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5話

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・・・その時は確か、まだあの子が小さい頃に・・・


ルナティアが泉の中にいるシャハル王子に石をぶつけているとこを見つけて、真っ青になりながら彼女に謝らせようとしたのだが、
ルナティアはあやまろうとはせず、それどころか、悪びれる様子もなく更に、王子に石を投げ、沈めようとしていた。



それで、あの子を問い詰めているところに
運悪く国王も現れて、驚いた顔をして二人を凝視した・・・。


国王が現れたのに気づいたのにもかかわらず、石を投げ続けルナティア。


あぁ、これは不敬罪になるな・・・
終わったな・・・。


ぶっ倒れそうになる身体を必死に立たせていたら、今度は国王がルナティアに聞いてきた


「・・・君は・・・何故あの子に石をぶつけているのだ?」


ルナティアは投げる手を止めずに、国王を真っ直ぐ見ながら、


「それは彼が先に私をいじめたからです。」


「!    あの子がそんなことを・・・・ふむ・・・」


国王は髭を撫でて、もう一度ルナティアに聞く。


「君はあの子が、この国の王子であるということは知っているのかな・・・?」


「もちろん知っています。自分の国の王子の顔を知らない人はいないと思います。」


「・・・ほぉ、では君はアレが王子である事を知った上で、石をぶつけていたのか?子供といえど、不敬罪で捕まるやもしれぬのにか?」



あぁ・・・やっぱり捕まるのか・・・・・・。

国王の口から「不敬罪」と言う言葉が出て
ますます青くなるエドヴィンとは違って
ルナティアは顔色ひとつ変えず、尚も王子に石をぶつけながら悪びれる様子もなく、


「人に悪いことをするのは、王子であってもダメなことです。」


考えてもいなかった言葉を返されて、国王は驚いた。


ルナティアは言葉を続けた


「それが将来、人の上に立つ者であれば尚更です。間違ったことをしたら、それを正さないといけません。王子が偉いからって、何をしてもいいと言うわけじゃありません。」


「それに・・・・・・」


「・・・顔めがけて石を投げてきたり、
つまずかせて転ばせたり、虫を落としてきたり・・・どれも女の子にすることじゃありませんし、遊びだとしても限度があります。」

そして国王に向けていた顔を王子に戻す。


「だから私は今彼に教えてあげてるんです
そんなことはしちゃいけないって。」

ルナティアの話しを聞いていた国王や、使用人、そして私を含めて全員あんぐりしていた



・・・いや、どう見ても教えてるんじゃなくて、
やり返してるように見えるのだが・・・。


いや、そんなことより正論といえば正論だが
相手は一国の王子と王だぞ・・・
もう本当に死んだな・・・これは爵位剥奪か・・。

エドヴィンが一人、青くなりながら覚悟を決める。


「・・・・・・たいした娘だな・・・・・・。」


国王は感心したようにルナティアを見た。



・・・・・・お許しになるのか・・・・・・?





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