が外れないように体を密着させてぎゅっと抱きしめてくれた。その途端、俺は怖い物なんてなんにもなくなってしまう。
ものすごく大きくて、分厚くて、びくともしない頑丈で熱いラカンの身体にしがみついて、頬を押し付けて、俺は長い長い吐息を吐いた。
ゆっくりゆっくり、俺の中にラカンの大きなモノが入ってくる。一生懸命力を抜いて頑張ってそれを受け入れようとしてたら、今度はさっきよりもうちょっと奥までゆっくり来てくれた。
ああそうだ、ようやくわかった。俺はこんな風に、もっと奥までいっぱいいっぱい挿れて欲しかったんだ。俺の中全部がラカンの形になるように。ラカンの形を覚えて、ラカンの形になって、ほかのものなんて二度と、何も、入らなくなるくらいに。
「ラカン、ラカン」
トロトロにとろけた情けない声で何度も何度も名前を呼ぶ。これまでずっと呼びたくても呼べなかった名前。言いたくても言えなかった言葉。
「すきだ。ラカン、すきだ。ずっとすき」
絶対言わないって決めてたのに。言っちゃった。俺の初恋。八年越しの愛の告白だ。
だってこんな風にぎゅっと抱きしめられて、やさしく貫かれて、抜き挿しされて。気持ちよくて仕方がないみたいに熱いラカンのうめき声を耳元で聞かされちゃったら、ああ、俺、愛されてるんだって勘違いしちゃうだろう?
ああ、でも本当はもっともっと奥まで欲しい。ラカンのが大きすぎて途中までしか入らなくてものすごく悲しい。
ううん、ダメだダメだダメだ。これ以上口開いちゃダメだ。なのに止まらない。ひんひんバカみたいに泣いて喘いで、ずっとスキスキ言ってしまってる。言っちゃうよ。だってほんとにずっと好きだったんだから。
「んあっ、あうっ、はあっ、ラカン、ラカン……っ」
「く……ッ、ハッ、ハッ……っ」
ラカンもハアハア言ってる。きもちいい? 俺の中きもちいい? 良くなって。いっぱい気持ち良くなって。だって俺があんたにできること、ほかになんにもない。
ラカンがペロッと俺の顔を舐めた。なんで顔? 鬼じゃなくて犬になった? 違う、涙を舐めてくれたんだ。俺泣いてるのか。ほんと情けないな。こんな姿死んでも西の森のみんなには見せられないな。
「ラカン、ラカン」
バカの一つ覚えみたいになんべんも名前を呼ぶ。そのたびに俺の中のラカンのモノがますます大きく凶暴になって、俺のナカを行ったり来たりするラカンの腰の動きと呼吸が激しくなる。
駄目だよラカン。こんなの俺、ほんとに誤解しちゃう。怖いよそんなの。
おかしいな、おかしいな。あんなに夢にまでみた瞬間なのに。ラカンに組み敷かれて、ラカンにアソコいっぱい突いてもらって、こんなの嬉しくて嬉しくてたまんないはずなのに。
「なに泣いてんだよ、アドルティス」
ラカンが聞くけど、俺は「なんでもない」としか答えられない。
「ラカンは? 気持ちいい?」
そしたらラカンが獲物に牙をたててほくそ笑む鬼の顔で言った。
「ああ、すっげぇ気持ちいいぜ?」
それだけで俺は頭から足の爪先まで、彼になら全部喰われたって構わない、って思った。
思わず頭真っ白になってたら、半ばまで何かでいっぱいになった状態のままぐいっと揺さぶられて、また口からとんでもない声が漏れた。
「あっ! ひゃっ! んっ、あう!」
「な? ココ、アドルティスちゃん? いやアディか?」
え? アディちゃん? おんなのこ? 俺のアソコ、おんなのこになっちゃったの?
そんな頭が沸いたようなことを思い浮かべながら、うっかり声に出して言っていたらしい。ラカンがニヤァッとますます悪そうな笑みを浮かべて言った。
「そうか。お前の尻は俺の摩羅咥え込んで女になっちまったのか」
「う、うそだぁ……」
今まで一度たりとも、こんな自分で恥ずかしくなるような甘ったれた声を出したことなんてない。羞恥のあまり思わず俯くと、ラカンはなぜかものすごく楽しそうに笑って言った。
「うそじゃねぇよ。わかるだろ自分で」
ラカンが俺の両手を片手で掴んでベッドに押し付けながら揺さぶってくる。
「ひっ、あっ、あっ、あ、う…………んっ!」
俺はわけもわからず必死に両足をラカンの腰に回して仰け反った。
すごい、すごい、 ラカンのがすっごいぐりぐり、俺の中を行ったり来たりしてるのがわかる。俺の口からはもうほんとに女の子みたいな甘ったるい声しか出てこない。
繋がったナカが擦れて熱くてたまらない。
「ひっ! あっ! っソ、ソコ、やだ、あ、あっ、……っひうッ」
赤銅色のぶっとい腕に押さえ込まれて、めちゃくちゃ重たい身体に圧し掛かられてひたすら声を上げながら俺の中で暴れまくってるラカンを感じてたら、ふいにラカンの声が聞こえてきた。
「くそっ、やっぱり全部は入んねぇな」
そして俺を気づかってくれてるみたいにゆっくり抜きかかる。
「あ、だめ……っ」
咄嗟に腰に絡めた足に力を入れてしがみついた。するとラカンが少し驚いたような顔をする。
そんな顔をされると、本当に今更だけどものすごく恥ずかしくなってきてつい顔を背けてしまった。
「……なぁアドルティス、お前、どこが気持ちいいんだ?」
「え……、は?」
あまりにも予想外すぎる問いに頭が真っ白になる。
「そんな声出してるってことは気持ちいいんだろう? どこか教えろよ」
な、なんでそんなこと聞くんだろう……?
「え……え、いいけど、なんで」
「なんでって、お前してほしくないのか?」
ニヤッと笑ったラカンの口の端にちらり、と牙が覗く。
「俺のモノでお前のイイところ、ぐりぐりしてほしくないのか?」
し、して! して! めちゃくちゃいっぱいぐりぐりして! と叫ばなかった俺を褒めてほしい。というか言えなかった。頭混乱しすぎて。
え、何言ってんだこの人。あたまおかしいんじゃないのか? と自分を棚に上げて大変失礼なことを考える。
でもラカンの目は本気だった。
本気になった鬼人族ってどんな目してるかわかるか? 本気で、本当に逆らえない。逆らうなんて考えるのも無理。ただもう本能でハイ、と頷くのがやっと。
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「ええと……、もっと……入り口の上……? お腹側の……」
「腹側? お前のアレの裏か」
「とか、その辺……?」
「ふーん」
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そして俺の両足の膝の裏を掴んでぐいと持ち上げた。おかげで俺は赤ん坊がおしめを換えてもらう時みたいな格好になる。
さ、さすがにこれは恥ずかしい。ラカンに「頼むからこれは止めて……」と言おうとして、俺の視線は自分の股間に釘付けになった。
ラカンの赤黒い、凶暴なアレが、俺の中にぐっぷりと入ってる。ほんとに入っちゃってる。
あまりにもすごい光景に、元々は自分が始めたことのくせに思わず絶句してしまった。
するとラカンが低く笑って、ずるり、と抜いてしまった。
「ひゃ、あっ」
ずるっと一気に抜けた感触がこれまた凄かった。
腹いっぱいに埋め込まれてたラカンくんがいなくなってものすごくさみしい、さみしいって俺のナカが震えている。お願い、もう一度来て♡ 来て♡ って入り口のところがひくひくしている。
ああ、俺の身体って本当に馬鹿だな。馬鹿で間抜けで、健気でかわいい。俺がかわいいって言ってあげなきゃ誰も言ってくれないからな。それはあまりにかわいそうすぎる。
「どうした?」
多分相当情けない顔をしてたんだろう。ラカンがそう聞いてくるから俺は手で顔を隠してそっぽを向いた。するとラカンが俺の膝を分厚い肩に乗せ直して聞いてくる。
「なあ、見たいんじゃないのか?」
そんなことひと言だって言ってない。見たいけど。
背けた顔の前にラカンの太い腕をつかれて、情けなく鼻を啜りながら恐る恐る二人の身体がくっついてるところを覗いて見た。
ラカンが俺の腰を抱え上げて、すべすべの亀頭をちゅっと入り口にくっつけてくれる。くっつけて、また離して、今度はちょっとだけ中に咥え込ませた。そのたびに香油だのなんだのが俺の入り口とラカンの亀頭との間に糸をひいて、ちゅ、ちゅ、ってかわいらしいキスみたいな音を立てる。
いいなあ、俺のお尻、ラカンのとキスしてるのか。いいなあ。いいなあ。急に切なくなって胸がぎゅっと掴まれたように苦しくなる。
そうしたらラカンの先端が、ちゅぷ、と中に入ってきた。
「ひうんっ」
いきなりだったから思わずまた声が出てしまう。するとラカンがカリの部分を引っ掛けるように入り口の浅いところを何度も何度もくぷくぷと抜き差しし始めた。
「は、え? あ、や……ぁっ」
そしてついにラカンの亀頭が、今まで自分で妄想しながら散々弄ってふっくらと盛り上がってるソコをぐりっと擦った。
「~~~~ッツ!?」
背骨折れるんじゃないかってくらい仰け反ってしまった。だって、え、うそ。なに今の。
「へー、ここか。アディのイイところは」
「あ、ま、まって、ラカン、まって……っ!」
がむしゃらに手を突っ張ってラカンの体を押し返そうとしたけど、黒血牛のばかでかい骨付き肉を片手で持って貪り喰らうような鬼人族に、木の実とか川魚ばっか食べて育った森のエルフが敵うはずがなかった。
「ひっ! あっ! っソ、ソコ、やだ、あ、あっ、……っひうッ」
気がついたら何度も何度もそのコリコリしたしこりをガツガツ責めたてられて、あまりにも気持ちよすぎてもう頭も体もぐっちゃぐちゃになってしまってた。
「ラ、ラカン、やだ、ラカン……ッ!?」
ああ、すごい、きもちいい、きもちいい、きもちよすぎてしんじゃう。
こわい、なにこれ、こんなの、しらない。
きもちいいのに、きもちいいけど、なにかちがう。
こわい、こわい、こわい。
どうも俺は自分でも気づかず、泣きながらうわごとみたいに怖い、怖いって言ってたらしい。ラカンが動きを止めて、俺の顔を覗き込んでいた。
「どうした、痛いのか」
「いた……いたくはない……けど……」
「けど、なんだ」
生まれて初めて、みっともないくらい泣きじゃくりながら、俺はなんとか言葉を探す。
「つ、つかまるところがなくて」
「……おう」
「……どこか高いとこから放りだされたみたいで、お、おっこちそうで、こわい」
「は?」
ラカンが首をかしげる。そりゃそうだ。言ってる俺も意味がわからない。
「あー、掴まるとこが欲しいのか」
「……うん」
「……うん、ってお前なァ……」
なんか、珍しく困ったみたいな顔をしてラカンがガシガシと頭を掻きまわした。
「……ならここに掴まっとけ」
そう言って、ラカンが俺の両手を自分の首の後ろに回して、その手が外れないように体を密着させてぎゅっと抱きしめてくれた。その途端、俺は怖い物なんてなんにもなくなってしまう。
ものすごく大きくて、分厚くて、びくともしない頑丈で熱いラカンの身体にしがみついて、頬を押し付けて、俺は長い長い吐息を吐いた。
ゆっくりゆっくり、俺の中にラカンの大きなモノが入ってくる。一生懸命力を抜いて頑張ってそれを受け入れようとしてたら、今度はさっきよりもうちょっと奥までゆっくり来てくれた。
ああそうだ、ようやくわかった。俺はこんな風に、もっと奥までいっぱいいっぱい挿れて欲しかったんだ。俺の中全部がラカンの形になるように。ラカンの形を覚えて、ラカンの形になって、ほかのものなんて二度と、何も、入らなくなるくらいに。
「ラカン、ラカン」
トロトロにとろけた情けない声で何度も何度も名前を呼ぶ。これまでずっと呼びたくても呼べなかった名前。言いたくても言えなかった言葉。
「すきだ。ラカン、すきだ。ずっとすき」
絶対言わないって決めてたのに。言っちゃった。俺の初恋。八年越しの愛の告白だ。
だってこんな風にぎゅっと抱きしめられて、やさしく貫かれて、抜き挿しされて。気持ちよくて仕方がないみたいに熱いラカンのうめき声を耳元で聞かされちゃったら、ああ、俺、愛されてるんだって勘違いしちゃうだろう?
ああ、でも本当はもっともっと奥まで欲しい。ラカンのが大きすぎて途中までしか入らなくてものすごく悲しい。
ううん、ダメだダメだダメだ。これ以上口開いちゃダメだ。なのに止まらない。ひんひんバカみたいに泣いて喘いで、ずっとスキスキ言ってしまってる。言っちゃうよ。だってほんとにずっと好きだったんだから。
「んあっ、あうっ、はあっ、ラカン、ラカン……っ」
「く……ッ、ハッ、ハッ……っ」
ラカンもハアハア言ってる。きもちいい? 俺の中きもちいい? 良くなって。いっぱい気持ち良くなって。だって俺があんたにできること、ほかになんにもない。
ラカンがペロッと俺の顔を舐めた。なんで顔? 鬼じゃなくて犬になった? 違う、涙を舐めてくれたんだ。俺泣いてるのか。ほんと情けないな。こんな姿死んでも西の森のみんなには見せられないな。
「ラカン、ラカン」
バカの一つ覚えみたいになんべんも名前を呼ぶ。そのたびに俺の中のラカンのモノがますます大きく凶暴になって、俺のナカを行ったり来たりするラカンの腰の動きと呼吸が激しくなる。
駄目だよラカン。こんなの俺、ほんとに誤解しちゃう。怖いよそんなの。
おかしいな、おかしいな。あんなに夢にまでみた瞬間なのに。ラカンに組み敷かれて、ラカンにアソコいっぱい突いてもらって、こんなの嬉しくて嬉しくてたまんないはずなのに。
「なに泣いてんだよ、アドルティス」
ラカンが聞くけど、俺は「なんでもない」としか答えられない。
「ラカンは? 気持ちいい?」
そしたらラカンが獲物に牙をたててほくそ笑む鬼の顔で言った。
「ああ、すっげぇ気持ちいいぜ?」
それだけで俺は頭から足の爪先まで、彼になら全部喰われたって構わない、って思った。
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